本棚にある知らない本を手に取ったら異世界に飛ばされたんだが   作:ドラゴンスキー

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初投稿です。


第一話

俺の名前は佐藤優人(さとう ゆうと)。 特別何か誇れるものはない。読書を趣味とする、どこにでもいる普通の高校生だ。

 

昨日、終業式が終わり、今日から夏休みだ!と意気込んでいたところ、母親から部屋が汚すぎると掃除を命じられた。その叱責で意気揚々とした気持ちはすっかり萎えてしまった。

 

「はあ、夏休み初日だってのに……。」

 

深いため息を漏らしながら手を動かす。 自分が部屋を散らかしたのも、片付けを怠ったのも理解している。それでも納得がいかないのが思春期の高校生というものだ。

 

「俺は悪くねえ……忙しい高校生活のせいだ。」

 

そんな言い訳を心の中で呟きながら、整理を続ける。そのとき――

 

「ん? なんだこれ?」

 

本棚を整理している途中、ふと目に留まったのは、一冊の本だった。

 

「……本?」

 

その本は妙に古びていて見覚えがない。手に取ると、表紙には『天空都市エアリス』と書かれており、雲海の上に浮かぶ壮大な城や町並みが描かれていた。

 

「なんだこれ……葵の忘れ物か?」

 

一人暮らしの俺の家によく遊びに来る妹の葵が置いていったものかもしれないと考えたが、それならもっと前に気づいたはずだ。葵が好むような本とも思えない。

 

「まあ、確認してみればいいか。」

 

スマホを取り出し、妹にLINEで質問を送る。 だが、すぐに返信が来るわけではないと長年の経験で分かっているので、スマホを閉じ、本を手に取った。

 

「なんだ、この本……?」

 

ページを開いてめくるが、中身は空白ばかり。何も書かれていない。奇妙に思っていると――

突然、本が光り始めた!

 

「うわっ!」

 

眩しい光に包まれ、次の瞬間、意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

 

「ん……」

 

頭に感じるゴツゴツとした感触に違和感を覚え、目を覚ます。

 

「いってえなあ……」

 

どうやら岩らしきものを枕代わりにしていたらしい。

そりゃあ頭も痛くなるわけだ。

ゆっくりとまぶたを開くと、目の前には鮮やかな空が広がっていた。

 

「おかしい……これはおかしい。」

 

状況が飲み込めない。

自分は部屋にいたはずなのに、今見上げているのは、室内とは明らかに異なる輝く太陽だ。頬を撫でる涼やかな風が、ここが屋外であることを物語る。

パニックになりながらも、何とか体を起こし、周囲を見回す。

 

「どこだここは……。」

 

地平線の向こうまで続く雲海。まるで空に浮かぶ島々のような景色が広がっている。周りには見たこともない植物が生い茂り、ここが自分の知らない場所であると直感した。

頭痛を覚えながらも、思い返す。本を手に取った瞬間の光景――あれが原因だ。

 

「どうなってるんだ……。」

 

冷静になろうと自分に言い聞かせ、再び周囲を見渡す。そして振り返った瞬間――

 

「うわああああああああああああ!」

 

目の前に立っていたのは、見知らぬ人だった。驚きのあまり叫び声を上げると、その相手も同じように叫び返してきた。

 

「ぎゃああああああああああああ!」

「な、なんで、誰、なにが……!」

「っ……! はあ、急に叫ばないでください! びっくりするじゃないですか!」

「え、あ、え、えと……!」

「もう!いいから落ち着いてください!」

 

えい!と言わんばかりの動きと共に俺の口に何かが突っ込まれる。

 

「んぐッ!?」

 

急に口に突っ込まれたことは驚いたモノの、噛んでみれば食感は柔らかくパンのような味わいだった。しかし、今までに食べてきたことのない甘さが口いっぱいに広がった。

そのままごくんと飲み込むと足りない酸素を求めるかのごとくぷはあと息をつく。

 

 

目の前にいるのは一人の少女だった。金髪が腰まで流れ、彼女の中世ヨーロッパ風の衣装が、ここが自分の知る世界ではないことをさらに強調している。

 

「えっと……僕は、佐藤優人といいます。それで、その、あなたは?」

 

人に名前を聞くときはまず自分から名乗れ!と厳しかった父からの教えを守るべく自分から名を名乗る。

 

「私? 私の名前はリア!よろしくね!」

 

リアと名乗った少女は、笑顔で手を差し出した。

 

「うん……よろしく」

 

簡単には飲み込めそうにない状況ながらも相手が握手を求めてきているのは理解できた。

差し出された手に応えるべく自分も手を差し出し握手をする。

 

「目が覚めたんだね!よかった!倒れてるのを見つけて運ぼうと思ったけど、思ったより重くて!だから毛布や食べ物を持ってきたんだ!」

 

そう言ってリアはバスケットを持ち上げる。中には毛布や水、そしてさっき口に突っ込まれたパンらしきものが入っていた。

まあこれをここまで運んでくるのも結構大変なんだけど!とリアは冗談っぽく笑う。

 

「さっきはありがとう。突然のことで混乱していたけど、その……美味しかったよ。」

「でしょ? それ、私のお母さんが作ったハフンだもん!」

 

リアが言うには、さっきのパンはハフンという名前らしい。だが、今知りたいのはそんなことではない。

 

「それで……ここってどこなんだ?」

「ここは――――――」

 

リアは誇らしげに手を広げた。その後ろには果てしなく続く雲海が広がっている。

 

「ここは、天空都市!天空都市エアリス!」

 

 

 

 

 

 

 

空に浮かぶ美しい島々。見知らぬ食べ物。聞き慣れない言葉。目の前に広がる光景。

ここはもう、自分が知る世界ではなかった。

 

 

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