異世界戦記   作:日本武尊

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第七十六話 中間補給拠点奇襲

 

 

 

 

 あれから更に二ヵ月の月日が流れる。

 

 

 

 そろそろ年が越しそうになるこの時期のとある海域。

 

 

 そこには前回テロル諸島を襲撃したロヴィエア連邦国軍の中間補給拠点があった。

 

 大きな島を中心に、大中小の大きさの島々がある群島で、大中の大きさの島にはそれぞれ補給物資が偽装されて格納されている。

 

 少し前に幻影艦隊による攻撃で湾口施設と集積所が破壊されたものも、被害はそれほど無く物資の損失も少なかったとあり、少しの間警戒しつつ、物資の集積を続けていた。

 

 しかし通信施設の一部が破壊されているので、若干通信が通じづらい状況が続いていた。実際哨戒艦からの報告が途切れ途切れになっている。

 

 現在再度テロル諸島の攻略の為に多くの陸海空の戦力が集結しつつあった。

 

 輸送船からは次々と弾薬や榴弾砲、戦車などが下ろされて一旦集積所へと集められている。

 

 港には多くの軍艦が停泊しており、今は居ないが航行演習の為にソヴィエツキー・ソユーズ級戦艦を含めた艦隊とウクライナ級航空母艦を中核にした機動部隊が群島周囲を航行している。

 

 ロヴィエア連邦軍の兵士が見張り塔から双眼鏡を使って周囲を見張っていた。

 

 兵士は夜通し見張っていたので、眠気が襲っていた。そして大きな欠伸をした時だった。

 

 

 

「ん?」

 

 すると聞いた事が無い音がして兵士は顔を上げる。

 

 そしてその音がした直後、港に何かが落ちて来て爆発を起こす。

 

「なっ!?」

 

 突然の爆発に兵士が驚くが、その間にも次々と港の各所で爆発が起きる。

 

 兵士が上空を見上げると、次々と細長い物体が海の方から飛んできていた。

 

「何だ!? 何が起きているんだ!?」

 

 全く状況が把握できず兵士は狼狽するが、直後に彼が居る見張り塔にもその細長い物体が直撃し、爆発と共に彼はこの世から消え去る。

 

 

 

 

 群島から大きく離れた沖合いには近代化改装が施された扶桑国海軍の高雄型重巡洋艦4隻と妙高型重巡洋艦4隻の計8隻が島に向けて『87式艦対地誘導弾』を船体に埋め込んだVLSから次々と発射していた。

 

 放たれた87式艦対地誘導弾は島全体を狙うように飛翔し、次々と着弾して爆発を起こす。

 

 その周囲にははるな型護衛艦とたちかぜ型護衛艦、最近就役した『はつゆき型護衛艦』が展開して艦隊を護衛している。

 

 更にその遥か後方では翔鶴型原子力航空母艦一番艦『翔鶴』二番艦『瑞鶴』の第五航空戦隊。三番艦『蒼鶴』四番艦『飛鶴』の第六航空戦隊が艦載機の発進準備を行っていた。

 その近くでは信濃、大鳳、大峰の第四航空戦隊から閃雷や彗星、流星が油圧式カタパルトを使い、次々と発艦する。

 

 翔鶴型原子力空母の甲板には新鋭艦載機烈風が対地攻撃及び対艦攻撃装備を施して駐機待機しており、艦首側の甲板にある蒸気カタパルトに二機の烈風が位置に着くと、順にカタパルトを使って発艦していく。

 

 

「始まりましたな」

 

「うむ」

 

 第五航空戦隊の旗艦である翔鶴の艦橋で司令長官原忠一中将は艦長の言葉に軽く頷くと、次々とカタパルトを使って発艦する烈風を見る。

 

「しかし、これほどの戦力を投入するとは、司令部も中々豪勢ですな」

 

「前回のテロル諸島での報復もあるのだろうが、まぁ第六航空戦隊の蒼鶴と飛鶴の実戦投入もあるのだろう。それと烈風もな」

 

「なるほど」

 

「まぁ、予定されていた編成では無いが、これだけの戦力があれば島を落とすのは容易い」

 

 本来なら艦隊には『天照』と呼ばれる軍艦が編入する予定だったが、予想以上に工期が延びた為、就役に至らなかったので投入を断念していた。その代わり今後の作戦に投入される予定だ。

 

「しかし、例の装備を施した大和は果たして役立つでしょうか」 

 

「分からんな。だが、それは我々の知る所ではない。今は目の前の事に集中しよう」

 

「はい」

 

 二人は気を引き締め、前を見据える。

 

 

 

 各空母から飛び立った烈風はそれぞれの所属する母艦ごとに編隊を組み、中間補給基地を目指す。

 

 濃淡のある青系の色が入り混じった洋上迷彩の施された烈風にはそれぞれ両翼の付け根と尾翼先端に所属している母艦の示す色帯が施されている。

 第五航空戦隊は白い帯を持ち、翔鶴所属機は一本の白帯、瑞鶴所属機は二本の白帯を施されている。

 

 第六航空戦隊は黒い帯を持ち、蒼鶴、飛鶴の所属機はそれぞれ一本、二本の黒帯が施されている。

 

「これより、敵補給基地を破壊する。我ら翔鶴隊と蒼鶴隊は湾口施設を叩く。瑞鶴隊と飛鶴隊は敵飛行場を叩け!」

 

『了解!』

 

 翔鶴隊の隊長機のパイロットが指示を送って他の気体のパイロットが返事を返すと、編隊は中間補給基地へ向かう。

 

 

 

 各空母から飛び立った烈風は中間補給拠点へと殺到し、それぞれの攻撃目標に編隊ごと向かう。

 

 翔鶴隊と蒼鶴隊の烈風が港湾施設や弾薬集積所に向けて胴体に抱えている誘導爆弾や陸用爆弾を投下し、次々と各所を破壊していく。弾薬集積所に落ちた爆弾が爆発すれば、集積された弾薬に引火し、大爆発を起こす。

 対艦装備を施した烈風は湾内に停泊している空母や巡洋艦に向けて両翼のハードポイントに装着された空対艦誘導弾を放ち、誘導弾は船体か上部構造物に直撃させて損傷を与える。誘導弾の直撃を受けた空母は格納庫内で爆発を起こし、格納されていた航空機を破壊し尽す。

 

 飛行場に殺到した瑞鶴隊と飛鶴隊の烈風各機は爆弾を投下して滑走路と格納庫を破壊し、その後機銃掃射を行って滑走路の脇に駐機されている航空機を破壊する。

 

 そして遅れて閃雷と流星、彗星が到着し、破壊されていない施設に向けて爆弾を投下、ロケット弾を発射して破壊する。それ以外に先ほどの攻撃から生き残った艦船に爆弾やロケット弾を使い、艦船は湾内に大破着底する。

 

 

 

 

 

「司令大変です! 補給基地が襲撃を受けています!」

 

「何だと!?」

 

 航行演習を行っていた艦隊の旗艦のソビエツキー・グルジアの艦橋で艦隊司令が報告を聞き、目を見開く。

 

「どこからだの攻撃だ!?」

 

「詳細は不明ですが、恐らく扶桑軍によるものかと」

 

「扶桑……そうか、やつらが。いや、前回のことを考えれば、そこ以外にありえんか」

 

 艦隊司令はすぐに理解し、頭を切り替える。

 

「艦隊、最大戦速!! 偵察機を出せ! そう遠くない所に敵機動部隊がいるはずだ! 機動部隊にも伝えろ!」

 

「ハッ!」

 

 すぐに艦隊司令の命令が各艦に伝えられ、速度を上げる。

 

(恐らく敵の目的は補給基地の殲滅だ。だとするなら上陸部隊が居るはずだ)

 

 艦隊司令はそう予想するが、その予想は当たっていた。

 

 扶桑国海軍の機動部隊とは別に行動する上陸部隊は水上打撃艦隊の護衛の下、島を目指している。

 

(ここを破壊されれば、扶桑国への攻撃は実質不可能になる。それだけは避けなければ)

 

 艦艇の航続距離を考えれば、中間補給基地を無くせば扶桑国がある大陸への攻撃の足がかりを失うことになる。ロヴィエア連邦国からすればそれは避けたかった。

 一応別のルートがあるものも、その場合はかなり遠回りになってしまうので、軍事目的上距離が長引くのは避けなければならない。

 

 と言っても、航行目的が軍事上ではなく、単なる輸送(・・)なら然したる問題は無いが。

 

 

 

 ―――ッ!!

 

 

 すると突然前方を航行していたソビエツキー・ソユーズ級戦艦の周りに巨大な水柱が上がると同時に、鈍い金属音と共に第二主砲塔と第三種砲塔がひしゃげ、その瞬間大爆発を起こし、船体は三つに分断される。

 

「なっ!?」

 

 突然の出来事に艦隊司令を含む誰もが目を見開く。

 

「そ、ソビエツキー・ラトビアが。い、一体何が起きたのだ!?」

 

 船体を三つに分断されて轟沈するソビエツキー・ラトビアを見ながら艦隊司令は叫ぶ。

 

「お、恐らく砲撃かと」

 

「馬鹿な!? 強固な装甲を持つソビエツキー・ソユーズ級があっさりと沈むはずが無い!」

 

「で、ですが、現に轟沈しています。見張り員! 一体何をしていたんだ!」

 

 艦長は艦隊司令に一言言うと、すぐに見張り所に繋がっている伝声管に向かって叫ぶ。

 

『それが、敵艦の姿は見当たりません!』

 

「そんな馬鹿なことがあるか! 現に砲撃が来たのだぞ!」

 

 艦長は見張り員からの報告に思わず怒鳴り返す。

 

 彼らが慌てるのも無理は無い。

 

 現時点で長距離攻撃を可能としているのは戦艦の主砲か、航空機による攻撃だけだ。しかし後者なら航空機が必ず居るはずだ。しかしそれが確認できない以上前者のみとなる。

 もちろん潜水艦による雷撃の可能性だってあるが、さっきの水柱は明らかに思い何かが高速で落下したもの。その上甲板上に攻撃が直撃している以上、雷撃の可能性は無い。

 

 しかし戦艦による砲撃だとしても、命中率を上げるために必ず有効射程まで近付く必要がある。その為小さい黒点で艦影は補足できる。それが無いのはおかしいのだ。

 

 

 まぁ、彼らには想像出来ないだろう。

 

 

 相手がどんな攻撃を行ったかを。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 機動部隊から離れた海域では、近代化改装が施された最上型航空重巡洋艦と利根型航空重巡洋艦、阿賀野型軽巡洋艦、対空戦闘能力を強化した『秋月型防空駆逐艦』と共に扶桑型航空戦艦、伊勢型航空戦艦、天城型巡洋戦艦、戦艦陸奥とその他で構成される戦艦部隊が上陸部隊を護衛しつつ島へと接近していた。

 その中には書類上は長門型戦艦と準同型艦とされている『吉備型戦艦』の一番艦吉備と二番艦長門も含まれる。

 

 吉備型戦艦は外見こそ長門型戦艦を模しているが、中身は最新鋭の技術が詰め込まれており、現時点で扶桑海軍に籍を置いている戦艦の中では電子機器面では性能が高い。

 

 これは今後戦艦を建造する試験的な意味合いが強い。

 

 その中に、一際目立つ戦艦が戦艦部隊を率いるように航行している。

 

 それこそが更なる大改装を施された、大和型戦艦一番艦大和である。

 

 紀伊型戦艦に匹敵するぐらいに拡大化された船体に大型化された砲塔と、そこから伸びる四角い砲身を除けば、速射砲と機関砲群、各種誘導弾発射機、レーダーの交換や追加等、他の戦艦同様の近代化改装が施されている。

 

 そしてその主砲は右方向を向いて、従来の軍艦に見られる円筒型の砲身とは異なる四角い砲身の砲口からは熱を放っている。

 

 

「敵SS(ソビエツキー・ソユーズ)級、轟沈しました」

 

 大和のCICで索敵機からの報告を通信主が伝えると、誰もがその報告に息を飲む。

 

「す、凄い……」

 

「これが、『超電磁砲』の威力か」 

 

 大和の艦長は先ほど使用された大和の新たな力を口にする。

 

 

 

『超電磁砲』

 

 正式名称『試製零式46cm超電磁投射砲』と呼ばれる、正式な名称ではないが、最も分かりやすく言うならば、レールガンである。

 

 超電磁砲の構造を説明すると長く複雑なものになって何のこっちゃとなるが、ざっと言えば二本のレールに直流電力を流して伝導体製の弾丸を磁場の相互作用によって加速させて発射するものだ。発射後は90式戦車の滑空砲から放たれるAPFSDSのように伝道体製のサボットから砲弾が放たれる仕組みとなっている。

 

 扶桑国内における超電磁砲の開発は以前から行われていたが、開発は難航していた。

 

 発射時に必要となる電力の供給は辛うじて何とか解決出来たのだが、発射時の熱量に手を焼かされていた。

 

 発射時に発生する膨大な熱に毎回砲身が融解し、連続発射ができない欠陥があり、何度も耐熱合金を組み合わせて試したが、結果は芳しくなかった。

 

 しかしゲルマニア公国から提供されたフレアメタルを用いることで砲身融解が無くなり、連続発射に耐えられるようになった。

 とは言っても、それでも従来の戦艦の主砲身の寿命と比べると、大分短いのが現状で、現在更なる耐熱性能を上げる為、ゲルマニア公国の技術者達と共にフレアメタルの改善を行っている。

 

 それ以外では魔法技術を応用することで解決し、ようやく実用レベルまでに辿り着けたのだ。

 

 しかし、現時点で開発できる超電磁砲のサイズは巨大で、尚且つ発射速度を上げる為に砲身を長くしなければならず、その上大和型戦艦クラスの船体を持つ戦艦にしか搭載できないのが欠点だ。しかも発射時に必要な電力を供給させる為に必要な設備も搭載しなければならない。

 そして仮に今より小型化しても、構造上軍艦にしか搭載できないと言うのもあるので、実質海軍のみでしか運用できない。

 

 

 戦艦大和が船体を拡大化したのは、この超電磁砲を使用するに必要な電力を発生させる為の動力機関と、それを保護する為の特殊複合装甲を搭載する為だ。

 そして大和にはこの超電磁砲を運用するために、艦船用の原子炉が搭載されているのだ。

 

 前線で戦う戦艦に危険度の高い原子炉を搭載するのはリスクが高いが、扶桑国で開発された原子炉は放射能や汚染物質を出さないとあって、仮に撃沈されて原子炉が破壊されても、放射能で汚染される心配は無い。まぁ当然原子炉が暴走して破壊されれば、核爆発が起きるが。

 

 とはいえど、現時点で発電能力が高いのは原子炉だけだった。その為、原子炉を守る防護壁は原子力航空母艦や原子力潜水艦とは比べ物にならないぐらいに強固なものとなっている。

 

 危険性は激増したが、それを以ってして、大和はこれまでにない強大な力を手にした。

 

 現に46cm砲にも耐えられる強固な装甲を持つソビエツキー・ソユーズ級を敵の視認範囲外からの砲撃で轟沈させた。

 

 そして初弾で命中させたのも、砲撃支援システムと、当システムにより各種データから出された敵の予測針路と、砲術長の技量によるものだ。

 

 しかも更なる改良が施されれば、今後の軍艦にこの超電磁砲が搭載されるだろう、とのことだ。

 

 

「凄い! この超電磁砲さえあれば、戦艦はまだまだやれます!」

 

「うむ」

 

 大和の艦長は砲雷長の言葉に頷く。

 

「だが、やはりまだ満足に運用できると言うわけではない、か」

 

 艦長はモニターに表示されている主砲関連の問題項目を見る。

 

 超電磁砲を発射した後、電力不足と砲身冷却、システム障害と、次々と報告が入っていた。

 

 まぁだからこそ、発射前に予備電源に切り替えて、充填した電力も通常よりも20%多めに溜めていたので、大きな支障をきたすことはなかった。

 

 しかしそれでも多くの兵装が使用不能に陥っているので、主力兵装となるにはまだまだ課題が多い。

 

「次弾発射まで一時間半。だが、逆に言えばそれだけの時間で撃てるのか」

 

 艦長はそう呟くと、気を引き締める。

 

「主砲発射まで、対艦誘導弾による攻撃を行う! 各艦に打電!」

 

「了解! 対艦誘導弾発射用意!」

 

 砲雷長はすぐに指示を出し、大和の右舷にある発射機から88式艦対艦誘導弾が発射される。

 

 同時に各戦艦と航空重巡洋艦からも88式艦対艦誘導弾が敵艦隊に向けて発射される。

 

 

 

「もっと近付け! 主砲の射程距離に入り次第、敵艦隊に砲弾を叩き込め!」

 

 ソビエツキー・グルジアの艦橋で艦隊司令が叫ぶ。

 

(敵がどんな攻撃をしたかはこの際いい。ラトビアが沈められたのは痛いが、上陸部隊を伴っている以上、動きは限られる)

 

 動きの遅い上陸部隊を伴っている以上、護衛の艦隊は動きを制限される。そこに付け入る隙があると彼は考えている。

 

(見ていろ。グルジアの主砲でラトビアの仇を討ってやる!) 

 

 

『レーダーに感! 右舷方向から高速で接近中の物体あり!!』

 

「っ! 対空戦闘! 撃ち落せ!」

 

 艦隊司令は本能的に危機を察知して、各艦に対空戦闘を指示する。というのも、前回の戦闘に関する報告を聞いていたので、警戒心が研ぎ澄まされていた。

 

 各艦は機関砲や速射砲を高速飛翔体が向かってくる方向を向け、一斉に放って弾幕を張る。

 

 その弾幕の中を高速で飛翔する88式艦対艦誘導弾は何発か砲弾の破裂時の破片や弾丸に貫かれて破壊されるが、残りはそのスピードを生かして弾丸や砲弾の雨を潜り抜ける。

 

 そして一番近くに居る駆逐艦に一発命中し、艦内部で爆発し、竜骨諸共船体を真っ二つに折る。

 

 続けて他の駆逐艦や巡洋艦に命中していき、轟沈か大破にしていく。

 

 そしてソビエツキー・グルジアにも次々と対艦誘導弾が命中する。 

 

「ぬぅ!」

 

「ひ、被害報告!」

 

『右舷速射砲及び機関砲破損! 死傷者多数!』

 

『されどバイタルパートに損傷軽微!』

 

 ダメコン班からの報告に艦隊司令は安堵の息を吐く。

 

 実質46センチクラスの砲弾の直撃に耐えられる強固な装甲を持っているとあって、対艦誘導弾の直撃を受けても被害は予想よりも低かった。

 

 まぁ、当然それは直撃したミサイルが一発ならの話であるが……

 

 

『高速飛翔体! 更に接近!』

 

 レーダー員からの報告に、誰もが青ざめる。

 

 ソビエツキー・グルジアは主砲を交えて高速飛翔体を迎撃するも、速射砲と機関砲を破壊されたことで弾幕の密度は薄くなり、誘導弾を撃墜出来ないで居た。

 

 そして多数の誘導弾がソビエツキー・グルジアに直撃し、その内一発が艦橋に直撃し、艦体司令を含む艦橋要員が戦死した。

 

 

 その後超電磁砲に電力供給が完了した大和がもはや漂流しているソビエツキー・グルジアに照準を定め、轟音と共に超電磁砲が伝導性のサボットに包まれた弾体を飛ばす。伝導性のサボットを脱ぎ捨てた弾体が超音速でソビエツキー・グルジアへと突き進み、船体に直撃して強固な装甲を突き破って弾薬庫を破壊し、大爆発と共に船体は粉々に粉砕され、海中に没したのだった。

 

 

 その後残存艦艇は接近した航空重巡と戦艦の砲撃を受け、一部の駆逐艦が降伏するのだった。

 

 

 そして別に行動していた機動部隊は敵艦隊を発見し、攻撃隊を発艦させたが、その際上空では翔鶴より飛び立った艦上機仕様の鷹目が目撃し、攻撃隊発艦と機動部隊発見の報を入れる。

 

 直後に対艦装備を施した烈風が翔鶴、瑞鶴、蒼鶴、飛鶴の四隻より飛び立って敵機動部隊殲滅へと向かい、すぐに防空艦隊が艦対空誘導弾をレーダーに映る敵攻撃隊に向けて発射する。

 

 攻撃隊は飛来した艦対空誘導弾によりその多くが撃ち落されるも、何とか生き残った機は更に接近するも周囲に展開していた護衛艦の正確無比な単装速射砲による射撃により、次々と撃ち落されていき、最後までの残った攻撃隊も機銃による弾幕により、艦体に辿り着く事も無く全滅するのだった。

 

 その後飛び立った烈風航空隊はその速度を生かして敵機動部隊の上空に飛来し、対艦誘導弾を艦隊上空付近で一斉に放ち、Uターンして母艦へと戻る。

 そして放たれた対艦誘導弾は機動部隊の空母へと襲い掛かり、直撃した飛行甲板を貫通して格納庫内で爆発し、第二次攻撃隊発進で準備していた攻撃機と爆撃機が爆弾と魚雷に燃料へと引火して、次々と爆発を起こして誘爆し、遂には船体を真っ二つにするほどの大爆発を起こした。

 

 それが他の空母でも起きて、一瞬にして機動部隊の空母は壊滅状態にへと陥る。

 

 機動部隊の護衛として随伴していた巡洋艦や駆逐艦、戦艦は一矢報いようと機動部隊へと向かうが、近くの海域に潜伏していた幻影艦隊の潜水艦による雷撃が行われ、駆逐艦、巡洋艦を優先して魚雷が命中し、戦艦を残して全滅するのだった

 

 そしてその戦艦も状況的不利を悟り、乗員の人命を優先して降伏するのだった、

 

 

 これにより、中間補給拠点に居た艦隊は一部を除いて壊滅し、制空、制海権は完全に扶桑国側の手に渡った。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「撃ち方ぁ、始めぇっ!!」

 

 艦長の指示と共に、長門の40cm砲が轟音と共に火を吹き、40cmの榴弾が放たれる。それと同時に他の戦艦も40cm砲から轟音と共に榴弾を放つ。

 

 放たれた榴弾は群島の中央にある大きな島の沿岸防衛線に降り注ぎ、防衛戦力を次々と粉砕していく。その上空を伊勢と日向、扶桑、山城から飛び立った陸軍の大鷲が飛行し、敵兵に向けて機銃掃射およびロケット弾の攻撃が行われる。

 

 他の基地がある島々にも航空重巡洋艦が砲撃を行い、航空重巡洋艦から飛び立った陸軍の小鷹が機銃とロケット弾、有線式対戦車誘導弾を用いて防衛戦力を粉砕する。

 

 ちなみに大和も艦砲射撃に参加する予定だったが、超電磁砲が故障して砲撃不能となったので、現在は艦隊防衛の為に速射砲や機関砲を上空に向けて警戒している。

 

 沿岸線の防衛戦力を粗方片付け、上陸部隊が行動を開始する。

 

『秋津型強襲揚陸艦』から海兵隊所属の90式戦車や『92式装甲車』、歩兵を乗せたLCACや『89式水陸両用装甲車』が発進し、浜辺を目指す。

 上空援護のため、秋津型強襲揚陸艦の甲板から陸軍の小鷹や大鷲が飛び立ち、上空から敵兵を威嚇する。

 

 浜辺に到着したLCACは前部ハッチを開けて90式戦車と装甲車、歩兵を降ろし、89式水陸両用装甲車が上陸し、後部ハッチが開いて歩兵が降りる。

 

 最初こそ敵は抵抗していたものも、艦砲射撃や航空攻撃でその多くの戦力を失っていたので、その攻撃はまばらだった。そして直後には上空を飛ぶ小鷹や大鷲の餌食となる運命を辿った。

 残された防衛戦力も上陸した海兵隊の攻撃で次第に数を減らしていく。

 

 

 

 そして遂にロヴィエア連邦国軍の中間補給拠点は陥落し、扶桑国の国旗が島に翻る。

 

 

 


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