八雲紫絡みのやつ!
「…摩多羅隠岐奈、俺はてっきり豊郷耳ってやつに会いに行くのだと思ってたんだが?」
「行くわけがないだろう。もしかしたら姉が増えるかもしれないぞ」
「元からいるみたいな言い方はやめてくれ」
「八雲紫」
あんなものが姉を名乗りそれが認められるのなら、俺にもそれを否定する権利があるはずだ。今俺は摩多羅隠岐奈と地底に来ている。最近噂らしい温泉に入ろうぜという誘いだ。誘いというよりも、俺は目的地自体を運ばれてる最中に知ったのだが。ちなみにではあるが、俺は怨霊が苦手だ。俺は精神的に脆いから、あいつらの存在が弱点なところはある。
「混浴はないのか…」
「あるわけねえだろこんな治安の悪いところで」
「それもそうか」
「ていうかお前入るの?」
「…流石にレディに向かってそれはないだろ…」
「お、八雲紫と同じこと言ってる。違いは一緒に風呂に入ろうって言わないとこくらいだな」
「痴女だな、紫」
さて、男と書かれた暖簾を押して入る。金?摩多羅隠岐奈が出してくれた。そう言えば毎回摩多羅隠岐奈と呼んでいるのだが、一時期下の名前で呼ぼうとしたことがある。無論失敗に終わった。主に八雲紫がうるさかった。諦めてスキマの中にいれば良いのに…何故出て来てまで弟のアレコレに口出ししようと思うのか。
「良い湯だ。」
「そうだろう?」
「うおっわ!?」
「何を驚いてるんだ。私の力を駆使すればこういうこともできる」
「いや、俺がそういうのに耐性ないから声だけにしてほしい」
「…紫はまだそこにすら行ってないのか?」
「紫に目を付けたら脱ぎ出されて…」
実際それで少し苦手だったりする。それがあった後の数日、俺は八雲紫との間に壁を作っていたくらいには耐性がない。ないったらない。混浴がなくてよかった。もしそんなものがあれば摩多羅隠岐奈に連れて行かれていただろう。流水も一応吸血鬼の弱点なので、風呂に浸かっている今のおれはとても弱い。博麗の巫女に力で負けるくらい弱い。
「それで?噂によれば、お前の姉を自称するのは紫だけではないらしいが」
「…華扇ってやつ」
「えっ?」
「昔に出会って以降な、変に面倒見られて…そのまま姉を自称した。おれはそういフェロモンでも出してるのかな。」
「こわ…」
「お前も自称姉になろうとしてたんだぞ」
なんだこの摩多羅隠岐奈。いやしかし、この温泉人気ないのかな。全然人がいない。何故かは知らんが、一応噂にはなってるんだからもう少し人がいるべきだ。まあでも貸し切りみたいで好きなんだけどな、こういうの。さて湯に浸かることどれくらいか。そろそろ出るかな。のぼせたくないし…そうと決まればさっさと出よう。入り口で摩多羅隠岐奈待ってよう。
「お、出て来た」
「全く…乙女の入浴は時間がかかるんだから。話している最中に出るものじゃないぞ?おかげで急いだ…」
「そうか。とりあえず…俺の周りにいる霊、祓って?」
「ん…あぁ、そうか。取り憑かれやすいんだったな」
「だから地底には行きたくないんだよ」
「ふふっ。ならば姉である私が」
「あ、鬼だ」
元々天狗という種族に分類されてた種族なので、鬼には舐められやすい。つーかパワハラしてくる。華扇に可愛がられていなければ俺のいじめに鬼も加担していたことだろう。天狗同士のいじめに鬼は首を突っ込まないが、鬼と天狗となれば突っ込んでくる。本気で殴りたかったのは内緒だ。ちなみに目の前にいるのは四天王やってた星熊勇儀とその他である、
「お、お前華扇の」
「霞野っす」
「いいんだよ敬語なんて。お前そもそも天狗じゃなかったんだろ?」
「そうだよー」
「華扇に可愛がられてたが…まさか取っ替え引っ替えか?」
「俺の姉を自称する奴が多くて…もう嫌です」
「…よし、私のことを姐さんと」
「やめてください。萃香さんに同じこと言われそうで嫌だ」
「ん、そうか。ま、怨霊に気をつけてな」
いるよなー、怨霊。摩多羅隠岐奈を引き連れ歩く地底街道。実はもクソもないが、つまらない。地底のアイドルが何かやっていたりはするものの、興味がそそられない。そんなこんなで歩き回り、地上へ出たいなーチラッチラッとしていたら摩多羅隠岐奈がため息つきながら了承してくれた。ようやく帰れる。というよりも、姉志願者から逃げられる。なんで勇儀さんまで。
「やっぱそういうフェロモンが出てるんですかね」
「そうなんじゃないか?」
「摩多羅隠岐奈に肯定されると本当にそうなりそう。否定して」
「酷くないか、それ」
「えーいうるさいうるさい、帰ったら寝るんだ」
「…ちなみに、あの鬼はアンチ八雲紫教会に招かなくて良かったのか?」
「勇儀さんは人が良いからなぁ…そこら辺の鬼も来そう」
「なるほどな」
大所帯はおれの望んだところではない。さて周りに怨霊が集まってきたので摩多羅隠岐奈に助けを求めたい。しかしながら声が出ない。いや、出せない。摩多羅に目はつけてないし、俺の部屋に入っても怨霊が取れるわけではない。詰みかな。つーかこれ、温泉の出入り口で待ってた時よりも多いぞ。いかん、どうにかして助けを。
「今回の温泉はさっぱりしただろう。私はこういう娯楽にも精通している神でな。それを踏まえた上で私のニ童子を…」
「━━」
「…誰だ、お前は。いや、お前たちは誰だ?」
八雲藍「え?私が紫様の弟様を連れ戻す?」
八雲紫「そうよ」