機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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第4章-18 綻び

 オーブ 某ホテル。

「……」

 盗聴・盗撮対策が徹底的された一室でオーブを訪れた旅行客ルーナ・ラグブッド──その正体であるソニファー・リーブランは一通の手紙を読んでいた。

 一見すれば、どこにでもある日常の便り。

 しかしその実態は、各地で諜報活動を行う部下たちからの報告書だった。

「……」

(ソニファーは一挙一動が絵になるなぁ~)

 真剣な顔で手紙を読むソニファーを、レオン・キャリバーを演じるソド・パーンはジッと見つめていた。

「ふぅ」

 ソニファーは読み終えた手紙をソドに手渡す。

「……」

 読んだ後、ソドは額を抑える。

「暗号の解読方法忘れた……」

「……お前という男は期待を裏切らないな」

 そうなると予想していたのだろう。ソニファーは用済みになった手紙を処分すると、自分たちしか聞こえない音量で説明をする。

「コンパスの活動が凍結したことで、世界情勢はさらに混乱している。そこで私が気になっているのが──サルパ王国」

「サルパ王国?」

 サルパ王国は赤道連合でも下から数えた方が早い弱小国。ソドがピンッとこないのは無理もなかった。

「サルパはファウンデーションがユーラシア連邦から独立する前から今に至るまで関係を保っている国だ。その国が軍港のあるオール基地に戦力を移動させているらしい」

「……このご時世だ。どっかの国が戦力を移動させることはおかしいことじゃないだろう?」

「もしサルパがオーブを攻めるとすれば、オール基地から出航する」

 

 オーブ。

 

 それは、ファウンデーションへの反撃の起点になるとソニファーが何度も言っていた国。その国の名前が出たことに、ソドは驚きを隠せなかった。

「ま、待て! オーブは地球連合やザフトが一目置く強国だぞ!? そんな国に赤道連合の小国が(かな)う訳ないだろう!?」

「確かにサルパとオーブは国力差、兵の質量……何もかもが違う。両者だけでやり合えば奇跡でも起きない限り100%サルパが負けるだろう」

「だったら……サルパがオーブを攻めるなんて」

「サルパとファウンデーションは友好国だ。そしてサルパ王国国王ナハル・サミール三世は臆病な性格だ。

 わざわざ自国を核で焼き払うことをしたファウンデーションだ。何か(・・)を見せて従わせたとしても不思議じゃない」

 ソニファーは淡々と続ける。

「『オーブを攻めなければ、その切り札をサルパに向ける』──そう脅されて」

「……」

 その場で見たかのように語るソニファーにソドは口を開けたまま固まる。

「もちろん、これは私の想像。だがもしそうなればオーブはファウンデーションだけでなくサルパにも気を配る必要が出てくる。それはブルーコスモス(こちら)としても都合が悪い。だからサルパに情報網を集中させる」

 こうしてソニファーはサルパ王国に情報網を重点的に張り巡らせた。

 このソニファーの想像(・・)が、これまでスサが緻密に積み上げてきた策略を崩す(ほころ)びになるとは──この時、誰も知る由もなかった。

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