貫くものは、俺の意志
《.hack//G.U. vol2境界のMMO(著:浜崎達也) より》
天井に青空を映した地下空間で、病的に肌の白い少年が両膝に手をつき、肩で息をしている。対面する縞模様の帽子と下駄が目立つ男は、扇子を開いてカラカラ笑っていた。
「落ち着きましたか?ウルキオラさん」
「……どうにか……それより説明しろ。何故そいつを殺した。事と次第によっては、護廷十三隊から誅罰されるぞ」
顔を上げたウルキオラは、無造作に転がる檜佐木修兵だったものを指差す。
「ああ、御心配には及びません。これ、檜佐木さんではありませんから」
「…………は?」
パチン、と扇子を閉じて答えた浦原に、ウルキオラは怪訝な顔をした。浦原は閉じた扇子で、檜佐木修兵だったものを指して続ける。
「恐らくですが、檜佐木さんの人格と能力を基にした
「………………はぁ!?
展開が早過ぎる。流石に理解の追いついていないウルキオラを、まあまあ、と宥めながら浦原が説明する事には。
死神が使用する
「あくまでアタシの予測ですが……九条さんの仰る"アイツ"とは、この隊長格を模した霊骸を作った人物……ですね?」
質問というよりも、確認のような声音で浦原に問われた望実は、苦い顔をして頷いた。
「……浦原、もう一つ訊きたいんだが」
「はい、何でしょう?」
無理に望実を詰問する流れになるのは良くなさそうだ、と判断したウルキオラは、割り込む形で話を変える。
「お前は先程、"瀞霊廷と先日から連絡が付かない"と言ったな。それは何時からだ?少なくとも一週間前には、グリムジョーが宴会用のぐい呑みを納品しに行っている。奴の
「何で今、自分で自分の傷抉ったんスか」
どんどんウルキオラの声が尻窄みになっていったのを、浦原は苦笑いして指摘した。自分の言葉で、友であったヤミーの最期を思い出し、彼が霊圧感知を極端に苦手としていたことも連鎖的に思い出して勝手にナーバスになったウルキオラは、心なしか少し背中を丸めている。
浦原は特にフォローもせず———と言っても、そもそもがウルキオラの自爆であるが———フォローする理由もないのでそのまま答えた。
「タイミングとしては、本当に二、三日前です。それまでは一応、藍染の一件での事後処理や現場回復後の経過観察の関係でやり取りがあったのですが……」
浦原が閉じた扇子の先端で帽子を押し上げる。何故このタイミングなのかまでは、浦原にもイマイチ理由はわかっていなかった。その疑問に答えたのは、望実。
「
ウルキオラと浦原、そしてコンと雨にジン太までもが、一斉に望実へ視線を向ける。望実は少しだけ目を伏せて、伝わる情報の齟齬が出ないようゆっくりと、頭の中で言葉を組み立てた。
「本当は現世と
「……だから、予定を後ろ倒しにした結果、アナタの逃亡を許した……ですかね」
つまり、望実が今こうして逃げおおせたのは、敵を悪戯に増やさない為のリスケジュールの結果、回り回って向こうにとって望まない結果が起きてしまったから、という事らしい。成る程、と浦原は納得して頷いた。
「では、そろそろお答え頂きましょうか。アイツとは一体誰なのか」
扇子を開いて口元を隠した浦原が改めて問う。
望実は白襦袢の撓んだ布地を握り締め、極力感情を押し殺した声で答えた。
「因幡影狼佐。十二番隊七席で、断界研究科課長の、影狼佐だよ」
帽子の影で暗くなった目元を険しくする浦原と対照的に、護廷十三隊の人事に明るく無いウルキオラは、誰だそれは、と小首を傾げた。
『だっははははは!!』
無数のモニターが稼働する部屋に、低めのコントラルトの笑い声が反響する。一番大きなモニターの前に座布団を敷いて座る少年、ウルキオラは不服そうに頬杖をついた。
「笑い過ぎだ、ハリベル」
『いやだって……っ、お前何でそんなドンピシャで貧乏クジ引いちゃったの……ぶふっ』
「殺す……帰ったら真っ先に貴様の仮面を割る……!」
『やれるものならやってみたらぁ?』
『ティア。あまり子供を揶揄うものではないぞ』
「子供扱いするな!!」
ウルキオラは思わずモニターに飛びかかりそうな勢いで身体を前に傾けた。モニターに映る褐色肌に金髪の女、
閑話休題。
『ま、事情は概ね把握した。此方としても、護廷十三隊の謀反及び、それに起因する内乱の早期解決は望むべくところだが……』
「何だ。何か問題があるのか」
怪訝そうに眉を片方吊り上げるウルキオラに、ハリベルはグラスに注いだサイダーに口をつけながら返した。
『浦原喜助と当の護廷十三隊には悪いが今回の件、
「は!?何でだ!協定を結んだ相手の窮地だろう。助けの手を出すべきではないのか?」
ウルキオラの当然の問いかけに、ハリベルは難しそうな顔で眉間に皺を寄せる。
『私としてもそうしたいのは山々なのだがな。あくまで
「無かったら何だというんだ」
『下手な動きを見せれば、内政干渉だの侵略だの、言われる必要の無い言いがかりをつけられて、和平協定の取り消し命令が下される恐れが否定できない。この懸念に関しては、リサから同感を貰っている』
「……信用無さ過ぎだろ。四十六室」
『クソ頭難い連中らしいからな。そんなわけで、流石にそこまでのリスクを現時点では負うことはできない。だもんで、私の判断で出来るのは精々、お前の行動の全てに制限を掛けないくらいのものだ。お前がこの件に関して何をして、どう行動しようと私は咎めないし止めもしない。その代わり、それによって生じる凡ゆる責任の一切は、
「……まあ、それくらいは承知の上だが。訳を知った以上は、全て忘れて関わらない等という無責任な真似は、誰も出来ん」
当然だろう、という態度を露わにするウルキオラに、ハリベルは仮面の下で微笑を浮かべる。
ああ、全く。本当に何があれば、あのウルキオラがここまで変わるのか。
『……ならいいさ。とはいえ、もし此方から手を出す隙が出来そうなら、その時は遠慮無く首を突っ込ませて貰うがな…………ウルキオラ』
「何だ」
『……悔いの無いように、選ぶべきものを選べよ』
どういう意味だ、とウルキオラが訊き返すよりも先に、通信が切れた。
「……何だよアイツ……選ぶべきって、そんな事俺だってわかってる」
大きな溜め息を吐き出して、ウルキオラは後ろに両手をつき配線だらけの天井を見上げる。
「俺達に道を示してくれる藍染様は、もう居ないんだ。俺は、俺自身で道を選んで進むしか無い」
ウルキオラの独り言を聞いていたのは、モニターの電源を落としに来た浦原だけだった。
一方、
「ありがとな、メノリ。もう下がってくれて構わない」
「はいはーい」
グラスに残ったサイダーを飲み干したハリベルは、モニターの側で各種調整を行っていたメノリに労いをかける。メノリはモニターの配線を片付けながら、機嫌の良さそうに鼻歌を歌っていた。
「やー、通信遅延とか起きなくてよかったよかった。技術自体は死神の二番煎じだけど、
「上手くいって嬉しいのはいいけど、この売れないヘヴィメタバンドみたいなデザインセンス、どうにかなんなかったの……?」
霊波通信装置の本体側の配線を外しながら、メノリに手伝いとして駆り出されていたロリが、げんなりした様子で口を挟む。その目線の先にあるモニターの枠は、髑髏や人骨を模した装飾で飾り付けられていた。
「いいじゃない、髑髏。イカしてるでしょ?大体センスで言うなら、死神側も似たようなものじゃない。むしろ有機的な分あっちの方がグロテスクだよ」
「五十歩百歩って言葉知ってる?」
ブハッ、とハリベルとアメミトが噴き出す。ここ数ヶ月、この義姉妹の関係性は大きく逆転していた。つまり強引で自分勝手な性格でロリがメノリを振り回し引き摺り回していたのが、並外れた知的好奇心と向上心の激走でメノリがロリをコキ使い振り回す関係へ。ハリベル政権以前の二人が今の自分達を見たら、さぞ目を剥いて驚く事だろう。
「機能面で問題が無いなら、私としては別に自由にしてもらって構わない。それより、護廷十三隊は何というか……暇なのか?」
「人事担当の目が節穴の可能性もあるな」
アメミトは布団に滑り込むようにハリベルの膝元に近付いて、そのまましゃがみ込むと頭をハリベルの太腿の上に預けた。ハリベルは特に気にしない様子で、そのプラチナブロンドを慣れた手つきで撫でる。
これ見よがしにイチャイチャするなよ。する事無いなら仕事しろ。ロリは怒りのあまり手にした配線を握り潰しかけたが、その内心を声に出す勇気は無かった。勝ち目が無いので。
(まあ、念の為———)
左手でアメミトを撫でながら、ハリベルは右手で伝令神機を操作して何処かに一報を入れた。
翌日。
浦原商店の店舗裏の庭で、食欲を促す匂いを漂わせながら煙が昇っていた。
「さて皆様、そろそろ焼けますぞ」
トングを両手に持った鉄裁が呼びかける。目の前には火の着いた炭を流し、ステンレスの網を被せたコンロ。その上には、火が通って茶色く変色し、網目模様の焼き目が香ばしくついた肉がズラリと並んでいた。浦原の指示で、朝から鉄裁がスーパーで大量に買い込んだ牛肉のパックが、コンロ横の折りたたみ式テーブルの上にジェンガの様に堆く積み上げられていた。
紙製の器と割り箸を手にした少年が二人、目を輝かせて歓声を上げる。
「ヘッヘヘーン!この肉全部オレのー!」
「は!?巫山戯るなよ貴様!それ俺のカルビ!!」
「ああん!?知るかよバーカ!バーベキューは戦争!早い者勝ち!食えなかったらトロトロやってるオメーが悪い!!」
「この餓鬼ィ!!!」
焼き上がった肉の取り合いで騒ぎ立てるウルキオラとジン太を眺めていた浦原は、自分はちゃっかり必要な分だけ肉を回収して、しみじみ思う。争いは同じレベルの者同士でしか発生しないってこういう事っスよね、と。
「お二人共、肉ばかりでなく野菜も食べねばなりませんよ。ほら、茄子とピーマンと南瓜も焼けておりますので」
「いらねー!!」
「無論野菜も食うが先に肉だ。この我儘坊主に食い尽くされる訳にはいかん」
「何だかんだでウルキオラさん、そういうところきちんとしていらっしゃいますよねぇ。量は全くきちんとしていませんが」
「一言余計だ浦原喜助」
決死の思いで確保し、焼肉ダレを注いだ紙の器に捩じ込んだ肉を頬張って、ウルキオラは浦原を半目で睨む。そんなに口の中に詰め込んで、フードファイトでもしていらっしゃる?というセリフを浦原は直前で飲み込んだ。
「ほら、望実も食えよ。このままだとジン太とウルキオラに肉食べ尽くされちまうって」
「……」
望実の肩にしがみつくコンが、肉の並んだコンロを指して望実を促す。望実は霊体のままでは不都合もあるだろうと、浦原から貸してもらった義骸に入っていた。合わせて、鉄裁が箪笥をひっくり返して用意したセーラー服とカーディガンを着た望実は、一見すれば普通の人間のようにも見える。
望実は割り箸と紙の器を持ったまま、ただじっと肉を取り合うジン太とウルキオラを見つめていた。
「……
望実の呟きに、コンは少しだけ子を見守る親のような目をした。
時計の短針が一つ分傾く頃合いで、バーベキューの片付けが始まった。食べ盛りの子供達によって、山積みになっていた肉のトレーは全く空になり、肉の量に対してやや気持ち程度(それでもザルにこんもりと盛られていた)の野菜類は、半分以上ウルキオラの胃袋に消えている。何処に詰め込まれたのだろうか、と鉄裁は不思議に思っていた。
「あの……紙皿回収しますね」
「ん」
焼き網をホースで水洗いしていたウルキオラに、雨が一声かける。ウルキオラは振り返りもせず生返事だけして、雨もそれを咎める事無く側のテーブルに放置されていた紙の器と割り箸をさっと持って行って、浦原が用意した大きめのゴミ袋に突っ込んだ。その途端。
「ギャー!!助けてー!!出してー!!肉臭えー!!」
ゴミ袋から悲鳴が聞こえた。ついでにガサガサと音を立てて中身が暴れ出した。
何だ、とウルキオラが手を止めて振り返る。そして、うわあ、と呆れて引き気味な声が出た。
「…………何をしているんだ、お前は」
「こっちが訊きてえよ!なんでオレがこんな目に遭わなきゃならねえんだ!」
水を出しっぱなしのホースを地面に置いて、ウルキオラは暴れるゴミ袋にてを突っ込む。引っ張り出したのは、焼肉のタレ塗れのコン。
「汚いな……流石にこのままだと迷惑だから、流すぞ」
「は?いや洗うのはいいけど何処で……ガボボボボッ!?」
コンの顔に勢い良く水がかけられる。ウルキオラが地面に放置していたホースの口を、直接コンの顔に向けたからだ。ウルキオラはコンを左脚で押さえつけて固定し、右手で水を吸ったコンの身体を圧迫する。焼肉のタレで茶色く汚れた水が、地面を流れていった。
「というか、お前何故ゴミ袋の中にいたんだ。確かにボロ雑巾と間違えても、違和感は無い程度には粗末な形ではあるが」
「お前は本当に一言も二言も余計だよなァ!?普通に間違われて割り箸と紙皿ごと突っ込まれたんだよ!」
「それ本当に間違えたのか?九条望実、お前もちゃんとこいつを見ておけ———……」
ギューギューとコンの綿が詰まった身体を指で握ったり圧迫したりして揉み洗いをするウルキオラは、呆れ果てたような顔で頭だけ振り返る。
しかし、そこに望実の姿は無かった。
「…………九条望実?」
ホースの水で溺れかけるコンのもがき苦しむ声が、無意味に木霊していた。
日が俄かに傾きかけた空座町の、とある人気の無い神社。
九条望実は社の前で一人、膝を抱えて座り込んでいた。
浦原喜助には、伝えるべきことは伝えた。後は、自分が因幡影狼佐から逃げ切るだけ。それには、一人でいる方が都合がいい。仮に捕まっても、一人なら誰にも迷惑をかけない。
「……大丈夫。誰の手も煩わせない。私は一人でも、どうにだってできる」
一人呟く。自分自身に言い聞かせるように。
コンを巻き込んだのは偶然だった。実験観察から逃げ出した彼に見つかってしまったから、他言される前に連れ去ってしまった。
ウルキオラに保護されたのは偶然だった。穿界門から落ちて、疲労感から意識を失ったところに偶々、彼が居合わせた。
これ以上は巻き込めない。自分の都合で、彼等を危険に近付けるわけにはいかない。だから、自分が彼等から離れるのだ。
膝に顔を押し付ける。風が境内の木々を揺らして、望実の鼓膜をザラザラと撫でた。
どれだけそうしていただろうか。空はすっかり夕暮れを迎えて、赤い光が石畳を照らす。
「———……九条望実!」
名前を呼ばれて、望実は思わず顔を上げた。何で、と無意識に言葉が漏れ出る。
「全く……探したぞ。出掛けるのなら誰でもいいから、一言伝えるなりしてからにしろ」
望実を探して、あちこち走り回っていたのだろう。病的に白い肌を薄ら赤く染めて、珍しく息を荒げながら、ウルキオラが階段を昇って鳥居を潜った。小脇に、攻撃性の欠片も無い程デフォルメされ黒いシーツお化けのようになった
「………………何そのぬいぐるみ」
言いたい事は色々とあったが、一旦それらを飲み込んで望実は、まず真っ先にウルキオラが抱えている謎のぬいぐるみを指差した。
「コンだ」
「……オレデス………………」
「声ちっさ。いや待って。何でコンそんなわけわかんないぬいぐるみに入ってるの。あの微妙に可愛く無いライオンのぬいぐるみはどうしたの」
望実は立ち上がり、石畳を歩いて向かってくるウルキオラに自分からも近付いた。
「誰かが間違えて、コイツを食べ終えた紙皿だらけのゴミ袋に捨ててしまったようだったのでな。とりあえずホースの水で丸洗いして、今は浦原商店の裏で干してる」
「そ、そう……で、そのぬいぐるみは?」
「良くぞ聞いてくれた」
キラン、とウルキオラのクロムトルマリンが煌めいた。
「このキャラクターは"ムルムルくん2号"と言う。
立板に水が如く、ウルキオラはほぼ息継ぎ無しに捲し立てる。望実は少し圧倒されて、傍に抱えられているコンは空いている左手で顔を覆った。
「そうなんだ……ところで2号って……?1号はどこに行ったの……?」
「ああ。ムルムルくん2号は元々、"完全無欠の
「設定重くない……?」
望実は胃もたれがしそうになっていた。マスコットキャラクターにしては背景ストーリーがキツい。というか、どんな精神状態で考えたんだ。こんな設定。
「ウルキオラさあ……こんなこと言うのもアレなんだが、"ミュ○ツーの逆襲"観た?」
溜息を吐いてコンが問う。ウルキオラはギクッ、と一瞬硬直した。
「何故バレたんだ」
「観たのかよ」
「よくわかんないけど、それがインスピレーション元なのはわかった」
望実は肩を落として、そのままウルキオラの横を通り抜けて立ち去ろうとする。それを見咎めたウルキオラは、また一人で何処かに行かれては堪らないと、反射的に望実の左腕を掴んだ。
「……何」
「何、ではないだろう。何処へ行くつもりだ」
「何処だっていいでしょ。アンタには関係ない」
望実はウルキオラの手を振り解こうとする。ウルキオラはそうはさせまいと、目尻を強張らせて抵抗した。
「……離してよ」
「断る」
「何で」
「お前を1人にすべきでは無いと、不合理な表現にはなるが俺の勘が言っている」
望実の眉が吊り上がる。右手でセーラー服の上に着たカーディガンの裾を握り締めた。
「ほっといてよ。アンタには関係ないんだから。別に、誰にも迷惑だってかけない……!」
望実は強引にウルキオラの手を振り解く。二、三歩分距離を取り、尖晶石がウルキオラを睨みつけた。
ウルキオラは緩く首を左右に振ると、望実の眼を真っ直ぐに見つめ返す。
「関係なら有る。お前を保護したのは、偶然だったとしても俺だ」
一歩、ウルキオラが近付いた。
「お前の事情も、全てでは無いにしろ聞いた。俺にはもう、お前の抱える諸問題の解決に最後まで尽力する義務が生じている」
「無いよ!そんなの……そんな義務、アンタは背負わなくっていい……!」
泣き出すのを堪える子供のような顔をして、望実は俯く。
「俺はもう、お前に無関心ではいられない。お前を保護して、浦原喜助の所へ連れて行くと決断したその時点で、俺にはお前と関わり抜く責任が有る。そして既に、
ウルキオラはもう一度、望実の手を取った。
「これは俺が俺自身の意志で選んだ事だ。お前が何と言おうとも、譲るつもりは無い。だから、どうか……俺をお前の、目の届く場所に居させて欲しい」
真剣な色をしたクロムトルマリンに見つめられ、望実は揺れる。ウルキオラの傍に抱えられたままのコンは、フェルトのスコップを持った右手で望実を指した。
「オレもあんまり、偉そうな事言えたようなもんじゃねえけどよ。自分一人で抱え込み過ぎるのもよくないぜ?浦原にはちゃんと頼めただろ?なら、もっと他にも頼ったっていいんだ。オレにも。もちろんウルキオラにもな」
ムルムルくん2号のぬいぐるみ姿のコンが、調子良く笑う。望実は言葉に詰まって、尖晶石を右に左にと彷徨わせた。
「…………私、は……」
望実が声を絞り出した、その時だった。
「此処にいたか。まさか
上から声が降ってきた。三人は一斉に、鳥居の上を見上げる。
「九条望実。瀞霊廷に連行させてもらうぞ」
そこにいたのは、純白の斬魄刀を携えた小柄な女死神。コンはそれが誰かを知っていた。ウルキオラも、顔と名前は一致していた。
「ル……ルキア姐さん!?」
愕然とするコンが、その名を呼ぶ。殆ど沈みかけた夕日が逆光になり、死神———朽木ルキアの顔に影を落とした。その目に青い光が一瞬宿ったのを、ウルキオラは目敏く見つける。
「……霊骸か」
ウルキオラは素早く庇うように望実の前に身体を移動させ、ルキアを見上げて睨みつけた。
多分ネルピカロミラ・ローズリリネットウルキオラでアニメ映画鑑賞会とかやってる