FOXに脳を焼かれた、PMC兵士達のお話 作:アッポラピッタポン
——ブラックマーケット RAPTOR小隊隠れ家
今となっては、見慣れたものである、半地下の入り口に入る。
暗証番号を打ち込みドアを開けると、まるで悪役の会議室の様な配置のソファが並んでいる。
見慣れているはずなのに、何度見ても顔をしかめてしまう。
別に配置が気に入らない訳ではなく、配置に合わないソファが気になっているだけである。
ちなみに提案はRAPTOR2、RAPTOR3、RAPTOR7の3人である。
見てみると、隊員は全員その部屋に揃っているようで、各々が自由に過ごしていた。
「RAPTOR2、RAPTOR1と共に帰還したぜ」
その言葉に各々が自由な行動をとり始める。
「おかえり、チョコ菓子買ってきてくれた?」
ある者は報告よりも、チョコ菓子を優先し
「で?ジェネラルは小言とか言ってたの?」
ある者は上司に対してなんの敬意も払わず
「……zzz……」
ある者は夢の国に旅立ち
「お帰りなさい隊長!帰ってきてから早速で申し訳ないんですが先日の……」
ある者は真面目に仕事をこなしていた
「はぁ……せめて一言労えよ、一応副隊長なんだが?」
あまりに自由な状態と、まるでパシリの様な扱いに思わず絶句するRAPTOR2
しかし、残念ながらこの程度で追撃が止まるはずなく……
「長期作戦中に軽口叩くのやめられたら、考えてやるよ」
「そういや副隊長だったな、RAPTOR6の方が事務作業得意だから忘れてたわ」
「……残当」
「いじめか?いじめなのか?」
と、容赦無く袋叩きにされているRAPTOR2を横目にRAPTOR1は駆け寄ってきた隊員から資料を受け取る。
「……すまない、助かった」
「いえいえ!これくらいならすぐに終わりますので!!」
「……ありがとう、休憩してくれてかまわない」
「わかりました!」
この駆け寄って来た隊員はHOMEと呼ばれていて、小隊で唯一SOFから直接所属している。
入隊当時はいざこざもあったが、今では頼れる後輩として、小隊員の輸送などを行っている。
ソファに座ったRAPTOR1は特殊部隊の部屋にしては柔らかすぎるソファに座り、資料に目を通す。
その資料は数年前からカイザー理事が行っている、アビドス砂漠での発掘事業の物だった。
(今の所は問題なさそうだな……付近の土地も次々と差し押さえている)
(見つかるのも時間の問題か……)
(残っているのは……アビドス高校?)
資料の中に頑なに土地を売らない学校を見つけ、自分の記憶を頼りに思い出そうとしていると、背後から声をかけられる。
「何を見てるんです?」
「……アビドス高校について、何か知ってるか?」
資料を覗きこんで来たRAPTOR5に問いを投げる。
「えーっと?アビドス?って砂漠の……あぁ理事が何やら頑張ってるところですか……自分はちょっと……誰か分かる奴いるか?」
気付くと静まり返っていて、自分達の話に耳を傾けていた隊員達は互いに話を振り合った。
「……知らないな……」
「アビドスの高校?……全部廃校になったもんだと思ってたが……」
「いや、確か『暁のホルス』が在籍している所じゃないか?」
「『暁のホルス』ってあの?」
「……前生徒会長が死亡した後に去ったと聞いていたが……」
「あぁ、前に聞いたことがあるな、今は数名の生徒が頑張ってるらしい?」
「若いのにご苦労なこったな……他に行くって手もあるだろうに」
「なんでも、連邦生徒会からも支援が来てないらしいですよ?」
「「「「「「「で?なんで急にそんな事聞くんです?」」」」」」」
「……いや、たったの5人でヘルメット団を何度も撃退している、という記述があったから気になっただけだ」
理由はわからないが、支援も補給も無しであと何回戦闘行為ができるのかは、たかが知れている、時間の問題だろう。
頭の中でそう結論づけ、話を変える。
「……先程、プレジデントと連邦生徒会長が行方不明になったことについて、意見が合致した」
その声に、再び隊員達は自由に意見を言い始めた。
「生徒会長がいなくなった事で犯罪率は急上昇、おまけにSRTは出動できないってわけだ」
「連邦生徒会の弱点がまるまる出たって感じですね?」
「……あぁ、そしてプレジデントからは追加の任務が下った」
RAPTOR1の言葉に隊員から次々と疑問符が上がる。
「任務……ですか?我々の仮想敵であるSRTが動けない以上、今まで通り傭兵をやるのでは?」
「なんだよ……休みかと思ったのに……」
「なんだ?
「もし、そうならお前1人で行くんだなRAPTOR2」
「……いや、どちらかというと監視に近い」
ただでさえ混沌としている部屋の中で更に疑問符が加速する。
「どうやら近日中にキヴォトスが大きく変化する……らしい」
「らしい?……あぁ、いつもの勘ですか」
「あぁ……その変化の起点となる人物か出来事があるはずだ、それを発見しろとの事だ……」
「発見しろって……んな無茶苦茶な……」
「砂漠から砂金を見つけろって言ってる様な物では?」
「……めんどくさいな……」
「まぁ、これも仕事の内だ、仕方ないな」
はぁ、という言葉に包まれる会議室。
「……今日は休息でいいだろう、明日の8時にここに集合」
「「「「「「「……賛成!!解散!!」」」」」」」
命令と共に蜘蛛の子を散らす様に散らばっていく、隊員を見ながらRAPTOR1は諦めた様に、勘が杞憂で終わる事を願うのだった……
だが、数日後にはその願いは無惨にも破り捨てられ、砂漠の砂金どころか隕石クラスの発表により会議室は恐怖の声で溢れることになる。
「はぁ!?
「……悪夢か?一個人にこれだけの権力を?」
「クソっ!連邦生徒会は何考えてんだ!?」
「……生徒会長が考えた計画?あの女、破滅願望でもあったのか……?」
「フットワークの軽い超法規的機関?正気なのか……?」
「今度、プレジデントとジェネラルに胃薬差し入れてやろうかな……」
「………………はぁ、間違いなく変化するな……」
疲弊した頭に砂糖の入ったコーヒーを流し込みながら、RAPTOR1は思案する。
(まさか、ここまで分かりやすいとは思ってもなかったが、好都合ではあるか……?)
対策を立てるにせよ、まずは把握しなければ始まらない。
「……各員、装備の点検を始めろ……直接見てみるしかない」
「……了解」
「これ終わったら休暇とるか……」
「多分終わらないから、休暇は無いぞ……」
隊員達の愚痴を無視しながら、準備を進める。
「……装備は念の為、対人用の装備を持っていけ、無いだろうが、念の為だ」
「了解しました」
手慣れた様子で装備を着込んでいく。
「隊長!偵察ドローン全機積み込み終わりました!」
「わかった……シャーレの行き先はわかるか?」
「恐らくですが……進行方向的にアビドスに向かうかと!」
最近聞いたその土地名に思わず顔をしかめる。
「……アビドスか、この前の話のせいとは考えたくないな……」
「まったくですね……」
エンジンがかかり、唸り声を上げる中、急いで車体に乗り込む。
全員が(あの話、しなけりゃよかった)と考えながらも、シャーレが通るであろうルートに向かうのだった……
数十分程車に揺られ、目標地点に到着次第、散開する。
「……こちらRAPTOR1、全員聞こえてるか?」
砂まみれの廃墟となった建物の屋上から通信感度を試す。
『こちらRAPTOR2、問題ねぇな』
『……RAPTOR3、同じく』
『RAPTOR5、感度良好だ!』
『RAPTOR6、問題ないです』
『RAPTOR7、バッチし聞こえてる』
『RAPTOR8、大丈夫です』
『こちらHOME!偵察ドローンの発進が完了しました!」
「……全員通信が繋がるようで、何よりだ」
「これより、シャーレの監視任務を開始する」
「……見極めさせてもらおうか……」
「…………あの男……」
『隊長……それは流石に……」
『まさか、なぁ?』
認めたくたい現実が口から漏れ出る。
「……遭難してないか?」
『………………』
数時間後、RAPTOR小隊は混沌に陥っていた……
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