ミカが死んでしまい絶望していたがタイムスリップをしたのでミカに愛を叫びに行く感じの先×ミカSS   作:水野 四十坂Q

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外野

「──緊急事態です」

 

 キヴォトス三大校が一角、トリニティ総合学園。その生徒会こと、ティーパーティにて。

 

 現ホスト、桐藤(きりふじ)ナギサは同じくティーパーティ所属である、百合園(ゆりぞの)セイアを呼び出していた。

 

「急だね。まあ、何を言わんとしているかは概ね、察しているとも。ここに、ミカだけが呼ばれていないことと関係しているのだろう?」

「ええ、話が早くて助かります。本日の議題はまさにミカさん──いえ、ミカさんと先生の関係について、です」

「そうだろうね……」

 

 スッ……と、ナギサが音も無くティーカップをテーブルに置く。

 そのまま、両肘をテーブルにつき、両手の指を交差させて作った台に自らの口を被せるように乗せた。

 

「細かい前置きは抜きにします。ぶっちゃけ、あの二人、急に距離感が縮まってませんか?」

「そう見えるね」

「そう見えるね、ではないですよセイアさん! これは由々しき問題です! あのミカさんが!! あのミカさんがですよ!?!? いっつも避けられる前提でアプローチしていて、その実本気で仕掛けることを提案するといつもヘタれていたあのミカさんがです!! というか、それ以上に先生の態度がありえません!! あの人、なんだかんだ言って誰ともくっつかない雰囲気を垂れ流していたでしょう!?!? どういうことですか!?!? 私達の知らないところで何があったんですか!?!? いつ!! どこで!?!? 関係が発展したのか!! ナニがあったのか!!!! 我々はそれを知らなくてはなりません!!!!」

「あまり大声を出すのは下品だよ……というか、肩を掴んで揺らすのはやめてくれ」

「これが落ち着いていられますでしょうか!!!!」

「せめて会話の文脈を繋げる言語能力は保持していてくれないか……」

 

 ぜー、はー、とナギサは肩で息をする。その額には僅かだが汗を浮かべており、日頃ティーパーティにおいて最も模範的な態度をしていると言っても過言ではない彼女らしからぬ姿がそこにあった。

 

「ともかく、ともかくですよセイアさん」

「ああ、うん?」

「私達は今から、緊急で潜入捜査を開始します!! 目標地点はシャーレ、目的は先生とミカさんの現状の関係性、そして私達が預かり知らぬところで何が起きたのか判明させること、です!! メンバーは私とセイアさんで行きますよ! 既に変装用の服装は用意して来ました!!」

「そ、そうか……ちなみに、ティーパーティの業務はどうするつもりなんだい?」

「一旦すべて放置します! いえ、これが現時点のティーパーティが最優先で取り組むべき課題ですから!」

「そ、そ、そうか……」

 

 興奮冷めやらぬナギサの様子にセイアは困惑気味だったが、彼女もまた、ミカと先生の関係性に興味を強く引かれているという点に関しては同じである。

 そのため、そういえばナギサはこういうところがあったな……などと頭の中でだけ言いながら、大人しく彼女が用意した服装に着替えた。

 

「おお……足元がふかふかしていて面白いな」

「中々似合ってますよ」

「君もね」

「ありがとうございます」

 

 ナギサは淡いグレージュのほんの少し大きめのシャツに暗めの緑のスラックス。頭上にはベレー帽に、顔に明るめのサングラス。

 セイアは薄手のくすみピンクのパーカーにベージュフレアパンツ、黒いキャップに黒目のサングラスを。

 

 準備を済ませた両者は、「ザッ」と擬音がしそうなくらい、テンポを揃えた足並みで。

 

「では、行きましょうか」

「ああ」

 

 シャーレへと向かった。

 

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