機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
前話の『第3章-12 ヒート死す』でミレイユがヒートを刺すシーンが抜けてました。
この場を借りてお詫び申し上げます。
「……どういうことだ、これは?」
ミラージュコロイドで姿を隠しながら、ソニファーはアークエンジェルが見える位置まで慎重に接近した。
だが、視界に飛び込んできた光景は、彼女の理解を完全に裏切るものだった。
味方であるはずのコンパスを、ファウンデーションが攻撃している。
その事実が脳に届くまで、数秒の空白が生まれた。
ソニファーはただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
二機のルドラとモビルスーツ部隊による飽和攻撃。
アークエンジェルは回避もままならず、武装と装甲を削られながら不時着を余儀なくされていく。
「そんな……あり得ない……」
呟きは震えていた。
視線の先で、マーズとヘルベルトのゲルググメナースが援護に入る。
二人は迷いなくルドラへビームを放ち、サーベルで斬りかかる。
だが──ビームは直撃前に霧散し、サーベルは幻影を斬り抜けるだけだった。
「幻影……? いや、違う……!」
ソニファーの分析が追いつく前に、背後へ回り込んだルドラがゲルググのコクピットを貫いた。
爆炎が上がり、ヘルベルトの機体が崩れ落ちる。
もう一機のゲルググも幻影に惑わされ、脇腹を斬られた。
爆発の光が森を照らし、ソニファーの顔に影を落とす。
「……っ!」
異変に気づいたムラサメ改が、ゲルググを葬ったルドラへビームライフルを連射する。
しかしルドラは瞬間移動したかのように回避し、ムラサメの腕を切り落とした。
さらにもう一機のルドラが脚部を切断。
ムラサメはグレネードを放ちながらきりもみ落下し、地面へ叩きつけられた。
二機のルドラは撃墜したと判断したのか、興味を失ったようにその場を離れていく。
その直後。地面にぶつかる寸前で体勢を立て直したムラサメがモビルアーマー形態へ変形し、アークエンジェル後部デッキで座り込む女性、マリュー・ラミアスを回収して飛び去った。
ソニファーはその一連の光景を、ただ黙って見つめていた。
「……」
味方であるはずのコンパスを、ファウンデーションが攻撃した理由。
ソニファーには理解できなかった。だがこれだけは理解できた。
(ファウンデーションはブルーコスモスを利用した。そして自分はその舞台で知らぬ間に踊らされていた!)
と。
「……ッ!」
胸の奥で、怒りが静かに燃え上がる。
だが同時に、冷静な判断がソニファーの頭を支配した。
(ルドラが去った……何かに急かされるように。つまりここに長く留まるのは危険……)
ソニファーは怒りを押し殺し、地下通路の奥へと移動した。
(生き残らなければ。真相を暴き、仲間を守り、ブルーコスモスを立て直すために!)