機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH   作:筆先文十郎

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デキフサ・ザケルフ
58歳。男。ナチュラル。軍曹。ガルガリンの清掃員。

ルナ―ヴァ・テイラーは元上司。



第4章-24 デキフサ・ザケルフ

 ガルガリン 廊下。

 くたびれた作業服に軍曹の階級章をつけた、腰の曲がった白髪の老人がモップ掛けをしていた。

 

 デキフサ・ザケルフ。

 

 ガルガリンの清掃員である。

 年齢は五十代後半。ガルガリンでは珍しい年齢層で、動きはどうしても若い乗員より遅い。だがその分、彼の歩んできた年月は重く艦内では相談役として妙に慕われていた。若い乗員たちは彼を見かけるとつい声をかけてしまう。

「ザケルフさん、おはようございます!」

「あぁ、おはよう」

「ザケルフさん、今日は調子はどうですか?」

「あぁ、今日は調子はいいぞ」

 すれ違う乗員が次々と声をかけていく。ザケルフはそのたびに顔を上げ、皺だらけの目元を細めて返事をする。その柔らかい空気は、戦艦の無機質な廊下にほんの少しだけ温かさを与えていた。

「ザケルフさん」

 そんなザケルフの前に若い警備兵ヘイルが小走りで近づいてきた。

 息を整えながらも、どこか落ち着かない表情をしている。

「おぉ、ヘイルじゃないか! 何かあったか?」

 声をかけられたヘイルは、一瞬だけ目を泳がせた。

 ザケルフは仕事が遅い。艦長がそれを問題視しているのでは、と嫌な予感が胸をかすめる。しかし伝令としての責務がそれを押しとどめた。

「あ、いえ……」

 ヘイルは小さく息を飲み、覚悟を決めるように言葉を続けた。

「……か、艦長がお呼びです」

 ザケルフはモップを壁に立てかけ、腰を伸ばすとゆっくりと頷いた。

「ほう、艦長が。分かった、すぐに行こう」

 

 

 

 ガルガリン 艦長室。

 ノックをして入室すると、部屋の主であるエリオス・テイラーが書類から顔を上げた。

 ザケルフは深く頭を下げ、老人らしい落ち着いた声で言う。

「艦長、この老人にいかなるご用向きですかな?」

 エリオスは椅子に座ったまま、静かにザケルフを見つめた。

 その視線はただの清掃員を見るものではない。この男が何者か(・・・・・・・)を知っている者の目だ。

「ザケルフ。お前に探し物を頼みたい」

「ほお、その探し物とはどのようなものですかな?」

「キラ・ヤマト」

 その名が出た瞬間、ザケルフの眼光が鋭く光った。

 曲がっていた腰がピーンと伸び、皴だらけに見えた顔は表情が変わっただけで驚くほど若々しい印象へと変わった。

 好々爺の温かな目は消え、そこにあるのは任務を前にした仕事人(・・・)の目だった。

「正確に言えばキラ・ヤマトを始めとするコンパスの主要メンバーの生存の確認。出来るか?」

 ザケルフは静かに首を振った。

「艦長、質問が違いますな」

 先ほどまでの老人の口調ではない。

 鋭く、無駄のない、訓練された声。

「正しくは『いつまでに分かるか?』です。その答えは三日……いえ、二日で充分です」

 エリオスは思わず苦笑した。

「それは失礼した。では早速だが取り掛かってくれ」

「かしこまりました」

 ザケルフは一礼し、艦長室を後にした。

 扉が閉まると同時に彼の気配はふっと薄れ、廊下に出た頃にはただの清掃員(・・・・・・)の姿に戻っていた。

 だがそのままモップの元へ戻ることはない。

 ザケルフは誰にも悟られることなくガルガリンを降り、次の瞬間には艦内から完全に姿を消していた。




????・????
35歳。男。ナチュラル。
情報部に所属し、ミランダ・シェイドは直属の上司に当たる。
表情筋を極限まで鍛えており、老人のような皴だらけの顔から若者のように引き締まった顔など自在に操る。

現在はガルガリンの乗員として任務に従事している。

参考キャラは幽☆遊☆白書の玄海(美女⇔老婆)と名探偵コナン「そして人魚はいなくなった」に登場した島袋君恵(ネタバレになるので伏せます)。
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