FOXに脳を焼かれた、PMC兵士達のお話 作:アッポラピッタポン
「……なるほど、ブラックマーケットでしか手に入らない違法兵器があったから探しに来た、と……学生にしては随分と思い切りがいいな」
お互いソファに座ったまま、アビドスの現状についての話を聞く。
今この部屋の中にいるのはRAPTOR1とRAPTOR2の2人だけであり、ホームは
食べ終わったケーキの皿を片付けるために部屋から出ていた。
「……それとも最近の学生はこれが普通なのか?そこのトリニティ生の様に」
「あはは……」
気まずそうに笑うヒフミ
「ヒフミさんは特別だと思います……それで、」
「ブラックマーケットに長くいるんでしょ?何か知ってるんじゃないの?」
ノノミの言葉をセリカが引き継ぎ、RAPTOR1に詰め寄る。
それに対して、横で立っていたRAPTOR2が返答する。
「そうは言われてもな……確かにブラックマーケットで長く傭兵をやってるが、別に兵器の専門家って訳じゃない」
「じゃあ結局何も分からないって事?」
「ん、振り出しに戻った……」
落胆するセリカとシロコに対して、RAPTOR1がだが、と言葉を続ける。
「兵器の専門家の知り合いがいない訳じゃない、ソイツに聞けば分かるかもしれん、俺が聞いておこう」
「えっ!?良いんですか?」
「本来なら依頼料を貰っておきたい所だが……」
依頼料の話を出されて一気に身構えるアビドスの生徒達
部屋の中が静寂によって支配されかけるが……
「……客人に対して銃口を向けた挙句、手ぶらで帰らせるなんてしたらウチの名前に傷がつく、タダで引き受けるから、さっきの事は黙っていてくれるとありがたい」
まぁ、この程度で傷がつくなんてありえないが、借りを作る事は避けたいからな、と横で話を聞くRAPTOR2は横で内心頷く。
「それに、行動はアレだが性格は確かな阿慈谷が連れてきた連中だ……信用しても良いだろう」
「え、えっ!わ、私ですか!?」
意外にも信用されていた事にヒフミだったが……
「ってのは建前でな、純粋な善意なんだが、ウチの隊長は恥ずかしがり屋だから理由をつけたがるんだよ」
言えばいいのにな、とRAPTOR1の横でRAPTOR2が笑いながら話す。
「……ホーク、お前は後で射撃訓練に付き合ってもらう……」
「おっと!オレはホームに話を通してくるから、これで失礼するぜ!」
RAPTOR1の方を向きながらゆっくりと後退りしながら隣室に向かい、バタンッとドアを閉めるRAPTOR2を見ながら、深い溜息を吐く。
「…………」
"あの……大丈夫?"
「大変そうだね〜?」
あまりにも顔が死んでいる事を心配する先生とホシノ
「……あぁ、大丈夫だ、最近射撃の的が不足していたのでな……」
(あ、あうぅ……)
(メチャクチャ怒ってる……)
(怒ってますね〜)
(ん、ホシノ先輩が怒った時に似てる)
(シ〜ロ〜コ〜ちゃ〜ん〜?)
(あっ……)
フフフッと下を向きながら不気味に笑っているRAPTOR1を見て、絶対に大丈夫ではない事を察する対策委員会の面々は、この気まずい空気から逃れようと、ケーキに手を伸ばすが、ケーキの皿はすでになく、もう食べ終わってしまった事を思い出し、先程の自分達を少々恨むのだった……
(数分後)
(別室)
「? さっきから隣が静かだな?なんかあったか?」
「……間違いなくお前の所為だろ……」
「空気凍ってましたよ……」
「……何があったか見てくるか、心配だしな」
「話きいてたか?」
「バカは話を聞けないからな……」
「……犯人は現場に戻る」
「お前ら全部聞こえてるからな!?」
対策委員会が完全に沈黙している一方、RAPTOR小隊が待機を命じられていた部屋はかなり騒がしかった、というのもRAPTOR2が突如として部屋に入ってきた挙句に、自分達に違法兵器の情報を調べさせたからだ、本来ならこの身勝手な副隊長の頭に数人で鉛玉をぶつけているが、大人しくしていろ、と言われている為に抑えている。
そんなこんなで殺意を抱きつつも目的の資料を探し出した、とは言え、カイザーグループに確認を取っただけだったが……
まとめた資料を見直し、机に置くRAPTOR2
「で?どうするよ、これ?」
こういう時だけ副隊長の風格を出すのが腹立たしいな、と思いながら、隊員達が自身の意見を出すが、殆どは渡す事に賛成だった。
「渡してもいいんじゃないか?、まだカイザーの一員だとバレてないしな」
「というか、我々に聞かなくても辿り着ける範囲だったからな」
「……嘘を言って、疑われるくらいなら……」
「俺は反対だな、カイザーにとって何の利益にもならない」
隊員の中で反対したのはカイザーに利益が無いと主張するRAPTOR7のみだった。
「確かにな……アウル、説得できるか?」
「はぁ、……スワローの意見にも一理ありますが、今はシャーレに目をつけられる方が驚異度が高い、何しろ超法規的機関です、どんないちゃもんでウチの強制捜査にくるか分かりません」
そしたら、カイザーとの繋がりが発覚して終わりです。とRAPTOR8が言うと、RAPTOR7は納得した様に軽く頷いた。
「なるほどな、どちらが損害を抑えられか、って話か」
「そうなりますね、副隊長これで良かったですか?」
「あぁ、これで決まりだな、じゃ、届けて来てくれ」
とHOMEに封筒を渡すと、RAPTOR2はソファに座る。
そして、数秒後には完全に寝た。
「……マジか?マジで寝てんのか?
「ある意味羨ましい才能ですね」
「……落書きでもするか?」
呆れている隊員達を横目に
「じゃあ、私はラプターに届けて来ますね!」
そう言うとHOMEはドアを開けて、隣の部屋に出て行った。
「隊長、持って来ました」
入室して来たHOMEが封筒をRAPTOR1に手渡し、RAPTOR1は中身を取り出し、軽く見た後、先生に手渡した。
"これが?"
「……報告書だ、先に言っておくが、誤情報じゃない事は断言する」
まぁ自分達の事だがら当たり前だがな、と言いそうになる口を抑えながら、封筒を渡す。
先生の手から、封筒が対策委員会の手に渡り、各々が内容を確認する。
「やっぱり、ヘルメット団の裏にはカイザーがいたんですね……」
「私達の支払った現金が闇銀行に……」
「よく数分でここまで細かく調べられたね?」
「……ウチはブラックマーケットで……いや、キヴォトスでもトップの傭兵だ、これくらいは容易い」
冷や汗を出しかけながらRAPTOR1は確かな自信と共に答える。
「だが、肝心の証拠まではどうしようもない、オフラインだからハッキングも無理だな、精々が現金輸送車を襲うくらいか?」
まぁ、流石に冗談だがな、と笑うRAPTOR1と対照的に、急に動きがぎこちなくなり始める対策委員会。
「……?どうしたんだ?」
"い、いやぁ?何も?"
「な、なんでもないわよ!」
「そ、そろそろ私達は失礼しますね〜」
「ん、このまま銀行をおs「シロコ先輩は黙ってて!」……ん」
「あ、あはは、それではラプターさんもお元気で!」
そのまま、ピューンという擬音が鳴っていそうなほどに、一瞬で対策委員会は出て行ってしまった……
「……?まさか本当に銀行を襲うのか?……まさかな」
いくら行動力があると言っても限度があるだろう、考え過ぎだと結論づけると
机の上に折り畳んで置いてあるメモ用紙を見つける。
「……小鳥遊ホシノだな」
メモの置いてあった位置から差し出し人を推定しながら、メモを開く
「……『女の子を監視するのは頂けないかな〜、次に見つけたら容赦しないよ』……バレていたか」
冷や汗をかく、驚異度を修正した方が良いだろう、3km離れた監視員を察知するとは何の冗談だろうか?
「……RAPTOR3、こちらRAPTOR1、監視任務は中止だ……あぁ、相手に気付かれていたらしい」
通信を切ると、RAPTOR1は椅子に座り、絞り出す様に呟く
「……化け物め」
(5時間後)
(カイザーコーポレーション社長室)
「……以上です」
「成る程な、流石は小鳥遊ホシノ、と言うべきかね?」
「脅威度は各学園の代表と同レベルと考えるべきだな、勘弁してほしいぜ」
少しの間を空けて、プレジデントが口を開く
「……RAPTOR1、君の目から見てシャーレの先生はどう映った?」
「……報告書通りに、性格は————」「違う」
言葉を遮るプレジデント
「君の主観が聞きたい」
主観?なら言うべき言葉は決まっている。
「……狂人だ、間違いない」
それを聞いたプレジデントは思わず笑いを堪える様に、口を押さえる
「ククッ……なるほどな、どうやら狂人と遭遇したのは私だけではないらしい」
「どういう意味だ?」
「先程、連邦生徒会の防衛室長、不知火カヤと接触した」
いや、させられた、が正しいなと、プレジデントは言い直す。
思わず、絶句する。
カイザーのトップと防衛室のトップが接触する?
確かに今まで、末端同士で汚職は多々あった、だがトップ同士が直接接触?
ありえない、あってはならない事だろう
情報の整理が追いつかない中、更に爆弾が投下される。
「更に、だ。不知火カヤの後ろには」
FOX小隊が控えていた。
「「!?」」
余りにも情報が多すぎて、頭がショートしかけるが、それでもプレジデントは機嫌が良さそうに笑っている。
「恐らくだが、あの防衛室長はシャーレと同じ類の狂人だ」
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