元ゲヘナ風紀委員、オーネスト・ブルートゥ   作:悲しいなぁ@silvie

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【閑話】ゲヘナ風紀委員、オーネスト・ブルートゥ

「…ナ……ヒナ……てくだ……ヒナ…」

 

微睡みの中、モヤのかかった思考が身体と共に揺さぶられる。

ふわふわとした心地良い浮遊感と固い机の感触がどうにも似合わず不愉快で眉間にシワが寄る。

 

「………ブルートゥ?」

 

やおらまぶたをこじ開ければ、目の前には金の髪を腰まで伸ばした長身の生徒が覗き込むようにこちらを見ていた。

 

「ヒナ、また一人でこんなにも仕事を抱え込んでいたのですね…不憫だ」

 

ブルートゥはそう言うと私が突っ伏していた風紀委員のデスクから書類の束を取り上げる。

 

「………その、昨日は…美食研究会がマングローブに棲む八本足のワニを捕まえるとか言って暴れていたのを鎮圧したりで忙しくて………」

 

ブルートゥが眉をハの字にして哀しげにこちらを見つめる。

その視線から逃れるように、私は起きたての脳をフル回転させてどうにか言葉を紡ぎながら取られた書類を返してもらおうと手を伸ばす。

 

「ヒナ…」

 

ブルートゥはため息混じりに私の名前を呼び、手にした書類を頭の上に上げる。

それだけで私にはもうどうしようもなくなってしまう…190センチ近い彼女との単純な身長差、というのもあるが私の体調を気遣って怒られているというこの現状にこれ以上抵抗のしようがないというのが大きい。

 

「でも……その、私の仕事だから……」

 

しどろもどろにそう返すと、ブルートゥは更に哀しげに顔を歪める。

 

「ヒナ…そんな悲しい事を言わないで下さい

私達は同じ風紀委員なのですから、分かち合わなければ…苦難も、そして煩雑な業務もです」

 

「でも…私がやった方が、早く終わるし………」

 

もはや悪戯がバレた子供の言い訳のように尻すぼみになる私の弁に、ブルートゥは子供をあやすように言う。

 

「ヒナ、貴女の言う事は間違いではありません…ですが、それは風紀委員会全体への侮辱です

私達ゲヘナ学園風紀委員会は委員長一人に全てを任せて遊び呆けていても成立してしまう…貴女は暗にそう言っているのですよ?」

 

「いえ、そんな事は……皆にも仕事は割り振っているし、それに私は皆の事を信頼して……」

 

「信頼しているのなら任せるべきです

ヒナ、貴女が自分の仕事を一つ増やす毎に…貴女は他の生徒の成長の芽を一つ摘んでいるのですよ」

 

屹然とした態度でそう断言するブルートゥに、気圧されてしまう。

ブルートゥは黙ってしまった私を見て、もう一度深くため息をついて続けた。

 

「ヒナ…風紀委員会には『貴女にしか出来ない仕事』というものがあります

要注意団体の鎮圧や学園間の折衝…挙げればキリがありませんが、これらは他の生徒では替えの効かない業務です

そして、ヒナにしか出来ない仕事がある以上…ヒナが他の業務で拘束されている状況は芳しくはありません」

 

此処まではわかってくれますね?ブルートゥは優しく言い聞かせるように尋ねてくる。

私は少し唇を尖らせながらも頷く。

 

「ならば、他の業務は任せてヒナはゆっくりと休むべきです

アコもイオリもチナツも…勿論私も、貴女が休む事に異を唱える生徒など風紀委員会には存在しないのですから」

 

「でも……私が休めば万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)が何を言ってくるか……」

 

もはや意地になってブルートゥの手元の書類に手を伸ばしながら最後の手札を切る。

私が業務をせずに居れば万魔殿…というかマコトがなにかに付けて文句を言ってくるに違いないのだから。

 

「そちらは私から言っておきます」

 

ブルートゥは言いながら私の伸ばした手を取り、薬指に軽く唇を這わせてきた。

 

「ひゃっ!?」

 

反射的に手を引っ込めた私を見て、ブルートゥは悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべ書類を片手に背を向ける。

 

「まずは朝食にしましょう…パンとご飯、どちらにしますか?」

 

 


 

 

昨夜は仕事中に寝落ちしてしまった為に入れなかったお風呂代わりに軽くシャワーを浴びてきた私の前に、なんとも香ばしい香りと共に白い食器が並べられていく。

 

「朝ですし、あまり凝った物はありませんが……」

 

そう言いながらも、並んでいくお皿はどんどんと増えていく。

瑞々しい葉物とプチトマトのサラダ、黄金色のトーストには中央にバターが乗せられ、カリカリに焼かれたベーコンエッグは一目で卵黄がとろとろの半熟だとわかるし、脇に添えられたポタージュスープもインスタントの類では出せない複雑で優しい香りを立ち上らせ、食後用に置かれたヨーグルトには果肉がごろりと入ったオレンジ色のジャムが添えられている。

ホテルの朝食と言われても違和感を覚えないそのメニューに少し浮かれながらも置かれていたナイフとフォークを手に取る。

 

「美味しい…」

 

「ふふ、口に合ったのなら…素敵です」

 

ブルートゥはそう言うと、優しげに笑った。

 

 

十数分後、朝食を終えた私は再びブルートゥの傍らに置かれた書類に目を向ける。

 

「その、ブルートゥ…」

 

「ヒナ?」

 

ブルートゥはそう言うと私をひょい、と軽々抱き上げる。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「こうでもしないと、貴女は動かないでしょう?」

 

()()()大きい彼女の身体をぐいぐいと押し付けられながら俗に言うお姫様抱っこの状態で仮眠室のベッドへ運ばれる。

 

「さ、さっき私にしか出来ない仕事があるって言ってたじゃない!!」

 

「はて…?

要注意団体の鎮圧も学園間の折衝も、普段から私の仕事ですが…?」

 

ブルートゥは小首を傾げ、そう言う。

尚も抗議の言葉を発そうとした私の顔を自分の胸に押し付けるようにして封殺した上で…だ。

 

「ヒナ、ゆっくりと休んで下さい

それが…今の貴女の仕事です」

 

固いデスクとクッションの悪い椅子での睡眠で疲れの取り切れていなかった身体は、食後の血糖値の上昇による助けもあってかベッドに横たえられてすぐに二度寝の至福を貪ってしまった。

 

 

 


 

 

ブルートゥは無理矢理に寝間着へ着替えさせたヒナをベッドに横たえ、彼女が眠った事を確認した後静かに仮眠室を後にする。

執務用のデスクを見ると、よくもまぁ溜め込んだものだと褒めてやりたい程の書類の山。

これが高々半日で溜まる量だというのだから呆れる他ない。

ブルートゥは首を左右に傾げ、ぱきぱきと鳴らし書類の山へ手を伸ばす。

 

数十分後、積まれた書類の山がようやく半分程捌けた頃…委員長室のドアが勢い良く開かれ一人の生徒が駆け込んでくる。

 

「委員長!大変で…!」

 

「しー」

 

ブルートゥは駆け込んできた風紀委員の頭を撫でながら唇に人差し指を当てて囁くように言う。

 

「ブ、ブルートゥ副委員長…っ!」

 

「ヒナは今大事な仕事で手が離せません…用件は私が聞きましょう」

 

走ってきた少女に、ブルートゥはゆっくりと息を整えるように言いながら報告を聞いていく。

 

「その…温泉開発部の連中が、いつも通りに暴れていて…

私達も対応したのですが、力不足で…申し訳ありません…っ!!」

 

ふるふると、悔しそうに身体を震わせる少女をブルートゥはその大きな身体で包み込むように抱き締める。

 

「ですが、貴女達は立ち向かったのでしょう?

挑戦をしない者に失敗は訪れません…そして、失敗を悔いる者にだけ成功が訪れるのです

こうして自罰する程に悔いる貴女を笑う者など、私が許しません」

 

耳元で囁くブルートゥに、少女の目が潤んでいく。

 

「場所を…私が出撃()ます」

 

「はい!」

 

真っ赤なドレスに、軍用の(いかめ)しいブーツとタクティカルグローブを嵌めながらブルートゥは駆け出した。

 

 


 

 

「ハーッハッハッハッハ!!

さぁ!今日も楽しく温泉開発といこうか!!」

 

温泉開発部の部長、鬼怒川カスミの高笑いが辺りに響き周囲の部員達が勝鬨(かちどき)にも似た叫び声を上げる。

ゲヘナ学園の要注意団体の中でも最大の勢力を持つのが、何を隠そうこの温泉開発部である。

数十人規模のその集団がカスミの一声でドリルやツルハシを振り上げ……

 

「カスミ、こうしてまた出会えるなんて……」

 

隕石でも堕ちてきたような着弾音と衝撃に全員が吹き飛ばされる。

爆心地では衝撃で体勢こそ崩したものの、咄嗟に踏ん張り吹き飛ばされなかったカスミが状況を把握しようと周囲を伺っていた。

そして、すぐ背後…まるで耳元で囁かれたようなその声にカスミは振り向く事すら出来ずヒュッ、と喉を窄める。

 

「素敵だ……」

 

「ひ、ひ、ひぇぇ…っ!!」

 

首筋を這う蛞蝓のようなその感触がブルートゥの舌である事を理解し、背中がゾワゾワと総毛立ち全身の毛穴が閉じていく。

 

「こうして私と踊る為に、わざわざ脱獄までして下さるとは…感激だ」

 

腰が砕け、立つことすらままならなくなったカスミの両手を取り指同士を絡ませるとその桁外れの腕力で無理矢理に立たせるブルートゥ。

 

「さぁ!楽しい時を過ごしましょう!!」

 

瞬間、カスミの視界が『赤く』染まった。

まるで新体操のリボンのように、カスミはブルートゥに文字通り振り回される。

 

「スロー、スロー」

 

振り回されるカスミが、まるで鈍器のように温泉開発部の部員達を打ち…叩きのめしていく。

 

「クイッククイック、スロー」

 

ある者はヘルメットを叩き割られ、またある者は腹を殴打され吐瀉物を撒き散らす。

 

「素敵なステップです!ご友人!!」

 

僅か数十秒で辺り一帯に気絶した生徒の山と吐瀉物の池が作られる。

ブルートゥは愛おしそうに手元のカスミを見る…

戦車すらもひっくり返すブルートゥの豪腕に振り回された事により、尋常ならざるGを受け目や鼻といった粘膜から血を流し気絶しているカスミを。

 

「ご友人、踊り疲れたのですね……

花は何処だ……!手向けなければ…っ!!」

 

悲しそうに涙を流すブルートゥに、風紀委員の生徒達が群がってくる。

 

「ありがとうございます!副委員長!!」

「さ、流石です!あの温泉開発部をこんなにもあっさりと…!」

 

肩を震わせ泣くブルートゥの涙をハンカチで拭いながら、口々に称賛の声を掛ける生徒達。

そして、その生徒達の更に後ろから足早に一人の生徒が駆け寄ってくる。

 

「新鮮なした……新鮮な死体がこんなにも

腕が鳴りますね」

 

「いや、死んでないから!!

…………し、死んでないよね…副委員長…?」

 

救急医学部のセナの失言に、イオリがツッコむも…目の前の惨状に思わずブルートゥへ尋ねる。

 

「えぇ…皆、踊り疲れてしまったのでしょう」

 

その絶妙に生死を判別し難い言い方に、イオリは不安気に倒れている生徒達の首筋に手を当てる。

 

「ほ、ほら見ろ!ちゃんと生きてるぞ!!

……………良かった、生きてて……」

 

ほっと一安心しているイオリと、そんな事はお構い無しに気絶した生徒達を救護車両に投げ込んでいくセナ。

ブルートゥがそんな光景を微笑ましそうに見ていると、また風紀委員が走ってくる。

 

「ふ、副委員長!実は美食研究会が…」

「こちらでは便利屋68が…!」

「食堂で謎の生命体が暴れて…!!」

 

ブルートゥは少し苦笑しつつも、再び駆け出すのだった。

 

 


 

 

『だから!!聞いてますかブルートゥ副委員長!!?』

 

通信端末から響くキンキンとした声に、しかしブルートゥは顔色一つ変えずに優しく微笑む。

 

「ええ、確かに万魔殿と風紀委員会の…いえ、マコトとヒナの対立は悲しい事です」

 

言いながら、飛んできた爆弾を蹴り返す。

 

『本当ですよ!!!!あのタヌキ!!ヒナ委員長がどれだけゲヘナ学園の未来を慮っておられるか!まるで理解できていないんですよ!!!!!』

 

通信機越しとは思えない程の声量に、さしものブルートゥも若干苦笑しつつも努めて優しい声音で返す。

 

「アコ、マコトもまたゲヘナ学園の未来を見据えているのですよ…ただ、彼女は誰よりもゲヘナらしい生徒…

良くも悪くも、ゲヘナらしくないヒナとは折り合いが悪いのでしょう……不憫だ」

 

カァン!と硬質な音と共に、ブルートゥの顔面にライフル弾が着弾する。

ブルートゥはそれを身動ぎ一つせずに受け切ると、弾丸の角度や威力から瞬時に狙撃ポイントを割り出し駆け出す。

 

『……ずいぶんとあのタヌキの肩を持つのですね…

副委員長はどちらの味方ですか?』

 

巨体が嘘のように軽やかに駆けるブルートゥ、その前に二人の生徒が立ち塞がる。

 

「くふふ、作戦通りだね!」

「こんな市街地じゃ、ご自慢の火炎放射器は使えないでしょ」

 

便利屋68が誇る精鋭、ムツキとカヨコはオフィスビルが建ち並ぶ一角でブルートゥと対峙する。

ブルートゥは二人の言葉通り、此処まで一度も火炎放射器を使用していなかった。

 

「どちらの味方か…ですか」

 

ブルートゥは呟きながら、背部に背負った燃料タンクと手に持った火炎放射器を下ろす。

そして、おもむろに…手を上へと挙げた。

 

「なら、私は────アコ、貴女の味方をしましょう」

 

『は………?………へぇぁ!?わ、私!?』

 

高く、空へかざしたブルートゥの手に…空から──否、ゲヘナ学園の校章を貼り付けたヘリから『何か』が降ってくる。

ブルートゥは遥か上空から降ってきたソレを苦も無く受け取ると手慣れたようにスターターロープを引く。

ブルートゥの手元のチェーンソーがけたたましい音と共に刃を回転させ、周囲にオイルを撒き散らす。

 

「嘘……」

「そ、それはちょーっと…予想外、かも……」

 

明らかに伐採に使うものでは無いと主張する二列の刃に、二人は顔を引き攣らせる。

 

「愛する主君を想い心痛める少女…その味方をする人間が、一人くらい居ても素敵でしょう?」

 

『あ、愛する主君だなんて…そ、そんな……!

い、いえ、勿論敬愛はしていますが…そ、その…』

 

回線の先でしどろもどろとなっているアコの姿を空見し、クスリと笑い…構える。

総重量にして約120kgの鉄の塊…オーネスト・ブルートゥのもう一つの相棒であるチェーンソー『スイート・バイト』を。

 

「このサプライズは気に入ってもらえたでしょうか…ご友人」

 

「逃げるよ、ムツキ!」

賛成(さんせーい)!流石にアレは火炎放射器より痛そうだしね!」

 

一目散に逃げ出す二人を、しかしブルートゥは追わずに見逃す。

胸元から懐中時計を引っ張り出し、時間を見て…彼女にしては珍しく、苦々しい表情を浮かべる。

 

「14時半ですか…此処からゲヘナ学園まで、ヘリでも三十分で辿り着けるかどうか……」

 

15時からのとある約束に遅れまいと、ブルートゥは再び市街地を駆けるのだった。

 

 

 


 

 

「キキキ!良く来たなブルートゥ!!

()()()()()約束の5分前とは…几帳面な奴だ」

 

ゲヘナ学園にある万魔殿用の一室、議長であるマコトの趣味で他に比べ明らかに金が掛けられていることが一目でわかるその部屋の前でブルートゥは必死に息を整えていた。

お喋りな彼女が、先程から一言も発さずに荒い息を繰り返さなければならない程に無茶苦茶な走り方をしたからだ。

それでも、数十秒ほどで息を整えるとマコトと共に扉を開く。

 

「あー!ブルートゥ、久し振り〜!!」

 

とてとて、と小さな…ブルートゥと比べると人形のようなと言える程に小さな少女が駆け寄ってくる。

 

「お久し振りです、イブキ

少し見ない間にまた一段と可憐になっていますね…素敵だ」

 

ブルートゥはイブキを軽々と抱き上げると壊れ物を扱うように優しく抱き締める。

 

「えへへ〜!今からちょうどおやつの時間なんだ!

ブルートゥも一緒に食べるでしょ?」

 

イブキは嬉しそうに彼女に頬ずりすると、ニコニコと笑う。

 

「おや、ならば私から贈り物をしてもよろしいでしょうか?」

 

ブルートゥはそう言うと備え付けの小さな冷蔵庫からジャムがたっぷりと詰まったビンを取り出す。

ヒナにも好評だった自家製のアプリコットジャムだ。

 

「わっ!綺麗〜!」

 

ブルートゥは本日のおやつであるプリンを器に取り出すと、周囲に生クリームやフルーツ…そしてクラッカーに乗せたジャムを添える。

 

「お口に合えば良いのですが…」

 

数分後、イブキの前に豪華なプリンアラモードが置かれた。

当然、皆と一緒に食べたいという彼女の想いを尊重し万魔殿の人数分用意されている。

 

「では、いただきましょうか…イブキ」

 

「うん!いただきます!!」

 

誰が盗る訳も無かろうに、急いで食べる彼女を微笑ましそうにブルートゥは眺めていた。

 

「イブキね、イブキ…大きくなったらマコト先輩やイロハ先輩やブルートゥ先輩みたいな!大人のレディーになるんだぁ…!」

 

「ふふ、それは……素敵だ」

 

頬にクリームを付けながらそう笑う彼女に、ブルートゥは口元を手で隠しつつも破顔した。

 

 


 

 

「ん…」

 

ぼんやりとした思考の中、温かな布団の誘惑を断ち切って身体を起こしぐっと身体を伸ばす。

 

「んー…!」

 

時間は…16時!?

ずいぶんと眠ってしまっていたようだ、寝てしまう前…最後に見た時計は確か10時を指していた筈だ。

枕元に綺麗に折り畳まれていた制服に着替えながら、連絡用の端末を見る。

 

「緊急連絡は……入っていない…?」

 

まさか6時間もの間、緊急性のある事件が起こっていないとでもいうのだろうか?

首を傾げながら仮眠室を出ると、執務用のデスクでブルートゥが書類の整理をしていた。

 

「ヒナ、丁度もうそろそろ起こそうかと思っていたのですが…おはようございます」

 

「…もう夕方じゃない」

 

手元を見れば、ほとんど仕事が片付いている。

昨日私がやろうとしていた分まで全て…だ。

 

「そちらの書類はヒナのサインが必要なのでお願いしてもよろしいですか?」

 

そう言って除けられた数枚の書類を指差す。

 

「私が寝ている間に…何も無かったの?」

 

「ええ、今日は1日ごく平和なものでしたよ」

 

そう軽く答えるブルートゥ。

いつもの赤いドレスは傷や乱れ一つなく、顔にも疲れは見えない。

 

「そう…」

 

でも、足元…ブルートゥのブーツには小さな泥跳ねがあった。

朝には無かった泥跳ねが。

 

「ブルートゥ、いつもありがとう」

 

「ふふふ、喜んでもらえたなら…素敵です」

 

ブルートゥはそう言うと、少し照れたように笑った。

 

 

 

 


 

オーネスト・ブルートゥ

得意料理はポテトグラタンとマカロン

最近はジャム作りにはまっている

 

方舟ユウ

得意料理はふりかけご飯

最近はワンパンで出来るお料理特集という記事を見かけ、試しにコヨーテスの同僚を殴り飛ばしてみたが料理が出来ていなかったので近々訴訟する予定

 

ユウちゃん「イグアスは良いぞ!殴ると遠くまで飛ぶ!!」

 

 


 

RaDのチャティ・スティックだ

ブルートゥの同人誌について真剣に考察してみたが、やはり決め台詞は「口では嫌がっていても…身体は正直者(オーネスト)のようですね」になるのだろうかと疑問に思いボスに報告した

ボスのあんなに悲しそうな表情は初めてだ…

用件はそれだけだ、じゃあな

 

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