【本編完結】マチュを拾った転生者のお話   作:アスラ

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ありがとうございます!
UAも100,000突破が見えてきましたし、これからも頑張っていこうと思います。
これからもこの作品をよろしくお願いいたします。


アマテ・ユズリハ5歳の興味

 赤い髪の幼女が、そろり……そろり……と目的地へと歩を進める。

 ニンジャのように気配を殺し、ターゲットにバレないように足音を殺し。

 自らの目的を果たす為に、幼女はわざわざ頭巾を被り階段を降りる。

 ゆっくりと、一歩ずつ。普段の倍以上の時間をかけて慎重に階段を降りると、目的地の扉が目に入った。幸いなことに完全に閉じられておらず、隙間から光が漏れ出ていた。

 

 これはチャンスだ。と言わんばかりに幼女は目を輝かせた。

 今までずっと音を殺しながらドアノブを回すことができず、ミッション失敗に陥っていたからだ。

 最大の障害が取り除かれた今、成功する未来しか見えない。

 幼女は鼻息を荒くしながら自身がギリギリ入れる隙間まで扉を開き、すばやく身を滑り込ませる。

 

ーーーそして、眼前に仁王立ちする父の姿を目にした。

 

「あは、あはははは……」

 

 なにかを誤魔化すように笑いながら、幼女は失敗を悟る。

 自分には大甘でたいていのおねだりは叶えてくれる父でも、この行為だけは許してくれたことが一度たりともなかったからだ。

 しかし!それでも!

 今回はワンチャンあるかもしれない!!

 

「……ダメ?」

「……(フルフル)」

 

 渾身のおねだりもあえなく撃沈(n回目)した幼女は、すごすごと自室のベッドへと戻り、枕を涙で濡らしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 最近になって悩みがひとつできてしまった。

 いや、この出来事には歓喜を覚えている自分もいる為、悩みという表現は不適当かもしれないが……自分のボキャブラリーではコレ以外に適当な表現が思い浮かばない。

 まぁとにかく、頭を悩ませている出来事が発生しているのだ。

 それは……アマテが俺の仕事に興味を持っていることだ。

 

 それの何がいけないのか?と疑問を覚える方もいるかもしれない。子が親の仕事に興味を持つことは自然なこと。嬉しく思うことはあっても、悩むことはないはずだと。

 

 全くもってその通りなのだ!アマテが仕事を見学したいと言い出した時には歓喜に打ち震えたし、安全に配慮して見学させた。

 娘が見ていると思うと仕事にも熱が入り、その日は普段の二倍速で作業を進めている俺の姿を、アマテは熱心に見つめていた。

 それからだ。アマテが毎日のように俺の機械弄りを見学するようになったのは。

 他にもいろいろ娯楽はあるだろうに物好きだな。と思いながらも、俺は好きにさせた。毎日の勉強や運動を疎かにしている訳でもないし、日中の作業量を少なめに抑えていたからだ。

 しかし、俺はアマテの熱を正確に測り損ねていた。

 そのことに気が付いたのは二週間ほど前であった。アマテを寝かせた俺は残りの作業を片付けようと仕事場へと戻りドライバーを握った。

 さぁ終わらせるぞとネジを外し、基盤を取り出そうとしたその時、カチャリとドアノブが回る音を耳にしたのだ。振り返ると、わずかだが扉が開いており、つづいてタタタタ……と小さな足音が遠のいていく気配を感じた。

 最初こそまさかな……と勘違いで済まそうと思っていたが、これが二度三度と続くとそうも言ってられない。

 間違いなく、アマテは夜更かししてまで俺の仕事を見学したがっているのだ。

 

 前述した通り、仕事の見学自体は問題ではない。

 問題なのは、夜更かしとそこまでする熱量なのだ。

 

 夜更かしが健全な成長の敵であることは論を待たない。これは完全に寝付くことを確認するまで傍にいればいいし、よく言い聞かせれば理解してくれるだろう。

 より問題なのは、熱量の方だ。

 これは親のエゴかもしれないが、アマテには自由に将来を選んでほしい。

 会社員、スポーツ選手、アイドル、パティシエ、沿岸警備隊(コーストガード)……世の中には無数の職業がある。

 そして、子供は無限の将来性を持っている。何にでもなれる可能性を秘めている。

 だからこそ、機械弄りに夢中になってほしくない。

 趣味にするだけなら俺も気にしない。宇宙世紀において機械弄りの腕と知識は大変に武器になることは明白であり、今から仕込めば万が一失業しても食うに困ることはないだろう。

 しかし、職業にするなら話は別だ。

 成長し熟慮を重ねた結果なら文句はないが、幼い時から他の選択肢を排するような短慮の結果は受け入れられない。

 単なる杞憂に終わればいいが……親は子の成長の責任を負わねばならないからな。

 

 

 

 

 

 

 λ月□日

 

 アマテが俺の仕事を見学したいと言い出した。

 子が親の仕事に興味を持つ……ついにこのイベントが来たか!

 めっちゃ嬉しいけどあんまり表に出さないようにしないと。

 さてさて、どの作業を見せるか選定しないとな……万が一怪我でもさせたら俺が俺を一生許さない。

 

 λ月×日

 

 まずは簡単で危険性のない作業から見せることにした。

 栄えある最初の作業はスマホ修理だ。画面がバッキバキで充電コネクタもぶっ壊れている『もはや買い換えた方がいいのでは?』レベルの故障品だが思い入れがあるからなんとか直してほしいとのこと。

 これなら火花も出ないし俺が十分気を付ければ怪我もしないはずだ。

 怪我する危険がある作業はアマテが寝たあとにやろう。

 

 λ月△日

 

 娘が見ている中の作業めっちゃ捗ったナリィ……

 

 γ月λ日

 

 いかん。あれから毎日のように仕事見学したいって言うから見せてたけど、夜中に回していた作業まで見たいと言い出した。

 万が一も考えられるし夜更かしもしてほしくないから我慢するように言うつもりだ。

 

 γ月〇日

 

 問題発生だ。

 アマテがベッドから抜け出して夜作業を覗こうとしていた。

 ダメだと言い聞かせていたから大丈夫だと油断していた……。

 幸い直前で気づいたからよかった。

 

 γ月×日

 

 あの日から夜作業を覗こうとするアマテと格闘するようになった。

 毎日ではなくランダムなのが厄介だ。おかげで気を抜けない。

 将来の選択肢を狭めたくないし、夜更かしして成長に障害が出るのも嫌だし……。

 どうしよ。

 

 γ月α日

 

 とりあえず信頼できる育児の先輩たちに相談することにした。

 なにかいい解決案を導き出せればいいのだが……。

 

 γ月Ω日

 

 逆に俺が怒られてしまった。

 結論から言うと俺がアマテに見せる作業を限定したのが原因らしい。

 まーそうだよな……いくら興味あるやつでも似たようなのばっかだと飽きるよな。

 ごめんよアマテ。パパが悪かった。

 

 ×月□日

 

 あれから安全に十分に配慮して仕事を見せた結果、夜に覗きに来ることはなくなった。

 相談して出た結論通り、原因は俺にあったんだな。反省。

 

 ×月λ日

 

 またもや問題発生だ。

 今度は自分も作業やってみたいと言い出した。

 さすがに5歳児には難しすぎるだろうし、お客様から預かった機械を触らせる訳にはいかない。

 ドライバーなどの工具も扱い方を誤れば怪我するし、ペットロボットとかで機械に触りたい欲を満たしてもらうしかないか?

 

 ×月β日

 

 年長向けペットロボットもいろいろ種類があるようだ。

 旧世紀から存続している日本の会社から、月面に本社を置くアナハイム・エレクトロニクス社。変わり種としてジオニック社の商品まであった。

 正直どれも魅力的で目移りしてしまう。めっちゃ悩む。

 でも近いうちに決めないとなぁ。アマテの誕生日も近いし。

 ……余談だが、宇宙世紀の顔とも言えるアレは存在しなかった。

 アレがあったら絶対に買ってたんだけどなぁ……。少なくともあと数年は待たないとアカンか。

 残念。

 




皆様はキャラフィルム誰が当たりましたか?
自分は『コンニチハオイソギデスカ』しているニャアンが当たりました。


面白いと感じていただけたら、ぜひ感想と高評価をお願いします<(_ _)>
『面白かった』の一言だけでも作者は泣いて喜びます。
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