モブキャラに助けられたデュエリスト   作:パラデオン

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第6話 未来人の お話し

主人公ルーティは、

未来人とのデュエルに勝利した。

 

 

モンスターに殴り飛ばされ

地に倒れた未来人に、ルーティは

手を差しのべた。

 

 

ルーティ「見たぜ。

モンスターに殴り飛ばされる

アンタの顔をよぉ。気分爽快だぜ」

 

「わ、私に何の恨みがあるというのです!?

初対面なのに!」

 

 

「恨みは無い。ただ『気分爽快だぜぇー!』ってセリフを

言ってみたかっただけさ。

さあ、早く立ちな」

 

 

「ふん、あなたの手助けなど必要ありません!」

 

未来人は自力で立ち上がった。

 

 

「さて、アンティデュエルの勝者は俺だ。

《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》のカードをもらおうか」

 

 

「仕方ありませんね……」

 

 

未来人はルーティに

《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》のカードを渡した。

 

 

「これが未来のカードか……

俺、不動 遊星に出会ったら

この未来カードを使えるように

デュエルディスクを改造してもらうんだ……」

 

 

「テーブルデュエルで使ってください。

わざわざデュエルディスクを

改造する必要なんかないでしょう」

 

 

「それはそうだけど、

ここではデュエルディスクを使うデュエルが

主流だしな。

 

それに、《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》のカッコいいソリッドビジョンを

他のデュエリストに見せつけたいし」

 

 

「勝手にしてください」

 

 

「そういえばアンタ、何のために

未来から やって来たんだ?

この時代で やり直したい事でもあるのか?」

 

 

「ハッ、そうでした。

あなたに負けたショックで、

すっかり忘れていましたよ。

あなたの腕を見込んで、

やってほしい事があります」

 

 

「さっき俺が手を差しのべたら

『ふん、あなたの手助けなど必要ありません!』とか

言ってたじゃないか」

 

 

「あれは怒りに任せて言っただけです。

忘れてください」

 

 

「ゴメン無理……と言いたいところだが

話だけでも聞いてやろう」

 

 

「ありがとうございます。

改めて言いますが、私は

2024年の世界から、

2009年の この時代に来ました」

 

 

「うん知ってる」

 

 

「あなたにやってほしい事は

シンクロ召喚以外の召喚法を

これ以上、増やさないよう

カードを制作している会社に

入社していただきたいのです!」

 

 

「どういう事だ?」

 

 

「このまま時が過ぎると

デュエルの世界に

新しい召喚法が

3年に1度のペースで増えていくのですよ」

 

 

「それの何がいけないんだ?」

 

 

「カードパワーのインフレです。

召喚法の増殖により

相手のカード効果発動を無効にできる

強力なモンスターカードを

1ターン目から

何体も出せるようになる環境が訪れます。

私はそれが気に入らない! 」

 

 

「だったら、お前がカード会社に入社して

未来を変えればいいだろ」

 

 

「そうしたいのですが

あなたにデュエルで負けた事で

この時代での滞在可能時間が

減ってしまいました。

 

 

まあ元々、6時間しか滞在できませんがね。

しかし、未来を変えるには6時間では足りない。

だからこそ、この時代の人々に頼む事にしたのです。

つまり あなたに!」

 

 

「しかし、どこの誰かも分からない

初対面の人に

そんな大事な事を頼まれてもなあ」

 

 

「デュエルをすれば

分かりあえると思っていましたが、

あなたは例外のようですね……

 

分かりました。私の過去をお伝えしましょう。

この話を聞いた後は、

私への信頼度が

爆上がりしていることでしょう」

 

 

「それはないだろうけど

聞かせてくれ」

 

 

「……私は元々、この時代から数百年後の

この世界で暮らしていました」

 

 

「15年後から来たって言ってたくせに」

 

 

「まあ、最後まで聞いてください。

 

数百年後の世界は

『暴走した機械』達に

ほとんどの生命体が滅ぼされ、

生き残った者も少なかった。

 

 

私はある日、その機械に殺されかけた。

その時、何者かが現れ

私を救ってくれたのです。

その人こそ、我が師匠ゾーン!」

 

 

「ゾーン……聞いた事ないな。

俺、記憶喪失状態だし」

 

 

「では、この話を記憶に刻みなさい。

 

私の師匠、ゾーンは科学者でした。

彼は世界を救うため

私のような生き残りを集める旅をしながら

 

時間移動の技術を研究していたのです。

世界を救うために

過去を変えるという話を聞いて

私は感動し

科学者として弟子入りした。

 

 

そして、タイムマシンの試作品が完成したが

それを使うと元の時代に戻れない問題点がありました。

 

それを解決するためには

誰かがタイムマシンに乗って

新たな実験データを提供するしかなかった。

 

安全なテストを重ねて

調整する時間が無かったのです。

 

そんな悠長な事をしていたら

ゾーンの崇高な目的を達成する前に

人類が滅んでしまう状況でした。

 

 

だから私が実験台を名乗り出て、

試作品のタイムマシンに乗りました。

ゾーン師匠のためなら

死んでも構わないと思っていましたからね」

 

 

「もう信者レベルじゃないか。

それで、試作品タイムマシンを使って

どうなったんだ」

 

 

「私が試作品タイムマシンで行き着いた先は

2010年。今から1年後の世界です。

 

タイムマシンは壊れたため、

元の時代には帰れなくなり、

私は、その世界で暮らす事にしました。

 

そして時が経過し、

ゾーン師匠の時間移動実験が

成功した事を知りました」

 

 

「元の時代に帰れないのに、

なんで分かるんだよ」

 

「なぜなら、我が師匠ゾーンが

テレビに出ていたからです」

 

 

「へえ、有名人じゃん」

 

 

「ええ、後に『アーククレイドル事件』と呼ばれる

ネオドミノシティでの危機が

生中継されていましたからね。

 

未来の事なので詳しくは言えませんが

首謀者である我が師匠ゾーンが

ネオドミノシティを滅ぼすため

大事件を起こし、それが中継されたのです。

 

 

テレビで『私はゾーン!』と

自己紹介している師匠を見て、

私は涙して中継を見ていました。

 

『ゾーン師匠、時間移動の技術がついに完成したのですね!』 と思いながら。

 

しかも、私がゾーン師匠に聞かされていた

アーククレイドル計画を

プラン通りに実行されていて

私は感動しました」

 

 

「それで、アンタの師匠はどうなったんだ?」

 

 

「あぁ、思い出すだけでも悲しいのですが

あれだけ『未来を変える!』と言ってた師匠でしたが、

不動 遊星にデュエルを挑まれて敗北し

アーククレイドル計画を阻止された上に

 

敵である遊星に

未来を託して死んでしまいました。

 

 

その後

遊星の作った科学技術のおかげで、

破滅の未来は回避されましたが

 

 

その代わり、

デュエルの世界では

新ルールが追加されまくり

 

相手のソリティアを何分も眺め、

自分のターンでは何もできないという

絶望的なデュエル環境になりました。

 

私は14年ほど、つまり2024年まで

その世界で暮らして様子を見ていましたが、

もう我慢ならないと思い

 

タイムマシンの技術を応用し

自分の体だけで時間移動する技を体得した。

その力を使って、この時代に来たというわけです」

 

 

「なるほどな。お前の過去は

よく分かった。

(話が長過ぎてちょっと寝ちゃったけど)」

 

 

 

「それでは、改めて お願いします!

カード会社に入社して

デュエルの未来を変えてください

ルーティさん!」

 

 

 

 

 

「ゴメン無理」

 

 

「えぇ!?」

 

 

 

「話を聞くとは言ったが

協力するとは言ってない。

他のデュエリストに頼んでくれ。

ただ、お前の警告は受け止めた」

 

 

「不動遊星も、ゾーン師匠に似たような事を言ってましたね……

警告を聞くだけじゃダメなのに!」

 

 

「アンタ、口約束を信じないタイプだな?」

 

「ふん、もういいですよ!」

 

未来人はカバンから水筒を取り出し

飲み始めた。

 

 

「プハー! 分かりました。

もう あなたには頼みません!」

 

 

「なんだ!? その特製ドリンクは?

お前の声が急に高音になったぞ!

科学の力ってスゲー!」

 

 

「これは私の体質です!

酒を飲むと声が高くなるんですよ!」

 

 

「じゃあそれは、ただの酒か?」

 

 

「そう。交渉に失敗した時は

ヤケ酒に限ります!」

 

「そ、そうなんだ」

 

 

 

「そろそろ滞在時間も限界ですね。

私、歌を習ってたんですが

別れる前に

私の歌を聞いてもらえますか?」

 

 

「ああ、出会った記念に聞いてやる」

 

 

 

 

「では、いきます」

 

未来人は、ゆっくりと踊り始め

高い声で、ゆっくりと歌い始めた。

 

 

 

「♪未来を救ってくれと

た~のんだら~

断られてしまいまーした~

チックショオオォォォーーッ!」

 

 

 

未来人は捨て台詞を残し

瞬時に消えた。

 

 

 

「未来へ帰ってしまったか……

断ったら顔色が変わってたし

嘘でも協力するって言えば良かったかな?

 

まあいいや。不動遊星を見つけて

デュエルディスクを改造してもらうぜ!」

 

 

ルーティは、不動 遊星を探すため

サテライトの探索を続けるのであった。

 

【続く】

 

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