皆様ありがとうございます!!
これからも頑張ります。
U.C.0085におけるジオンと連邦の汎用機かどのようになってるか全くわからないので、ここではザクと軽キャノンで通す予定です。ご了承ください。
「帰るんだッ!私はッ!!」
アマテの気迫に呼応するかのように、オメガ・サイコミュの輝きが増していく。
「お前を倒して、ここから!!」
大切な人たちの姿が、彼女の脳裏に次々と浮かび上がる。
初めての親友ニャアン、想い人であるシュウジ、先人として道を示してくれたシャリア、こんな自分によくしてくれたソドンクルーの面々。
そしてーーー喧嘩別れしてしまった、父の背中。
「だからッ!今ここでッ!!」
四肢で唯一残った右腕でヒートアクスを振りかぶり……。
「墜ちろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!」
敵の新型を、正面から一刀両断した。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
敵機が爆散する様を確認せず、アマテは必死に息を整える。
お互いに思念波をぶつけ合うほどの激戦による消耗は甚大であり、酸素を求める肉体に従うのが精一杯だった。
それに、敵の最大戦力を倒したのであれば戦闘の趨勢は決まったようなもの。敵軍の残りは頼れる味方が相手してくれている。
だから、今は己のことだけ考えよう。少しの間休んでから、ソドンに帰投しよう……。
そんな油断が、運命の分かれ道となった。
突如警告音が響き渡る。
何事かとアマテは慌ててモニターを確認しようとし……その前に衝撃に襲われる。
なに!?と驚愕で頭を埋め尽くしながら、衝撃を感じたジークアクスの右腕を見る。
そこには、ワイヤーで繋がれたアンカーが突き刺さっていた。
なぜこんなものが?まさか新手が?新たな疑問が次々と湧くが、その答えを導き出す猶予はアマテに与えられなかった。
何故ならば、続けざまに何本ものアンカーがジークアクスの機体に突き刺さり……
「うああぁぁぁぁああああああああッッ!?!?」
身を焼き焦がす激痛に、アマテは絶叫しかできない。抵抗しなければという僅かな気力も、痛みの前に簡単に焼き千切れてしまう。
怒り、悲しみ、驚愕、諦観。
電撃痛により、言葉にならない原始的な感情がアマテの脳内を埋め尽くす。
だが、この世に永遠なんてモノは存在しない。始まりがあれば終わりもある。
時間にしてわずか数秒---もっともアマテにとっては永遠にも感じられたが---の電流攻撃が止み、アマテの肉体に平穏が訪れる。
しかし、彼女の肉体には尋常ではないダメージが与えられており、精神がこれ以上の痛みを感じたくないと拒絶する。
その結果、彼女の脳髄はある指令を肉体に行き渡らせる。
脳全体への血流量の減少……つまるところ失神、気絶である。
身体が脱力感に襲われ、急速に目の前が真っ暗になる。戦場に置いて死と同義であると言われた現象が肉体に起こっていることをぼんやりと自覚する。
「おと……う……さ…ん……」
謝れなくて、ごめんなさい。
父への後悔を抱きながら、アマテは意識を暗闇の底へと落とした。
◆
時はジークアクスが敵新型を落とした直後まで遡る。
「ジークアクス、敵新型を撃墜!」
オペレーターからの報告におおっ!とソドン管制室クルーから歓声が上がる。次いで、戦場の味方にもその情報が送られる。
今までにない大規模侵攻を前に苦戦を強いられている中挙がってきた朗報に、士気が一気に上がる。勝利という希望の芽を齎してくれた
あのシャリア・ブルでさえも、管制室にて小さくガッツポーズをしていた。
しかし、観測班が収集したおかしな反応に、その歓喜に水を差されることになる。
「ッ!? 敵MSが……?」
「報告を。セファ伍長」
オペレーターの動揺に、シャリアがすぐさま反応に報告を求める。
「敵MSがある一点を目掛けて一斉に移動しています!」
「ある一点?どこですかそこは」
「反応から推察するに……嘘、まさかそんな……」
「セファ少尉。恐れず簡潔にお願いします」
「……ジークアクスです!敵MS全機、ジークアクス目掛けて転進していきます!!」
戦場の異変は、現場でも敏感に察知されていた。
「? 敵の様子が……」
相対していた敵MS部隊が攻撃の手を止め、一斉に離脱する様子を見て、ニャアンは違和感を覚える。
敵の大将格が撃墜された結果の敗走とはまた違う、まるで一つの目的を遂行するための転進のように感じられた。
そして、その感覚が間違っていなかったことを、ニャアンはすぐさま思い知ることになる。
『ニャアンさん!すぐアマテさんの援護に向かってください!!』
「ッ! マチュに一体何が!?」
『敵の狙いはジークアクスです!』
「ッ!?」
すぐさまメインカメラをジークアクスがいる方向に向け、最大望遠で確認する。
そこには激戦の結果右腕以外の四肢を捥がれボロボロになったジークアクスが力なく漂っており……砂糖に群がろうとするアリのように、大量の軽キャノンが進軍していた。
「させない!!」
親友を失ってなるものか!とバーニアを全開にする。
しかし、それを見越したかのように一部の軽キャノンが再度転進しニャアンの行く手を遮るように編隊を組み始める。
「邪魔ぁ!」
即座にビームライフルで撃墜していく……しかし、撃墜した直後から新たな軽キャノンが現れ即座に編隊が組みなおされる。
撃墜、補充、撃墜、補充、撃墜、補充。
まるでリピート再生されている動画にように、同じ光景が何度も繰り返される。
さすがは量の連邦と言ったところか。味方機と同期している通信から漏れ聞こえる音から察するに、他所でも同じ状況が繰り広げられているようだ。
(早く……早く助けに行かないと、マチュが……ッ!!)
こうしてもたついている間にも、敵はジークアクスに接近している。
焦りから操縦の手が雑になる。無理やりにでも接近し、多少の被弾は覚悟で突破を試みようとする。
しかし、それが功を奏したのか敵編隊を突破することに成功する。ビームサーベルを一本失う結果になったが許容範囲内だ。
『ニャアン!』
そして、まるで図ったようにシュウジの赤いガンダムが合流する。彼の機体も多少被弾の跡があることを察するに、ニャアン同様無理やりの突破を図ったと見れる。
「シュウジ!合わせて!!」
『了解!』
2人のニュータイプが、まるで一つの生物のように連携し軽キャノンを次々と撃墜していく。
全ては、大切な存在であるマチュの為に。
しかし、何度も言うように連邦の恐ろしさは『数』である。
ニャアンとシュウジが協力するも、敵の層は厚く……。
残り数百メートルといったところで、ついにジークアクスがワイヤーで拘束され戦闘宙域から離脱し始めてしまう。
「マチューーーーーッ!!」
『マチュ!!』
2人は、ただ叫ぶことしかできなかった。
「敵MS隊。ジークアクスを鹵獲し戦闘宙域から離脱を試みています!」
「不味いですね……」
事ここに至って、シャリアはようやく今回の連邦の軍事作戦を正しく理解する。
サイド3に対する侵攻はブラフ。初めから、ジークアクスを鹵獲することが目的だったのだ。
しかし、解せないことがある。
ただ機体を鹵獲するだけなら、パイロットなんてどうでもいい存在のはず。抵抗される可能性を摘む為にも、致死量の電流で殺した方が楽だ。
しかし、シャリア・ブルというニュータイプはアマテの生存を感知していた。
つまりーーー。
(もしや、アマテさんも目的に入っている?)
それならば気絶程度に抑えたことに納得できる。
だが、大量の犠牲を出してアマテにまで拘る理由が分からない。
ジオンの最新鋭機であるジークアクスならまだしも、連邦にも存在するはずのニュータイプを求めることに違和感を覚える。
しかし、そんな疑問は今はどうでもいい。
今問題なのは、ジークアクスとアマテが鹵獲されようとしている事実。
それだけは、絶対に避けなければならない。
シャリアはモニターに背を向けると、管制室を後にしようとする。
「中佐。一体どちらへ?」
「なに、少し野暮用を片付けにね」
「……まさか、予備のザクで出撃するおつもりですか!?」
咎めるようにコモリが声を荒げる。
「なに、ここにキケロガはありませんが問題ありません。以前はドムに乗っていましたが、ザクとそう大差ないでしょう」
「問題大ありです!そのお体で出撃するなんて自殺行為です!!」
コモリの指摘に呼応するかのように、シャリアのわき腹がズキリと痛む。
つい先日発生した暗殺騒ぎで負った刺傷が治りきっておらず、ドクターストップが掛かっていることはソドンクルーには周知の事実だった。
「お止めください!」「我々がなんとかします!」と、続くように声が上がる。
しかし、シャリアは止まらない。
ワガママを捏ねる子供を前にした親のように、優しく微笑をたたえる。
「戦線が膠着している今、風穴を開ける新戦力が必要です」
「ですがッ!」
「ここは先輩に任せるところですよ。なんなら上官命令も出しちゃいます」
「しかし……」
なおも食い下がる部下に、シャリアは優しく肩に手をかける。
「大丈夫。私は大佐にお会いするまで死ぬつもりはありませんから」
「……了解いたしました。整備班に発進準備を整えるよう通達いたします」
「助かります」
敬礼する部下たちに同じく敬礼を返し、踵を返そうとする。
その時だった。
「ッ! 戦闘宙域に高速で飛来する物体を感知!」
「なんだって!?」
オペレーターからの報告に艦長が驚きの声を上げる。
「モニターに映せるか?」
「少々お待ちを……補足しました!最大望遠です!」
数瞬おいて、メインモニターに観測班が捉えた映像が映る。
そこには……。
「これは……ザクか?」
「いえ、それにしては型が古すぎます。アレは一年戦争中に製造された初期型に見えます。それに正規軍に配備されていない武装もあります」
「そんなのはどうだっていい!どこの馬鹿なんだそのザクは!?オシロ、所属を確認するんだ」
艦長が声を荒げ、識別信号を確認するよう命令する。
「はっ。それが……その……」
「どうした!?まさか無関係の第三者とは言わないだろうな!?」
「その通りであります……。あのザクは友軍でも敵軍でもない、全くの第三者です!」
「なんだって!?」
◆
(我ながら、とんだ無茶をするもんだ)
バーニアを無理やり増設し通常の3倍の速度によるGに耐えながら自嘲する。
現在、俺は自身が所有するザクに乗ってジオンと連邦が戦争している宙域に向かっている。
傍目から見れば、狂人の所業だろう。たんなるサイド3住人であり、ジオンの正規軍人でも協力者でもない一ジャンク屋が、隠密行動することなく姿を晒して突撃するなんて。
しかし、俺にはこの狂行を為さねばならない理由がある。
アマテを助ける為だ。
……え?アマテがピンチになった直後に助けに行けるなんて都合が良すぎるって?
もっともな疑問だ。イズマ・コロニーと距離がある戦場に図ったように現れたら、マッチポンプや危険になるまで戦場近くで待機していると疑うだろう。
まぁ、あながち間違っているとは言えないのだが。
告白しよう。俺は、今回の戦闘でマチュが鹵獲の危機に陥るとあらかじめ知っていたのだ。
今から5年前、俺はアマテを通じて辿り着いた『向こう側』でとある女性と相対した。
そこで俺は過去・現在・未来。ありとあらゆる『ガンダム』の歴史を垣間見た。
幸か不幸かそのほとんどを忘れてしまったが、僅かながらも記憶していることがあった。
そのひとつが、アマテが鹵獲の危機に陥ることだった。
その情報を知った時、俺は必死に女性に質問した。
『その危機を未然に防ぐ方法はないか』『その未来を起こさせないように誘導できないか』
他にもいろいろ質問した。
そのどれもが『No』という無慈悲なものだった。どのように足掻いても、結局は『鹵獲の危機』という結果に収束すると言われた。
そして、こうも言われた。
『その危機に介入すれば、助けられるがただでは済まない』と。
具体的なことは教えてくれなかったが、相当悪いことなのだろう。忠告する女性の顔からは、憐れみが見て取れた。
彼女の言葉から察するに、介入しなければ俺は平穏無事に過ごせるのだろう。避けられないのは『鹵獲の危機』であり、もしかしたらアマテ独力もしくは仲間たちと力を合わせて乗り越えられるかもしれない。
しかし、その言葉を聞いた瞬間、俺の肚は決まった。
アマテの危機に立ち向かわない父親なんて、無価値も同然なのだ。
例え、血が繋がっていなくとも、だ。
だからこそ俺はソドンが戦闘宙域へと出発した後、両軍や軍警に感知されないようにこっそりと、ゴリゴリに改造した私物のザクで後を追いかけたのだ。
……さすがに、ザクのカメラでジークアクスを捉えた時にすでに拘束されていたのにはビビったが。
間に合ったから結果オーライということにしてほしいところである。
まぁ、自分語りはこれくらいにしておこう。
これから先、俺のリソースは全てアマテを助ける為に使用される。
だからよぉ連邦軍の軽キャノンたちよ。
どけ!!!俺はアマテのお父さんだぞ!!!
◆
戦場に突撃してくるザクの姿は、まさしく異形としか形容できないものだった。
その背中には大型のバーニアが三本無理やりに連結されており、この場のどのMSより強力な推力を備えている。
両肩にはビーム・キャノン砲が備え付けられ、両足には大型のミサイルポッド。腰にはビーム・サーベルが二つ乱雑に装着されており、右手にザク・マシンガン。左手にはシールドを備え付けていた。
まるで子供がジムとザクのプラモデルを分解し、適当に組み立てたようなちぐはぐさを感じる代物だ。
そんなゲテモノMSが、軽キャノンの群れに突っ込んでいく。
素人ならばあまりの衝撃に棒立ちになってしまうかもしれない。しかし、そこは正規の職業軍人。若干の遅れはあったものも、統率の取れた動きでザクを迎撃すべくビーム・ライフルでの弾幕で撃墜を試みる。
しかし、当たらない。
濃密な弾幕が張られているが、ザクは僅かに開いた隙間を縫うように紙一重で躱し続ける。
そして、軽キャノン部隊との距離が縮まりミサイルの射程距離に収まった瞬間、待ってましたとばかりにミサイルポッドの蓋が開き、全弾発射された。
その光景に、軽キャノンに乗っていたパイロットたちは目を疑った。
ザクがただミサイルを発射しただけならば、冷静に対処しただろう。
しかし、ただミサイルを撃っただけではない。
ザクはミサイルを全弾発射した後、
自らミサイルの的になるような真似に、一瞬だが思考に空白が生まれる。
その隙を見逃すザクではなかった。
クラッカー型の閃光弾を投げつけ、ザク・マシンガンを叩きこんだのだ。
徹甲弾を装弾していたのか、不意を突かれる形で一機の軽キャノンが穴だらけになり爆散する。
その周囲の軽キャノンたちは敵討ちとばかりにビーム・ライフルをザクへと向ける。
しかし、その銃口からビームが発射されることはなかった。
何故ならば、つい先ほど発射されたミサイルがようやく軽キャノンたちに届き始めたからだ。
ミノフスキー粒子下であるため、いわゆるマルチロックによる誘導はなされていないが、それゆえにランダムな軌道を描き連邦のパイロットたちを混乱の渦に陥れている。
そんな中、とある軽キャノンは幸運にも部隊の最後尾にいたおかげでミサイルの直撃軌道上には乗っておらず、シールドで身を守りながら件のザクを視界に収めていた。
同時にせせら笑っていた。奴はなにをトチ狂ったのか自らが発射したミサイルの先にわざわざ身を投げ出したのだ。あれでは自ら自分に誤射したようなものである。悪くて撃墜、良くても半壊は免れないだろう。
今はミサイルによって齎された爆発と閃光でザクの姿が隠されているが、それが収まった時がお前の最期だ、とシールドに身を隠しながらビーム・ライフルを構える。
しかし、その目論見はいとも簡単に崩れ去ることになる。
爆風と光の中から、
は?と思わず口から驚きが漏れる。あまりの非現実的な光景に、トリガーを引けずに固まってしまう。
そこを見逃すザクではなかった。両肩に装着されたビーム・キャノンが火を噴き、軽キャノンのパイロットは思考停止したまま蒸発し防衛線を突破されるという愚を犯してしまったのだった。
その様子をつぶさにモニターしている者たちがいた。
いわずもがな、ジオン側主力艦の強襲揚陸艦『ソドン』の面々である。
「何者なんだあのザクは……」
艦長の呟きに、言葉にするまでもなく全員が同意する。
いきなり戦闘宙域に高速飛来したかと思えば、常識はずれな装備で突撃した挙句軽キャノン部隊を突破する。
そして今現在、物凄い速度で突撃し、邪魔だと言わんばかりに道中の軽キャノン部隊を蹴散らしている。
そんな荒唐無稽な光景をモニターが映している中、シャリア・ブルだけは眉間に皺をよせ右手で頭を押さえていた。
「この思念は……そうか……あのザクに乗っているのは……」
高レベルのニュータイプである彼はなにかをあのザクから感じ取ったらしく、ブツブツと独り言を呟いていた。
しかし、それもすぐに収まる。
そして何やら合点がいったのか、驚くべき事実を艦長に告げた。
「ラシット中佐。どうやらあのザクは我々の味方のようです」
「……根拠は?」
「ニュータイプの勘、と言ったところでしょうか」
「ハァ……深くは聞かないぞ。……全艦に通達!あのザクとの交戦を禁ずる!」
不可解な命令に困惑するも、上官の命令は絶対である。
ソドンの通信士であるベノワは、慌てて伝達事項を全艦隊に伝え始めた。
その様子を尻目に、シャリアはモニターに映るザクを見つめぽつりと呟いた。
「アマテさんのことを頼みましたよ。イザナ・ユズリハ」
戦場の異変を、2人のニュータイプは敏感に感じ取る。
先ほどから、こちらを妨害する軽キャノンたちの圧が弱まっているようなのだ。
理由は分からない。旗艦を務めているソドンならば把握しているかもしれないが、そこは重要ではない。
重要なのは、圧が弱まっていることだけ。
つまりは、アマテを助けに行ける確率が高まったということだ。
ニャアンとシュウジは、再度気合を入れなおす。
ここが正念場。これを逃せば、マチュを助ける機会は永遠に失われてしまう。
ニャアンとシュウジ。2人のMSに搭載されているサイコミュが、パイロットの意思に反応するかのように輝きを増す。
そして、軽キャノン部隊を蹴散らした二機はバーニアを限界まで吹かしてアマテの下へと突き進み……。
撃墜された軽キャノンの残骸と、慈しむようにジークアクスに寄り添う半壊したザクの姿を目にした。
◆
ジークアクスを拘束し輸送していた軽キャノンを全機撃墜した俺は、使い物にならなくなったザク・マシンガンを手放し空いた手でジークアクスを引き寄せる。
本当はコックピットに乗り込んで出て直接確認したいが、ここは戦場。いつ連邦の援軍が来るか分からない以上、感応現象を応用してアマテの容態を確認するのがベターだろう。
生存特化のニュータイプ能力を持つ俺だが、ことアマテに関することだけは応用が利くゆえの芸当だ。
それでも以前までなら直接触らない限り感応できなかったはずだったが……おそらく戦場という極限状態が俺のニュータイプ能力を磨いたのだろう。
人を直接的に殺したのは初めての経験*1で、多大なストレスを感じたが、それが功を奏したのだろう。
アマテの命に別条がないことにホッとしていると、ザクのセンサーが急接近してくる二つの機影を捉える。
メインカメラをそちらに向けると、黒いザクと赤いガンダムが目に入った。
あの機体のパイロットは知っている。アマテの親友であるニャアンと……俺としては複雑だが想い人であるシュウジだ。
「ニャアン、シュウジ。……頼みがある」
『その声は……イザナさん!?どうしてここに!?』
『驚いた……と、ガンダムも言っている』
驚愕する2人に説明をしたいところではあるが、そんな悠長なことをしている暇はない。
何故ならば、
センサーの範囲外なのでモニターで確認するしか方法はなく、正確な数字は分からないが巡洋艦が出張ってきている時点で相当数なのは確実である。
「アマテを連れて脱出するんだ。……俺は、殿を勤める」
『何言ってるんですか!?逃げるなら一緒に逃げましょう!』
「……ここは俺が適任だ」
と言っても、ぶっちゃけ強がりである。
ニャアンとシュウジより体力に余裕があるのは事実だが、精神的な疲労は尋常ではない。正直、許されるのであれば今すぐぶっ倒れて眠りたい気分である。
しかし、それでも2人よりはマシである。俺のザクは無茶と実践に不慣れな俺のダブルパンチでボロボロだが、四肢が損壊していたり武器を失っている二機よりは戦える。
「アマテのことを、頼んだぞ」
『……分かりました。マチュのことは任せてください』
優しく抱きかかえるように、ニャアンのザクがジークアクスを受け取る。
『だから、約束してください。絶対に生きて帰るって』
『また会おう……と、ガンダムも言っている』
ニャアンは泣きながら。シュウジは歯を食いしばりながら再会の約束を求めてくる。
彼女たちも分かっているのだろう。この場でたった独りで殿を勤めることが、死と同義であることを。
だが、彼女たちは俺を引き留めるのではなく、意を汲んで送り出してくれている。
それがたまらなく嬉しかった。アマテにこんな素晴らしい友人がいてくれることに、俺は心の底から安堵した。
ああ、もう俺がいなくとも、彼女たちがいれば大丈夫だ。
「……帰ったら、コーヒーを奢ってくれ」
果たせない約束を口にしながら、俺は連邦の増援へと突撃していく。
さぁ連邦軍よ。ここは死んでも通さないからな。
娘を守る父親の底力、とくとご覧あれってなぁ!!
◆
そして、第二次イズマ・コロニー沖決戦が幕を閉じる。
戦力比は1:4だったにも関わらず、ジオンの強襲揚陸艦ソドンと付随するMS部隊の獅子奮迅の活躍により勝利を収めることとなった。
しかし、その代償はあまりにも大きく、ジオン本国への増援要請を余儀なくされる。
だが、幸いなことに主要戦力であるソドン組に死者は発生せず、ジオン側の主な犠牲者は応援として派遣されたムサイ組と
最終回じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ(亀仙人並み感)
イザナのザクの武装はジャンク品をかき集めリペアしたものを積みまくったものです。
だから統一感がなかった訳ですね。
面白いと感じていただけたら、ぜひ感想と高評価をお願いします<(_ _)>
『面白かった』の一言だけでも作者は泣いて喜びます。