FOXに脳を焼かれた、PMC兵士達のお話   作:アッポラピッタポン

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タイトル詐欺の様で申し訳ありませんが、脳を焼かれるシーンはしばらく後になります、ご了承ください。


RAPTOR小隊

 

 

 

キヴォトスでも屈指の治安の悪さを誇る、ブラックマーケット

 

 その治安の悪さと引き換えに、ここでは手に入らない物などないと言われており、日用品から法令に反する化学兵器まで幅広い物が揃っている。

 学籍の無いチンピラの多くも金さえあれば問題ないブラックマーケットを好んでおり、この灰色の都市は日夜確実に勢力を広げている。

 

 そんなブラックマーケットの数ある路地裏の一つ、そこで1人の少女が走っていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 いや、逃げている、という表現の方が正しいだろう。

 少女の服は砂煙で汚れており、普段の彼女なら顔をしかめただろう。

 だが、今の彼女にはそんな事を考える余裕などなかった。

 

 少女はかなり減ってしまった酸素を取り込みつつ、必死に頭を回転させる。

 しかし、頭に思い浮かぶのは「理解が出来ない」という事だけだった。

 

「なんで……?そんなはずは……」

 

喉の奥から声が漏れ、何度も同じ言葉を繰り返す。

それなりの規模のヘルメット団に所属していたはずだ。

マーケットガードだって何度も出し抜いてきた。

自分も団長や先輩ほどではないけれど、戦闘は出来た。

 

今回の依頼も簡単だった、護衛されている物品を奪ってきて欲しい、という今までとそう変わらない依頼だったが、油断はなかったはずだ。

狭い通路に入ったのを確認してから攻撃を仕掛けた、手応えも……

 

「あれ……?」

 

そこで少女は違和感を覚える、何故戦闘中に気づかなかったのかは分からない

整ってきた呼吸によって入ってきた酸素で、少女は違和感に気づく。

 

「最初に手榴弾を投げたのに、なんで傷1つなかったんだろう……?」

「いつもなら注意を引くはずの子達が居なかったのは?」

「自分の横で戦っていた先輩が居なくなっていたのは?」

「本当にこっちが先に撃っていたのか?」

 

改めて考えると不自然な点が多すぎる、とそこまで考えて少女は思考を切り替える。

 

「……とりあえず、合流しないと……」

 

作戦前に団長が言っていた非常時の集合場所へ向かう。

そこには恐らく、逃げ延びたであろう団員もいるはずだ。

敵が誰であれ、態勢を立て直さなければならない。

 

止まっていた足を再び動かし、廃工場に足を向ける。

少し止まっていたおかげか、足は軽く走れる程度には回復していた。

 

「先輩……無事だと良いんだけど……っ!?」

 

背後からの足音に反射的に振り返る、しかし、見えるのは転がっているゴミと壁から飛び出ているパイプのみ、人の気配はまったくない。

 

「……流石に気を張りすぎか」

 

と、前に歩き出そうとした時

 

 

 

 

「やぁ嬢ちゃん、少し止まってくれねぇか?」

目の前に立つ、人影を見つけた。

 

目の前に立つ人影は、少し薄暗い裏路地の色に馴染んでおり、輪郭がはっきりとは見えない。

だが、その中でもはっきりと視認出来るものがある。

複数の目(・・・・)だ、強く緑に光っている多数の——少なくとも10個以上の——目がこちらを見ている。

 

 

「っ!?」

さっき言っていた様に、戦闘に慣れていた少女はすぐに銃を構える。

 

(相手は1人、まだ銃を構えてすらいない!先に撃てさえすれば…)

銃口を相手に向けて、トリガーに指をかける。

 

 (切り抜けら——

しかし、そこまでだった。

 

「え?」

 

パシュン、という小さな音と共に少女のヘイローと意識が消え、路地裏に少女の体が転がる。

 

「おぉ?案外素早かったな、躊躇いが無いのはいい事だが、オレが一般人だったらどうするつもりだったんだろうな?」

 

男は腰に拳銃を戻しつつビルを見ながら、通信でそこにいるであろう男と会話する。

 

『安心して……オレもRAPTOR2が目の前に突然現れたら撃ってる』

「ハハッ!流石に冗談だよな?クールなスナイパー様のジョークってやつだろ?」

『…………』

「せめてなんか言ってくんね?」

 

『ハァ……早く隊長に報告したら?』

 

小言を言えとは言ってないんだがなぁ、とぶつくさ言いながら通信相手を変える。

「あー、こちらRAPTOR2、逃げ出してた奴の処理は終わったぜー」

 

『……RAPTOR1了解、他に何かあったか?』

 

『RAPTOR3よりRAPTOR1へ、恐らく逃げ出した方向的に見て、近くの廃工場をねぐらにしてる……』

 

報告を受けた後、隊長らしき男は全体通信に切り替える。

 

「……小隊各員は護衛任務が終了した後、速やかに残党処理に移れ」

 

 

『RAPTOR2了解した』

『RAPTOR3了解……』

『RAPTOR5了解!!』

『うるさっ、……RAPTOR6了解』

『RAPTOR7了解』

『RAPTOR8了解しました』

 

 

 

「では、各員元の位置に戻れ、護衛任務を継続する」

 

この日、キヴォトスからヘルメット団が1つ消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘルメット団を壊滅させ、空き地に簀巻きにして放置し、ヴァルキューレに匿名で通報した後、RAPTOR1とRAPTOR2はカイザーの社長室に呼ばれていた。

 

 

「よく来てくれたな、RAPTOR小隊」

 

 

社長室の椅子に座りながら、小隊の前でそう言うのはカイザーコーポレーションのトップに立つ者、プレジデントだった。

羽織っている服の左胸には金色に輝くカイザーのマークがあり、今のプレジデントの機嫌を示すかの様に、上機嫌に揺れている。

 

その横には、後ろに両手を組んだままこちらを見つめるジェネラルの姿もある。

こちらもいつもと変わらず、仏頂面を崩しておらず、機嫌を伺う事は出来ない。

 

黙っていたジェネラルが少し顔を厳しくし、RAPTOR1に言葉を投げる。

「少し遅かったのでは?」 

 

「……すまなかった」

「はいはい、誠に申し訳ございませんでした、ジェネラル殿は本日もお元気そうで何よりです、その大らかさは天をも突き抜ける様で……」 

 

素直に謝ったRAPTOR1とは対照的にRAPTOR2が少しおちゃらけて、へりくだった言い方をすると

「RAPTOR1すまない、問い詰める意図はなかった……RAPTOR2、お前に敬語を使われると寒気がする、普通に話せ……」

 

ジェネラルの仏頂面が崩れて、僅かに不機嫌そうな顔が覗いた。

 

「流石に酷くね?」

「……フッ……」

「え?隊長も(同意見)か?」

 

3人の空気が少し緩んだところで

 

「さて、旧交を温めるのも良いが、本題に入ろうか?」

3人のやり取りを少し微笑ましそうに見ていたプレジデントが話を始める。

 

何の話題が出て来るかと思案していると、その話題はあまりにも身近な物だった。

 

「ここ数週間で様々な事件が起きたが……」

「君達の意見を聞きたい、連邦生徒会の会長(超人)は本当に失踪したと思うかね?」

 

自由に発言してくれて結構だ、というプレジデントの言葉によってRAPTOR1は言葉を選びながら、自身の見解を述べる。

 

「……失踪した、と見ていいだろう……」

 

「その根拠は?」

プレジデントは目を細め、次の言葉を待っていた。

 

「……事実として、姿を現さない事、連邦生徒会が事情説明をしていない事で

理由としては十分だろう……」

 

「そうだな、俺も同意見だ、仮に失踪していなくても、この治安率の低下を解決できてない時点で連邦生徒会は力を失ってる」

 

どちらにせよ、連邦生徒会は麻痺している。

 

RAPTOR1にRAPTOR2が同意見である事を示す。

 

それを見たプレジデントは信頼出来る者達と意見を一致させた事に対して、満足そうに頷く。

一見すれば、過剰な盲信にも見えるそれは、キヴォトスを支えるカイザーグループの長、という功績の前ではただの信頼でしかなかった。

 

「そうだ、企業を拡大するチャンスとも言える、だが……」

そこでプレジデントは言葉を切りながら席を立ち、窓の外を見つめる。

 

その目は、眼下のブラックマーケットではなく、遥か彼方にあるサンクトゥムタワーに向いている様だった。

 

「これは私の勘だが——

 

キヴォトスが大きく変わろうとしているかもしれない」

 

自身で勘だと言っておきながら、確実に起こる事のように話す。

 

噂に聞く、トリニティの預言者の様。

そこには、カイザーをたったの1代で大企業にした自分自身への信頼が確かにあった。

 

「それを我々に伝える理由は?」

 

その質問にプレジデントは鼻歌混じりに杖を回しながら答えた。

 

「君なら いや、君達なら私の勘を信じてくれるだろう?」

 

振り返るプレジデントと視線が合う、たった1年半程度の付き合いだが、その言葉が本心であることを理解するのには十分な期間だった。

 

「違うかね?」

「……了解した、ではその信頼に応えよう、失礼する」

 

プレジデントからの念押しの様な言葉に、若干の喜びを感じながらも、部屋を出ようと背を向けたRAPTOR1にプレジデントは、あぁそうだと問いかける。

 

 

「君は設立された理由を今でも覚えているか?」

 

その言葉に足を止め、ドアを押す手を止めて、向かい直す。

思い出すのは、プレジデントがRAPTOR小隊設立を決めた際に我々に言った言葉

SOF隊員達の前で高らかに宣言する姿は脳裏に焼き付いていた。

 

「……SOF1期生で、あの言葉を忘れる様な事はありえない」

 

「『我々はもう兵士達が(絶対的な強者)に怯えていた頃に戻ってはならない』……私だけではなく、RAPTOR(不可視の猛禽)の名を冠する全隊員が覚えている……」

 

暗に、それが自分の信念になっている事を明かしつつ、扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……我々は望む、7つの嘆きを。

……我々は覚えている、ジュリコの古則を。

 

 

 

 

 

 

  運命の日は訪れた。

 

 

 

この日から、RAPTOR小隊はキヴォトスを巻き込む様々な事件に巻き込まれる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

RAPTOR小隊

カイザーPMCの特殊部隊であり設立は1年半前、2年前のSRT特殊学園所属のFOX小隊によるカイザーインダストリー第二工場への襲撃事件を機にプレジデントによって提案、設立された。

その目的には様々な任務があるが、最大の主目的はSRT所属の小隊がカイザーグループの不祥事に関する資料を入手する事を妨害することである。

普段はブラックマーケットで傭兵をしている。

 

『彼らの武器は最新の装備でも威圧的な見た目でもなく、勝利する為に備えられた知識と執念である』

 

プレジデント ????作戦開始時より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





誤字脱字、タグ追加ありましたら、ご報告下さい。

ジェネラルとかを強キャラにして欲しかった。

第3者視点難しい

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