機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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第3章-3 二人の艦長

 アークエンジェル艦橋

 艦隊通信は完全に妨害されているが、近距離の通信だけは辛うじて生きていた。

「フラガ大佐、状況を報告!」

 信頼している青年の突然の行動に、マリュー・ラミアスは焦る気持ちを抑えて次々と指示を飛ばす。

「キラ君を救助します!」

 マリューは決断した。

「し、しかしそうすれば戦線が──!」

「テイラー艦長なら状況を理解してくれるはず……! だから急いで艦を向けて!」

 通信は遮断されている。だが彼女は信じていた。

 自分よりも経験豊富で、誰よりも冷静に戦況を読むあの男ならキラを助けたいという、この私情に近い判断(・・・・・・・)の意味を必ず察し、戦線の穴を埋めてくれる。

 マリューはそう確信していた。

「取り舵! アークエンジェルはこれよりヤマト隊長の救出に向かいます!」

 

 

 ガルガリン艦橋

「艦長、アークエンジェルが戦線を離脱しました!」

 アークエンジェルの予想だにしない進路変更にクルーたちは動揺した。

「このタイミングで!?」、「戦線が崩れるぞ……!?」、「何を考えているんだ、アークエンジェルは!?」

 しかしその動揺はすぐに沈黙した。クルー全員が絶大な信頼を寄せる人物、エリオス・テイラーが少しも動揺した素振りを見せなかったからだ。それを見たクルーは静かにエリオスの指示を待つ。

「……おそらくラミアス艦長はヤマト准将の救出に動いたのだろう」

 どっしりと焦りを感じさせない声に、クルーたちの迷いは静かに払われた。

(ラミアス艦長にとってヤマト准将は数々の戦場を共に生き抜いた仲間。助けたいという私情もあろうが……。准将は戦場の均衡を左右するトップエース。失うことは即座に戦線崩壊の危険に繋がる。軍人としての合理的判断だ)

 エリオスは即座に判断する。

「ならば予備戦力である我々がすることは一つだ」

 エリオスは冷静に号令を下す。

「これよりガルガリンが前線に出て、先に戦うモビルスーツ部隊の掩護と指揮を行う! ガルガリン急速前進!」

 その声に応じ、艦橋全体が一斉に動き出した。

 アークエンジェルとガルガリン。

 互いに通信もなく、それでも同じ瞬間に進路を変えた。

 信頼と経験が、戦場で二人を結びつけていた。

 

 

 

 ファウンデーション軍陣地

 キラのユーラシア軍の攻撃によって、ラクスの口から撃墜許可を得たファウンデーション軍はキラを止める名目で更なる進軍を開始した。

「よし、それでは行くか」

 ファウンデーション軍国防長官、シュラ・サーペンタインはニヤリと笑う。

《スサが立てた策通りならば、アークエンジェルとガルガリンはブルーコスモスの奴らがやってくれるはずだ。行くぞ!》

 シュラは他のブラックナイツに心で伝達すると当初の計画通り行動を開始した。

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