・虫食い戦。ご都合主義、捏造過多。キャラ崩壊に注意。戦闘シーンは飛ばします
・仗助視点、最後だけ男主視点
承太郎さんに頼まれて、ナイスバディなお姉ちゃんを捕まえるハンティング――じゃなくて、スタンド使いのネズミを捕まえる方のハンティングに行く事になった。
承太郎さんの側には、志人さんがいる。彼もネズミ狩りに同行するらしい。……前髪も眼鏡も無い、素顔をさらしていた。
いろいろと気になる事があったので、志人さんを連れて承太郎さんから離れた場所へ向かい、話を聞いてみる。
「志人さん、いいんスか?承太郎さんがいるのに、素顔出しちゃってますけど」
「あぁ……あの人には素顔も素の口調もバレてるからな。もう良いんだ」
「……じゃあ、ちょっと前までギクシャクしてた、あれは?」
「んん、それも大丈夫。もう解決してるぜ。心配させてごめんな」
「いや、そんな!謝らないでください!……仲直りできて、良かったっスね」
「おう。ありがとう」
「……おい、お前達。そろそろ良いか?」
「あっ、はい!今行きます」
承太郎さんに呼ばれて顔を上げると、志人さんが真っ先にそちらへ駆け寄る。
彼はそれが当たり前のように、承太郎さんの隣に並んだ。俺は2人の後ろを歩いているが……
(……なーんか、スッキリしないなあ)
最初は気のせいかも、と思ったけど気のせいじゃなさそうだ。
――志人さんと承太郎さんが、以前よりも仲良くなっている。
最近までギクシャクしていた理由を俺に教えてくれなかった事もそうだが、2人が俺の知らないところで距離を縮めていたという事実が目に見えて分かると、何というか、もやもやするのだ。
ある程度街中から離れたところで、承太郎さんからスタンドを利用してベアリング弾を撃つ方法を教わった。空き缶に全弾命中とか、カッコいいな!
お前もやってみろ、と。ベアリングを渡されたので挑戦する。……2発しか命中しなかった。承太郎さん曰く、85点。
くそう。志人さんと承太郎さんの前だし、全部命中させてカッコよく決めたかったのに!
「射程内で見つけて外したら、ネズミは二度と射程内に入って来ない。命中すると確信するまで発射するな。
別にプレッシャーを掛ける訳じゃないが……いいな?仗助」
「承太郎さん。その言い方だと、逆にプレッシャーになってしまいますよ」
「む、そうか。……では、どう言えば?」
「仗助。今回はお前1人じゃない、俺と承太郎さんがいる。お前が失敗しても、それをフォローできる人間が2人いるんだ。
ネズミを仕留めるという責任を1人で背負い込まなくても、大丈夫だぞ。落ち着いていけ。な?」
「うっス!ありがとうございます」
「んん、よしよし。……って感じで、自分が言われたら頼もしいな、と思える言葉を掛ければいいのでは?」
「なるほど……分かった。参考にさせてもらう」
……あれ?承太郎さんって、こんなに素直に他人の意見を取り入れるような人だったか?
まだ1ヶ月ぐらいの付き合いだけど、何事も人の言葉に左右されないタイプである事は確実、と思っていたのに。
(まさか、相手が志人さんだから……?)
志人さんが言った事だから素直に聞いて、その場ですぐに呑み込んでいる?あの承太郎さんが?何で?
……そういや。ここに来るまでの会話で、承太郎さんは志人さんの言葉には割りと小まめに反応を返してたな。
必然的に俺との会話が減って、志人さんとの会話が増えていた…………おもしろくない。
承太郎さんの後について行くと、農業用水付近に到着した。音石が例の弓矢でネズミを射ったのが、この辺りだという。
すると。承太郎さんは無言で白いコートを脱ぎ、バックと一緒に志人さんに差し出す。彼も無言でさっと受け取った。…………やけに手慣れてる?
多分、地面にしゃがんでいろいろ調べるのに邪魔になるから、志人さんに預けたんだろうな。
で、志人さんは何も言われなくてもその意思を理解した、と?…………ふーん。
「この場所なら、ドブネズミでしょうね」
「ああ。何処にでも住み、何でも食らう」
「確か、大きいので30cmぐらいまで育つやつもいるとか?性格は基本的に気が強く、獰猛。人間が相手でも、躊躇いなく襲い掛かる。
ただ。物怖じしない、良く言えば好奇心旺盛なタイプだから、毒餌とかにも引っ掛かりやすい……って、随分前に読んだ本に書いてありました」
「さすが、詳しいな志人。その通りだ。前から思ってたが、お前は歩く本棚か?いや、図書館と言っても良いかもしれねーな」
「その呼び方やめろください」
「ちなみに、その場合は体重が1kg、ジャンプ力が2mに達する個体もいるらしい……おっと、見つけたぜ。ほら」
「承太郎さんの話って急に飛ぶ事が多過ぎませんか?……あ、本当だ。足跡」
「前足の指は4本、後ろ足は5本。真ん中の線は尻尾を引きずっている跡だ」
「体長20cm、ってところですか?」
「この痕跡からして、それぐらいだろう」
「30cmを超えてないなら一安心……じゃねぇな。スタンド持ってるなら、このサイズでも充分脅威だわ」
「同意する。……"窮鼠猫を噛む"の"猫"の部分が"人間"に変換されなければいいのだが」
「あんた、それフラグだよ」
「フラグ……?」
「あっ、何でもないです。今のは無しで」
2人の間で、ポンポンと言葉が交わされる。志人さんが馴れ馴れしくしても、承太郎さんは気にしていない様子。
むしろ、承太郎さんまで志人さんに引きずられて馴れ馴れしくなってる気がする。あとついでに、いつの間にか志人さんが君付けじゃなくて呼び捨てされている。
…………この疎外感。まるで、俺が空気みたいじゃねェか。
(――ッ、だああァァ!!俺は
内心で、思い切りそう叫んだ。
俺にとっての志人さんは恩人で、憧れの先輩。承太郎さんは年上の親戚で、憧れの大人だ。
志人さんと仲良くなってる承太郎さんが羨ましいし、承太郎さんと仲良くなってる志人さんも羨ましい。どっちに嫉妬すればいいか分からなくなっちまった!
どっちも俺と関係がある人達なのに、何で勝手に仲良くなってんだ!?何で俺には何も言ってくれないんだ!?
「間違いなく、あの排水溝の奥に巣がある。……志人」
「はい、どうぞ」
「ん」
あァー!またツーカーやってる!!
志人さんが勝手に承太郎さんのバックの中を漁り始めたのにはぎょっとしたが、どうやら事前に承太郎さんが何を必要としているのかを察して、頼まれる前にそれを探していたらしい。
取り出されたのは、ネズミ取りの罠とビデオカメラだ。これで、ターゲットであるネズミの行動を録画するって事か。
……承太郎さんは、バックの中身を勝手に漁られた事に怒らなかった。志人さんが自分の考えを察するのは当然、みたいな顔で平然としている。
志人さんも同じだ。承太郎さんに怒られる心配をしている様子はなく、堂々としていた。
(何なんだよ、この人達は!?たかが1ヶ月程度で、こんなに強い信頼関係を築くなんて!しかも俺を除け者にしやがって!!)
と、イライラしていたその時。小さな異変に気づく。……何だ?ハエがたくさん――
「ッ、承太郎さん、志人さん!」
草むらを掻き分けてそれを目にした俺は、苛立ちを忘れて慌てて承太郎さん達を呼んだ。
俺が見つけたのは、ネズミの死体が四角く固められた何かだ。まるで、煮込んだ魚の煮凝りみたいだぜ。気持ち悪い!
承太郎さんによると、この死体達は一度肉が溶けて固まった物で、しかも皮膚の内側から溶かされて死んでいるとか。
「……排水路は、あの農家に続いているようだな」
「ネズミも、あそこにいるんでしょうか?」
「おそらくな。……行くぞ、あの家を調べる」
「あ、ちょっと待った!行く前に、承太郎さんと志人さんに聞きたい事があるんスけど」
ネズミを追う前に、承太郎さん達を引き留めた。せめてこれだけは聞いておかないと、ネズミ狩りに集中できない。
「さっきから気になって気になって仕方なかったんスよ!2人共、最近までギクシャクしてたくせに、今は前よりも仲良くなってますよね?
というか、アンジェロとか億泰達の一件が終わってからも、2人だけで何度か会ってたんスか?だからそんなに仲が良いのかよ?」
すると、承太郎さんは首を傾げて志人さんを見た。志人さんは……気まずそうだな?何で?
「まだ言ってなかったのか?」
「えぇ、まぁ……前のバイトの事を後輩達に明かすのは、ちょっと、先輩としてのプライド的に話しづらくて、そのままずるずると……」
「……そういう事か」
「前のバイト……?」
「あー、実は、な……」
志人さん曰く。前のバイト先で新しく店長になった人から嫌われており、億泰達の一件があった日にバイトに遅刻した結果、それが原因でクビにされたらしい。
で、その後すぐに承太郎さんが本業……海洋学者の助手として、志人さんを雇ってくれたそうだ。承太郎さんがアメリカに帰るまでの、期間限定のバイトだとか。
「……志人には悪いが、その店長には少しだけ感謝してるぜ。おかげで、俺は優秀な助手を確保する事ができた。非常に助かっている」
「またまた、ご冗談を。そんなに褒めても何も出ませんよー?」
「冗談ではない。書類整理は正確、英語も堪能、頭の回転が早い、海洋学への理解がある、気遣いが上手い。あと、飯も美味い」
「最後のは本来なら、助手の仕事じゃないんですけどね」
助手としての志人さんは、あの承太郎さんがべた褒めする程に優秀なのか。
……なるほど。バイトをクビにされた後にすぐ雇ってくれたなら、志人さんが承太郎さんを慕うのは当然。
そして志人さんがそんなに優秀なら、承太郎さんが信頼するのも当然だよな。
納得出来たおかげで苛立ちは収まったが、それでも疎外感は残っている。…………2人だけで仲良くされたら、俺が寂しいじゃねェか。
それはさておき、今度こそ農家に向かった。家の扉は何故か開いていたため、全員で中の様子を見に行く。
承太郎さんがネズミのフンを発見し、その方向へ向かう途中。俺は冷蔵庫の扉が勝手に開くのを見て、足を止めた。
そこにいたのは、冷蔵庫の中に頭を突っ込んでいる、1匹のネズミ。
「承太郎さん、志人さ…って、いない!?」
2人は別の場所に行ったようだ。振り返ると、ネズミと目が合う。……その後ろでは、冷蔵庫の中で2人の人間が、あの煮凝りの状態にされていた。
(まだ生きてる……!このネズミが、ここの住人をスタンドでこんな風にして、冷蔵庫に保存したのか!?しかも食ってる!)
承太郎さん達がいないなら、俺がやるしかない!……そう覚悟を決めた俺は、我ながら上手くやれたと思う。
ベアリング弾の1発で仕留める事はできなかったが、2発目でなんとか倒した。
「やった!命中――」
――その時。何処からか物凄い物音、いや破壊音が聞こえた。微かに、足元も揺れた気がする。何が起こった!?
慌てて音がした方へ駆け付けると、そこには……何故か一部が大きく凹んで破壊されている床、その凹んだ部分を冷えきった目で見下す承太郎さん、その背後にいるスタープラチナ。
そして。肉が溶けた肩を押さえ、膝をついて真っ青になっている、志人さんの姿があった。
「志人さんッ!?」
「……仗助……さっき、俺達を呼んでたよな?そっちに行けなくて、悪かった」
「んな事はどうだっていいっスよ!!それ、今治します!」
クレイジー・Dで肩を綺麗に治すと、いくらか顔色が良くなった。これで一安心だ。
「それで、俺がいない間に何があったんスか?つーか俺、向こうでついさっきスタンド使いのネズミを仕留めたばっかなんスけど」
「何?……それは本当か、仗助」
「そ、そうっスよ承太郎さん。俺が1人で頑張って倒しました!2人共褒めてくださいよォ」
「おう、よくやったな!凄いぞ」
「へへッ」
志人さんが頭を軽く撫でて、褒めてくれた。それだけでも頑張った甲斐がある。
「……確かに、仗助はよくやった……が、そこで呑気に後輩を褒めてる俺の助手」
「はい?」
「音石の一件の最中、港でジジイを庇ったお前に対して、俺が何と言ったか……頭の良いお前は覚えているだろう?」
「…………あっ、あー、えっと……」
すると、承太郎さんがいつもより威圧感たっぷりの声で、彼にそう問い掛ける。志人さんは冷や汗を流しながら、目を泳がせた。
……不穏な気配を察知した俺は、こっそりと2人から離れていく。
「……た、他人の心配よりも自分の心配をしろ、次からはあんな無茶は止めろ、と」
「ああ、そうだ。俺はあの日、確かにそう言った。……それで?ついさっき、てめーがやった事は何だった?言ってみろ」
「…………承太郎さんが、ネズミに攻撃されそうだったので……俺が、あなたの背中を押して、庇いました」
ネズミ?スタンド使いのネズミは、もう1匹いたのか!
で、その攻撃から承太郎さんを庇った結果が、あの肩の怪我だった……という事は、まさかあの凹んだ床には、
(赤黒い染み、ネズミの尻尾、肉片――ッ!!)
ばっと、目を逸らした。……きっと、咄嗟にスタープラチナの拳で思い切り殴り潰したんだろうなあ……無残なネズミの死体は、見なかった事にしよう――
「……言い付けを破った子には、お仕置きが必要だよなあ?」
「ひぇっ、ちょっ、まっ、」
「問答無用だぜ」
――しかし。目を逸らした先で承太郎さんが志人さんの頭にウメボシをかましているのを見て、さらに別の方向へ目をやる。
とっっても痛そうなお仕置きだ。これも見なかった事にしよう。
例え、泣きの入った悲鳴が聞こえて来ても、彼を庇う事で今の承太郎さんを敵に回したくない。……志人さん、ごめんなさいっス。
―――
――――――
―――――――――
(くそっ、あの馬鹿力め……!)
お仕置きが終わっても、俺の頭は未だにズキズキと痛みが残っていた。
俺がそれに苦しんでいる間、仗助は肉の塊になった住人を治したり、承太郎が凹ませた床を直したりとバタバタしている。
承太郎は、財団にネズミ狩りが終わった事を報告しに行った。……そう、終わったのだ。原作よりもかなり早くに。
まさか、承太郎が2匹目も早々に仕留めてしまうとは……俺が彼を庇った事で、原作の流れが変わってしまったんだろう。
原作では、仗助が1匹目と戦っている間に、2匹目によって承太郎の手の肉が溶かされていた。
だからそれを防ぐために、承太郎について行ったんだが……
そういえば。あの人の手の肉が溶けたのは、一度攻撃を避けた後に自分から針に触ったせいだったなぁ、と。全てが終わった後に思い出した。
つまり。俺が庇わなくても、承太郎はあの攻撃を避けていたはず。……余計なお世話だったか。
でも、仕方ないじゃん!目の前で最推し、違う雇い主が攻撃されそうになってたら咄嗟に庇っちゃうだろ!?
(ちょっと、俺の本体?)
(アッ、ハイ)
(真面目に反省しなさい。また承太郎にウメボシされたいの?)
(…………ごめんなさい)
(何で君は、俺のバリアを使うよりも早くに体の方が勝手に動いちゃうのかなぁ?スタンド使いならスタンド使いらしく行動してよ)
(おっしゃる通りで、はい)
(本気で真面目に反省して)
(すみませんでした)
……心の中で、イージスにまで怒られた。スタンドから見ても、俺の行動はアウトだったらしい。承太郎達にも、イージスにも迷惑を掛けてしまった。
今回で二度目だ。……もしも三度目があったら、承太郎が今まで以上に怒るかもしれない。気を付けないと。
とりあえず、反射的にバリアを張る訓練を――って、そうだ!それで思い出した。ちょうど承太郎も帰って来たし、仗助も呼んで相談してみよう。
「承太郎さん、仗助」
「ん?」
「なんスか?」
「2人に、ちょっとしたお願いと提案があって――」
・自己犠牲精神が染み付いている助手君
きっとこいつは性懲りもなく、いつかの未来でまた誰かを庇うでしょう。
例の仲違い以降、承太郎との信頼関係が以前よりも強化されている。承太郎の隣が定位置。仗助に嫉妬されている事には、気づいていない。
虫食い戦が早々に終わってしまった事にはびっくり。ベアリング弾どころかスタンドの拳一発で終了って……4部主人公の活躍の場が……
このままでは4部キャラ達の成長が遠退いてしまう、と。その対策のために、承太郎と仗助にとあるお願い&提案をした模様。
・助手にお仕置きした海洋学者
きっとこの助手はまたやらかすんだろうな……(遠い目)
少ない言葉、あるいは何も言わなくても、園原が自分の意図を理解してくれるので、とても楽。早くも優秀過ぎる助手を手放すのが非常に惜しくなっている。
仗助からの嫉妬には、何か妙な目で見られているな、と勘付いてはいる。
ネズミの気配には気づいていたが、自分が行動するよりも早くに園原に庇われ、ほんの一瞬呆然。
それからすぐに、助手を攻撃された怒りのままにスタプラ召喚&時を止めるまでもなく高速の拳を振り下ろし、駆除完了。
助手にはお仕置きしたが、またやらかす可能性は高いと考えている。こいつは危なっかしい、俺が守らないと(使命感)
・嫉妬している仗助君
俺は
承太郎と仲良くなった園原が羨ましい、園原と仲良くなった承太郎も羨ましい……
結果。どっちに嫉妬すればいいのか分からなくて複雑だし、疎外感も感じている。2人が自分に構ってくれないので、凄く寂しい。
園原が助手になった経緯を聞いて納得したが、それでも寂しいものは寂しい。
ネズミの無残な死体と、承太郎による園原へのお仕置きは、全力で見なかった事にしたい。
園原に攻撃したネズミへの怒りはあったが、無残な死体と痛々しいお仕置きを見たせいで怒る気も失せた。