「よっと」
「あ、これはこれは」
「失礼するでぅあ」
「…いや、許可もらってないんで通しませんよ」
「え、戦うの?」
「いや、お帰りいただきます。私門番なので」
初手で殴る。避けられた。腹に蹴りを喰らい浮く。あーん、やっぱりメンタルもうボロ。やっぱり戦いは向かないよ。八雲紫にも言われてたことではあるんだけど、いざ実感するとなぁ。例えば、スポーツで一回ダメージ負うとそのあと駄目な人。ああ言う感じのメンタルだよ俺。だから俺は初手逃げを選ぶんだよね。て言うかこの門番仕事したんだ。
「…今戦うとさ。閻魔来るの忘れてた」
「えっ」
「ま、仲良くする振りだけしましょ?」
「…嫌だなぁいくら仲がよくても胸は駄目ですよ〜」
「あ、そう来るの?」
実を言えば近付いて奇襲を…と思ったんだけど。無理っぽいわ。正々堂々行きますかね…こう言う時のアイテム、永琳先生から貰った薬。これを使えばどんなメンタルカスでもあっという間に強メンタルへ。まあつまりは精神安定剤と言うやつ。水がいらないからその場で飲める。問題は月の科学力なので妖怪に有害そうなところ。
「よし、大丈夫っぽい」
「…何をしました?」
「教えなーい」
「悪戯な人ですねぇっ!?」
精神が安定すると妖怪は強い!うむ!素晴らしきかな!とは言え、ドーピングには変わりなく。相手がそう言うのを解除させる能力だったらまあ負けるわけで。腹を殴って、その後にバックドロップで落として終了。地面に突き刺さるその姿は…うん。なんだろう…ひどく卑猥な…しかし欲情することのない…軽蔑に値する格好だ…
「開もーん!」
「手荒いお客様ですね」
「うわっ」
「…いつものように侵入されてみては?」
「全部取っ払ったよ。フランドールとかに会いにきただけだし、正面玄関の方がいいでしょ」
「そうは思えませんが…お嬢様からの伝言です」
「何?」
「『一歩でも敷地に入れば殺す』だそうです」
一歩踏み入れると、光弾が飛んで来た。精神安定な俺には効かない。が。服が破れていくのは避けたい。一歩退く。あ、光弾がまだ降ってくるわ。なんなら降らしてるの妖精だ。こりゃ止まないな…館の中に入っちゃえ!と言うわけで強行突破。後ろからナイフが刺さる。吸血鬼弱点で御用達、銀のナイフである。痛い
「あーいった…畜生出禁とか言うレベルじゃねえだろこれ…」
「ええ、貴方は出会ったのなら積極的に殺せと申しつけられておりますので」
「慕われてるね。嫌いだ」
「では、お嬢様」
「嘘でしょ!?」
「残念、本当よ」
「くっそ」
一歩退くと同時に腹に穴が開く。その穴を利用して上半身を分離して逆立ちで逃げ回る。魔法?使えるけどさ。飛べるけどさ。下半身が無ければバランスさえ取れやしない。マジで出禁だったっぽい。勝ったら出禁解除とかないかな。いや、違うな。勝って言うことを聞かせればいいのか。ナイスアイデア、それでいこう。
「よっ」
「はぁ!?」
翼が生える。久しぶり…実に三千年近い再会になるか。翼を腕代わりに使い、姉君の頬を裂く。惜しい。本音は腹立ったのだが、身を捻られ避けられた。んー。妖怪というのは精神の在り方に左右されるというのは八雲紫から聞いていたが、心の持ち用でこんなにも変わるのか。無くしてた翼も生えるなんて、素晴らしいこと。
「俺の下半身から武器錬成するぜい」
「させないわよ」
「マスタースパーク」
見様見真似だが、結局これが効く。風見幽香が出会って間もない頃に良くぶっ放してきたものだ。俺は嫌いだった。魔法の術式は教えてもらっていたが使う機会がなかった。そもそも戦わねえし。極太ビームを放った後に下半身を掴もうとして空振り。メイドが移動させていたようだ。あのメイドは…倒したからって出禁解除じゃないしな…。
「捕まえた!」
「こっちのセリフよ!このっ」
「下半身ない奴に当てれるわけないだろバカか?」
肩を掴む。デカい鳥が足で獲物を掴むように、しっかりと握り込んで投げ飛ばす。追撃でマスパ。閻魔とかもう知らん。あの人が怒る時は逃げれば良い。妖怪とは往々にしてそういう生き物だ。真面目に生きる方が馬鹿らしい。とか考えてたら片翼を飛ばされた。どうやら投げ飛ばせる槍で貫かれたようだ。硬さには自信があったのに。
「これで、まだ諦めないの?」
「出禁解除して欲しいだけだもん」
「貴方ねぇ…今更そんなので納得できると思う?」
「勝って納得させる」
「…面白い冗談ね。じゃ、フランドールも呼んでおいたから」
「はぁ?」
後ろから再生しかけていた腹を持っていかれる。え、さっきの槍で呼んだの?…そんなバトル漫画でも見ない展開あるんだ。まあ良いや、流石にこれは負けが濃厚になって来たし、フランドールを俺の部屋送りにしよう。現代のシベリア送り…ダメだ諏訪子がいる。流石にそこまで精神は捨てられん…つまりだ。今から俺はこの二人を倒して出禁解除を目指すわけだ。馬鹿は俺だ。
「…え、私参加しないけど」
「えっ!?」
「勝った方、私と連戦ね。」
フランドールはそれだけを言ってバルコニーがどこかへ行った。周りの時は止まったかのように、しかし俺がひっそりとしていた再生が終わると姉君の方が仕切り直すように言った。
「…同じ吸血鬼とは言え、私と貴方じゃ天と地の差があるわ。ましてや私に勝てたとして、フランドールに連戦で勝つのはもっと無理」
「…お前も同じだろ、それ」
「私はフランドールに負けたことはないわ。例えそれが霊夢との戦いの後だろうとね!」
霊夢「…随分手加減してやったってのに」
レミリア「ひえっ」
フランドール「お姉様死す、ね」