機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
セレーナの由来はギリシャ神話に登場する月の女神セレネから。
ルナ―ヴァ・テイラー(ルナ―ヴァ・ハーベスト)
ルナ―ヴァの由来はイタリア語で「新月」を意味するLuna Nuova(ルーナ・ヌオーヴァ)から。
エルドアでの戦いが終わった数時間後。
「おい、聞いたか!?」、「え、それマジかよ!?」、「何でユーラシアはそんなバカげたことを!?」
ディガー・グレイブがいる基地では深夜にもかかわらず、基地内は異様な熱気に包まれていた。
静まり返っているはずの廊下に、怒号と困惑が入り混じった声が反響する。
突然飛び込んできた『核』という単語が、兵士たちの理性を吹き飛ばしていた。
「ユーラシア連邦から放たれた核ミサイルがファウンデーション王国とエルドアに落ちたらしい!」
「やっぱりそれ本当だったのか!?」
「いや、それは誤報だって聞いたぞ!」
「え、じゃあ落ちてないの!?」
「どっちなんだよ……!」
情報は
ただ、何か取り返しのつかないことが起きた──その空気だけが、基地全体を支配していた。
そんな騒ぎの中。背中まで伸びた金髪を三つ編みにした、極端な猫背のせいで小柄に見える清掃員の女性が黙々とモップを動かしていた。
分厚い眼鏡の奥の瞳は伏せられ、そばかすの浮いた童顔は暗い影に沈んでいる。
ルナーヴァ・テイラー。
ガルガリン艦長エリオス・テイラーの妻であり、今は亡きセレーナ・ハーベストの実姉だ。
清掃員の彼女を見飽きた観葉植物のように気に留める様子もなく兵士たちは噂話を続ける。
「そういえばコンパスに派遣されたガルガリン? だっけ? あの
「ガルガリンも巻き込まれたって聞いたぞ?」
「いや、その
「はぁ、どっちなんだよ?」
──その瞬間、ルナーヴァの手がわずかに止まった。
ほんの一秒にも満たない。だが、彼女の胸の奥では鋭い痛みが走っていた。
ルナ―ヴァは知っている。
ガルガリンが開戦直前にファウンデーション王国の首都イシュタリアへ到着したこと。
アークエンジェルの予備戦力として、エルドアに投入されたこと。
そして──イシュタリアとガルガリンがいるエルドアに核が落ちたこと。
彼女は断片的ながらもその全てを把握していた。
だが、ガルガリンが無事かどうかはわかっていない。
(あなた……生きてるわよね?)
心の中で呼びかける。しかし──返事はない。
何を当たり前のことをやっているんだ、と自嘲した後、ルナ―ヴァは考える。
(エリオス・テイラー。彼は優秀だ。どんな状況でも冷静さを保てる度胸に判断力もある。どんな窮地でも必ず道を切り開いてきた。だから必ず生きているはず!)
頭ではそう考えるルナ―ヴァだったが──心は違った。
数々の修羅場を乗り越えたエリオスですら抗えない状況が、今回の戦場にはあった。
核。
理不尽で、無慈悲で、どんな努力も才能も踏みにじる圧倒的な力。
その前では、どれほど優秀な人間でも無力に等しい。
胸の奥に冷たい痛みが広がる。
それでも表情には出せない。出してはいけない。
「……」
兵士たちが噂話を続ける中、ルナーヴァは再びモップを動かした。
ただの清掃員として。
何も知らないふりを続けながら。
大西洋連邦の末端中の末端と言っても間違いじゃないルナ―ヴァが開戦直前にイシュタリアに到着したガルガリンがエルドアでの戦いに参加したのを知っているのか?
核が落ちた場所を知っていたのか?
【次話登場予定の登場人物】
ルナーヴァ・テイラー(ルナーヴァ・ハーベスト)
身長160cm。48㎏。B91・W58・H85
39歳で曹長。セレーナの実姉。テイラーの妻。軍勤務の清掃員。小柄で眼鏡で暗い印象のそばかすの金髪童顔女性。
エリオスとの間に生まれたアスロという息子がいる。
ミランダ・シェイド
35歳(39歳)身長160cm。48㎏。B91・W58・H85
情報部に所属する中佐。情報部にいることはほとんどない。赤い髪とボン・キュ・ボンのグラマラスなセクシーボディが特徴。
名前の由来は鏡のミラーと影や薄闇を意味するシェイド(Shade)から。
嘘月(うそつき)
18歳(39歳)身長160cm。48㎏。B91・W58・H85
グレイブが通う店に入った、艶やかな黒髪と白い肌が特徴の新人。
名前の由来は嘘つき。