機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
プラント
「それではこちらへ」
オルフェ・ラム・タオの使者として派遣されたシュラ・サーペンタインと今後について協議しようとしたジャガンナートは護衛と共に盗聴などの危険性を徹底的に排除した部屋にシュラを招こうとした。その時だった。
「ウグッ!? ──」、「ガハッ!? ──」、「ウガッ!? ──」
前触れもなく現れた、黒いフードで顔を隠した男が音もなくジャガンナートの背後を守っていた兵士に警棒式スタンガンを押しつけ兵士達を無力化していく。
「ジャガンナート閣下!」、「閣下には近づけさせん!」
ジャガンナートの前を守っていた二人の兵士が向かってくる男とジャガンナートと間に立ちそれ以上の接近を防ごうとする。そんな二人の兵士に男はニヤリと笑ってポケットから何かを取り出す。
テーザーガン。コード付きの電極を発射して相手を感電させる銃型のスタンガン。
「ウバッ!? ──」、「ギャアッ!? ──」
銃弾を警戒した兵士はコードから伝わる電流をもろに浴びてドサッ! とその場に崩れ落ちる。
「死ね、ジャガンナート!」
二丁のテーザーガンを投げ捨て、懐からナイフを抜いた男はジャガンナートを突き刺そうと腕を伸ばす。
「くっ!」
腕を前に交差させ致命傷だけは避けようとするジャガンナート。しかし男の凶刃がジャガンナートに届くことはなかった。
ガキンッ!
ジャガンナートの隣に立っていたシュラのナイフがそれを防いだからだ。
「フンッ!」
男は一度間合いを取るとシュラに襲い掛かる。
「閣下」
シュラは自分が引きつけている間にこの場から離れるようにジャガンナートに
二人の斬り合いにジャガンナートを始め危機に駆け付けた兵士がに
「クッ!」
攻撃を繰り出す自身を上回るシュラの刺突を
「終わりだ」
シュラは謎の男を押し倒すと首元にナイフを押し当てた。シュラがナイフを引けば男の首から鮮血が飛び散るだろう。
「動くな!」、「貴様、タダで済むと思っていないだろうな!?」、「これ以上の抵抗は無意味だぞ!」
怒りに満ちた兵士達が男を囲むようにしながら、すぐにでも発砲できるように銃を向ける。
「やめろ!」
兵士達が動揺する。その言葉を発したのはシュラが止めなければ命を奪われていただろうジャガンナート本人だったからだ。
「閣下、なぜ!?」
兵士の一人が疑問を口にする。
「途中からこの男に殺気がなかった。そして兵士達を黙らすならスタンガンなどではなくナイフや拳銃の方が早い。それをしなかったのは殺すのは不都合だったという証拠。サーペンタイン長官、これはどういうことですか?」
「フッ、閣下にはお見通しだったみたいだな。スサ」
「しかしシュラには敵わないな」
シュラがナイフを鞘に戻すと、スサと呼ばれた眼鏡をかけた赤銅髪の青年は立ち上がりながらフードを下ろしジャガンナートに向き直す。
「紹介が遅れました。私、ファウンデーションで参謀総長を務めるスサ・スクトゥムと申します。以後お見知りおきを」
「これはご丁寧に。ところでなぜこのような茶番を?」
「知っていただきたかったからですよ、閣下」
意味深な言葉を呟き、スサは続ける。
「閣下。閣下のような素晴らしい方もナイフの一刺し、たった一発の銃弾で命を失う。大志を抱くのであればそんな
スサの言葉に「貴様!」と数人の兵士が怒りを露わにする。それをジャガンナートが「やめろ!」と
「この無礼の償いとファウンデーションからの友好の証に。我らの悲願が成就される時までこのスサ・スクトゥムを閣下の下で働かせて下さい」
「閣下。私からもお願いします。この男は参謀総長を務めるだけあって頭が良くモビルスーツに心得があります。白兵戦での実力は私には劣りますが、かなりのものがあるのは先ほどの茶番で実証できたかと。どうか上司であるこのシュラ・サーペンタインの顔を立てると思って。どうか」
「……」
(確かに第一印象こそ最悪だがこの男は有能。我らの悲願を叶えるためには力強い)
考え込むこと数秒。ジャガンナートはスサに右手を出す。
「我らプラントとファウンデーションのために。その力をこのジャガンナートの下で発揮してもらいましょう。スクトゥム参謀総長!」
「こちらこそ。ジャガンナート閣下」
差し出された右手にスサも右手を出し、熱い握手が結ばれた。