機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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第3章-6 目撃者の抹殺

 ユーラシア連邦側の戦場からやや離れた森の奥深く。

 木々の影に隠れるようにして、核ミサイルを搭載した装甲車がひっそりと設置されていた。

 本来なら厳重な警備が敷かれるべき場所だが、戦線が混乱している今、ここを守る兵士たちは最低限の人数しかいない。

 それでも彼らは信じていた。

 ──ファウンデーションは元々対立する組織であれど、今回に限ってはミケール捕縛のために協同作戦を行う仲間だ、と。

 その信頼(・・)が、ただでさえ短かった彼らの死をより一層早めた。

 森の静寂を破ったのは、短い悲鳴と肉が裂ける音だった。

「ひぃ!?」

 血飛沫が木の幹に散り、倒れた仲間の上に影が落ちる。

 影の主──ダニエルは、唯一生かしておいた兵士の胸元を無造作に掴み上げた。

 兵士の足は宙に浮き、恐怖で痙攣している。

「パスワード」

 その声は、まるで天気でも聞くかのように軽い。

「……は?」

 理解できない。

 だが、兵士は無意識に核ミサイル発射のパスワードを脳裏に浮かばせた。

 それで十分だった。

 ダニエルは兵士を放り捨てると、まるでゴミを処理するかのように最後の一撃を加えた。

 兵士の身体が地面に崩れ落ちる音が、森に吸い込まれていく。

「ここまではスサの作戦通り。簡単だったね」

 ダニエルが肩を回しながら言うと、傍に歩み寄ったリューが淡々と答える。

「ま、我々だからこそ簡単に遂行できた。そう言うべきですね」

 核ミサイル起動のパスワードを入力し、ミサイルランチャーが低い唸り声を上げて起動する。

 二人はそれを確認すると迷いなく愛機へ向かい、施設の制御装置を破壊した。

 証拠を残さないためだ。

「ん、あれ?」

 ダニエルがふと遠くを見る。

 視線の先にあった白い物体、それはキラ救援のために進路を変えたアークエンジェルだった。

「あー、見られちゃった?」

 悪びれる様子もなく呟くダニエルに、リューは肩をすくめる。

《問題ありませんよ。こちらも処理(・・)するだけです》

どーせ(・・・)同じじゃん(・・・・・)。めんどくせー……」

 二人の声には緊張感がない。

 まるでこれから昼食にでも向かうかのような軽さだった。

 自分たちは(・・・・・)あの場所に(・・・・・)いなかった(・・・・・)

 そのためには、痕跡を徹底的に消す必要がある。

 もちろん──目撃者も。

 先を行くリューの背中を追いながら、ダニエルはぼそりと呟いた。

「スサめ。あいつの予定じゃ、アークエンジェルはブルーコスモスの奴らが抑えているはずだったのに……いいかげんな策をたてやがって……」

《仕方がないですよ。ソニファーなんたらとかいう女は所詮(しょせん)ナチュラル。スサがブルーコスモス(ナチュラル)を過大評価しただけ。ま、我々に余計な手間を負わせたとしてスサには何かおごってもらうことにしましょう》

「だな」

 二人は笑い合う。

 その笑いは、戦場の狂気を象徴するように軽く、冷たかった。

 そして──

 リューとダニエルは、証拠隠滅(・・・・)のための攻撃を開始した。

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