機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
「ねえ、クーちゃん」
「どったの、スーちゃん?」
コンパス志願を決意したクレアはボブカットの親友、ステア・スノーに声をかけられていた。
「あ、あの……その……」
クリッとした目で自身を見るクレアに聞いてもいいのか迷ったステアだったが、聞かないと前に進まないと考えて思っていたことを口にする。
「く、クーちゃん。……コンパスに志願したって、本当? あ、あの……パットン少佐が志願したっていう……」
「うん!」
キラキラというエフェクトがつきそうな満面の笑みで答える親友にステアは困惑する。
「え、えっと……パットン少佐って……アレだよ。あの……『死神』って呼ばれている……」
死神。
ミレイユと共に戦場を戦った者の多くが命を落としていることからつけられた
「え、死神? そんなのどうでもいいわよ。パットン少佐と一緒に戦えるなら地獄でも悪魔の下でもどこだっていいわよ!」
(あー、『
親友にドン引きしながらステアは再び尋ねる。
「く、クーちゃんにとってパットン少佐って憧れというか、崇拝レベルなんだ……ところでクーちゃんってセレーナ・ハーベスト大佐ってどう思っているの? ハーベスト大佐は美人でスタイル良くて、指揮もMSの腕も凄くて。それだけ出来るのに他人をバカにしない人格的にも優れたまさに完璧美女って感じがするけど?」
「はぁ? ソニファー・リーブラン? ……誰それ?」
「いや! 私が聞きたいよ!」
興奮しながらセレーナの方が魅力的ではないかと説明した自分に聞いたことのない人物を嫌そうな顔で尋ねられ、ステアは瞬間的に突っ込む。
「うん、コホン……」
軽い
「ソニファー・リーブランじゃなくてセレーナ・ハーベストだよ。ほら、これがハーベスト大佐の写真」
大事にしているのか、胸ポケットから取り出した写真をクレアに手渡す。
「……」
タコやナマコを始めて見る外国人のように後ずさるクレアに「あ、あれ?」とステアは困惑する。
「ど、どうしたの……クーちゃん?」
「い、いや……こんなのに魅力を感じるスーちゃんにマジでドン引きなんだけど……」
「いや、だって……こんな『完璧にどんなことでも出来ます』って顔しているコイツ、絶対しょうもないことに悩んでさ、すーごい悪い奴の言葉にそそのかされてそいつのいいように扱わるよ。そんでもって『あの時の判断は間違いだった……』と後悔しても今ある場所で出来た仲間を裏切ることが出来ず、間違った場所で誤った道を歩む自分を誰かに止めてもらうことを望む残念な生き方をする顔をしているよ……そんな奴の写真を大事そうに持っているスーちゃんの感覚が理解できないんだけど……」
「……」
自分の
【死神と
ブルーコスモスが潜伏している秘密基地の一つで、ジャンヌはお茶とお菓子を持ってソニファーの部屋を訪れてオーブ・プラント・大西洋連邦によって結成された新たな敵戦力、コンパスについて話し合っていた。
「そういえば少佐は大西洋連邦でコンパスに出向したガルガリンのミレイユ・パットンの異名って知ってます?」
「……」
ミレイユ・パットン。
その言葉に目元を黒い炎を
ジャンヌはミレイユについて今すぐにでも言いたいのか、ソニファーの様子に気づくことなく口を開く。
「『死神』……ですって。何でもそいつと一緒に戦場に出た多くが戦死していることからつけられた二つ名とか。そんな人間と一緒に戦うことになるコンパスの奴らが可哀そうですよね! キャハハハハッ!」
腹を抱えて嘲笑するジャンヌに、ソニファーはポツリと漏らした。
「彼女が死神なら……ミケールの下で
「え? 少佐……何かおっしゃいました?」
「あら、何か聞こえたのかしら?」
「あ、いえ……」
香りを楽しみながら紅茶を飲むソニファーに、ジャンヌは気のせいかとクッキーに手を伸ばした。
裏話
筆者の親友にしてもう一人の作者、柊竜真がQ「クレアはエスパーか?」に聞かれた答え。
A「本当に聞き間違いです」