昨今、八雲紫の機嫌が悪いことが続いておりますが、皆様はどうでしょうか。かのバ…八雲紫を見ることで、己を見直し、襟を正すこともできるかと思います。ちなみに私の部屋に何故か神が出没するようになりました。解決策を教えてください。
アンチ八雲紫協会吸血鬼支部長より。
「ふーん…特異変異ってことね」
「数少ない同族なんで、どうか信じてもらいたい」
「あら、同族だからって信じられる保証はないと思うけど?」
なんだこの吸血鬼。お子様のくせに…いかん。顔に出てしまう。アンチ八雲紫協会吸血鬼支部長の俺としては、同族を拒むわけもない。というか断ったらいよいよ一人一派とか言われそう。八雲紫に。ここ三百年は積極的にアンチ八雲紫協会の勧誘をしているのだが、なんとも。結果は博麗の巫女ただ一人のみである。
「良いわね。会長はいるの?」
「今はいない。作る気もない」
「そう。その会長に私を置いてくれるなら、参加してあげるわ」
「…そっすか。なら妹さんに聞こうかな」
「は?」
「じゃ」
道なりに進む。確かに観えた。金髪、紅い服。宝石のような翼。同族と呼ぶにはあまりにも異質な吸血鬼。どうやれば勧誘できるかな。やっぱり年相応な反応を期待してお菓子で釣ってみるかな。できれば空間に干渉できる吸血鬼とかじゃないと良いが。うーん、どうだろうか。
「おっ…と?」
「貴方、どうしてそのことを知っているの?」
「そんなに興奮しないでください。」
「あら、笑えないわね。良いわ、参加の条件を変えてあげる。貴方がここで私に勝てば、ね!」
「マジ!?」
槍が耳を切る。槍っつーか、あれ槍か?ランスとか呼ばれる方だろ、どっちかというと。とは言っても困ったな。俺戦うの苦手なんだよな。八雲紫のせいだ。あいつと関わると碌なことがない。一回クソみたいな戦争に巻き込まれたことがあった。その時はもう、酷かったね。その時までに入ってたアンチ八雲紫協会も壊滅だったし。
「考え事するなんて随分と余裕なのね」
「そうだな。背中の翼に何が付いてるかもわからんやつは余裕だろうな」
「っ!?…アンチ八雲紫協会?」
「そのパンフレットだ!館中に貼って来る!」
「あっ!?咲夜!」
目の前に銀髪の女。速いな。身を捻って避け、走り抜ける。また目の前に。イタチごっこですらないぞ。八雲紫だってボコせるのは丁半賭博だってのに。クッソこうなりゃ自棄だ。窓から逃げよう。帰り際に門番にもパンフレットを渡すか。紅魔館で捌けたパンフレットは三枚…悔しいが、これが限界か。
「よっと」
「なっ」
「…咲夜、背中」
「えっ…えっ!?」
帰り際に門番さんに手渡し。自室へ飛び込め!こんなことで殺されたら敵わん。残ったパンフレットは…六十枚もある。調子乗って作り過ぎたな。全部違うパンフだし。変わり映えしないのはありえないとか思ったんだよなぁ。その結果がこれか…だから八雲紫にボコボコにされるんだよ。悲し。
「そうだ、この部屋に来れるような小道具作るか」
そうと決まれば式神作り。こいつに力を流せばいつでもここに来れる…そんなものを作ろうとした瞬間に眼前に八雲紫のドロップキックが。ぐはぁ。何?俺の部屋ってセキュリティゼロ?
「流石にそれはやりすぎよ」
「マジか」
「生産停止のライン越えよ」
「生産もしとらんのに」
「そもそもなんで今更…今までは月でやってたじゃない。というかどうやって行ってたのよ」
「月でやったら月の賢者に殺害予告された」
「馬鹿。もう、本当の馬鹿。」
以前月でやってた時は順調だった。でも賢者に見つかって半殺しにされた挙句、『意見には賛同します。が、妖怪である貴方がそれをやらないでください。会に参加した者には退会させますので』と言われた。慈悲を求めたところ、もうやらないんだったら良いよと言われ今ここに至るわけだ。
「にしても、パンフレット自体はよく出来てるわね。特にこの私の後ろ姿がよく写ってる写真。どうやって撮ったのかしら」
「写真提供者:歴代博麗の巫女」
「はぁ!?子供騙したの!?ちょっ…えぇ!?」
「つーかお前こそ四六時中俺のこと見聞きしてんだろ。タイミング良すぎるぜ」
「…それは…うん」
さて次だ。もう人里でばら撒こうか?いやでも、人里は八雲紫を知ってる奴が何人いるかだよな。少なさそうだし、今の幻想郷崩したくないのは俺も同意だからな。人間とかいう野蛮種族から協会ってのは…博麗の巫女くらいで良い。人間は本当に、野蛮なやつとそうじゃないやつで差が大き過ぎる。バケモンか?バケモンはこっちか。
「それこそこの協会を中心とした異変が起きるかもねー」
「八雲紫迫害の異変か?むしろ起きてこそだろ。月なんかお前、賛同者何万人も」
「過去の栄光に縋るな」
「はぁ…久々に行こうかなぁ月。賢者の居場所は知ってんだし、許可取りに行こうかな」
「そろそろ殺されるかもね」
やっぱやめとこ。パンフレットをまとめ、八雲紫を追い出す。やっぱりあれか。紅魔館の主人の反応からして、会長はいたほうがいいのか。どーしよっかな…そもそもそういうのって誰が適任なんだ?やっぱり月の…月の賢者、それもあの姉妹の…妹の方を副会長に置いて、会長を姉の方に…ダメだ月に乗っ取られる。
「会長かぁ…誰も考えたことねえよそんなの。長生きして威厳あって…誰がいるかなぁ」
「実は私は(ry」
隠岐奈は帰らせる。自分で帰れるな?ほら、帰れ。そしてあいつの定型文である『実は私は』構文が頭の中でこだまする。くっそ、あいつ嫌いだ。次会ったら殴ってやる。
「アンチ八雲紫協会吸血鬼支部長兼会長…に、なるのか」
アンチ八雲紫協会吸血鬼支部長へ
その神は多分、何しても喜んで神を自称して来るのでお家に帰してあげてください。多分入り込んだ原因はアンチ八雲紫協会吸血鬼支部長の後戸経由なので来るのは防げません。私からも注意はしておきます。後、手紙の内容についてお話ししたいことがあります。
八雲紫より