「起きて!」
「んだよばーか寝てんだよ見てわかれ」
「明後日の方向にオーロラが」
「オーロラも幻想入りか。悲しいねえ。じゃ寝るから」
…いやまてよ。ここ俺の部屋だぞ?なんで人がいるんだ?つーか誰がいた?…八雲紫か摩多羅隠岐奈のどっちかだったら寝れねえぞ。うるせえもん。ほら、今もなんか背中ドンドン叩いてくる。え、何?誰?ちょっと本格的に怖くなってきたぞ?見るか…鈴仙の師匠からもらった精神安定剤飲んで確認…リスキーだが、見る!
「誰だお前!」
「あ、起きた。私はフランドール。紅魔館にいたレミリアの妹よ」
「あー、あいつレミリアっていうのか。んでお前はどうやって入った?」
「私の力」
そういや起きた時裏返ってたな…多分、摩多羅隠岐奈が後戸を無理やりこじ開けてたな。だから俺がうつ伏せで寝てんだ。あー、なるほどね、摩多羅隠岐奈、後でぶん殴るか。まあそれは良いとして。俺の部屋に誰かが入り込むのはもう慣れてきたし。本来慣れるべきものではないけど、メンタル弱いからな俺。
「摩多羅隠岐奈め」
「貴方吸血鬼なんでしょ?あの野郎とどっちが強いのかしら」
「あの野郎って…そうだな。俺は長生きしてるだけだから弱いぞ」
「隠岐奈から面白くて強いやつって聞いてるんだけど?」
「やってみれば分かるさ」
「良いの?」
というわけで俺の部屋から出る。ここどこだ。あー、空に満天の星だ。その中に一際大きいもの。地球だ。つまりここ、月だ。ちなみに月につけた目は賢者達にバレないようにつけたもので、表側にある。ここから帰ってもいいけど…帰るには俺の部屋を経由せねばならん。フランドールがいる限りは帰れない。
「うーん…一句詠むか。君が空 我は大地と ぺぺぺぺぺ 池は何処と 迷える蛙…適当に詠んだけど季語一つだけってすごいな」
さて。この句で月の賢者殴りに行きますか。まずは表側から裏側へ。全力で行きます。まあ飛ばないとダメだけどね。さて着いた。いやー幻想郷の中でも俺だけだぜ?月を自由に行き来出来るのって。月の賢者をノックアウトするために月のウサギに語りかけなければならないのが面倒だな。うーん、どうしよう。
「うわっ!?」
「…おや、懐かしい顔だ」
「あ、妹の方」
「これはこれは」
「あぁ、すみませんアポも取らずにここに来ちゃって」
「死んでください」
「え?」
切先が俺の目の前へ迫る。薄い紫色のポニーテールが刀とは反対側に揺れる。きゃ、可愛らしい。というわけで月の賢者の片割れ、綿月依姫の登場だ。黄色い悲鳴が出てくるぞ。それとは別に悲鳴が上がるがな!というか都にすら入っとらんのになんでこいつはここにきやがるんだ。泣くぞ?俺の部屋にはフランドール、ここには月の賢者。はー、俺何してれば良いの?死ねば良い?逃げなら得意だよ?
「畜生…俺のポリシーに反するから嫌なんだけど!」
「わっ」
腹を押す。こうすれば、こいつの腹からの視線が分かる。最もつけたのは服だから破れると意味はない。そしてこういうのは消し忘れると相手が着替える時が嫌でも目に映るから嫌だ。俺は本当に女の裸に対する耐性がないんだよな。だから終わりにもう一回あいつの腹を触らないといけない。嫌だよもう。
「ま、待って。待とう。ね?」
「待たない!」
死にかける。大きな声で事情を伝え続けるしかねえ。俺は今帰ろうにも帰ったら殺されちゃうの。だからここに居るのを許して!助けて!…あーだめだ、これお姉さんの方に縋り付かないとダメだ。あーもう、こういう時に限って摩多羅隠岐奈とか八雲紫とかは出てこないし。アンチ摩多羅隠岐奈協会作ってやろうかな。
「信じられると思いますか?」
「信じてよ。俺とお前の仲じゃん?」
「月の風紀を乱した者と戯れた記憶はない!」
「ぎゃっ」
頭切れた!あ、こいつ止まりやがった。ちなみに今のは切られる前に切ったのでギリギリセーフだ。あっぶね。さて頭を再生して。どうにか話を聞いてほしい。丸一日いれば多分帰れるから。どう?ダメっすか?…お願いです!土下座もします!あ、姉君に会わせてくれれば!…いやこの状況で姉君はダメだな。火に油っつーか、火に火薬の間違いだな。
「姉様まで籠絡するつもりですか!?」
「待て。他を籠絡した覚えはないぞ」
「あっ」
「…言っとくが兎は菓子で釣ったことはない、からな?」
…なんだかまずいことになったな。一か八か…腹に触った後急いで俺の部屋に逃げて、ノータイムで幻想郷に帰る…いや無理だ。仕方ない、腹に触って目を取り除くか。そういや、月出身の永遠亭で目はつけれなかったんだよな…じゃあなんで今こいつに目をつけることができてるんだか。あれだな。薬よこしてくれたあいつの仕業か。
「…わっ」
「良し。えーと…停戦ってことで良い?」
「まあ、良いでしょう」
「じゃあここで一日待機してるから」
「いえ、それはやめておいた方が良いでしょうね」
「なんでさ」
「狂った妖精と、我々に恨みのある集団がたまに戦争を仕掛けてきますから。死にたいのならばそこへ。」
「嘘嘘嘘、一緒に行きましょう?ね、ほら、年齢で俺と比べればさ、貴方はお姉さんじゃないすか?」
「は?」
「ぅっ」
そういやそうだった。俺の周りにいる年上が八雲紫くらいしかいないから年上って言った時の反応が予想できなかった。あーこわ。年上ならそれ相応の余裕見せようぜ。俺?俺はほら…八雲紫とか年上な奴居るじゃん。だから、余裕持たなくてもさ。難しいか。だって八雲紫の奴、出会った当初は『私に着いてきなさい』とかいうタイプだったんだぜ?
「全く。無礼なところは変わってないようですね」
「ねえ覚えてるんだったら殺さなくて良くない?前の半殺しも勧誘のしすぎなんでしょ?」
「あー…あれ、私ではなく姉様の仕業なので。私は全く」
「…え、俺意味もなく半殺しにされたってこと?」
月へ
今度から行くときは先に連絡するので、どうか月の賢者の妹の方を送るのはやめていただきたい。
アンチ八雲紫協会会長 霞野