摩多羅隠岐奈「露骨すぎる」
霞野「じゃあ弟の話はなしと言うことで」
摩多羅隠岐奈「ふっ。私は戦を司る神でもあるのだぞ?求められたら応えるのは当然だ」
「さて…摩多羅隠岐奈、俺どうしようか」
「宣言した通りに吸血鬼に勝てば良い。何、死にそうになっても紫が助けてくれる」
「いや、暴れすぎたら巫女が来るじゃん?」
「目の中でやれば良いだろう」
「八雲紫のせいでそれどころじゃねえんだわ」
と、話していると。何が起こったと思う?俺も知らんが、動けなくなった。摩多羅隠岐奈は俺を通じて後戸の国へ行きやがった。交通費取るぞ。恐らくは紅魔館の仕業だろう。わかりやすく魔法陣が浮かんでいる。一体どこから。身体中に目をつけて探すしかないのか。だが俺はここであえて静止する。追われる生活は八雲紫だけで十分。あれはきつかった。
「…捕まえた」
「可愛らしい捕まえ方だ。ここまで来たのは何故?」
「ウチの館は痴漢に何よりも厳しいからよ。じゃあここで消し炭にするから」
「こんな魔法、こう!よ」
「は?」
魔法を力技で解く。腕を振り、自由を確認。うーん、少しあざになったかな。まあそれはそれとして。今目の前にはおそらく拘束魔法をかましてきた魔女と、いつぞやの銀髪メイド。俺は今すぐにでも逃げ出したいが、そうもいかない。やれ、逃げ回ってみるか。そんなことしたら死ぬだけか。じゃあ真っ向勝負か。頼むぜ摩多羅隠岐奈…
「援護は任せて」
「わかりました」
「スペルカードか?」
「いえ、殺し合いです」
「フランドールの胸触るのが一線超えただけよ」
「あいつ…もう少し伝え方があるだろ。」
とりあえずこの二人をどうにかしなければ。吸血鬼の弱点であろう物を投げて来る銀髪メイドとその隙間を縫うように魔力を飛ばしてくる魔法使い。あれこれ無理だな?とは言え、姉君にはまだ俺の話を聞いた礼を渡してないから逃げられない。いやぁ義理深いってのは大変だね。銀髪メイドにつけた目も今じゃ意味ないし。
「待て待て待て」
「待ちません」
「そ、じゃあドカンだ」
なんちゃって自爆。銀髪メイドと魔法使いの姿はない。今のうちにさっさと紅魔館へ行くべきか。姉君の方に話を通せば良いんだよな、こう言う時は。月の時は妹君だったが、この際関係ないのだ。願わくば摩多羅隠岐奈の加護を付けて行きたいが、摩多羅隠岐奈は協力してくれているのかいないのか。やばい時は八雲紫が出るらしいが、本当か?
「よっ」
「は?」
「お前に直談判すれば良いと思って来ました。あとこれ道中の土産」
「あ、どうも…なにこれ」
「薬草。銀髪メイドは多分人間でしょ」
「ええ、そうだけど…まあ、ありがたく頂戴するわね。それじゃあ死になさい!」
「うっわ戦闘狂!?」
俺の非難も受け付けず、槍が投げられる。あぶね、腹破けた。妖怪にとってはゴミ袋が破けたような現象なのでどうと言うことはないのだが、それ以上にまずいことがある。あの槍をもう既に姉君は持っていること。全力で避け続けるクソゲーの始まりになってしまった。目を至る所につけ、どうにかして姉君を俺の部屋に。
「あら、私の妹に邪なことして、今度は私を拉致したわけ?」
「んー、どっちかって言うと監禁」
「そう。じゃあ、ストックホルム症候群を期待すると良いわ」
そう言って槍を足元に刺す。残念ながらこの空間は壊れない。鬼で試した経験から言える。その隙に腹と両手に目を付けさせる。これで大半の攻撃は避けられる…はず。さてここで俺のすべきことは殺し合いではなく話し合いなわけで。どうにかして相手の怒りを退け、まともに話せる段階にする。その後に話さなければなぁ。
「ま、ここなら貴方の死骸も処分が楽そうよね!」
「最初はフランドールからだったんだ!」
「あの子がそんなことするわけないでしょ」
「本当本当!摩多羅隠岐奈があっ!?」
「あの秘神を出したところで、あの子がそれに乗るわけがない。」
「マジかよ」
話し合いは決裂。八雲紫か摩多羅隠岐奈に投げる選択肢が頭に出て来たが、さてどうしようか。ちなみに俺はどっちも嫌だ。なので逃げ回る。戦う?長生きして来ただけの俺が、あんな猫みたいな動き方するやつに勝てるわけないだろ。避けるので精一杯な時点で勝ち目はない。…紅魔館に帰したらダメかな。
「今日俺が言ったこと全部、妹君に聞いてみな」
「聞く価値もない戯言ね。今のが遺言?」
「紅魔館に返品すんだよ」
掴んで共に紅魔館へ。付けた目を回収しつつ、攻撃を避ける。遺言にしては長すぎる言葉なのでさっさと消え去ろう。伝えることは全て伝えたので、フランドールが嘘ついたら終わり。摩多羅隠岐奈と閻魔様呼んでもらわないといけない。そうなれば、グチグチとうるさい奴が来るので面倒なことになる。八雲紫も呼ばれるだろう。
「っはぁー…疲れた。アンチ八雲紫協会の奴もっと増やしたいんだけどなー」
「では私のところにいる二童子はどうだろうか?」
「あいつらはほぼ摩多羅隠岐奈の代わりみたいな物だろ。ダメだ」
「そうか?では、チルノという妖精はどうだろうか?」
「…知らんな。誰だそれ?」
「妖精にしては強いぞ。ただ頭の方は…。それ以外なら守矢神社だな」
…なんでこいつ俺の部屋に平然と居座ってるんだろう。こいつ姉にしたらずっといるのかな。それとも後戸の国に幽閉かな。どっちも嫌だ。一時期の八雲紫とほぼ同じじゃねーか。あんな苦しい思いは絶対にしたくねえからな。つーかしてたまるか。
「…聡明、という点では彼女もか」
「誰?」
「豊郷耳神子、聖徳太子で知られているが…」
豊郷耳「…今誰か私の噂をしている」
青蛾「地獄耳ですよね」