「吸血鬼の弱点は吸血鬼がよく知ってる」
「そう、私もね」
針がいくつか刺さる。痛い。メイドからとって来たであろう銀のナイフが刺さる。これも痛い…が。俺に刺すということはすなわち俺も使えるということ。一回蝙蝠になって武器を外し、体を戻して武器を手に取る。身体中穴だらけ。なーんでこんなことに。マスタースパークを放ち、落ちていた瓦礫で追撃。
「品がない」
「ぐえっ」
「せいっ!」
腹に槍が刺さってそのまま蹴り飛ばされる。さて、明らかに劣勢。なのでどうするか?決まってんだろそんなもん俺の完全な状態で勝てねえんだったらもっとドーピングするに決まってんだろ。…もっとドーピングって言ってもどうすんの?え、知らん。勢いだけで考えたから…いや、違うな。そうだな、式神大放出するか。
「有象無象の援軍ぞ」
「げえっ!?」
「隙あり!」
片翼をもぎ取らせてもらう。が、ここで飛んだ先に時計があったので気付いたのだが…もしかして俺、薬の服用から結構時間経ってる?…まずい?これちょっと、本当に出禁解除でやって良い荒事じゃねーよな?クソ、どうするべきだこれ。全力で殺しに行けば良いのか?逃げれば良いのか?あ〜…もうわからんから殺しに行こう!
「ねね、出禁解除してくんない?」
「…もしかして本気でそれだけなの?」
「いえす」
「…はぁ。な、何言ってんの…?それだったらこういうことしなくても良いでしょ」
「美鈴が始まり」
「なんで名前知ってるのよ」
「パンツに書いてあったぜ」
「え…あいつパンツ履いてたの…!?」
え、何それ何それ。どゆこと?ん?はい??…一旦戦闘を止めようか。え、つまり、そういうことだよね。あいつ普段からよくわからん中国みたいな服だけ着てて、下着の存在を確認できなかったってことだよね???…それってつまり着替えてなかった…着替えてない…!?妖怪の服だから着替える方が変なのか?
「…そんなことはどうでも良くて!」
「お前の片翼から武器を錬成する…と、変な棒…?ができる!」
「そういうものは再生したら価値がなくなるものよ?」
「投げるに決まってんだろ」
棒を投げて頭にヒット。腹パンを喰らわしてぶっ飛ばす。飛んだ体を追いかけてドロップキック。顔面に入った、うむ良い感じ!だと思っていたのだがどうやら相手は違うらしく、ドロップキックの足を掴んで俺を振り回し、そのまま地面に叩きつけた。流石に痛い…が、これしきで屈するものか。屈服させるなら華扇呼んだ方が早いぞ?あいつ、俺の姉を自称する中ではマトモよりだから。
「あー疲れる」
「上」
「観たわよ、それくらい」
「からの下」
「それも」
「全方位」
「…は?」
全方位マスタースパーク。なぜか上下の攻撃は避けられたので。式神に魔力を譲渡しつつのマスパ。くたばれってんだよ姉君。勝ちを確信して俺もフランドールのところへ。どうやらフランドールの話であれば、姉君は運命を操るらしかった。運命を操り攻撃のほとんどを致命傷にしなかったという話だ。つまりはどう運命いじっても当たる結末にすれば良いわけだな。
「じゃあ、次は私ね」
「やらん。普通に疲れた。つーかきつい。薬もそろそろ切れそうだし」
「はぁ?」
「いやいや…見てほら。俺達って生きてる年数もあるけど、精神に呼応した姿取るじゃん?三千年生きてるのに結構小さくなってるよ?」
「…え、あ、ごめん全然気付かなかったわ。会長だったのね」
「アンチ八雲紫協会会長さ。あ、ちなみに今さっきの姿はドーピングした姿ね。かっこよかった?」
「…7点ってところね。会長って知るまでは」
「会長と知ってからは?」
「3点」
「はー可愛くねー妹君。依姫見習え?」
『…あっ、なんですか?』
「うわ何これ」
…名前だけで反応するんだ…不便だな。まあ良い。何もないと言って通信を切るようにいうと、『なんですかそれは』と言われて切られた。流石に…ね?だって怖いもん…みんな怖いでしょ。俺は超恐怖。はぁー…月の姉君は怖すぎんだよな。いつか本当に殺されそう。いや多分あっちからしても良い印象はないんだろうけどね。流石に、ね?
「…何、摩多羅隠岐奈」
「うわっ変態だ」
「なっ…いやなに。一触即発な感じだったから…」
「俺今家に神様待たせてるんだよな」
「ああ、彼女か。なぜあんなヤバい奴と関わりを持つんだ。理解に苦しむ…」
知らん。少なくとも理解に苦しむ点では俺も同意しよう。そうして俺は出禁解除をフランドールに頼み込み、そのまま俺の部屋へ帰った。摩多羅隠岐奈は置いて来た。するとそこには、あの神様ガチで待ち伏せしてた。なんなら料理作ってた。お前これ…食える…のか?いや、食うけどさ…生き物のガチ生焼きを夕飯にって。
「さ、たーんとお食べ!」
「お前いつも何食ってんの?」
「神奈子のお粥!」
「ああ、そう…そうなのね…うん…」
「?」
「お前帰すわ」
「えっ!?」
モリヤ神社の上空から降りて行く。そのまま叩きつけるように諏訪子を投げ飛ばし、流れる動作で俺は部屋に帰った。生焼きの動物達は美味かった。特に蛇。意外と美味かった…のだが。摩多羅隠岐奈がやめとけやめとけと忠告し始めたので全部捨てた。25皿あった。その全てが生焼き…神奈子さん、あなたはどのようなお粥を出しているんですか…?
「さ、夕飯としよう」
「私も食べるわよ〜」
「鍋にしましょう!」
「…なんで息合わせたように自称姉三人が来るの??」
摩多羅隠岐奈「私が呼んだから」