FOXに脳を焼かれた、PMC兵士達のお話   作:アッポラピッタポン

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FOXエミュレート難しい


合同作戦

 

 

 

 

例の発表から数時間後、RAPTOR小隊は基地に戻り、互いに会話を交わしながら装備の点検をしていた。

 

 

椅子に座り、向かい合いながら準備を進める。

「明日か……ここまで急な作戦発表は……結構あったな」

 

「そりゃ、普段はSRTの動きに合わせて動いてるからな、殆ど急だろ」

 

「……偶に待ち構えたりするけどな……」

 

「そんな事言ってないで点検をして下さい、特にRAPTOR3は今の私達の隊唯一のマークスマン(狙撃手)なんですから、向こうに恥じる事が無いように」

注意され、面倒くさそうに装備に目をやる。

 

「……お互い様でしょ、そっちも2人しかいないポイントマン(装甲兵)なんだからさ……」

 

「お互いに気をつけよう、という話ですよこれは」

 

「ハイハイ……亡きRAPTOR4の代わりに2人分頑張るよ」

 

「勝手に殺さないで下さいね……」

 

「本人の前で言うなよ?銃床で殴られるぞ」

 

「言った事あるんですか!?」

 

「RAPTOR7は言わなくていい事を言うからな」

 

「お前も言えたモンじゃないからな?RAPTOR5(爆弾魔)、この前見た時、体にダイナマイト巻き付けたテロリストかなんかかと思ったぜ」

 

「ふぅ……やっとヘリの整備が終わりました、まさかSRTの方々を乗せるとは思いもしませんでしたが……」

 

 

各々が好き勝手に喋る中、全員がチラリと横を見る。

 

「…………………………」

「…………故障は……」

「……今の所は無いな……」

「そうか………………」

「…………………………」

 

そこには銃の整備をし続けるRAPTOR1とRAPTOR2の姿があった。

 

 

特に話す事が禁じられた訳でも無いのだが、いつもとは少し違う異様な雰囲気に隊員達は声をかける事が出来なくなっていた。

 

「……隊長はともかく、RAPTOR2が無言なのが怖いんですが……」

 

「機嫌悪いのか?」

 

「いや、多分違いますね」

そこに何となく状況を把握しているRAPTOR6が会話に割り込む。

 

「あれは恐らく、『SRTと共同作戦する事は嬉しいが、自分達にSRTが協力するのは解釈違いだ」という顔ですね」

 

 

「……めんどくさ……」

 

「厄介なファンみたいになってんな!」

 

「確かにある意味でSRTのファンみたいなもんだがな……」

 

「RAPTOR小隊はファンクラブだったって事か?」

 

「勘弁してくれよ……俺は会員番号5番ってか?」

 

「「「「「「ハハハハハッ!……真面目にやるか……」」」」」」

 

 

再開した数分後には装備の点検が終わり、全員の出撃準備が終了していた。

ヘリの中でRAPTOR1が確認をとる。

「……点検は終わったな?」

 

「全員確認済みです」

 

「HOME、ヘリ出してくれ、場所は予定通りに本社だ」

 

「了解しました」

 

HOMEがコックピットに座り、離陸準備を整える。

プロペラが回転数を上げ、機体を持ち上げる。

 

「……行くぞ」

 

RAPTOR1の呟きと共にヘリは離陸し、ブラックマーケットの中でも最も高い建物の屋上へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

(数分後)

 

 

 

 

カイザーコーポレーションの屋上にヘリが到着した。

もう随分慣れたヘリからの風を背に、RAPTOR小隊は真っ直ぐに建物内に入っていく。

 

入ってすぐに見慣れた顔がこちらを見ていた。

 

「予定の30分前だな」

 

「……お前が出迎えか、意外だなジェネラル」

 

 

 

その言葉に僅かながら顔を歪めるジェネラル

「別に出迎えたかった訳ではない、仮想敵しかいないブリーフィングルームにいるのに嫌気が刺しただけだ」

 

「おいおい、客の接待は主人の仕事だろ?」

 

「まぁまぁ、ジェネラルちゃんも思春期という事だろ」

 

「頭を吹き飛ばしてやろうか?」

 

「……さっさと行かね?」

 

「……お前は相変わらずだな、RAPTOR3…」

野次を飛ばされて、先程よりも更に顔を歪めながらもジェネラルは隊員達の先頭に立ち、ブリーフィングルームへの道を進む。

 

道中もジェネラルとの会話が弾んでいた。

 

「……作戦の説明は誰が?」

 

「本来なら担当が居るが、今回は私だ。全く……こちらも忙しいというのに」

「珍しいな、何かあったのか?」

 

そう問われ、先程とは違い苦々しそうに言葉を吐き出す。

 

「3時間前にアビドス高校の連中が基地を襲撃した、被害は戦車20両、攻撃ヘリ4機、兵士に至っては200名以上が戦闘不能だ、しかも、シャーレが同行していた所為で、不法侵入で罪にも問えない」

立場ではあくまでも、監査だからな、とジェネラルは拳を強く握り締めていた。

 

「……フットワークの軽い超法規的機関、か」

 

「自走判子でしょ、あれは」

 

「どっちにしろ私にもプレジデントにも悪夢以外の何者でもないがな……」

ほぼ諦めた顔でそう呟くジェネラルに一抹の哀れみを覚えながらも、一行はブリーフィングルームの前に到着した。

 

「失礼する」

 

ジェネラルがドアを開け、その先の視界が開放される。

 

 

 

 

 

「……流石に壮観だな」

声は出ないものの、全員がRAPTOR1の言葉に同意していた。

 

目の前に居るのは自分達が今まで何度も戦場で顔を合わせてきた相手

自分達と同じような格好に、自分達とは違う特徴的な耳を持つ少女達

 

彼女達の隊長が立ち上がり、こちらに歩を進める。

それに合わせる様にRAPTOR1が一歩前にでる。

 

「……初めまして、と言うには互いに銃口を向け合い過ぎているな」

 

「……確かにそうですね、ですが形だろうと自己紹介は必要です」

 

「……同感だな」

挨拶をしようとして思わず溢れた言葉に対して、相手は苦笑しながらも同意を示した。

 

少しの沈黙の後、手を前に出す。

「RAPTOR小隊隊長のRAPTOR1だ、宜しく頼む」

相手も同じ様に手を前に出して、握り返す。

 

「FOX小隊隊長の七度ユキノです、こちらこそよろしくお願いします」

 

ここに両隊は数ヶ月振りの思わぬ形での対面を果たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、感傷に浸るのはいいが作戦説明の後にしろ」

 

始めるぞ、とジェネラルがプロジェクターをいじり出し、両者とも手を離し、安っぽいパイプ椅子に座っていく。

 

全員の着席を確認した後にジェネラルが話し出す。

「3日前にアビドス砂漠に存在する補給拠点から突如として連絡が途絶えた、SOFが特殊偵察を実行した所、ヘルメット団の連中に制圧されていた、基地の人間も人質になっている、そこでコソコソとカイザーの補給物資を強奪しているらしい」

 

その言葉に、ジェネラルを含めたその場に居合わせた全員が呆れ顔をするしかなかった。

ブリーフィングルームが嫌な静寂に包まれた後、口火を切ったのはポイントマンの少女、クルミだった。

 

「……一応正規兵なのにチンピラに負けるって……」

 

「盾の嬢ちゃんの言う通りだ、返す言葉もないな……」

椅子に背を預けて、顔に手を当てるRAPTOR7の言葉に全員が頷く。

「一般兵の訓練どうなってんだよジェネラル、ヴァルキューレの方がマシじゃないのか」

 

「今は一般兵の訓練よりも、問題の解決が先だ単細胞め!」

 

「今のアウトだろ!」

RAPTOR2の言葉に分かりやすくキレているジェネラルに対して、FOX小隊のスナイパー、オトギが疑問を投げる。

 

「問題の解決って言うけどさぁ、正直ヘルメット団相手だったら、この人達だけでいいんじゃないかな?遅れを取るとは思わないけどねぇ?」

 

「それは同感ですね、私達が参加する必要は感じません」

ユキノが同意を示すと同時に、ジェネラルが少し言い淀みながら回答する。

 

「……良い質問をありがとう、どこぞのバカも見習って欲しいものだが……っと話がズレたな、何故FOX小隊が参加するのか、これは勿論カイザーと防衛室の親睦を深める為でもあるが、一番の理由は別にある……この基地にはある新兵器が輸送されていた、これだ」

 

ジェネラルが手に持つスイッチを押すと、画像が切り替わり新兵器が写し出される。

 

それはRAPTORとFOXのどちらも見た事が無いものだった。

 

「……これが新兵器か?」

 

「ミレニアムが作ってそうだな」

「何メートルあるのよ……コレ」

「ざっと12メートルくらいか、嬢ちゃんの10倍位じゃないのか?」

「私そんなに小さく無いわよ!」

「作るの面倒くさそうな見た目だ……」

「だいぶ装甲が厚そうだね」

 

2脚で立つ大型のロボットは両腕があるはずの場所にそれぞれガトリング砲がついており、コックピットの上には巨大極まる砲身が付いていた。

 

「これがカイザーの開発した新兵器『ゴリアテ』だ、本来なら2日前には理事の下に届くはずだったが……ご覧の通りだ」

 

「……これを奪い返して来い、と」

 

「ゴリアテが無ければSOF1小隊でカタが付くが、戦闘で傷をつけられてはたまらないのでね」

 

「基地と新兵器を無傷で、ということですね?ジェネラル」

 

「……まぁ、基地は最悪の場合傷がついても構わない」

 

ジェネラルの発言にRAPTOR小隊に激震が走る。

 

 

 

 

 

 

無論、悪い方にだが

 

 

「ジェネラルが、妥協した……?」

「ブラック企業ならぬブラック作戦を強要して来たヤツが?」

「風邪でもひいたか?」

「コイツ偽物だろ」

「狐の嬢ちゃん達の前だから、萎縮してんだろ」

 

その言葉にRAPTOR2が FOX1の前に跪く。

「成程な、ユキノ小隊長、俺たちの給料を2倍に上げるようにジェネラルに言ってくれ、作戦が終わったら焼肉を奢ると約束しよう」

「え、わ、分かりました……?」

「ユキノちゃん!?」

「ハハッ!盾の嬢ちゃんもなんか頼んだらどうだ?今ならカイザーのNo.2をパシリに出来るぞ」

「いやいいわよ!普通に関係悪化するじゃない!?あと盾の嬢ちゃんじゃ無くてクルミよ!」

「……騒がしい……」

「みんな元気だねぇ」

 

両隊が自由に言い合っている合間にジェネラルは壇上で頭を抱えていた。

 

「コイツらは私の事を何だと思っているんだ?」

その肩にそっと手を当てるRAPTOR1

 

「…………風邪には気をつけろよ、ジェネラル」

「アナタも言うのか!?」

 

「ジェネラル!水10杯持って来いよ!」

「天然水な!天然水!」

「お前らは一旦黙れ!FOXを見習え!チンピラか!」

「……買って来ましょうか?」

「HOME、これはジェネラルが買ってくるから面白いんだ」

「成程……」

 

 

「成程、ではない!!!」

 

 

狭いブリーフィングルームにジェネラルの叫びが響いた。

上階で仕事をしていたプレジデント曰く

 

「驚いて書類の山をひっくり返した」

らしい。

 

聞いた時にはRAPTOR2が過呼吸を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(それは置いておいて)

 

「後は勝手にしろ!こちらも仕事がある!」と頭から湯気を出しつつ、ジェネラルは資料を各員に配った後に出て行ってしまった。

ちゃんと資料を配る所は生真面目だな、と全員で思いつつも、資料に目を通していく。

 

「レーダー設備はしっかりしてるわね……何で制圧されたのかしら……」

 

「この時間は確か警備の交代時間だったはずだ、その隙を突かれた、と見るべきだろうな」

 

「交代時間が漏れていた、と?」

 

「偶々か、読まれたか、誰かが裏切ったか、ねぇ」

 

「……情報部が尻尾を掴むだろう、今は基地の攻略だ」

 

「地上3階地下1階、大規模だね」

「地下は独房か、人質はここだな」

「まぁ、他に無いしねぇ」

「ゴリアテは第二倉庫か、基地内の戦闘の被害は考えなくて良さそうだな」

「基地の周りは砂丘だ、接近は出来る」

「見張りを排除したら……」

「お好きな様に、か」

 

ある程度意見が纏まると、少し散らかったパイプ椅子を直しながら全員がたちあがる。

 

「HOME、ヘリは直ぐに出せるか?」

 

「はい!今日のは20人乗りの子なので弾薬を大量に乗せられますね」

 

FOX小隊の皆さんも弾薬が必要になりましたらいつでも言ってください!と熱く呼びかけられ、ニコが質問をする。

 

「いつも1人でサポートしてるんですか?」

 

「はい、今日は自爆ドローンは積んでないので、先輩方のオペレーターくらいですかね?あっ!もちろん今日は皆さんのも担当します、気合いが入りますね!」

 

「ジェネラルの事ブラックだの何だの言ってたけど、アンタ達も大差無いわね……」

クルミに哀れみの視線を向けられたHOMEは慌てて、首を横に振った。

 

「いえ、RAPTORでは全員がこれくらいはやりますから、私1人が大変というわけではありません」

 

「「…………スーッ……」」

 

「なんか2人程効いてる人がいますけど……」

HOMEの何の嫌味も含まれていない言葉が、作戦の最中に軽口の多いRAPTOR2と RAPTOR5の胸に突き刺さる。

 

2人がこれからの自分達の行動に自戒する様に善処しようとしている間にHOMEがコックピットに座り、ヘリを起動する。

 

来た時とは違う向かい風に押されながらも、全員がヘリに乗った事を確認してドアは閉じられた。

数秒後に来る浮遊感を各々が予想していると、RAPTOR1から声がかかる。

 

「……この作戦は俺が代表者にはなっているが、実質的には2つの小隊が別々に作戦行動をする事になる、だが通信回線は共有する構わないな?」

 

「はい、こちらも誤射は避けたいですから」

 

ユキノの相槌を確認した後に、この名前の無い作戦の始まりを告げる行動を命令する。

 

「全隊員、端末を同期しろ、回線は————」

その言葉に一糸の乱れもなく、ヘッドセットを装着する。

 

 

『RAPTOR1より全隊員へ、聞こえているか?』

『こちらRAPTOR2、いつも通りだな』

『RAPTOR3問題無し……相変わらず耳に響く』

『RAPTOR5問題無し、もうちょい綺麗に聞こえないもんかね』

『RAPTOR6も同じく、同期完了しました』

『RAPTOR7、問題ないぜ!』

『RAPTOR8同期完了、RAPTAR7声を抑えて下さいね』

耳にいつもの声が響いた後に、いつもとは違う声が耳に流れ込む。

 

『FOX1同期しました、少し新鮮な感じがしますね』

『FOX2同期が完了しました、確かに普段とは違うね』

『FOX3繋がったわね!なんかいつもよりもうるさい気がするわ』

『FOX4同期したよ、うーん耳がザワつくねぇ』

 

『……全員繋がったな、では、始めようか』

 

『目的は基地の奪還及び人質の解放と新兵器の奪還だ』

 

その声にいつも部下への信頼と新しい戦友への期待を乗せて、RAPTAR1は言葉を繋ぐ。

 

『……常人ならば、全てを同時にこなす事は困難を極めるだろう、だがここには『キヴォトス最高の特殊部隊』が2つも揃っている』

 

『全てを完璧に終わらせて、よく眠るとしよう』

 

 

『全隊員の奮闘に期待する』

 

激励の言葉は機内に響き士気を高めつつも、既に太陽の沈んだアビドス砂漠へと向かうのだった……

 

 

 

 

 

 




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