【本編完結】マチュを拾った転生者のお話   作:アスラ

1 / 33
映画を見て溢れ出した創作意欲をぶつけました。
※注意
作者はガチのガノタではありません。


マチュ育児編
転生者「こ、これもしかしてジークアクスですかぁぁぁぁああああああ!?!?!?」


 唐突な質問だが、皆はガンダム世界に転生するならどの作品が良いだろうか?

 以前ネットの掲示板でこんな質問をしたことがある。

 最初は『そんなんどの世界も嫌じゃwwwww』なんてさらっと流されたかのような反応を貰ったが、掲示板に集まっていたのは立派なガノタたち。すぐに議論が始まり様々な作品名が挙げられた。

 OO(ダブルオー)、ビルドシリーズ、Gガン、Gレコ……様々な作品が挙げられた。少数派ながらSEEDシリーズを挙げるツワモノもいた。

 しかし、そんなガノタたちでも一致した意見があった。

 

『宇 宙 世 紀 だ け に は 転 生 し た く な い』

 

 地球に生まれてもコロニー落としがある、スペースコロニーに生まれても場所によっては虐殺される、ジオンと連邦の戦争が終わっても宇宙戦国時代に突入する、年表に空白がある時代に生まれてもどうせ何らかの事件が公式側から挿入される……散々な言われようだったが、そのどれもが納得に値する意見だった。

 俺も転生するなら宇宙世紀なんて地獄ではなく、ビルドシリーズでオリジナルガンプラを動かしたりコスプレしてロールプレイに徹したりしたい。

 

「……したかったな」

 

 遺棄された廃宇宙船をスペースポッドで解体しながら、俺はひとりごちた。

 

 さて、いい加減名前も知らない男の独白を聞いても面白くもなんともないだろうし、ここで自己紹介をしようと思う。

 俺の名前はイザナ・ユズリハ。

 サイド6にてケチなジャンク屋稼業をしている成人済み一般的スペースノイドであり転生者だ。

 ……うん、マジで転生者なんだ。決して気が狂っているとかそういう訳じゃない。

 前世は一般的なオタクであり、どこにでもいる普通のサラリーマン(独身)だった。

 宇宙世紀に転生してかなりの時間が経過しているので前世のことはうろ覚えになってしまったが、死ぬ直前の記憶はよく覚えている。

 忘れもしない。あれは2025年1月17日の夜。Ⅹのタイムラインに『とにかくジークアクスを観に行け!』と断末魔のようなオタクの悲鳴が大量に流れてきているのを見て『ほな予定早めて観に行ってみようかなぁ』と近場の映画館に歩を進めている最中、急に歩道に突っ込んできたトラックに轢かれてしまったのだ。

 で、気が付いたら宇宙世紀に転生してたって訳。

 2025年に転生トラックってもはや廃れた文化だよ……と現実逃避しながらも、俺は流されるまま宇宙世紀の住人として成長していった。

 前世とはまるっきり常識も文化も違う、ある意味異世界とも呼べる宇宙世紀に適応するのは苦労したが、20年以上生活してれば嫌というほど慣れるというもの。

 前世の未練や後悔を少しずつ断ち切りながら、今ではどこに出しても恥ずかしくない一般的スペースノイドとして生活している。

 ……まぁ、今でも断ち切れていない未練や後悔はまだあるんだけどな。

 顔もうろ覚えになってしまった前世の両親より先に死んでしまった親不孝や、最終回を目前に控えたアンデッドアンラックの最終回。

 そして宇宙世紀に転生したことにより一層強まってしまった、新作ガンダムを観れなかった未練だ。

 映画公開前のPVにいたマチュやニャアン、そして最新のガンダムであるジークアクス。

 ファンの間で『こやつシャリア・ブルでは?』と考察されている緑のおっさんや軍警とマーキングされているザクなど、めちゃくちゃ気になる要素がちりばめられていただけに、その答え合わせをする前に死んでしまったことは今でもめちゃくちゃ悔しくなる。

 しかし、切り替えるしかないだろう。転生した以上、前世の創作物にアクセスする方法は存在しない。

 宇宙世紀にはオカルトが存在するのは確実だが、さすがに前世(しかも異世界!)に干渉する方法は存在しないだろうし。

 

 それに、転生も悪いことばかりではない。

 

(おっと、ここは切らない方がいいな)

 

 ジェネレーターの前で溶断用のバーナーを仕舞い、増設したスキャニング装置で解析する。

 ーーーうん、案の定残存核燃料が不安定化していて、下手に刺激すると爆発事故を起こすな。まずは安定化させて燃料を取り出そう。

 

 と、まぁこんな感じに自身への危害に対する勘が物凄く良くなっているのだ。転生特典というやつだろうか?

 この能力をはっきり自覚した際は『宇宙世紀のNTとか死亡フラグだろ!!』と自暴自棄になりかけたが、これはこれで良いものだと後々実感した。

 この能力のおかげで何度も命の危機を救われたし、他のジャンク屋が寄り付かないような危険すぎるデブリ宙域まで足を運んでジャンクを独り占めできる。

 それに、生まれてこの方他のニュータイプとの感応現象なんて一度も発生してないし、それらしき人物を感知したこともない。

 加えて、転生能力の代償か表情筋がほとんど動かなくなり口数も極端に少なくなってしまった。

 前世ではコミュ障でもなかったし、今世の病院にかかっても異常なしと判断された。ならば、転生特典の代償と考えるのが自然だろう。

 だからこの能力はニュータイプではないんだろうな、と個人的には考えている。……まぁ、自分の精神安定の為にそう思い込んでる感は否めないが。

 

 まぁ分からないことをいつまでも考察していても仕方ない。

 ジェネレーターも無事に取り外せたし、働き始めてからもう8時間以上経つ。今日はここまでにして帰還するとしよう。

 まぁ、帰ってもやることはほとんどないんだけどな!

 唯一の理解者である家族はかなり前に死んで天涯孤独だし、転生特典の代償のせいで恋人どころか友人すらいない。帰っても、シャワー浴びて飯食ってダラダラして寝るだけだ。

 けど、俺自身はこの生活に満足している。

 今では日常になってしまったが、前世では体験できなかったであろう宇宙遊泳を毎日楽しめるし、娯楽だって共通するものがある。ジャンク屋家業も転生特典のおかげでかなり稼がせてもらっている。

 それに、今現在住んでいるサイド6は一年戦争時でも中立を保っていたので戦渦に巻き込まれることはないはず。

 貯金だってジャンクを独り占めしているからかなり貯めている。このまま順調に貯め続ければ、半年ほどで目標金額に到達する。

 その後は余生だ。サイド6の片隅で機械修理屋を開業して、金に困らない程度に仕事して死ぬまで戦争と関わらず生活していくつもりだ。夢も目標もない男の第二の人生としては上等な部類だろう。

 

 ……いや、正直に言えば夢はある。

 それは、家庭を持つこと。

 前世では学業や仕事に忙しく恋人を作る暇もなかったし、今世では前述した通りろくに出会いがない。

 結婚できないから養子を取る、というのも不純だろうし、奇跡の出会いを待つしかないのだろうか……。

 若干ブルーになりながら、ジェネレーターをコンテナに収納する。

 ……うん、僅かだけど余裕があるな。

 これくらいならもうちょいジャンクを積めれるな、ヨシ!

 頭に現場猫を思い浮かべながら、スペースポッドを近くの廃宇宙船まで移動させた。

 

 

 

 ---この時の選択について、俺は後年思いを馳せることがある。

 もしもあの宙域で欲張らずに帰還していれば、あの子の顔を知らないまま幸せに生きていただろうかと。

 だが、俺はそんなIFを想像した端から頭から追い出している。

 確かにあの時欲張らなければ騒動に巻き込まれることもなく、一介のスペースノイドとして一生を過ごせただろう。

 しかし、それではあの子に出会うことはなかっただろう。灰色に支配された俺の世界に色づきを与え、愛を教えてくれたあの子。

 彼女がいない人生など、俺には考えられない。

 だから、俺は後悔していない。

 どんな末路を辿ろうとも。

 

 

 

 廃宇宙船から装甲を溶断しコンテナに収納していると、レーダーがこちらへと急接近する物体を感知した。

 珍しいこともあるものだな、とメインカメラを感知した物体へと向ける。

 この辺りはいわゆる危険地帯だ。無数のデブリ・小惑星と衝突する可能性が高く、既定の航路からも外されている。無法者である宇宙海賊や密輸船すらここを通過しないあたり、危険度も推して知れるだろう。

 ならば俺自身を狙っているのか?とありえもしない可能性を邪推する。確かに他のジャンク屋とは仲良くしてないが、特別仲が悪いわけでもない。それに元締めはこちらを金の生る木と見ている節があり何かと便宜を図ってくれているから、彼らから睨まれるような真似はしないだろう。

 ではこの物体はなんだ?と疑問を抱きながら最大望遠まで拡大……んん?

 これは……宇宙船じゃないな。かといってデブリでもない。全体的に角がなく球状で、救助要請のビーコンが点滅していて……ってこれ緊急用の脱出ポッドじゃん?!なんでこんな危険地帯に!?

 いや、疑問は後回しだ。どこか故障しているのか救難信号こそ発信されていないが、外付けのライトが点滅している。正しい手順で操作しない限り発光しない仕組みになっている以上、中身入りと考えるのが自然だろう。

 

 俺は急いで進路を脱出ポッドへと向けた。よく見れば所々デブリと衝突した痕跡があり、この速度で大型のデブリや小惑星と衝突すれば脱出ポッドに深刻な損傷が発生し、生命維持装置が停止する可能性がある。

 幸いなことに推進剤が切れているのか、これ以上加速する兆候は見られない。ならば、俺のスペースポッドでも危険地帯に侵入する前に停止させることができるだろう。

 スペースポッドを巧みに操り、脱出ポッドに取り付きエンジンを噴射する。そして停止したことを確認し、マニピュレーターで脱出ポッドのハッチを開いた。

 さてさて、中身はどんな感じじゃろか?生存者がいれば謝礼金を期待できるし、仮に身元不明の死人でも脱出ポッドが今回の戦利品に加わるだけだ。どちらでも俺に損はなーーーうええッ!?!?!?

 

(ウ……ウソやろ。こ……こんなことが。こ……こんなことが許されていいのか!?)

 

 ハッチが全開し、遭難者の全貌が露わになる。

 そこには、1歳にも満たないであろう赤みがかったピンク髪の赤ん坊が生命維持装置に収められていた。

 

 

 

 

 

 

「いってきまーす!」

 

 玄関を開け、制服姿の娘---アマテ・ユズリハーーーが元気よく飛び出していくのを確認した俺は食後のコーヒーを飲み干しテレビの電源を付けた。

 時はU.C.0085。件のデブリ宙域で赤ん坊を拾い、子育ての為に拠点を同サイドのイズマ・コロニーに移してから早17年。

 現在俺は娘と二人暮らしをしながら、本業である民間の機械修理屋を営んでいる。

 

 しっかし、この17年間は激動だったな~。

 初めての子育てにてんやわんやしたのもあるが、まさかジオンが連邦に勝ってしまうとは……。

 ファンの間では幾度となく論争や妄想を巻き起こしたIFでありマフィア〇田も熱望していたジオン勝利の世界線を自分が生きることになるとは夢とも思わなかった。

 しかも、この世界でのファーストガンダムのパイロットはあの赤い彗星のシャアときた。民間には情報が下りてきておらず詳細不明だが、おそらくV作戦の偵察任務に自ら赴き、ガンダムを鹵獲したのだろう。ついでに木馬も鹵獲したあたり、やはりあのマザコンは只者ではない。

 つーかジオンが勝利しているあたり、マジでジオン敗戦の原因は独断専行したジーンなんだな。ファンからの『ジオン最大の戦犯』という二つ名はマジで正鵠を射ていた。

 

 テレビから垂れ流されるニュースを聞き流しながら、PCを立ち上げ仕事用のメールBOXを確認する。

 新着は一件。差出人はジャンク屋の元締めからだった。

 内容は昨晩難民街で発生した戦闘騒ぎで発生したジャンクの回収と倒壊した建築物の除去作業だ。

 さて、ここで疑問が生じる者もいるだろう。何故民間の機械修理屋に転職したのに、未だにジャンク屋をやっているのか。

 その理由は、子育ての為に急遽転職したことに由来する。

 急に辞めると言い出した時、元締めはかなり慌てたらしい。当時サイド6のジャンク屋で一番の稼ぎ頭であった俺に突然辞められると、各方面に悪影響が出て最悪首がすげ変わる可能性があったらしい。

 そんなの知らんがな、というのが本音だったが、裏社会にも通じる元締めの恨みを買えばよろしくないことが多発することは確実だろうし、なにより下心アリでも色々便宜を図ってくれた恩がある。

 だが俺も引き下がるわけにはいかない。子育てをするのであれば長く家を空ける訳にはいかないし、訳あってベビーシッターを雇う訳にもいかない。俺は何度も元締めと交渉した。

 その結果、俺は定期的に元締めから依頼を受けることを条件に転職を許された。もちろんこちらから提示した条件も呑ませたので、WINWINの取引だ。

 

 依頼を受諾する旨を元締めに返信し、水に浸けていた食器を食洗器に入れてから仕事着をバッグに放り込む。

 しっかし、この世界のジオンもなかなかにクレイジーなことをする。テレビから流れるニュースは昨夜から彼らが巻き起こした騒動一色だ。

 ガレージのシャッターを開け、愛車のハンドルを握り宇宙港へと向かう中、俺は空を見上げた。

 そこには、木馬ことホワイトベース……否、この世界ではジオンにカラーリングを変更されソドンと改称された強襲揚陸艦が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 ネオンとミラーボールに彩られ、DJが奏でるビートが客を熱狂させている様を二階から眺めながら、ジャンク屋の元締めである男は両脇に愛人を侍らせながらある男を待っていた。

 

「ねぇ~誰を待ってるのぉ?」

「お前には関係ない男さ」

 

 新しく愛人にした女を適当にあしらいながら、元締めはこれからやってくる男について思考を巡らせる。

 やつを初めて知ったのは、今から二十数年前。『なにやら運が良すぎるガキがいるらしい』との噂を聞きつけ、宇宙港に足を運んだ時だった。

 最初はどんな顔をしているか確認するだけだった。当時は一幹部に過ぎなかった元締めは、仕事柄四六時中ジャンク屋と顔を合わせた経験によって、人相と雰囲気を確認すればどれほどモノになるかをある程度予想する特技ともいえる能力を身に着けていた。

 そしてちょうど宇宙から戻ってきたやつの顔を見た瞬間。全身に電流が走ったかのような衝撃を受けたことを今でも覚えている。

『こいつは確実にモノになる』

 当時は貧相な中古工具しか持っておらず、持ち帰ってきたジャンクも取るに足らないものばかりであったが、元締めは直感的に『金の生る木』だと確信した。

 そこから元締めの行動は早かった。男と直接コンタクトを取り個人的なスポンサー契約を取り付けた。貧相な中古工具を全て最新式に買い替え、スペースポッドも買い与えた。

 周囲からは馬鹿にされた。『なに馬鹿なことを』『金をドブに捨てるようなものだ』『きっとやつは気でも狂ったのだろう』。散々な言われようだったが、元締めは援助の手を緩めなかった。

 そして、男はすぐに結果を出した。あらゆる危険地帯にスペースポッドだけで単身乗り込み、貴重な合金や完動品のジェネレーターを回収し莫大な利益を上げたのだ。

 最初はビギナーズラックだと笑っていたやつらも、それが二度三度と続けば真顔になり、日常と化すようになると恐れを持つようになった。

 そして男が利益を上げるたびに元締めの組織内の地位も上がり、ついにはトップに君臨することとなったのだ。

 

 チラリ、と腕時計を確認する。あと30秒ほどで、男が仕事前に指定した時間になる。

 そして秒針が10秒前になるとコツコツと階段を上る靴音が聞こえ始め、指定した時間ちょうどになると黒のジャケット姿の男が元締めの前に立った。

 

「今日はお前が来てくれて助かった。人手が足りなかったものでな」

「……b(グッ)」

 

 労いの言葉をかけると、男は無表情のままグッと親指を立てた。新しい愛人はなんだこいつ、と怪訝な顔をしているが、元締めにとってはいつものこと。気にせず話を進める。

 

「報酬はすでに振り込み済みだ」

 

 言外に、今日はこれ以上仕事を依頼しない旨を伝える。

 一番やばい山場を越える為に彼を呼んだ以上、追加の仕事を依頼しない分別が元締めにはあった。

 加えて、彼の娘の門限までに家に帰さないと後々面倒なことになると経験から思い知らされているのだ。

 

「どうだ、これから一杯。なんでも奢るぞ」

 

 グラスを掲げ、酒の席に誘う。

 すると男はポケットから車のキーを取り出した。

 

「帰りの心配はしなくていい。部下に送らせる」

 

 元締めは男が愛車のハンドルを他者に握らせることに抵抗がないことを知っている。だからこそ、男を酒の席に誘ったのだ。

 

「…………」

 

 男は腕時計を確認し、顎に手を当て短く逡巡した後……ピッと人差し指を立てた。

 一杯だけなら、という意思表示だ。

 

「いつも通りでいいか?」

「……(コクリ)」

 

 男の返答を受けて、元締めは部下に視線を向ける。

 ほどなくして、部下が一杯のカクテルを運んできた。

 

「相変わらずだな。たまには他の酒でもどうだ?」

「……(フルフル)」

 

 男は首を横に振り、元締めと乾杯してすぐにブルドッグをクイッと(あお)る。

 ブルドッグ……そのカクテルが意味する言葉は『あなたを守りたい』。

 子煩悩な男にはぴったりのカクテルであった。

 

 相変わらずだな、と元締めは苦笑する。

 初めて会ったときは世界に諦念を抱いているガキだったが、義理とはいえ娘ができるだけでこうも変わるとは。

 昔を思い出しながら、元締めも酒を(あお)った。

 

 そのまま男との酒宴を楽しんでいると、ワァァァ……と急に階下の客たちが盛り上がった。

 同時に、備え付けられたモニターが一斉に切り替わり、ある番組を映し出す。

 その番組とは『クランバトル』、通称クラバ。元締めが主宰を務めるモビルスーツによる非合法の賞金バトルだ。

 

「どうだ?お前も賭けるか?」

 

 階下で客たちが怒声を上げながら賭ける様を眺めながら、男に提案する。

 しかし、男は賭けに興味がないのか首を横に振った。

 そこも相変わらずだな、と元締めは肩を竦めた。

 しかし、今回ばかりは良い話だと再度誘いをかけた。

 

「だが今回のクラバは鉄板だぞ?なにせポメラニアンズが出場するからな」

 

 部下に目配せし、タブレットで男にチーム『ポメラニアンズ』のデータを表示させる。

 誰が見ても悲惨な戦績だ。前回のクラバで唯一のモビルスーツが故障したうえに、トメノスケ・ヒート・ホークのみのいわゆるブレオン装備。

 加えて対戦相手は元ジオン兵で一年戦争でもマヴを組んでいた者同士。ザク・マシンガンに加えフラッシュグレネードまで装備している中堅クラバチームだ。

 誰がどう見ても勝敗は明らかだった。

 

「稼いだ金はいつも娘の為に積み立てているんだろ?ここでちょっとばかし稼いで、たまには自分へのご褒美にでも充てたらどうだ?」

 

 いくら倍率が低いとはいえ、掛け金が大きければそれなりの金額にはなる。

 元締めは親切心からーーーこれはマジで裏もないーーー男に賭けを進めた。

 

 しかし、それでも男はなかなか首を縦に振ろうとはしない。

 万が一負ける可能性を考えているのか、はたまた元締めには埒外の思考を巡らせているのか……。

 賭けの締め切りが迫る中、元締めは男に再考を求めるよう口を開きかけーーー階下の歓声に何事かとモニターに目を向けた。

 

 

 そこには、弱小クラバには似合わないトリコロールカラーのモビルスーツが映し出されていた。

 

 

 モビルスーツを新調したのか?それとも少しでも見栄えを良くするためにザクに装甲でも付け加えたのか?

 どちらにせよ面白い()()だな、と元締めは苦笑しーーー生まれて初めて顔を驚愕で崩した男を目の当たりにした。

 

 

 

「ジークアクス……」

 

 

 

 そしてボソリと男の口から洩れた名前は、誰に聞かれるわけもなくクラブの喧騒に包まれ消えた。

 

 

 

 

 

 

 えっ!?ちょっ、待ってうえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええ!?!?!?!?!?!?

 ジークアクス!あれ間違いなくジークアクスだろ!?!?!?

 なんで前世で観そびれた新作ガンダムがクラバに……。

 つーかよく見たら出場選手のデータ!!

 パイロットネームが『マチュ』ってあるけどこれアマテの昔のあだ名!!

 それにノーマルスーツとニット帽で隠してるけど俺には分かる。

 あれ絶対にアマテだ!!なんでクラバに!?!?

 今日は遅くなるってあらかじめ聞いてたけどまさかクラバに参加してるなんて……ッ!?

 いや意味わかんない理解できない頭が混乱する!!

 というか待てよ?前世の新作ガンダム『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のメイン機体であるジークアクスが存在するってことは……。

 俺は新作ガンダムの世界に転生した……ってコト!?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

   ~ウソ予告~

 

 

 

 初めてのクラバに勝利し浮かれた気分で帰宅するマチュに迫り来る『父親』という魔の手

 

「アマテ……座りなさい……」

「えっ、ちょっと待ってお父さん……」

 

 なんとか誤魔化しきるも、次々にやってくるクラバの洗礼

 

「ちょっと!まだ実弾兵器を装備できないの!?」

「安心しな。次勝ったら装備できる」

 

 ついにマチュへと辿り着く『木星帰りの男』

 

「私はただ提案しに来ただけです」

(なにこの人……すごく嫌な感じがする)

 

 弱さを克服する為、闇へと足を踏み入れるニャアン。

 

「わたしは、力が欲しいの」

「ニャアン!行っちゃダメ!!」

 

 シャロンの薔薇とは?シュウジの正体とは?

 

「残念だけど、ここでお別れだね」

「待って。シュウジにまで行かれたら……私……」

 

 そしてついに明かされる、マチュの本当の名

 

「わたくしたちは、貴方様の来訪を心よりお喜び申し上げます」

「いや……嘘、やめて……」

 

 果たして、3人の少女少年の物語はどこへと続くのか?

 

「貴方様の真実の御名(みな)は……ハマーン・カーン」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああッ!!!!」

 

 さ~て、この次もサービスサービスゥ♪

 

 

 

 

 

 




なお、主人公が転生特典だと思い込んでいる能力はNT能力です。

反応が良ければ続き書きます。

次話と今後の展開についてアンケートします。お気軽にどうぞ

  • 映画本編の時系列まで子育て日記を続ける。
  • 次話から時々閑話を挟む
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。