機動戦士ガンダムSEED FREEDOM AMBUSH 作:筆先文十郎
カイドリア。
穏やかな海と豊富な漁獲量で栄えてきた港町である。その賑やかな港町の平和な日常は突然の内に破壊されることになった。
PM10:27カイドリア地区
突然のブルーコスモスの襲来に建物は破壊され人々は逃げまどっていた。
昨日起きたオルドリン自治区襲撃の後処理のため、カイドリア正規軍がオルドリンへ向かい手薄になった時を見計らっての襲撃だった。
それはすぐさまコンパスに伝わり、近くにいたコンパス所属の戦艦、アークエンジェル級戦艦ガルガリンに伝えられた。
カイドリア沖 ガルガリン格納庫
『母艦は不明。おそらくはモビルスーツ部隊だけの襲撃と考えられる』
『またかよ!』、『あいつら、性懲りもなく!』、『ふざけている!』
副長の状況説明を聞いて怒りを露わにする部下たちの言葉を、ガルガリン所属モビルスーツ部隊パットン隊隊長、ミレイユ・パットンは愛機の中で聞いていた。そうこうする内にオペレーターから出撃の合図が出る。
〈システムオールグリーン。ジム、発進どうぞ〉
〈クレア・バートン。ジムで行くよ~! 〉、〈……イーサ・ゼイデューク。ジム、行きます〉、〈カーチス・クラウド。ジム、出ます! 〉
オーブ、プラントと共同で作られたウィンダムに代わる次期モビルスーツ、ジムヴィグロリーが母艦から発進していくのをミレイユは見守る。
そして
〈続いてサンライズ、発進どうぞ〉
「サンライズ。ミレイユ・パットン、行きます!」
先に出た隊員に続くようにミレイユは愛機、サンライズガンダムを発進させるとすぐさま戦闘機形態に変形させた。
四機が街に着くと辺りには夜にも関わらず黒煙が見えるほど地上を明るくする大火に包まれていた。
当たり前と思われた日常から突然、破壊と混乱が付きまとう戦場と化し、各地からあがる爆音に人々は逃げ惑う。
逃げ惑う人々を、アリを踏みつぶそうとする残酷な子どものようにダガーがビームや砲弾を撒き散らしながら迫る。
(なんてことを!)
サンライズをモビルスーツ形態にしたミレイユは、歯を喰いしばり街を破壊するモビルスーツ達を睨みつける。がすぐに冷静に呼びかける。
「こちらは平和監視機構コンパス。攻撃部隊に告ぐ。ただちに戦闘を停止せよ。繰り返す。こちら……クッ!」
ブルーコスモスからの返答、ビームと砲弾の弾幕にミレイユは盾を構えながら後退する。
〈隊長! あんな奴らに勧告なんてせずにぶっ壊してしまえばいいですよ! 〉、〈……バートン中尉。我々が平和監視機構コンパスの一員だと理解しています?〉、〈ちょ、敵を前に何をそんな余裕なんです!? ウワッ!!〉。
烈火の
「仕方がないか……」
「クレアは私と共に街に侵攻する敵モビルスーツを排除。イーサは援護。カーチスは市民の避難誘導を!」
〈わーい、隊長と一緒! 〉、〈……わかりました。イーサ・ゼイデューク、援護します〉、〈りょ、了解しました! 〉
ミレイユの命令に隊員達はすぐさま行動に移る。盾を構えながら被弾を最小限にしながら間合いを詰めるミレイユに、クレアは敵の攻撃をギリギリで回避しながら流れるように抜いたビームサーベルでモビルスーツを切り捨てる。
数の差を恐れず自分達に突っ込むミレイユとクレアに一瞬怯んだものの攻撃しようとするモビルスーツをイーサのビームライフルが撃ち抜く。
その間にカーチスが市民に「こちらに避難してください!」と呼びかけながらミレイユ達の援護射撃を行う。
十数分後。
ミレイユ達はカイドリアに侵攻してきたモビルスーツ部隊を一機も残すことなく駆逐した。
「よし、では──」
危険が排除されたと判断したミレイユが手分けをして情報収集と警戒を部下達に命令しようとした、その時だった。
〈パットン少佐! パットン少佐!〉
ガルガリンのオペレーターの切羽詰まった声にミレイユを始めとするパイロットに緊張感が走る。
〈ガルガリンがブルーコスモスと思われる集団に攻撃を受けております。ヒイラー大尉のヒイラー隊が迎撃して何とか持ちこたえている状況です。すぐにガルガリンに引き返して下さい!〉
「わかった、すぐに戻る!」
今にも泣きそうなオペレーターの訴えにミレイユは命令を出す。
「イーサ、カーチス。二人は後処理と第二派の襲撃やテロに備えてこの場で待機。クレアは私とともにガルガリンに戻れ。行くぞ!」
二機のジムを残し、ミレイユはクレアのジムヴィグロリーを連れて空に上昇。モビルアーマー形態に変形すると一気にバーニアを噴かせた。