機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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第3章-8 ミレイユ対リデラード

「くっ、間に合わなかったか……」

 右翼の別動隊に足止めを食らい、キラがユーラシア連合に攻撃するという最悪の展開を防げなかったことにミレイユは唇を噛みしめる。

 視線の先にはキラのライジングフリーダムとラクスから撃墜許可を得たシュラのシヴァが戦闘を繰り広げている。

(今のヤマト隊長は錯乱状態にある……)

 アラスカでキラに助けられた過去を持つミレイユは引き金に指をかけるが引くことは出来なかった。

(味方のはずのユーラシアを攻撃するという暴挙……意図的なのか? しかしこんな計画をしていたのならクライン総裁が撃墜を許可する命令を出すのか? それとも機械の暴走? ……何にせよこれ以上の暴走は命令通り撃墜してでも止めなければいけない……しかし!)

 アラスカで連合・ザフトにサイクロプスがあるアラスカ基地から逃げるように呼びかけたキラのフリーダムが脳裏に浮かぶ。恩人を殺すことに戸惑うミレイユは、ファウンデーション軍がキラを攻撃するのをただ見るしかなかった。その時だった。

(……!?)

 無意識でミレイユは機体を後退させていた。その直後、サンライズがいた空間を刃が通り過ぎる。もしミレイユがその場に留まっていればサンライズと共に四散していただろう。

「……だ、誰が!?」

 

 周囲には敵はいないはず。少なくとも接近戦用の武器で攻撃できる範囲の敵は。

 

 ミレイユは攻撃者を探し、そして──その姿に息を呑んだ。それはブラックナイトスコード ルドラ。ファウンデーションの機体だった。

(!? ……何故だ? 味方のはずのファウンデーションの機体がどうして私を?)

「ま、待て! 私はコンパス所属のミレイユ・パットンだ!」

《ハハッ! そんなの知ってるわよ!》

 脳内に響く少女の声。リデラート・ドラドール。

 ルドラの対モビルスーツ重斬刀が次々と襲いかかる。

 ミレイユはギリギリで回避しながら、その言葉に動揺した。

《アンタらは騙されたのよ、私達の策略にね!》

「な!?」

(策略!? ……どういう──)

 それを考える間もなくルドラが突然サンライズから距離を取った。

 直後、コクピットにアラート音が響き渡る。

(なっ!)

 ミレイユはサンライズを振り返させる。そこには無人機の群れが放つミサイルと銃弾が

 空を埋め尽くしていた。

「くっ!」

 ミレイユは盾を構えビームライフルと頭部バルカンで迎撃する。しかしそれは棒きれで豪雨を防ぐようなものだった。

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!?? ────」

 

 盾が砕け、ビームライフルが吹き飛び、度重なるミサイルの衝撃にミレイユの意識は遠のいていく。気を失いつつある主と同様に赤とオレンジ、白の機体は灰色一色に染まりながら地面に落ちていく。

《そうだ! 冥途(めいど)の土産に教えておいてあげる──》

 リデラートは嘲笑しながらある事実(・・・・)を告げると後は無人機に任せるとばかりに、作戦遂行のためどこかへ飛び去った。

 

 

 無人機の攻撃によってミレイユが気絶した数秒後。

「──ハッ!?」

 ミレイユは息を吸い込むように目を開いた。

(私は何をしていた? 確かヤマト隊長を止めようとして、そこで味方と思われたファウンデーションから攻撃を受けて……!)

 思考がハッキリと戻るより早く、墜落中のサンライズへ再び大量のミサイルが迫る。

「くっ!」

 ミレイユは反射的に操縦桿を引き、バーニアを全開にする。

 主の目覚めに応じるように、灰色に染まっていたサンライズの装甲が赤・オレンジ・白の本来の色を取り戻し、地面との激突をギリギリで回避した。

 そのまま急上昇し、ミレイユは戦況を確認する。

 遠方では、翼を失ったフリーダムにファウンデーションの機体が群がっていた。

(ヤマト隊長を助けなければ……しかしビームライフルを失い攻撃手段が接近戦しかない状態で救援に行っても時間稼ぎにしかならない。それにファウンデーションが敵だとわかった以上、ガルガリンも無事とは限らない!)

 キラとガルガリン。ミレイユの心の天秤が激しく揺れる。

(ヤマト隊長……ごめんなさい!)

 ミレイユは決断し、サンライズをモビルアーマー形態へ変形させた。

 無人機群が一斉に照準を合わせる。だがミレイユは迷わず突っ込んだ。

 追尾ミサイルが爆ぜ、その爆風が無人機を巻き込み次々と破壊していく。

 サンライズは限界まで加速し、戦場の混乱を切り裂くようにガルガリンへ向かって飛んだ。

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