機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
ヒューズがミレイユの命令だと偽ってガルガリンを出る数時間前。
オーブ 某ホテル
ソニファーは、レオンの恋人ルーナとしての写真だけでなく、学生や写真家などいくつもの偽装身分で撮影したガルガリンとその搭乗員たちの写真を机いっぱいに広げていた。
机の端には、望遠レンズを装着したプロ仕様の一眼レフ。
軍港の展望エリアから撮影したガルガリンの遠景写真が並んでいる。
損傷箇所、修復の進み具合……。
どれも高倍率のレンズでなければ撮れないものだ。
「……複雑なものだな」
思わず独り言が漏れる。
(ヒートたちが命をかけてまで撃沈しようとした軍艦が、沈まなくてよかったと願う日が来るとは……)
ソニファーは写真を一枚ずつ指で滑らせ、次に机の中央に置かれた別の写真群へ視線を移した。
そこには、ペン型カメラやイヤリング型カメラで撮影した近距離の人物写真が並んでいる。
(上陸禁止令が出ている以上、搭乗員の大半は艦から出られない。だが──例外はいる)
ガルガリンでは現在、艦長の許可を得た者だけが外出を許されている。
物資調達、医療処置、艦務連絡など理由は限られているが、外に出る者は確かに存在した。
ソニファーは、その
軍港の外側には観光客も歩ける通路があり、外出許可を得た搭乗員はそこを通って移動する。
ソニファーは観光客に偽装し、すれ違いざまに隠しカメラで彼らの表情や動きを記録していた。
(ここ数日のガルガリンの出入りを見る限り、外に出ているのは特定の数名だけ……これは情報漏えいを防ぐための措置だと考えるべきだな)
写真には疲れ切った顔の整備兵、医療班の女性が映し出されていた。
「さて、これをどう渡すか……」
ソニファーは胸ポケットに入れた、学生に変装してカフェで書いた封筒に入れた手紙を出しながら思案した。
その手紙はガルガリン艦長エリオス・テイラーと直接が話がしたい旨が書かれた内容だった。
ソニファーは考える。
オーブ軍の士官か。
港湾管理局の職員か。
それとも、ガルガリンの搭乗員の誰かか。
(……だが、誰に渡すにしてもエリオス・テイラーが確実に届く者でなければ意味がない。
もちろんエリオス・テイラー本人に渡せれば問題ないが……ガルガリンに忍び込んで渡すなどその後無事に脱出しなければならないことを考えれば悪手も悪手。
通信などしようものならエリオス・テイラーと会う前に私が捕まる可能性がある)
「さて、どうしたものか……」
部屋で考えても埒が明かない。そう考えたソニファーはギャル風の衣装に着替えるとホテルを後にした。