機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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第3章-14 シース撤退

「どうなっているんだ、これ?」

 星すらも狙い撃てると開発者が豪語した狙撃特化型モビルスーツ──ヴォルテバスタースター。

 その安全圏と呼ばれる距離から戦場を監視していたシースは、思わず顔を引きつらせた。

 視界の先で、シン・アスカの乗るイモータルジャスティスがファウンデーション軍に取り囲まれていたからだ。それはまるで獰猛(どうもう)な狼の集団に囲まれた弱った獅子のようだった。

「コンパスと共同作戦を行っていたはずのファウンデーションが何故コンパスを攻撃する!?」

 シースは思わず口にする。返事をする者などいない。

 戦場はシースの混乱を置き去りにしたまま容赦なく進んでいく。

「ッ!?」

 シースの視界の端で爆炎が上がる。それはファウンデーション軍によって徹底的に破壊されたアークエンジェルだった。

 アークエンジェルが炎と黒煙に包まれ爆発した瞬間、ジャスティスの動きが一瞬止まった。

(まずい……!)

 その一瞬を、ルドラは逃さなかった。

 黒い影が空気を裂き、ジャスティスへ一気に間合いを詰める。

 次の瞬間──ジャスティスの胴体が、真っ二つに切り裂かれた。

「あのジャスティスが……!」

 シースの喉がひきつる。

 だが、シンは間一髪で脱出していた。

 パイロットスーツのまま宙に投げ出されたシンへ、ルドラが無慈悲に手を伸ばす。

 握りつぶすつもりだ──そう理解した瞬間。

 シンの危機を察知したヒルダ・ハーケンの乗るギャンのヒートロッドが、ルドラの腕を絡め取るように叩きつけた。

「……っ!」

 ルドラの動きが一瞬止まる。

 その隙を逃さず、ギャンはミサイルを叩き込んだ。

 爆炎がルドラの視界を覆い、同時に半壊したジャスティスにも命中する。

 その隙にヒルダはシンへ手を伸ばし、コクピットへ引きずり込む。

 そのままギャンは全速力で戦場を離脱した。

 シースは息を呑んだ。

 ルドラが逃げるギャンを数秒だけ見つめていた。

 追うか、それとも殺すかを判断しているように見えた。

 しかし。

 ルドラは追わなかった。

 まるで時間に(・・・)追われている(・・・・・・)かのように、ルドラは飛び去っていった。

「何だ……? なぜ追わなかったんだ……?」

 シースの疑問は深まるばかりだった。

 

 味方であるはずのコンパスを攻撃するファウンデーション。

 アークエンジェルの撃墜。

 ジャスティスを切り裂くルドラ。

 そして、ギャンの追撃を放棄してどこかへ向かうルドラ。

 

(何かがおかしい……これは、ただの戦闘じゃない……)

 その答えをシースが知るのは、それから数分後のことだった。

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