機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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AMBUSH。伏兵という意味です。
劇場版では登場していないけどその裏ではこんな人物たちが活躍していた、という感じで書きました。

西川貴教さんの「FREEDOM」の歌詞にある「共にふるえた あの感動を もう1度みたくて」をもう一度感じたくて書いています。

皆様とあの時感じた気持ちを共有できれば幸いです。


第0章-1 アラスカ防衛戦

 CE71年。

 ザフトの一大作戦であるオペレーションスピットブレイクでパナマが標的にされているという情報を得た地球連合軍は各所から主力級の戦力をパナマへと集結させた。その中には連合軍司令部が置かれるアラスカ基地も含まれており、大部分がパナマへと向かった。

 抜けたアラスカ守備隊の穴を少しでも埋めようと、地球連合軍は各基地から回せる戦力をアラスカに集めた。

 その中にはミレイユ・パットンが戦闘機部隊隊長を務める老朽艦コルベールの姿もあった。

 そしてCE71年5月8日。地球連合とザフト、両者の戦いが大きく変わる戦いの日を迎えた。

 

 アラスカ。

「くっ、倒しても倒してもキリがない!」

 スピアヘッドを駆る艶やかな黒髪をヘルメットに収めた女性、ミレイユ・パットンは苦虫を噛み潰したような表情で戦場を見る。

 アラスカ基地の絶対死守を命じられたミレイユは母艦のコルベールと共に攻め寄せるザフト軍を迎撃していた。しかし大半の戦力がザフトのフェイクによってパナマに向かい、アラスカを守るは安全な場所の守備や後方で支援するのが主の練度が決して高いとは言えない部隊。質はもちろん大軍で攻め寄せるザフト軍を前に敗北は時間の問題だった。

 大量のモビルスーツに周辺の戦闘機や軍艦が抵抗空しく沈められていく。

「クソッ!」

 ミレイユも必死に応戦し数機を撃沈させる。その活躍がザフト兵に目をつけられた。

 仲間の仇を取ろうと数機がスペアヘッドを取り囲む。

「ッ!」

 ロックオンされたことを警告するアラームがコクピットに響き渡る。必死に避けるスペアヘッドの翼部を弾丸がかすめる。回避に徹するミレイユだったが、上下左右から絶え間ない攻撃に心身ともに疲労は溜まっていく。撃沈されるのは時間の問題だった。

「こいつらをどうにかしないと、コルベールが……ハッ!」

 母艦に数秒目を移したミレイユは目を見開く。目の前に重斬刀を振り下ろそうとするグゥルに乗るジンがいたからだ。

(ダメだ!)

 攻撃も回避も不可能。ミレイユが唇を噛みしめ諦めた時。グゥルに乗っていたジンが突然消えた。

「……あぁ」

(う、嘘でしょ……)

 動体視力に優れたミレイユには見えた。部下であり士官学校時代からの親友、ルオルカ・フォートワースのスペアヘッドが今まさにミレイユ機を斬ろうとしたジンに向かい猛スピードで体当たりしたのを。

 絡み合いながら落下し、ジンとスペアヘッドはほぼ同時に爆発した。

 

「ルオルカッ!」

 

 爆炎を見た両目に、親友の死に涙する暇はなかった。

 自分を囲んでいた包囲網を無理やり突破すると、コルベールにまとわりつくモビルスーツに排除しようと攻撃する。しかしその数はスピアヘッド一機でどうにかなるものではなかった。各所に被弾しただけではなく、エンジン部分が大ダメージを受けて緩やかな停止。反撃するための火器のほとんどが破壊され、被弾した箇所から浸水が始まったコルベールが沈むのは誰の目にも明らかだった。

 一機のジンが艦橋の前に陣取る。

 

「や、やめろッ!」

 

 撃たないでくれ! とあり得ない願いを込めながらミレイユは叫ぶ。しかし敵は引き金を引く。艦橋は破壊され、同時にメインエンジンが爆発したことで浸水は加速し、コルベールは黒煙とともに水中へと沈んでいった。

「こ、コルベールまで……ッ!」

 隊員に親友、そして上層部から嫌われていた自分を温かく迎え入れてくれた乗員と我が家とも言えるコルベールの沈没に、ミレイユの心は折れかけた。コルベールは、ミレイユにとって戦場で唯一“帰る場所”だった。

「う、うぅ……みんな……ッ!」

 今にも敵に特攻をかけて後を追いたい衝動に駆られる。それを止めたのは未だまだ抗戦を続ける友軍の存在だった。

 ミレイユの視界に白亜の軍艦、アークエンジェルが映る。

(……まだ戦っている仲間がいる。なのにそう簡単に死を選んでいいのか? ここで私が簡単に死を選んだら……私を守るために死んだルオルカはどうなる!?)

 ミレイユの脳裏に共に戦った者たちが浮かぶ。

「ルオルカ、ロッテンハイマー艦長、皆……もうひと暴れしたら。私もそっちに行く!」

 アークエンジェルに猛攻を加えるザフト軍の攻撃の手を緩ませようとミレイユは旋回させる。アークエンジェルへの攻撃に集中していたモビルスーツの背後から攻撃を加えるミレイユ。しかしそれはワイングラスで大火を消そうとするような微々たるものだった。

 その時、ミレイユは見た。アークエンジェルの反撃をかいくぐり艦橋に取りついたジンの姿を。

「ッ! アークエンジェル!」

 その時、ミレイユは見た。アークエンジェルの艦橋を攻撃しようとしたジンの銃を破壊し、アークエンジェルを守るように翼を広げた謎のモビルスーツを。

 

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