「じゃーなー」
「またいつでもいらっしゃいねー」
八雲紫と別れ、どうしようかと首を傾げる。服装は八雲紫と同じ系統のままだ。この前掛け邪魔だな。この服装で行ったら驚く相手…いるかな。フランドール辺りに見せに行こうか。いやでもやっぱあいつはめんどくさそうだしなぁ…そうだ。月に行ってみようか。いや目玉全部取ったんだよな…優曇華のところに行くか。確か、入り組んだ竹林にいたよな?
「うーっす」
「うわっ!?」
「し、侵入者ー!」
「さて、死因は何が良いの?」
「…遊びに来たんだけど」
「誰と?」
「優曇華あたり」
というわけで優曇華に会った。以前人里で飯を食ってた時に出会い話したのだが、鈴仙はやめてほしいと言われている為優曇華と呼んでいる。鈴仙だと月にいた頃を思い出すかららしい。知らんよ、と言いたいが俺も月でアンチ八雲紫協会員を探してた時にいい思い出がないので置いておこう。しゃーなしだ、しゃーなし。あそこの賢者の姉君怖いし。
「おー、久しぶり」
「そんなにですね」
「月行きたいんだけど行き方知らない?俺の行き方はもう無理なんだよね」
「…は?」
「かといって八雲紫に頼むのは…な?だから、こう…どうにかしてスキマ使わずに、さ」
「いや私にそんな技術力ないんで」
「…まあ待てや」
「はい?」
「お師匠、いるよな?」
「私に死ねと!?」
無理だった。どうしよっかなぁ…もういっそ名前呼んでみるか?届くわけでもないんだがなこれが…そもそも月にいた兎に目玉つけてねえのが問題だな。付けようか迷ったウサギも優曇華だったし。その優曇華もここに落ちてんだから、うーん。月との国交断絶って奴か?やっぱ依姫の刀につけた目玉は回収しない方が良かったな。やらかしたぜ
「依姫や〜い」
「呼んだからって出てくるわけではないでしょう」
「じゃあ何で出て来たの?」
「以前貴方を連れて月に行った時、体に仕込んでおきました」
「やってること異常だよね。気付いてる?」
「貴方を月の使徒とし、情報を」
「そうじゃなくてさ。うわっ触れねえ」
「当然です。ホログラムですから」
ほ、ほろぐらむ…?聞いたことあるぞ。あれだろ、遠くにいるやつを目の前に呼び出せる近代魔術。あれ、科学か。まあどうでもよくて、今のこいつには実体がない。触れない。なるほど呼び出した訳ではなく呼んだらホログラムが出るのか。じゃあこいつが風呂場にいる時に呼んだら…姉君に殺されるだけだな。やめとこ。
「…はぁ。このホログラムは本物の私をリアルタイムで映している訳ではありません。」
「つまり今お前は全裸かもしれないが、ほろぐらむ上では服を着ているということか…」
「馬鹿!本当馬鹿!」
さて、こうして相手が騒いでいると、いくらほろぐらむと言えど本体も騒いでいるはずだ。つまり姉君が出てくるまでにあまり猶予はない。急いで閉じるべきか、はたまたこのまま会話を続けて姉君と安全圏からの会話をするべきか…ミスれば最悪死だが。というか今月の戦争はどうなってるんだ。こんなものに出れるのならさぞ余裕があるんだろうが。
「戦争ですか…そうですね、最近はないです」
「ほへぇ」
「あ、姉様!」
「やばいな」
「これですか?地上の者と…『よろしくない』とは?」
「依姫、終わるぞ!どうやって終わるのか知らないけど終わるぞ!こうか?こっちか!?」
「あ、終わらせるのはこっちからしか出来ませんよ。」
「お前さぁ…」
つまりは一方通行な通信機器である。お父さんこういうの疎いからよくわからないけど、そういうのはよくないと思うよ。後俺の体に変なもの仕込むな。常識だぞ。八雲紫やら摩多羅隠岐奈やらでさえ…いや俺はしたけど、その二人でさえしないことを。よくもまあ…月って野蛮だわ。こっわいわ。姉君となんか話し合ってるのか全然音拾わなくなったし…
「依姫さーん?」
「…」
「ほろぐらむがダンマリ決め込んだぞ…」
「ぁ、あー…はぁ。お待たせしました」
「あ、来た」
「姉様から一回一時間と言われました」
「…月の一時間って、こっちとどれくらいの差があるの?」
なんか知らんけどほろぐらむが消えた。まあよくわからんが、とにかく。これで呼び出せばいつでも依姫が出て来るらしい。ほろぐらむとやらだけど。あの技術は羨ましいな。俺もほしい…いや、でもミスしたら変な奴が出て来そう。ほら、外の世界だと豚作ろうとして緑色の何かが出来たとかあるらしいし…あーこわ。
「さて…諏訪子」
「バレてた?」
「おん。何の用事だ。正直言って関わりたくないんだが」
「いやぁ〜…温泉…行きたいなぁって」
「地底の温泉も博麗神社近くの温泉も混浴はない。うせろ」
「…今の反応でどんな目に会ってたか大体察した」
「助かる。んで?カミサマは何をしに来たのさ?」
「貴方の親族を名乗ると力がつくらしいけど、本当?」
一時期の噂だ。遡ること何千年ほどだろうか。知らねーけど。稗田んとこのお偉いさんに纏められた時に、八雲紫・茨木童子の弟と書かれた時に否定しまくったところ、ついた二つ名が騙られる親族だったりした。八雲紫越しに最近訂正を試みたところ、騙られる強化付属品となった。稗田め、そろそろ許さんぞお前。
「そうだ、貴方のこと話してたら会ってみたいって人がいてね」
「ほー、誰?」
「私も花見とかで知り合っただけでよく知らないけど、この人」
「どうも」
「聖白蓮じゃねえか」
「用事はそれだけ!じゃ!」
「…ええと」
華扇、摩多羅隠岐奈の両名から出された姉名乗り予備軍に名を連ねる聖白蓮。ふむ。しくじったな?いやしかしまて。今この時点で既に聖白蓮が姉を名乗ると決まった訳ではない。彼女の弟も死んでいるのだから、俺に重ねたりすることはないだろう。死とは記憶を美化させる手段の一つだから。つまりは、かなりの確率で俺の姉を名乗ることはない。
「まさか貴方だったとは」
「あ、天人さがさなきゃ」
「かなり人の話を聞きませんね?」
豚が緑の怪物…マイクラ