果ての国の終わらない雨が止んでから数年が経った、雨が止んでも未だ穢れはあるし穢者も居るけど、
それでも、あの頃よりは平和で楽しい日々を輝かしい太陽の下で私は皆と暮らしていた、そんなある日のこと。
今も救いを求める穢者を探して救済するために、大陸の東にある果ての国の中でも更に東の海岸に来てみたら始めてみる服装の人達を遠目に見つけた。
「ねえフェリン、あの人達はどこから来たと思う?」
私、リリィは見慣れない格好をした人達、つまり外の国の人を目にしていた。
その近くには船なのかどうかもよく分からない、一番上と長く伸びた後部に十字の形をしたものが付いた乗り物みたいなのがある。
ちなみに、あっちは未だ私達には気付いてないみたい。
「分からない、彼らの言葉を聞く限り、少なくとも我々古き民でも、この大陸にある他の国の者でもないだろう。」
そう答えるのは黒衣の騎士ことフェリン、私が目覚めてからずっと一緒に冒険をしてきた頼れる仲間にして、私の高祖父でもある。
そんなフェリンでも彼らのことは、聞き覚えのない言葉だからこの大陸の人じゃないことしか分からないみたい。
「う〜ん、今日はフェリンしか連れてこなかったけどユリウスとかイェレンとかファーデンも一緒の方が良かったかも、三人とも果ての国でも偉かったから、他の国の言葉にも詳しそう。」
「そうだな、後で聞いてみようか。」
でも困った、あの人達が何で来たのか分からないとどう接していいかも分かんないな。
そうして、二人で分かんない分かんない言っていると、その"緑の地に斑模様"の服装をした人達が海岸沿いの森に入っていっちゃった。
「どうするリリィ、このままだと彼らは行ってしまうが付いていくか?それとも、最初の目的のとおり穢者を探すか?」
「付いていこう、このままだと穢者と出会って取り返しがつかなくなるかもだからね。」
穢者に襲われると穢れが伝染して、襲われた人も穢者になっちゃうから気を付けないといけない。
「それでは後ろからひっそりと付いて行こうか。」
そして視点は変わって見慣れない服装の人達改め、日本国自衛隊の皆さん。
彼らはつい先週、日本を支える大動脈にして心臓たる東京のすぐ目の前の東京湾に、海面から約20メートルを底辺としておよそ半径100メートル円形のポータルのようなものが突如として出現。
そのポータルには東京湾とは少し色の違う海と、そのすぐ向こうに何処かの海岸と森林が映っており、一先ずドローンで通り抜けさせたところGPSが機能しないことから、地球ではないと判断された。
出現した当時の一般人は呑気に、なにあれ面白そう、行ってみたいな、そんな風にわいわいしていたが、各国上層部は大騒ぎとなっていた。
先ず、未知の領域には未知の病気がつきものである、そんな未知の領域が日本の心臓部の直ぐ目の前にある。
下手なことをすれば、そのままパンデミックで日本の機能が麻痺し、全世界に感染が拡大する可能性もある。
だが、様々な既知未知を問わない資源があることも想定された。
完全に封鎖して放置する手はない、ということでポータルの直ぐ目の前に日本が船を常駐させて、ポータルの方から何か来ないか監視しつつ向こうに人員を送って拠点を作成、暫く現地を調べつつ病気の類にならないか確認するということになった。
世界各地は日本に注視しつつ、即座に投資及び政治的介入等ができるよう体制を整えることとした。
日本及び自衛隊が鉱山のカナリアやリトマス試験紙などと言ってはいけない、その分立地も相まって日本が一番に利益を得られることになっており送られた自衛隊員も終わり次第、昇格とボーナスが確定している。
そして、ドローンによる地形の把握をして、危険な生物が少なくとも海岸にはいないことを確認したうえで、ヘリコプターによってついに送られたのがこの人達だった。
『さて予め取り決めておいたが、何かあれば些細なことでも即座に周りに伝えろ、ここは未知の領域だから何があるか分からない少なくとも拠点が作れるかは調べるんだ。』
『隊長ここ寒いですね、ドローンによる上からの撮影じゃ分からなかったですが、森の中にはかなり雪が積もっています。』
『かなり鬱蒼としていて、少なくとも人の手が入っている可能性はなさそうですね、少なくともパターンCやDの可能性な低くなったでしょう。』
尚、このポータルの向こうの異世界がどのような世界か、少なくとも上陸地点付近においては、と様々な想定を行っており、
パターンAが中型動物等の真正面から危害を加える可能性のある生命が存在しない、
Bが中型動物以上が存在し危害を加える可能性があるが、知的生命体が存在しない、
Cが知的生命体が存在するが、少なくとも国と言っていい程の高度な文明は存在しない、
Dが知的生命体が少なくとも国と言っていい程の高度な文明を築いている。
この辺の基準は開拓のし易さに繋がる危険生物の有無と、原住民への存在に終始していると言っていい、何故なら病気等の一目では分からない脅威の判明には時間がかかるからだ。
『判断が早いと思うぞ、普段は来ないだけでここに来る知的生命体が居る可能性もまだ残ってる。』
そのように話しながらも、警戒はしつつ探索を進めていく。
「何か、探しに来たのかな?キョロキョロしてるね。」
キョロキョロしつつも、足取りはかなり確りとしているのが何か気になる。
「ふむ、どうやら彼らはここの探索に来たようだな、それも単なる探検家等ではなく、かなり組織だった行動に見える。」
「もしかして、ここの開拓をしようとしているとか?」
「最悪、数十年前と同じことが起こる可能性もある。」
フェリンの言ったのはあんまり考えたくない想定だね。
果ての国は元々、数十年前に海を越えて大陸の西からやってきた人達がフェリン達古き民を滅ぼして、古き民の土地だった大陸の土地を六つに分割して作りあげた国の一つだから。
フェリンはそこまでではないようだけど、古き民は皆西から来た人達を憎悪して、巡り巡って果ての国を滅ぼしたけど、だからと言って今この大陸に生きている人達が滅ぼされていいわけないよね。
「まあ未だ、彼らが本当にそうしようと考えているとも限らないから、可能性の一つとして覚えておくだけにしよう。」
「そうだね、未だ見ているだけでいいよね。」
そう言いながらまたあの人達の方を見ると、その奥に大きな影が見えた。
「もしかして?…!不味いよフェリン!あそこに穢者が居るよ!」
二人で話していたら不味いことになった、あの人達の奥に他の動物と融合して大きくなった穢者を見つけちゃった。
そこで、駆け出そうとするとフェリンに肩を掴まれて止められる。
「いや、少し様子を見よう、彼らも未開の地に来るのに無防備だとも思えない、彼らの目的も分からない以上、助けるのは危なくなってからでもいいはずだ。」
え、助けないの?でも…フェリンの言うことも間違いではない、かな?
「う〜ん、分かったけど危ないと思ったらすぐ行くからね。」
「勿論だ。」
そして、リリィ達が気付いた約十秒後に自衛隊員達も、その熊かと思う程のでっぷりとした巨体に大きな鉤爪を持った生物に気付く。
『何だこいつ!どう見たって友好的には見えないな!』
『隊長!発砲の許可はどうされますか!』
爪を振り上げて明らかにこちらに敵意を抱いているその生物に自衛隊員達はにわかに騒ぎ出す。
『いや駄目だ、未だ被害も無い以上、ここで発砲したら後で問題になる可能性がある、総員あれから目を離さずに退却せよ。』
『了解!』
その言葉と共に、先ほど来た道を戻ろうとするがその生物が動きは遅いものの、追いかける。
『対象が追ってきます!』
『落ち着け、こちらの方が速い以上追いつかれることはない。』
そんな風にして、自衛隊は撤退を始める。
危険生物が居るかどうかを調べるために来たため、戦いを避けて来た方向を戻る、ちょうど二人の原住民が付いてきた方へ。
戦い方等を観察しようと後ろから見ていた二人は、急に反転してきた彼らが向かってきたため慌てだす。
「え!戦わないの!?それにこっちに向かってくる。」
「予想が外れてしまったな、流石に覚悟を決めるしかないか。」
二人がそんなことを言い終わるくらいに、自衛隊員の一人も気付く。
『!?前方に人間と思わしき者を二名発見!この地の原住民と思われます!』
何故思わしきなのか、それは全身を鎧に包んでいるフェリンは兎も角、リリィの容姿が地球の人間と明らかに違うのが理由だが、ここでは置いておく。
『不味い、このままでは我々は逃げることができても、あちらにあの生物を擦りつけてしまう。』
「彼らは何を言っているのだろうか?」
「慌ててるっぽい?それより…行くよ!」
そして、口々に『逃げてくれ』との声がかかるが二人には日本語が分からないので理解できない。
『やはり、言葉が伝わらないか、それに引いてくれそうにない、仕方ない!責任は私が、っ!?』
隊長がそこまで言ったところで、フェリンが剣を構え駆け出して「奥義!」リリィによる古代呪術の力を借りて一閃とともに穢者に解き放つ。
幾重にもなる斬撃を。
『何が、起きたんだ…』
そう、自衛隊員の誰かが呟いた。
そう溢すのも当然だ、一瞬で目の前の怪物が数え切れない程の斬撃によって数多の深い裂傷を負って崩れ落ちたのだから。
「リリィ、頼んだ。」
「うん。」
フェリンに声をかけられたけど、これくらいなら何もしないでも終わるよ。
「今、解放してあげる。」
そうして私達が何度も見てきた通り、穢者のに力と凶暴化を与えてきた穢れが私の中に流れ込んで、穢者は白くなって"救済"される。
今まで、何度も見てきたこの下りだけどこの人達には何をやっているのか分からなかったみたい。
『隊長、あの金属で作られた全身鎧を見る限りDと思われますが、対応は如何なさいますか?』
『少なくとも、我々を助けるために出て来たことは確かだろう、ここは友好的と判断する。』
あの人達が相談か何かを話しているようだけど、私達も相談しないと「勢いで出ちゃったけど、どうしよう?」「そうだな、こうなってしまった以上挨拶をするのはどうだろうか?少なくともこちらに話す意思があること位は伝わるだろう。」うん、そうしよう。
「こんにちは、私はリリィこの国の白巫女です。」
これが後世に伝わる、果ての国と日本の邂逅だった。
この作品は特に完結を目指さないので、投稿は気分次第です。
リリィの口調は原作では、話さないし話せないので想像です。
設定としては喋り方を知らなかっただけということにします。
自衛隊が降り立った東の海岸は、資料集であったルートAの没絵ですね。
どうやら果ての国は西からやってきた侵略者達から見て果て、すなわち東端のようです。