機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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第3章-1 開戦

 ミケール捕縛作戦が決行された。

 ミレニアムからキラのフリーダム、シンのジャスティス、ヒルダとアグネスのギャンが発進し、アークエンジェルに随伴してゆく。その後、距離を置いてガルガリンも離水した。

 今回の作戦はコンパス、ファウンデーション、ユーラシアの合同作戦という体だが、実際にエルドア地区に入り、軍事行動を行うのはコンパスのみだ。

 その様子を各地に配置されたブルーコスモスが作戦を指揮するソニファーに逐一報告していた。

〈少佐。少佐の予想通りコンパスは予想進路通りにこちらに向かい、前線部隊が迎撃を開始しました〉

「よし、そのまま何かあったら報告しろ……よし、行くぞヒート」

〈ハッ!〉

 部下からの報告に表情を変えることなくソニファーは予定地点に移動を開始した。

 

 作戦会議でのソニファーの説明通り、前線の指揮はアークエンジェルが()っていた。ファウンデーション軍は避難民の誘導及びミケール以下ブルーコスモスの逃亡を防ぐため国境を固める。ユーラシアもファウンデーションと同じく国境を固めていた。

 そしてキラを始めとするモビルスーツ部隊が展開。フォイア、グレーニ、ジャンヌの部隊がそれを迎え撃つ。

「……やはり、予想通りか」

 ソニファーは(つぶや)く。

 総兵力ではコンパス・ファウンデーション・ユーラシアの協同軍だが実際に戦っているのはコンパスのみ。コンパスだけならば総兵力はブルーコスモスが上だ。しかし前線で指揮をするのは二度の大戦で最前線に身を置きながら生き抜いたアークエンジェルの艦長、マリュー・ラミアス。先陣を務めるのは知らぬ者はいない伝説のモビルスーツパイロットのキラ・ヤマト。

 その他シン・アスカ、ムウ・ラ・フラガ、ヒルダ・ハーゲンなど歴戦の猛者。

 数で勝るブルーコスモスに一歩も引かないばかりか確実に押し込んでいた。

 今すぐにでも飛び出したい葛藤(かっとう)に駆られる。しかしソニファーは自分自身を制止する。

(……待て、ソニファー・リーブラン。ここで私が衝動的に動けば作戦は失敗する。そうなれば私を信じて必死に戦っている仲間の行為が無駄になる!)

「まだだ。キラ・ヤマトを始めとするモビルスーツ部隊がもう少し本隊に誘い込まれアークエンジェルに駆け付けられない所まで行くまでは!」

(頼むぞ、みんな!)

 心の中で、ソニファーは仲間達の奮闘を願った。

 

 

 

 ガルガリン格納庫

 ガルガリンの格納庫で部下達と同じようにミレイユも愛機に登場し出撃の時を待っていた。

 数時間前に行われた協議でガルガリンは予備戦力として行動するように決定された。その決定を完全には受け入れられなかったものの、コンパスの部隊で一番心身ともに疲労が残っている自分たちでは返り討ちにあい敵の士気の上昇し、味方に悪影響を及ぼすとの指摘でミレイユは最前線で戦うのを諦めるしかなかった。

 そのままガルガリンは首都で待機と思われたが、ミレニアム艦長、アレクセイ・コノエの「それでは我々が首都に留まりましょう。ガルガリンは前線で指揮を()るアークエンジェルの後方を守る予備戦力として出撃するという事で」という一言でエルドアに向かうこととなった。

「……」

 精神を統一しようと目を閉じて腕組みをするミレイユ。しかし身体は小刻みに震えていた。

(……何だ? この何か恐ろしいことが起きそうな……そんな嫌な感じがするのは?)

 その後エルドアの国境線附近にいた難民に仕掛けられた爆弾が作動。国境付近が大混乱に陥る情報がオペレーターから聞かされる。

 〈何を考えている!?〉、〈……ひ、ひどい!〉、〈そこまで腐ったか、ブルーコスモス!〉

 ブルーコスモスの所業に、隊員達から驚愕と怒りの声が上がる。

(……! いや、落ち着け。ミレイユ・パットン! こういう状況ではむしろ冷静さを保たなければならない! 己を見失えば見えるものも見えなくなるぞ!)

 爆発しそうになる自分自身を諭し、ミレイユはいかなる状況にも対応出来るように自分に言い聞かせた。

 その後エルドアの救護活動のためにファウンデーション軍が進軍したという情報がミレイユの耳に入る。

(ファウンデーションまで巻き込む形になったか……)

 コンパス以外の戦力に負担を負わせることになったことに自責の念を抱きながらも冷静さを保とうとミレイユは努める。

 その冷静さが敵側からではなく味方によって崩されるとは、この時のミレイユは想像していなかった。

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