其れは神と紡ぐ物語 作:FF8リメイク待ってます
メインで書いているやつの息抜きとして不定期に更新していきます。
なお作者のFF13一推しキャラはサッズです。
はるか昔、はじまりの女神ムインが世界を形作った。世界は可視世界(現実世界)とヴァルハラ(死後の世界)の二つに分かれ、それぞれの世界に混沌が均等にあることで、お互いが侵食し合うことなく共存できていた。
そして女神ムインはその混沌を管理し、世界の存続を担う文字通りの世界の守り神であった。
ある日、ムインは新しき神ブーニベルゼを生み出した。それが孤独に耐えかねてなのか、はたまた自身の代わりが欲しかったのか、それはわからない。だが、確かなのはこの決断が悲劇を招いてしまったということだ。
生み出されたブーニベルゼが母であるムインに反旗を翻し、彼女を討とうしたのだ。重傷を負った彼女はヴァルハラへと逃げ込み、ブーニベルゼから隠れ潜むことを選んだ。
その結果、混沌の管理者となる者が消えたことで、調和を保っていた可視世界とヴァルハラの均衡が崩れ、世界は崩壊に向かって行った。
これに焦ったのはブーニベルゼだ。彼は混沌を生まれながらに知覚する術が存在しなかった。だから世界の崩壊の真の原因を知ることが出来ず、全ての原因をヴァルハラに逃げた母ムインにあると勘違いしたのだ。
彼はムインの完全なる消滅が世界の調和を取り戻す術だと信じ、彼女を滅ぼすために三柱の神を創造した。
それが、パルス、エトロ、リンゼの三神。ブーニベルゼの目的に沿って動く眷属。それを彼はファルシと呼び、三神にムインの元へ通じるヴァルハラへの道の捜索を命じたのだ。
生み出された三神のうち、パルスとリンゼにはそれぞれ父であるブーニベルゼと同じ、眷属、ファルシを生み出す力が備わっていた。彼らはそれぞれ自分たちのしもべとなるファルシを創造し、リンゼは空に世界を作り天空から、パルスは地上を開拓して下からヴァルハラを探し始めた。
しかしただ一柱、何の力も与えられなかった神がいた。
それが女神エトロ。なぜブーニベルゼが彼女に力を与えなかったのかは定かではない。何か考えがあったのか、はたまた母であるムインと同じ女神であった彼女に思うところがあったのか。
どちらにしろ、己が生まれた目的を果たせないことを知ったエトロは嘆き悲しみ、自らの手で命を絶った。
だがそこで、一つ目の奇跡があった。彼女が死に際に流した涙から新しい命「人間」が生まれたのだ。
そしてエトロ自身もまた、死んだことで期せずして女神ムインが隠れるヴァルハラへと辿り着いてしまった。
そこで彼女は女神ムインと出会った。ブーニベルゼからムイン討伐の使命を受けて生み出されたエトロがなぜムインをそこで殺さなかったのか、それは誰にもわからない。
もしかしたら、父から愛されなかった彼女は、叔母のよう存在であるムインに愛情を求めてしまったのかもしれない。
そして彼女はムインから混沌と、それによる世界の均衡について教えを受けた。
だが、それがムインの最後となった。ブーニベルゼから受けた傷は彼女の存在を蝕み、それでも彼女は愛した世界を守ってくれる後継者となる者を待ち続けたのだ。ムインはエトロの前で、管理し続けてきた混沌に飲まれ完全に消滅した。
そしてエトロはムインの意志と役目を継ぎ、第二の世界の守り神となった。
彼女は自身の涙から生まれた、自分の子供と言ってもいい「人間」にヴァルハラから混沌を分け与えることで世界のバランスを保つことにした。
混沌、またの名を「心」をエトロは人に与えたのだ。
人間が心を持つことで、ヴァルハラの混沌は減少し、可視世界の混沌が増えて二つの世界の均衡は取り戻された。彼女は期せずして、父ブーニベルゼの願いさえも叶えたのだ。
だが、ブーニベルゼも彼女の兄弟とも言えるパルスもリンゼも、ムインの消滅を感じとることができなかった。それどころか、世界が滅びより回避されたことを知る前にブーニベルゼは眠りにつき、パルスとリンゼはすでに存在しないムインを倒すためにヴァルハラへの道を探し続けることになったのだ。
そして長い年月の末、パルスとリンゼはヴァルハラへと行く方法にたどり着いた。それが大量の人間の命。
彼らが死ぬことで魂がヴァルハラへと向かうことを突き止めた彼らは、同時に大勢の人間が死ねば、それを受け入れるためにヴァルハラへの道が広がり、自分達でも通れるほどになるのではと推測した。
故に二柱の神は計画した。人間の養殖と絶滅を。
リンゼは自分のファルシに人間たちを保護させ、モンスターや自然の脅威がない安全な空中で人間たちをサポート、養殖させるように命じた。
彼のファルシたちは人間のための天上の楽園、「コクーン」を建造し、そこで人間たちを来るべき摘み取りの日まで育て続けた。
そしてパルスは、自身のファルシにその来るべき日まで地上での探索を続けさせ、同時にコクーンを破壊する時を待ち続けるように命じた。
そして幾星霜の末、コクーンで育てられた人間たちは彼らが楽園と信じた世界ごと燃やされることになる。
だがその未来は訪れなかった。神々の思惑を知った勇気ある人の手によって、人々はファルシの思惑から解放された。
そして、これから語られるのはもしもの話。正史とは異なる存在によってもたらされた悪夢と、そしてそれを塗り替える希望の話だ。
物語のプロローグは変わらない。ブーニベルゼはムインを害し、エトロは死んでヴァルハラに向かう。パルスもリンゼも人間を養殖して滅ぼす計画を立てる。
違うのは、エトロが死ぬまで。もし彼女の側にリンゼが創造したファルシがいたら。そのファルシがエトロから影響を受け、コクーンで人間を養殖しながらも、人への興味を捨てきれなかったら?
これはそんな僅かな違いが導く、全く異なる物語。