機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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長い間投稿出来ず申し訳ございません。

理由は後書きに書いています。


第4章-7 断絶する真相

 ミレニアム艦橋。

 通信が切れた後、ブリッジには重い沈黙が落ちる。

「……ふう」

 コノエはため息をついた。

「……テイラー艦長は我々を疑っているようだな」

「……っ!?」

 近くで二人の会話を聞いていた副長のアーサー・トラインが小さく驚く。

 エリオスの態度が普通ではないと感じ取っていたが、味方であるエリオスに疑われているとは思ってもみなかったからだ。そんなアーサーを「そんなことも気がつかなかったのですか?」と言いたい顔で一瞥した後、アルバート・ハインラインが口を開く。

「テイラー艦長の声には乱れがありました。声の揺れ、呼吸の変化、言葉の間合い……あれは隠し事をしている人間が無意識に見せる反応です」

 ハインラインの分析にアーサーが息を呑む。

「具体的には、三度。一つは

『その矢先、ブルーコスモスの伏兵に遭遇し交戦。何とか撃退したものの、継戦能力を失い戦場を離脱せざるを得ませんでした』

 とガルガリンがブルーコスモスの伏兵部隊と交戦した辺り。次に

『突如通信が取れなくなった後のことはブルーコスモスの攻撃に対応するので精一杯で……詳しいことがわからなく申し訳ありません』

 と謝った所。そして最後は

『……以上が、ガルガリンが把握していた範囲の状況です。戦場全体の詳細は……残念ながら確認できていません』

 これ以上何を聞かれても答えられないという風に話を打ち切った所」

「……」

 一言一句覚えていたことにアーサーは驚きを通り越して呆れる。そんなアーサーを無視してハインラインは続ける。

「以上の事から98パーセントの確率でテイラー艦長は何かを意図的に隠していたと断言できます」

「……ふぅむ」

 ハインラインの言葉を聞き終えたコノエは、しばし無言のまま視線を落とした。

 その沈黙は怒りでも動揺でもなく、ただ状況を受け止めるための静かな間だった。

「……まぁ、仕方がないことだろう」

 そう言ってコノエは背もたれに全身を預ける。

 前日に自身が『……そうか。やはり、ファウンデーションが……」と今回の事件の黒幕と呟いた後

 ハインラインが『ジャミングのタイミングといい、黒である可能性は92パーセント。ブラックナイツの仕業ですよ』と補足し、アーサーが『ああー、ブラックナイツだけに黒──って、ええっ!?』としょうもないギャグ交じりの驚きで場を白けさせた出来事を思い出す。

 コノエもエリオスがこの事件には裏で暗躍している者がいることを確信していると分かった。しかしプラントと大西洋連邦という立場の違いが、エリオスが自分達を疑っているとも確信していた。

 そもそもの発端はキラが対ブルーコスモスという面で協力関係にあったユーラシア連邦に攻撃したこと。それはコノエ自身、寝耳に水だった。

 キラ・ヤマトという青年が心から平和を望む人物だと確信していているコノエは、キラのユーラシア連邦への攻撃は考えられなかった。だから考える。

 

 キラ・ヤマトという男がそんなことをする理由がない。ならば何か別の要因があったはずだ。

 

 と。

 コノエはあらゆる角度からキラの不可解な行動を考えた。

 誘導、ハッキング、罠、意図的に歪められた情報を受け取ってしまった……あらゆる可能性を考える。

 そしてコノエはプラントの人間だから言える。今回の事件に関してプラントがユーラシアを攻撃する意図は絶対に近いほどあり得ない、と。

 しかしエリオスは大西洋連邦の人間。誰もが予想だにしていないキラの行動も、意図した行動(・・・・・・)に見えてしまう。

「平和のために設立された世界平和監視機構コンパス。その信念の下で集った同じ志を持つ者、エリオス・テイラー。しかしプラントと大西洋連邦。身を置く立場が違うだけでこうなるとは……」

 同じ志を持つ戦友でありながら距離を置かれる現実を悲しみ、コノエは帽子を深くかぶった。




本当はなぜソドがソニファーを好きになったかを投稿しようとしたのですが戦闘シーンが思いつかなかったので(;^_^A
おそらく外伝みたいな形で投稿することになると思います。

とりあえず未完ながら
タイトル【ソニファーの剣】

 ブルーコスモス 秘密基地。
 ソニファーとソドがオーブに向けて出発した後、基地の留守と軍の整備を任せられたシースはふと昔のことを思い出していた。

 ブルーコスモスに加入する前。ソドはシースと『ディアボロス』という名で傭兵稼業を行っていた。
 様々な組織の下を渡り歩いていた二人だったが、あまりの戦闘能力の高さに加え、ソドの束縛を嫌う性質から、どれほど好条件を提示してもディアボロスを抱え込める組織はなかった。
 やりたくない仕事には決して手を出さず、どの勢力にも属さない──そんな彼らは、いつ敵に回ってもおかしくない制御不能の戦力(・・・・・・)として恐れられていった。
 どの勢力にとっても『味方にすれば頼もしいが、敵に回れば厄介すぎる存在』。その評価が広まり、やがて二人を排除しようとする動きが強まり、ついには懸賞金すら掛けられるようになっていた。
 シースが「ここはほとぼり冷めるまでどこかの組織に入った方が良いのでは?」と提案しても、ソドは「なぁに、人間死ぬ時は死ぬ。それに戦いの中で死ねるならいいじゃねえか」と取り合わなかった。
 そんな時だった。
 酒場で二人を殺そうとした襲撃者を退けた直後だった。
 折れた腕を押さえながら転がるように外へ逃げていく男を、誰も追おうとはしない。
 店内には荒い息と割れた椅子の軋む音だけが残っていた。
 カラン、コロン。
 扉についた古いベルが、場違いなほど澄んだ音を響かせた。
 振り返った瞬間、酒場の空気が変わる。
 三人の客が店内に入ってきた。
 先頭に立つ女は、薄い灰色のロングコートをまとい、静かに歩みを進める。
 女の美しさは喧噪の余韻を一瞬で消し去った。
 荒くれ者たちのざわめきが、まるで吸い込まれるように止む。
 血の匂いが残る酒場に似つかわしくない、静謐な気配。
 その瞳は冷たくもなく、温かくもなく、ただまっすぐにカウンター席に座るソドを見据えていた。
 一見すればどこかの大会社に勤める重役。その重役を守るように後ろに立つ、顔に大きなアザが特徴の男と長い金髪をサイドテールにまとめた女がその印象を強くする。
「貴方がディアボロスのソド・パーンね」
 席に座るソドに女は語りかける。
「……確かに俺がディアボロスのソドだ。で、アンタは誰だ?」
 サイドテールの女が「貴様ッ!」と殴りかかろうとするのを、女が左手で制する。
「そうね。私が失礼だったわ」
 女は静かに微笑む。
「私はルシア。とある企業の専務をしているわ。単刀直入に言うわ。近日、重要な取引があるの。その護衛にディアボロスに頼みたい」
「……」
 ソドは眉をひそめる。
 女の声は柔らかいのにどこか冷たさがあった。まるで甘い香りで獲物を呼び寄せ食らう食虫植物のように。 ソドと同じようにシースも同じ感情を持った。この女は危険だと。 ソドは後ろに立つ二人を見る。
 ルシアは仕事が出来るキャリアウーマンという立ち姿だったが後ろの二人がただの護衛ではないと感じ取った。
(後ろの二人……足幅が一定で重心がぶれてない。肩の力が抜けているが、気が抜けているのではなくいつでも動けるように脱力している。
 それに店に入った時点で出入口や窓、遮蔽物を確認していた。視線が点ではなく面で動き、俺達含め客や店主を含めて全員を観察していた。
 これは逃げ道と発砲された際の射線を考えていたもの。ただの護衛ならそんなことしねぇ……)
 シースも二人に違和感を覚えていた。
(この二人。身長差があるはずなのに歩調が揃っていた。ただの護衛ならば個人差が出る。なのに二人は自然に店に入ってきてソドさんの前に立つまで歩幅が同じだった。
そして二人はルシアと名乗る女の後ろに立って様子を見守っているが、この場にいる誰かがいきなりルシアに襲い掛かったり発砲したとしても対応できる絶妙な位置をキープしている。
これが出来るのはよほど経験のある護衛なのか……それとも──)
「私からの依頼、受けて下さる?」
 ルシアは自信たっぷりのキャリアウーマンの顔で尋ねる。 その時だった。
 ビュッ! 
 ソドは先ほどまで飲んでいたウォッカが入ったグラスをルシアに投げつけた。 後ろの二人が防ごうとする前にルシアはグラスを叩き落とす。 その直後。ソドは火が灯ったオイルライターをルシアに投げる。
「……」
ウォッカがしみ込んだ手袋が発火するも、ルシアは動揺することなく即座に手袋を脱ぎ捨てる。
「貴様ッ!」
「ソニファ……ルシア様に何をする!?」
 激高する二人を無視し、ソドはルシアの手を見る。
「へぇ、出来る女っていうのは手にタコが出来るのですね。銃やナイフを握り続けたようなタコが」
「……ふふっ」
ソドの言葉を聞いた瞬間。専務ルシアの仮面を脱ぎ捨て、女は静かに笑う。
「なるほど。ただの荒くれ者ではないということか」
突然ウォッカを投げらつけられたことに怒ることも動揺することもなく、ただ静かにソド・パーンという男を値踏みするような目で評価する。
女が専務の仮面の下に隠していた顔を見せた瞬間――ソドの中にある戦闘狂がわずかに反応する。
「やっと本音で喋ったな。その作り笑いよりはマシだ」
ソドも笑う。だがその笑みは、口元だけがわずかに吊り上がっただけのものだった。
目は一切笑っていない。むしろ不愉快さを隠そうともしない冷えた光が宿っている。

この女は強い。だがそれ以上に――人を値踏みするその目がどうしようもなく気にくわねぇ!

ソドの視線は、認めざるを得ない強さと本能的な嫌悪が入り混じった荒んだ光を帯びていた。
女はソドの苛立ちを見抜く。
「改めて聞こうか。お前は誰だ?」
並みの者ならば怯み、最悪気を失うソドの視線を前に女は静かに返す。



「私はソニファー・リーブラン。ブルーコスモスに所属する少佐だ」
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