先生が嫌いな捻くれ孤独生徒 作:ぱぶし
また、先に書いていた分が全て消化されたので文章の誤字や謎文章が増える可能性があります。
ご了承ください。
「...っと、無理するから...」
抱擁感。
一体、何が起きた?
ま...まさか...!?
「離れて下さい。」
出来る限り冷静さを保ちながら私は抵抗を示す。
平然と年頃の女性を抱擁するとは...下心があるのかどうか分からないがとりあえず気持ち悪い。
結果的には助かったがそれでも気持ち悪い。
「駄目だよ、君歩けないでしょう?」
「...はぁ」
先生が言うことは道理が通ってはいるが、全くもって不愉快だ。今すぐにでも突き放したい。
「ね...ねえ先生」
「君達の事は後でしっかりと聞かせてもらうよ。だけど今はそれどころじゃないからね。」
先生の無機質な返答に押し黙る彼女達。
あれだけ私には威勢の良い言葉を使っていた彼女らでもこの大人には文句ひとつも言えないのか。
「それじゃあ、行くよ。」
「...まさかこの状態で?」
私の返答に先生は笑顔で答える。
もはや反論する気力は、私にはもう無かった。
――――――
トリニティの医務室なんて、今日が初めてだ。
流石マンモス校といった所だろうか、医療体制はほぼ完璧。まあ、肝心な医師の動きが少々ぎこちないのは所詮部活だからだろうか?
救護騎士団。
あまりいい噂は聞かないのであまり長居はしたくない。特に部長の”ミネ”という奴にだけは会いたくない。
「気分は?」
「最低です、帰宅を申請します。」
この期に及んでこの大人は何を言っているのだろうか?
気分?そんなもの最低に決まっているだろう?
猛犬がいる監獄にでも放り投げられた気分だ。
「ははは、元気そうだね。」
「それ本気で言ってるのなら先生の方こそ治療してもらった方が良いですよ?特に頭とか。」
本心である。
この大人は何処かおかしい。今すぐにでも病棟にぶち込むべきだ。
...大体、ただえさえ貧弱な先生が、何故私を背負ってここまで連れて来たのだろうか?
馬鹿なのか?いやきっと馬鹿だ。
一般キヴォトス人より弱い私より更に弱い先生がすることではない。せめて周りに協力を仰いだのならまだ理解が出来る。
だが何を思ったのかこの大人はただの一人だけで私をここまで運んできたのだ。
「私は別におかしいところなんてないよ。...本当に大丈夫?一応今日はここで安静にしてもらうけど。」
「いや先生は...って今なんて言いました?」
「え?おかしいところなんて」
「その後です。」
「安静にしてもらうけど?」
「本気で何言ってるんですか先生。」
今日一日ここで安静にしていろ?何を馬鹿な事を言い出すんだこの大人は。
この医務室にいるだけで身の危険を感じるのに、一日?泊まれといったのか?
というかリナの様子も見に行かなければならないし、私にはここに長くいるわけにはいかないのだ。
「私もう大丈夫なんで、帰りまッ...!?」
激痛。
立ち上がろうとしたその瞬間に頭に電流が走ったかのように鈍い痛みが走る。
「無理に立ち上がろうとしないで!傷口開いちゃうから!」
「ック...なんで...」
「間近で手榴弾の爆発を受けたんだよ?傷も深いし...幸い大事にはならないそうだけど。」
心配そうな目でこちらを見てくる先生。
こんな大人に心配されたくない。私は別に...
「ウッ...」
鈍痛。
身体を動かそうとすると頭が割れそうな勢いだ。
医務室に着いた時に応急処置として包帯を巻いた為傷口は自分では確認は出来ないが、深いのは確かに間違いない。
だからと言って、なんだ。
痛みなんて耐えればいい物だ。どうせ死ぬ訳でも無い。
「駄目だよ動かないで!」
「はぁッ...っく...」
立ち上がろうとと手に力を入れようとするが、全くビクともしない。
ああ、つくづく嫌になってくる。
どうして私の体はこうも脆いのだろうか。
こんなことをしている場合じゃないのに、今日、やるべきことがまだあるのに。
「ほら横になって、取り合えず落ち着いて!」
五月蝿いな。
なんで大人なんかに...どうして
「今日はここを借りるって救護騎士団にももう連絡したから」
「なんなんだよアンタはッ!!!」
私の声に驚いた様子を見せる先生。
心の中で、この人に感情をぶつけるのは違うと何かが言っているが、もう言葉が止められない。
「同情?何?勝手に哀れまないでよ!勝手に保護者気取りしないで!!」
「...」
「私は、私は可哀そうなんかじゃない。困ってない。助けなんていらない。だからもう近づかないで!」
「そういうの、ホントに気持ち悪いッ...。」
医務室が沈黙に包まれる。
こちらを医務室にいる生徒が冷たい目線で見ている。
何が違うというのだ。
勝手に同情なんて、気持ちが悪い。
「...それに、先生。なんで私の妹と会ったんですか?」
「...え?」
「妹から聞きましたよ。私が虐められてるか聞いたみたいですね。」
「ちょっと待って、話が読めないんだけど。」
「惚けないで下さい。...一体、私の何が目的なんですか貴方は。」
混乱に満ちた表情を浮かべる先生。
自分の不都合がバレた瞬間はどの人間もこのような表情をする。本当に滑稽で醜悪だ。
「本当に覚えがないんだけど...いつどこの話...?」
この期に及んでまだ隠し通すつもりなのかこの大人は。
いや、元来大人とはそういう生き物か。
大人は嘘や隠し事を通すのが得意なのだ。だからこそこの状況に混乱しているのだろう。
他生徒にはこれで通せたか知らないが、私には浅すぎる。
「シラトリ第3中央病院209号室です。...これでもしらばっくれるつもりなら、看護師に連絡して監視カメラを確認させて貰いますが?」
「待って、それって...」
「コマチさん!?」
突然勢い良く開かれた扉から1人の少女が飛び出してきた。
"残念ながら"この声には聞き覚えがある。
「紅茶鳥...」
「その呼び方はやめて下さいと言ったはずですが...ってそんな事より大丈夫ですか!?」
周りの生徒達全員がザワつく、先生も状況が読めずフリーズ状態だ。
無理もない。
その入ってきた少女の名前は桐藤ナギサ。
トリニティ総合学園、ティーパーティーの一人である。