機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
「クソが!」
ヒートのワイルドダガーはクレアのジムを振りきれずにいた。その間にも狙撃装備のヒイラーのジムが自分達を援護していたウィンダムを撃破。ジェットストライカー装備のヴォルケのウィンダムはイーサとステアのジムの連携によって撃墜。スパークのウィンダムもかろうじて撃墜だけは逃れている状態だった。
「少佐のブリッツがいないと気づかれたら……後方を守ってる2機のジムが前に出てくる……!」
(どうすれば……)
焦る気持ちだけが募り、それが集中力を削ぐ。回避が遅れ、コクピットを斬ると見せかけたクレアのフェイントによって腰のビームライフルが切り落とされた。
「しまった!」
攻撃手段を削られたことに更に焦るヒート。その時だった。
「ん、なんだ?」
爆音と視界の端に映る光にヒートは意識を向ける。スパークのウィンダムがステアのジムを巻き込んで爆発したのだ。
(……スパーク。いや、よくやった!)
仲間の死に揺れかけた心を、ヒートは無理やり戦場の思考へと戻す。
ステアの爆発に動きを止めたクレア。その一瞬の隙を、ヒートは逃さなかった。
ステア機の消失で、艦橋へ直通するルートが生まれた。突破不可能と思われた鉄壁の守りに、わずかな綻びが走る。
「……行ける!」
ヒートは笑みを浮かべ、ワイルドダガーをモビルアーマー形態へと変形させる。
動揺するクレアを振り切り、一直線にガルガリンへ向かう。
「ライト、レフト、ヴォルケ、スパーク……あいつらがこじ開けてくれた、もう二度とないチャンス。絶対にモノにする!」
艦橋目がけて大きく飛翔。
「クッ! あの機体!」
「ガルガリンには行かせない!」
モビルスーツ形態に戻ったワイルドダガーの接近に気付いたヒイラーとイーサのジムが集中砲火を浴びせる。
「クッ! ……持ってくれよ、相棒!」
歯を喰いしばりながら必死に祈る。
ヒートの願いが通じたのか、はたまた主の期待に応えようとしたワイルドダガーの意地か。機体は両足、左腕、頭部を失いつつもコクピットと右腕だけは残した。
「さすがは俺の相棒だ! ……じゃあ、俺達が最期に狩る大物だ!」
辛うじて耐えきった愛機に感謝を述べる。右手に握るビームサーベルを艦橋めがけて振り下ろす。
「これで終わりだ、ガルガリン!」
(俺が撃墜するんだ。かつての上官やジャンヌを始めとする仲間から『モビルスーツしか能がない』と言われ……そのモビルスーツも少佐やソドがブルーコスモスに加入してから『モビルスーツですら……』と影でバカにされていたこの俺が! あの伝説のアークエンジェルの流れを
人生最後に仕留める大物に、ヒートは愉悦の笑みを浮かべたまま……コクピットを貫かれて死亡した。
今まさに艦橋めがけて振り下ろされようとしたビームの刃は、持ち主の命に連動するように消失した。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
ビームサーベルの出力を無くすとコクピットを貫かれたヒートのワイルドダガーは地上に落下。地面に激突する前に内部からの爆発で四散した。
ガルガリンへ急いで戻ったミレイユはモビルアーマー形態からモビルスーツ形態へと変形しながらビームサーベルを手に取るとその勢いのままワイルドダガーを刺した。
〈パットン少佐!〉
喜ぶオペレーターとは対照的に、ミレイユは叫んだ。
「核が来る!急いでここから離脱を!」
核。
予想外のミレイユの言葉にエリオスを始めとする全員が耳を疑う。
〈時間がない! 早く!〉
「……わかった」
信頼する部下の『核が来る!』という強い言葉と、ガルガリンとモビルスーツ隊にこれ以上の継戦能力はないと判断したエリオスは決断した。
「モビルスーツは急ぎガルガリンに戻れ! ガルガリンは急ぎこの戦域から離脱する!」
ミレイユがヒートを背後から刺す場面が抜けていました。
申し訳ございません(-_-;)