元ゲヘナ風紀委員、オーネスト・ブルートゥ 作:悲しいなぁ@silvie
【方舟ユウの場合】
「よう
仕事終わり、偶々ジャンカー・コヨーテスの本拠地の近くを通りがかったので立ち寄る事にした先生を両目に濃い隈を作り大きく欠伸をするユウが出迎えてくれた。
どこか上の空気味にぼーっとしているユウにそう声を掛ける。
「あぁ…?あー……いや、先生に手伝って貰う程のモンじゃねぇよ
もう一度大きく伸びをしながらくぁ…と欠伸をするユウ。
自分にも事の重大さと面倒臭さがわかってしまうその言葉に先生もついつい笑顔が引き攣る。
「まったくだ……立ち話もなんだな
来いよ…コーヒーで良かったら淹れてやる」
ユウはそう言うと若干覚束ない足取りで施設の奥へ進んで行く。
「あー……………悪ぃな、豆はそっちの棚にあるから好きなの選んでくれ」
そのあまりの疲労具合に先生がそう声を掛けるとユウは逡巡した後に申し訳無さそうに言うと崩れるように椅子へ腰掛ける。
机に突っ伏しそうになりながらもなんとかPCを操作するユウに先生はお湯を沸かしながら問い掛ける。
「ん?あー…ウチは後ろ盾のねぇ営利団体だからな
勿論、それは
ただ、こういう場合は明確なデメリットでもあるってだけだ」
「ボスが?ふざけんじゃねぇ…あの人にこんな事させるぐらいなら俺は喜んで十徹でも二十徹でもするね!」
先生の疑問にそう答えると、ユウは一層早く手を動かし始める。
カタカタと半ば意地のようにPCを叩くユウはいじけたように唇を尖らせる。
「駄目だ……例えあの人が良いと言っても、この俺が許せねぇ
あの人の隣に立つ人間が、そんなザマじゃ相応しくねぇんだよ…!」
自分に言い聞かせるようなその声音に、先生はそっとマグカップを差し出す。
ユウはばっと顔を上げ、先生に何かを言い掛け…バツが悪そうにまた俯いた。
先生から渡されたマグカップを両手で包み込むように持つ。
「うるせぇ……わかってんだよ、んなこと」
普段の剛毅さが嘘のように、まるで迷子の子供のような今にも消え入りそうな声で呟く。
「俺が一人で空回って、周りはんなこと見てもねぇって事ぐらい……俺だってわかってんだよ……」
ぎゅっと、マグカップを持つ手に力が入る。
先生は何も言わず、ただユウが落ち着くまで待ち続けた。
少し目を赤くしたユウが、ゆっくりと頷く。
「………甘い匂いがする」
ズズ、とユウがマグカップを傾ける。
「あぁ?逆ってなんの……」
不思議そうに視線を彷徨わせ…ゆっくりとカレンダーに視線が向く。
「………!?ちょ、ちょっと待っとけ!!」
今日が何の日か遅まきながらに理解したユウは大急ぎで茶菓子の棚を漁り始める。
「クソ…どっかにあんだろチョコの一つぐらい……!」
ガサガサと探すも、一向に見つからずぱんぱんとポケットを叩く。
「チョコ…チョコ………あった!!」
ユウは先生の元へ駆け寄るとズボンのポケットからチョコレートバーを取り出し、押し付けるように渡す。
「
まぁなんだ……また、困りごとでもあったら来い
アンタからの依頼なら特別料金にしといてやるよ」
ユウはそう言うとプイッとそっぽを向く。
先生は人肌で少し温くなったチョコレートバーを手に、優しく笑みを浮かべるのだった。
溶けかけのチョコレートバー
ユウがくれた市販品のチョコレートバー。
甘くて、ほんのちょっぴりほろ苦い…そんなチョコレート。
【オーネスト・ブルートゥの場合】
カタカタと規則的な音がシャーレの一室に響く。
先生は煩雑な書類仕事に辟易しながらも泣く泣く一人でPCに立ち向かっていた。
すると、コンコンと軽いノックの音が聞こえる。
先生はPCとにらめっこしながら、鍵が掛かっていない旨を伝えた。
ノックの主は先生からの許可を受けるとゆっくりと扉を開ける。
「お久しぶりですね、ご友人」
扉を開いたのはキヴォトスでも珍しい程の長身の少女…オーネスト・ブルートゥだった。
それも普段の燕尾服ではなく、シルク地の豪奢なドレスにノースリーブのタクティカルジャケットを羽織った奇抜な格好で。
しかし、先生はそんな格好にも何の否も唱えず歓迎するとPCから視線を切ってブルートゥを見る。
「おや?お仕事中でしたか……
私で良ければ手伝わせていただいても?」
ブルートゥは先生のデスクに山のように積まれた書類を見て驚いたように目を見開く。
先生はブルートゥからの申し出に二もなく頷くと拝むように手を合わせる。
「ふふふ、構いませんとも!
友人ならば、分かち合わなくては…シャーレの業務も、この素敵な一時も」
そう言うとブルートゥは先生の隣へ座り書類に手をつける。
数十分後、前が視えない程に積まれていた書類が綺麗さっぱりと片付けられていた。
先生は隣に座るブルートゥへ微笑みかける。
今日はまた徹夜コースだと思っていたのに、日がまだ高い内に終わるとは嬉しい誤算だった。
「ご友人、喜んでくれたなら…感激です」
ほっとした表情の先生にブルートゥは微笑むとすっと席を立つ。
ブルートゥは持ってきたカバンからメルヘンな包装の花束を取り出す。
「もうそろそろ取り替える時期だったので、新しい贈り物を用意して来ました」
ブルートゥは慣れた手付きで先生のデスクにある花瓶を手に取ると水道の方へ向かい中の水を入れ替える。
贈り物、そう評してブルートゥはシャーレに来る度に先生のデスクに花を置きに来てくれていた。
最初こそ気を使わなくてもと断っていた先生だが、今では執務中に花の香りを楽しんだり、あまりにも仕事量が多い時はぼーっと眺めて現実逃避したりとお世話になっていた。
「ふふ、普段から色とりどりの『花』に囲まれている先生に褒めていただけるとは…光栄だ」
引き攣った笑みを浮かべ、視線を逸らす先生。
どうにもそういう話題にされると一方的になってしまう、そう思い先生はブルートゥが持って来た新しい花を見やる。
暗い赤色の花弁、華やかで可愛い…と言うよりは落ち着いた綺麗な花という見た目だ。
先生が花を見ていると、ちょうど戻ってきたブルートゥが花瓶に花を挿す。
「見た目も勿論素敵ですが…香りも楽しんでいただけますか?ご友人」
そう言われ、先生はそっと匂いを嗅ぐ。
花からするとは思いもよらなかったその芳香に少し驚きながら、先生は首を傾げる。
「チョコレートコスモス、という種類になります
その色合いや香りがチョコレートに似ている事から名付けられたそうですよご友人」
そんな先生の様子を口元に手をやり楽しそうに見るブルートゥ。
感心したようにしげしげと花を見る先生。
「ええ、ちょうど時期もぴったりでしたので…
それに、甘い物はもう食傷気味かと思いまして」
つい、とブルートゥが視線を横に流せばシャーレのオフィスの一角を占領するチョコレートの山が見えた。
キヴォトスであれだけ活動しているのだ…先生へ日頃の感謝を伝える機会があればそれはそうもなろう。
「いえ…ただ、一人くらいこういう贈り物をする生徒が居ても────素敵でしょう?」
ブルートゥはそう言うと、常のにこやかな笑顔から年相応の悪戯な笑みを浮かべる。
ふと、先生は思った。
いつも花を飾る時に必ず説明してくれるブルートゥが今日は花言葉を言っていないな…と。
「おや、私としたことが…忘れてしまっていましたね
チョコレートコスモスの花言葉は……」
ブルートゥは口を開きかけ…ふふ、と笑った。
「いえ…やはり、秘密にしておきましょう」
常のにこやかな笑顔でも、年相応の悪戯な笑みでもなく…
「次回までのお楽しみ…という事で」
『大人』を思わせる妖艶な笑顔で。
チョコレートコスモス
ブルートゥがくれた、少しひねくれたバレンタインプレゼント。
シックな雰囲気の綺麗な花で、甘い香りが楽しめる。
RaDのチャティ・スティックだ
先日のホビーショップでは世話になったな
ボスはあれから部屋にこもってライガーテイルやナイトフォールをいじり倒しているが、あれほど気分の良さそうなボスは見たことがない
今年の半ばにはウチの製品である火炎放射器やチェーンソーも発売されると言ったら、更に気分が良さそうになっていた
やはりボスに秘密でミルクトゥースを三つ予約したのは正解だったようだな
用件はそれだけだ、じゃあな
最近のソシャゲってのはな
要するにあれだ、あれだよ
そう!ろ過、ろ過
ろ過して薄まってボンヤリしたブーなんだよ
そこんとこブルアカは違うぜ
清渓川の恵みをナマでイッとるからな
パチパチ弾けて!脳みそ幸せだぜ