・虫食い戦の後。オリジナル回
・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。男主視点
「――今だッ!仗助!!」
「もらったああッ!!」
「……甘い」
「うぎゃあッ!?」
億泰の声掛けと同時に、クレイジー・Dで承太郎に攻撃した仗助は、それをあっさりと回避され、それどころかスタープラチナによって投げ飛ばされた。
「あーあ、綺麗に吹っ飛びましたね」
「そうだな。ざまあみろ、顔面から着地して鼻の骨を折ってしまえ」
「岸辺先生、さっきから息するように悪口吐いてません?特に仗助には辛辣」
「僕はあいつが大嫌いだ」
「わあ、ストレート」
承太郎達の戦いを見物しながら、俺は露伴と会話している。
彼の視線は俺ではなく、手に持つスケッチブックに向けられていた。どうやら、彼らを絵のモデルにしているらしい。
「バッド・カンパニー!」
「わわわっ、危ない!?」
「ちょっとあんた!今あたしの康一くんを狙い打ちしたわね!?たった1人に狙いを定めるなんて卑怯よッ!!」
「だから何だ。これは実戦を想定した訓練だぞ。実際に敵スタンド使いと遭遇した時、卑怯だなんだと言ってる暇があると思うか?」
「このクソッタレが……!!」
「ゆ、由花子さん!落ち着いて!?」
向こうでは形兆を相手に、康一と由花子が共闘している。形兆に対して"プッツン"しそうになった彼女を、彼が頑張って止めていた。
形兆の言う通り、実際に敵と遭遇した時は卑怯とか言ってる場合じゃない。彼の言葉は正論だ。
にしても……もしかして、承太郎はこうなると予想した上で、この組み合わせにしたのか?あり得るな。
康一と由花子はスタンドの中でも変わった力を持っているが、本人達は搦め手とか苦手そうだし……
それに対し、形兆は勝つためなら手段を選ばないタイプ。そんな相手と戦う事は、彼ら2人にとっては良い経験になるだろう。
そう考えると、仗助と億泰の相手をしている事にも、何か理由がありそうだ。…………承太郎の行動を観察してみると、彼らの連携を崩す事に集中している気がする。
……なるほど。2人の連携に、所々で穴がある事を教えようとしているんだな?そして、更なる連携の強化を促している。
言葉ではなく行動する事、あるいは行動させる事で伝える……いや、体に教え込むというのは、まさしく承太郎らしい教育方法――
「――っと、イージス!!」
「はいはい!」
「……ちッ!今度こそ読めると思ったのに!隙が無い男だな貴様は!?」
「あなたこそ、油断ならない男ですね……」
咄嗟に張ったバリアの向こうで、ヘブンズ・ドアーを出した露伴が悔しそうにしていた。確かにこれは良い訓練だけど、気が抜けなくて疲れる……
さて、何故こんな事になったのか。そのきっかけは、虫食い戦の後。俺が承太郎と仗助に持ち掛けた、とあるお願いと提案。
「――スタンド使いの仲間達を集め、定期的に訓練する……その教師役を俺に頼みたい、と?」
「はい。承太郎さん以外に、適任はいないと思っています」
「へえ!いいっスね、それ。で、俺は康一達にも話して皆を集めればいいんスか?」
「あぁ。人を集める方は仗助に任せたい。……もちろん、承太郎さんが教師役を引き受けてくれたら、の話だが」
4部開始時点から考えていた、仲間達を集めて皆でスタンドを使う訓練をする事。あれを実行しようと思った。
原作から外れた行動をする承太郎の存在が、結果的に仗助達の成長の妨げになってしまっている。だが、この訓練を定期的にやれば、その問題を解決できるはずだ。
「――承太郎さんは、いずれアメリカに帰ってしまうでしょう?」
だから、いつまでも承太郎を頼りにする訳にはいかない。承太郎に頼らず、俺達だけでこの町を守れる程の力を付けたい。
そう言うと、彼はこちらを見て非常に複雑そうな表情をしながらも、俺の頼みを引き受けてくれた。
その時の承太郎は何故か、ほんの一瞬悲しそうな目をしていて……あの目はちょっと、いやかなり気になったが、その場には仗助もいたし、突っ込んで聞く事は出来なかった。
……で、今日がその定期的な訓練の初日だ。初日にも関わらず、スタンド使い達がそれなりに集まってくれた。
今日この場にいないスタンド使いにも、仗助や康一が既に事情を伝えているというし、今後も誰かしら来てくれるだろう。
ちなみに。この場所は杜王町の中でも人がほとんど来ない場所だから、安心して特訓する事ができる。俺が町中探し回って、ようやく見つけた場所だ。
承太郎達が今やっているように、訓練内容は基本的に実戦形式で行われる。
ただし、単純な戦闘訓練だけではない。一部の人間には、ちょっと変わった訓練をやらせているのだ。
その一部の人間というのが、俺と露伴……それから、承太郎について来たジョセフと透明な赤ちゃんである。
まぁ、ジョセフと透明な赤ちゃんは、俺と露伴の特訓に付き合わせているだけなんだが……あっ、
「バリア展開!」
露伴がまた俺を本にしようとしている……と見せかけて、ジョセフ達の方を狙っている素振りを見せたので、咄嗟に彼らをバリアで囲む。
「…………何故僕の狙いが分かった?」
「それを言ったら、あなたの訓練にならないですよ」
「くそ……ッ!」
「おお、志人くんはよく見てるのう」
そう。ジョセフの言う通り、俺は露伴を見ている……否、原作の承太郎の言葉を借りるなら、"観て"いるのだ。
露伴の視線や、手足の僅かな動き。それらから目を離さないようにして、彼の次の行動を必死になって読んでいる。
これが、承太郎が俺に言い付けた特別な訓練だ。
「――お前やジジイの記憶を読もうとする彼のスタンド能力を、必ずバリアで妨害しろ。
訓練中は、そこから一歩も動くな。自分の身を犠牲にするのは論外だぞ。
志人は自分以外の誰かを守るのに集中し過ぎて、自分の身を守る事が疎かになっている。
だから……普段から自分が動くよりも先に、反射的にスタンドを使えるようになれ。これは、そのための訓練だ。
……お前には、あまり他人に知られたくない過去があるだろ?それを読まれないように、本気でスタンドを使え。
あの先生には自分のスタンド能力が通った時、その相手の記憶を1分間だけ読んでいい、と許可を出しておく。
こうしておけば、お前は本気にならざるを得ないよな?」
そんなプレッシャーを掛けられた今、俺は本気で露伴を観察し、本気でスタンド能力を活用している。
(だって前世の記憶見られたく無いし!!)
彼が言った、あまり他人に知られたくない過去というのは、きっと今世の俺の家庭環境の事だろう。承太郎はそのつもりだったはずだ。
だが、俺にはそれ以上に読まれたくない物が……ジョジョシリーズの原作を知っている、前世の俺の記憶がある。
これを読まれたらアウトだ。露伴の好奇心を無駄に煽るだろうし、承太郎達には変に警戒されてしまうかもしれない。そりゃ必死にもなるわ!
その後。露伴には何度も狙われたが、訓練が終わるまで妨害を続けた結果、俺もジョセフも一度も読まれずに済んだ。
「全く面白くないッ!!この特訓は僕にとってあまりにも不公平だ!何も得られなかったじゃないか!!」
「いや、それは無いでしょう。あなただって、今日得た物があったはずです」
「何だと……?」
苛立ちを露にする露伴に向けてそう言うと、彼は訝しげな表情を見せた。あれ?気づいてない?
「だって訓練の前半、俺はある程度余裕を持って攻撃を防ぐ事ができましたけど、後半は結構きつかったですよ?
それってつまり、岸辺先生がその分手強くなったって事でしょう?あなたは着実に強くなってます、間違いなく」
「……ま、まあ、そうだな!確かに僕は強くなっている。当然だ」
「ですよね。それに、スタンド能力だけではなく、漫画家としても得た物があったはず。
――相手の記憶が読めそうで、読めない。きっと今まで成功した経験の方が多かったであろうあなたは、そんな中途半端な状態を経験する機会なんて、滅多に無かったのでは?
確か、先生は漫画にリアリティを求めていましたね。今日の体験は、それに役立ちませんか?」
「――――」
すると。露伴は目を見開き、固まった。しかしそれも一瞬の事で、すぐに複雑そうな表情になる。
「…………一理、ある」
「はい?」
「っ、だから!君の言う事にも一理ある!納得したと言ってるんだッ!!非常に不本意だが!」
「は、はぁ」
「勘違いするなよ!?
「そ、そうですか……」
……おかしいな。形兆といい、承太郎といい、露伴といい……あ、いや。承太郎だけは最近、急に素直になったんだが。
俺の周りって、ツンデレ気質の人間が多くないか?何でだろう?
「次こそは、君を完全に負かして本にしてみせるぞッ!!覚悟しておけ!」
そう言って、露伴は一足先に帰って行った。……一体何だったのか、と首を傾げながら振り返ると、のほほんと笑っているジョセフ以外の皆が、揃ってジト目になって俺を見つめている。
「ど、どうしたの?皆、変な顔してるけど……」
ここには承太郎と仗助以外の人間がいるため、猫被りのままそう聞いてみると、彼らは一斉にため息をついた。何だよ!?
「……やっちまいましたねェ、志人さん」
「さっきの、絶対に露伴先生に気に入られましたよ……」
「ご愁傷様ね、志人さん」
「あんた、これからが大変だぜぇ」
「このお人好しめ……」
「……やれやれ、だな」
「えっ、いや、でも……えぇー?さすがに康一くん程では無いでしょ?」
実際、露伴は"康一の次"ぐらいには見所がある……とか何とか言ってた訳だし。
そう反論したら、皆にはさっきよりも深いため息をつかれてしまった。だから何だよ!?
「志人君は本当に人気者じゃな」
四面楚歌の中。ほけほけ笑うジョセフお爺ちゃんと、何が楽しいのかきゃっきゃと笑っている透明な赤ちゃんだけが、唯一の癒しだった。
・めちゃめちゃ必死な助手君
4部キャラの成長を促すため、スタンドの定期訓練を提案したが、承太郎から予想外のプレッシャーを掛けられ、冷や汗を流した。
前世の記憶を読まれる訳にはいかないと、本気を出してバリアをフル活用。露伴の猛攻を全て防いだ。内心ではめちゃめちゃ必死。
露伴に対し、人たらし爆弾を投下。もちろん、投下した本人にその自覚は無い。
Q:俺の周りって、ツンデレ気質の人間が多くないか?何でだろう?※A:自業自得。
いずれ反射的にスタンドを使えるようになるが、身に染み付いた自己犠牲精神はどうしようもないため、これから園原がどうなるのかは、実のところ不明。
・助手君を心配している海洋学者
未熟なスタンド使い達の教師役を引き受けたが、園原から直接、しかも平然と"いずれアメリカに帰ってしまうでしょう?"と言われた事が、実はかなりショックだった。悲しい。
定期訓練初日から、園原への贔屓が目立つ。その自己犠牲精神をなんとか改善させたい一心で特別扱い。
だがしかし、当の本人はプレッシャーを掛けられたとしか思っていないし、贔屓されている自覚もない。
・素直になれないツンデレ漫画家
承太郎から、攻撃が通ったら相手の記憶を1分間だけ読んでいい、と許可されてご機嫌だったが、園原に全て防がれてからは一転して不機嫌に。
しかしその機嫌も、園原の人たらし爆弾投下によって直った。まあ少なくとも康一くんの次ぐらいには見所があるなと思わなくもない!(ツンデレ)
一応、園原に嫌われるような行動を取っていた自覚はある。それなのに純粋に褒められた事で、内心ではかなり動揺していた。
本当は園原と仲良くなりたいのに、プライドが高過ぎて素直にお礼が言えないし、相手を素直に認める事ができない。