ルドラサウム大陸に転生したら魔王だった件 作:メルトリリス
執筆力の低さが憎い。
それはある日の事だった。
「ねぇ、プランナー。ドラゴン達全然争わなくなったしつまんないよ。滅ぼしてきて」
創造主が発したその一言によって、宿敵を討ち滅ぼし、この大陸を制覇した種族が、天使の手によってたったの一週間で滅亡する事となったのである。
「ドラゴン強すぎ。ローちゃん次はもっと弱い奴をメインにして」
そして大陸には新たな生命、「人間」が誕生する。
彼らは創造主が生み出した不完全なる生命として、創造主に愉悦をもたらす事を条件に存在する事を許された。
こうして、世界は再び始動していく――――
....はずであったが、ここで一つ問題が発生する。
「....うーん」
人間を苦しめる要素として、再び魔王を創り出す事になったのだが、その人選についてだ。
「なんか僕が選んでもおもんないじゃん。意外性が無いって言うか」
魔王の製作を任された三超神の一人、プランナー。
創造主を愉しませる為、普段はバランスを重視した調整をするのだが、三超神とは創造主の分身。
彼も心の奥底では、主と同じく歪な物を持っていた。
「結構いいの見つけたからあの女の子にしようと思ったけど。知り尽くしちゃってるゲームの行く先を見ても味気無いって言うか大体予想出来るというかさー。なんかランダム性欲しいよね。うん」
「「....」」
上司のこだわりを聞かされながら、下に居るエンジェルナイト達はただだんまりと剣を持ち佇む。
「んー。じゃあそこの君。どっかから魔王になったら面白そうな奴選んで来て。ミッション達成したら一級神にしたげるから」
「....」
あまりに唐突な展開に、指刺しで指名されたエンジェルナイトはいつもに増したポーカーフェイスで黙り込む。
(....ドウユコト?)
だが、そこは忠勤に定評のあるエンジェルナイトである。自らの上司であるプランナーの言葉に一切の不満も持たず、心地よい返事を返した。
「かしこまりましたプランナー様。必ずや貴方様の任務を果たす事を誓います」
「うん。頑張ってねー」
こうして若きエンジェルナイト、ALICEによる魔王探しの冒険が始まったのである。
エンジェルナイトA「頑張ってーALICE!! 私達エンジェルナイトはみんな応援してるからね!!」
エンジェルナイトB「ALICE~~~!! うえ~~~ん!! 寂しいよぉ~~~?」
(....ドウユコト?)
ちなみに未だに状況は飲みこめていなかった。
魔王探しの旅に出たALICEだが、早速悩み始める事となる。
(....プランナー様のお目に叶う人物って言ってもねぇ.....。)
ALICEの目からすれば、プランナーが見つけた女性の人間は、充分すぎる程に面白いと言える人物であった。
魔王としての才能を持ちながら人としての不完全さも伴せ持つ、それでありながら人知を超えた知識とそれでも収まらぬ知識欲。
彼女を魔王にすれば、それこそ全く予測できない事をしでかしてくれそうなものだが....
プランナー談
「多分だけどカラーとムシ使いみたいなのを魔人にしてー、そんで神の存在に気付いて僕に会いに来るんだよね。そん時多分魔王や魔人に無敵スキルみたいなのを付与するよう頼んで来るんじゃないかなー。ローベンが作った生き物だからなんか全部分かっちゃうんだよね」
....本当なのだろうかと疑いたくなるが、当人がそう言う以上は仕方ない。
しかし、彼の言う通りローベン様が作った生き物は全部分かるというのであれば、今大陸に居る生物は彼からすれば全て分かった者になってしまうのではないか。
「....あれ? 詰んでる?(分かった者って何よ)」
その時、空の向こうから不思議な女神がALICEの方向めがけ、灰塵を巻き起こしながら飛び込んで来たのであった。
そして紅色のロングな髪で、いかにも魔女な帽子を被った彼女は、ALICEの方にビシっと顔を向け、彼女に話し掛ける。
「いえ!! まだ諦める時ではありませんわよ!! 若きエンジェルナイトの子、ALICEよ!!」
「....貴方様は?」
「私の名は女神DOROTHY。異界との境界を管理する二級神よ。お好きによんで頂戴」
そう言うと、女神はニカっと口元を広げ、満面の笑みをALICEに見せた。
後輩の世話が大好きな彼女にとって、三超神から直々の任務を受けたALICEは正に協力し甲斐のある人物であるのだ。
「はぁ。ではドロシー様。私はどうすれば良いのでしょうか」
自分では分からないと言わんばかりのALICEの質問に、女神DOROTHYはウインクを見せ、右手でグッジョブを作って答えて見せる。
「私が今から異界へのゲートを開くわ。そこから連れて来た人間ならばローベン様が作った事にはならない、つまりプランナー様でも分からない者ってこと」
「....へぇーー(分からない者って何よ)」
若干無理矢理感のありつつも、分からなくはない、無理に納得しようとすれば納得出来る理論に、ALICEは少し感心する。
だが、同時に少し疑問も湧いた。
「...ん? しかし何故他の世界にも人間が?」
「〇クリよ」
DOROTHYが涼しい顔でその疑問に答える。
「あぁ成程〇クリですか。しかしまだ作られてから数日ですよ? あまりにも早すぎるのでは?」
「ローベン様が〇クったのよ」
「....」
ALICEはDOROTHYの返答に対し、何も答えなかった。
「――さて、今からゲートを開くわよー。ほら!!(がちゃり)」
「....」
眼の前に突如現れたピンク色の扉を開け、女神はどうぞどうぞと向こう側へ入るよう手招きをする。
「ドロシー様。ドアの向こうの風景が何も変わっていないように見えますが」
「外からは何も見えないけど、身体ごと潜れば時間経過で向こうへ行くようになってるわ」
(....ドアである意味は? ....後この扉どうみてもパク――)
何か言いたげであるが、それを喉の奥に引っ込め、ALICEは言われた通りに門をくぐる。
すると、徐々に身体が消えていくような、霧と一体化するような感覚にALICEは包まれた。
(....転生が、始まってるのね)
不思議な感覚を肌で感じつつ、ALICEは今回受けた任務を振り返る。
プランナー様のお目に叶う人材探し。決して容易な事ではなく、最初は詰んだのでは無いかと思ったほど。しかし、ドロシー様の幇助もあって成功する目途がついた。
この任務に成功すれば一級神である。プランナー様は決して嘘はつかない。その莫大な報酬を考えれば、今回この任を与えられたのはむしろ幸運であった。そう考えれば、この任務に成功の目途を与えてくれたドロシー様には感謝すると共に、同時に大きな借りを作ったのかもしれない。
そんな事を考えていると、もはや遠くなりつつあるあちらから叫ぶドロシー様の声が耳に入って来た。
「アリスちゃーーん。言い忘れてたけど今回のモードは郷に入っては郷に従え。ここを通った人は戻ってくるまで全ての力を失うようになってから気を付けてねー」
それを聞いたALICEはおでこに汗マークを浮かべながら困惑の意をDOROTHYに示す。
「....それではあちらで戦えないじゃないですか。普通のモードにしてください」
「甘えるな!! 文人外交よALICEちゃん!! 力ではなく言葉で説き伏せなさい!! これも貴方の成長の為よ!! ――あっちなみにあっちで命を失ったら二度と戻ってこれないからくれぐれも厄介事を起こさないようにね」
「....えっ?」
前半と違って、後半の聞き捨てにならない言葉に、気づけばALICEの先程の汗マークは冷や汗に変わっていた。
「大丈夫!! あっちは平和ボケしてるくらい平和だからこちらから喧嘩売るような事さえしなければ万が一にも暴力沙汰が起こる事は無いわ!! この女神DOROTHYの名に懸けて誓ってあげる!!」
――ぷるぷるぷる
その時、DOROTHYが携帯している電話が鳴った。
「ピッ。モシモシ? こちら異界管理局。 ...え? C国とR国が一本国に宣戦? ...え? 既に本土に乗り込んでて死者多数?」
...ガチャリ。と電話を閉じ、DOROTHYはゆっくりともはや顔しか認識出来なくなったALICEの方を見つめ、そしてグッジョブのサインを送った。
「...ALICEチャン。アッチデセンソウオキタミタイダケド。ガンバッテネー」
そう言った彼女の顔は、口を引っ込めた、なんとも他人任せなデフォルメされた表情であった。
「こ、ん、の、、、クソ女神ガァァァァァァァァァァァァ!!」
この時のALICEの叫びは、神界全体をこだましたと言う。