空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

12 / 63


・重ちー救済編。ご都合主義、捏造過多

・前半、重ちー視点。後半、男主視点




自ら背水の陣を敷く

 

 

 

 

 訳の分からない殺人鬼に目を付けられたオラは、なんとか隙を突いて隠れる事ができた。

 怖い殺人鬼はハーヴェストのうちの1体を追って何処かに行ったし、今がチャンス!体中が痛いけど、仗助達の所に行くまで我慢するど!

 

 そう思って、外から廊下の窓を開けた時。誰かの声が聞こえた。

 

 

「そこの大怪我をしている君。ちょっと待って!」

 

「えっ!?だ……誰だど?」

 

「今からそっちに行くよ。……突然現れたように見えるだろうけど、あまり驚かないでね」

 

 

 男の声が聞こえるのに、周りには誰もいない。慌ててキョロキョロしていると、目の前に急に人が現れた。

 

 高校生の男の人だ。前髪がちょっと長くて、眼鏡を掛けている。

 その人が突然現れた事にも驚いたけど、何よりもびっくりしたのは、その人の後ろに真っ白な、天使みたいなスタンドがいた事。

 

 

「だっ、誰、」

 

「落ち着いて。静かに。……俺達を囲っている、緑色のバリアが見えるだろう?

 この中にいれば、俺達の姿は誰にも見えないんだ。そういう効果を付与しているから。ただ、見えなくなるのはあくまでも姿だけで、声は外に聞こえてしまう。

 

 誰にやられたのか分からないけど、敵に見つかりたくないなら、静かにして。……俺が言ってる事、理解できるかな?」

 

「……わ、分かったど」

 

 

 オラにも分かりやすいように、ゆっくり話してくれたおかげで、気持ちも落ち着いてきた。オラが頷くと、眼鏡の人はにっこりと笑って、素早くオラの手当てをしながら自分の事を話す。

 

 園原志人と名乗ったその人は高校2年生で、仗助達の先輩で、オラの味方だった。

 オラ達と同じスタンド使いだけど、能力が基本的に防御特化でまともな攻撃ができないから、誰かと協力しないと戦えないらしい。

 

 

「そういう訳で、万が一敵に見つかってしまった時は、既に負傷している君……っと、そういえば名前は?」

 

「矢安宮、重清……重ちーで、いいど」

 

「分かった。なら、重ちーくん。……俺が君を護りながら戦うのは難しい。だから、ここで隠れて待っていてくれないかな?

 応急処置は済ませたけど、そのままじゃきついだろう?仗助に治してもらおう。

 

 俺が必ず、仗助達を連れて来るから……どうか、俺を信じてここで待っていて欲しい。頼む」

 

 

 ……今日初めて会った人なのに、何でだろう?この人の事は、凄く信用できそうな気がするんだど。

 

 

「分かった……オラは、ここで隠れて待ってる……志人先輩を信じて、待ってるど……!」

 

「ありがとう、重ちーくん。すぐに戻って来るよ!」

 

 

 ハーヴェストの力も借りて、茂みの中に隠れた。志人先輩はオラを安心させるように笑って、開かれた窓からひらりと廊下に下り立ち、その直後に走り去って行く。

 

 

 そして先輩は、本当にすぐに戻って来てくれた。最初は先輩達が来た事に気づかなかったけど、窓から誰かが外に出て来た音が聞こえた瞬間、また急に現れたように見えたから、その時も驚いた。

 

 念のため、志人先輩のスタンド……イージスホワイトの力で身を隠しながらここまで来たらしい。

 今はオラと志人先輩、仗助と億泰の4人を囲むバリアが張られていた。このバリアも、外からはオラ達の姿が見えないようになっているみたいだど。

 

 仗助に怪我を治してもらってから、物を爆発させる能力を持つ、スタンド使いの殺人鬼に狙われている事を話した。これで、ようやく一安心だど……

 

 

「さて、これからの事だけど。重ちーくんには悪いが、今日は早退してもらう……というか、しばらくは学校にも通わずに身を隠してもらった方がいいな」

 

 

 えっ?

 

 

「志人さん?それは、何で?」

 

「スタンド使いの殺人鬼が、今も学内の何処かにいる……そいつは今後も、自分を目撃した重ちーくんをつけ狙うだろう。

 その殺人鬼にとって、目撃者である彼の存在は邪魔だ。"証拠隠滅"のために、血眼になって探し回るはず」

 

「……そうか。そうっスよね!明日からも重ちーが学校に来るとしたら、殺人鬼がそれを待ち伏せして、また重ちーを殺しに行くかもしれない……!」

 

「やべぇじゃねぇか、それ!」

 

「うん。重ちーくんがここの生徒である事は既にバレているし、殺人鬼が学校の周辺で待ち伏せする可能性は高い。

 その上、もしも彼の自宅まで尾行されてしまったら、彼の家族だって狙われてしまうかも……」

 

 

 オラの家族……パパとママも狙われる!?それは駄目だど!パパとママをあいつから守るんだど!!

 

 

「志人先輩!オラ、どうすればいい!?オラが死ぬのも、パパとママが死んじゃうのも嫌だど……!!」

 

「……もちろん、分かってるよ。重ちーくん。こういう時は、専門家を頼ればいいんだ」

 

「専門家……?」

 

「まずは、承太郎さんの下に連れて行く。そして――SPW財団に、保護してもらおう」

 

 

 SPW財団の事は、テレビのニュースとかで何度か放送されてたからオラでも知ってたけど、財団がスタンド使いにも関わっているなんて、知らなかった。

 志人先輩が言うには、事情を話せば財団の人達がきっと力になってくれるはずだ、との事。オラのパパとママの事も、財団にお願いしてみようと言ってくれた。

 

 

「……という事で。俺も重ちーくんの護衛役として、一緒に承太郎さんの所に行って来る。

 仗助と億泰くんは、今日のうちに殺人鬼に戦いを挑みに行くなんて真似はしないように。敵に挑むのは、味方側の態勢を万全にしてからだよ?

 

 もしも君達が死んだら、たくさんの人達が悲しむ。特に、君達の家族がね。……だから、絶対に無茶はしないでくれ。分かった?」

 

「うっス。志人さんの言う通り、大人しくしてます」

 

「わ、分かったよ志人のアニキ……」

 

 

 ……仗助と億泰は、志人先輩の指示に素直に従ってる。どう見てもガリ勉にしか見えないのに、2人はこの人に逆らおうとしない。よく考えてみると、ちょっと不思議だど。

 

 

「でも、志人さん。いいんスか?早退しちゃっても」

 

「んん?」

 

「だってあんた、この学校には特待生入学したんスよね?それなら、授業サボっちまうのはまずいんじゃ……」

 

 

 特待生入学!やっぱり見た目通り、この人はガリ勉で頭が良い人なんだど。

 

 

 でも。志人先輩は、ただのガリ勉じゃなかった。

 

 

「では逆に聞くが、仗助」

 

「は、はい」

 

「――可愛い後輩の身の安全と、俺の成績。どちらが大切だと思う?」

 

「――――」

 

「……いや、問い掛けるまでもないな。先輩が後輩を見捨てるなんて、あり得ねぇだろ」

 

 

 仗助に向かってそう言い切った先輩は、凄く、カッコよかった。……とても頼りになる先輩だ。そう思ってほっとしたら、何故か突然眠くなった。

 ふらりと傾く体を、誰かが受け止めてくれたのを感じながら、オラの意識は段々と薄れていった――

 

 

 

 

 

 

「――っ、重ちー!?」

 

「おい、どうしたぁ!?」

 

「2人共、静かに。……きっと、戦闘中から張っていた気が、今になって緩んだのさ。相当疲れているんだと思う。このまま、眠らせてあげよう。

 重ちーくんは俺が背負って……あー、イージスの力も借りれば、なんとか運べるか……?

 

 いや、とにかく。不可視のバリアで身を隠しながら、承太郎さんの所へ連れて行く。

 仗助と億泰くんは、今日の授業が終わったら俺と重ちーくんの荷物をこっそりまとめて、持って来て欲しい。お願いできるかな?」

 

「おう!」

 

「了解っス!」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 不可視のバリアを利用して、重ちーと吉良の戦いを見守り、タイミングを見計らって重ちーを保護した。

 

 あのタイミングで彼を引き留めなかったら、仗助達の教室のドアノブがいつ爆弾に変えられるかも分からなかったしな。

 だから、吉良が重ちーを一度見失った時点で確保させてもらった。

 

 SPW財団が彼を保護してくれるかどうかは、実を言うと賭けだったんだが……彼らも承太郎も快く引き受けてくれた。ありがたい事だな。

 重ちーはしばらく杜王町を離れ、隣町で暮らす事になった。少なくとも、吉良を倒すまでは。

 

 彼の両親や、学校への対応は財団側が上手くやってくれるという。

 特に、学校の方は心配だ。授業に出席できない訳だし、勉強に遅れが出てしまうだろう。その辺りもサポートしてくれるそうだ。

 

 

 さて。その重ちーの事だが……少々、困った事になっていた。

 

 学校で眠ってしまい、次に目を覚ましたのは承太郎が泊まっているホテルの一室にやって来た直後の事。

 それならちょうど良いと、彼から吉良について情報を聞き出そうとしたのだが――なんと、彼は吉良と戦った時の記憶のほとんどを失っていた。

 

 かろうじて覚えていたのは、俺や仗助達に助けられた時の出来事のみ。

 おそらく。吉良に対する恐怖から、自分の心を守るための防衛機制が働いたのではないか……と、承太郎はそう推測している。

 

 

 ついでに、これは余談だが。

 

 

「志人先輩!」

 

「んん?」

 

「オラ、志人先輩みたいなカッコいい男になりたいど!」

 

「…………えぇー……?」

 

 

 ……と、このように。目を覚ました重ちーは、何故か俺にめちゃくちゃ懐いている。

 仗助は黒柴、億泰はパグ、重ちーは……ブルドッグってところかな?いずれにしても、俺にとっては可愛い後輩達だ。

 

 

 それはさておき。……重ちーからは既に、例の吉良の服のボタンを受け取っている。もちろん、それは承太郎に渡した。

 これで、シアハ戦のフラグが立った訳だが……それと同時に、辻彩の死亡フラグも立った事になる。

 

 

 彼女を救済する方法なんて、俺には1つしか考えられなかった。

 

 

(――シアハ戦の時点で、吉良を倒す。整形なんてやらせねぇ)

 

 

 極端な方法だが、それ以外は何も思い付かない。これしかないと思った。

 

 写真の親父とか、川尻浩作になった吉良とのラスボス戦とか。早々に吉良を倒した先の未来で、4部の展開がどうなるのかは未知数だ。

 それでも。……それでも、承太郎達が死ぬ可能性を少しでも無くしたいのであれば、ここで吉良を倒すしかない。

 

 特に、億泰が心配だ。原作の彼は一度、ラスボス戦の時に吉良のせいで死にかけるが、死んだ兄……形兆がそれを引き留めた事で、現世に戻って来る。

 その形兆が生存している今、億泰が死にかけたら誰が彼を引き留めてくれるんだ?

 

 

(あとは……辻彩を確実に救済するために、保険を掛けておくか)

 

 

 これをやると、もしも吉良を逃がして見失ってしまった場合。原作以上にまずい展開になるかもしれない……だからシアハ戦で、絶対に吉良を倒さなくては。

 

 

 ……そして、現在。俺は例の"振り向いてはいけない小道"の前にいた。スタンド使い達が全員集合した、あの場面である。

 原作と異なり、本来ならいないはずの俺と形兆がこの場にいるけどな。

 

 

「志人さん、これ」

 

「あぁ、俺の鞄だね。ありがとう、仗助」

 

「うっス。それで、重ちーはどうなったんスか!?」

 

「大丈夫だよ。彼の事は、財団が保護してくれるって」

 

「そうか、良かった……!」

 

「しばらく会えなくなるだろうから、そうなる前に後で会いに行くかい?彼の荷物も渡さないといけないだろうし」

 

「はい、そうします!億泰、お前も行こうぜ」

 

「おう……あ、兄貴。親父の事は、」

 

「話し合いが終わったら、俺が家まで連れて行く。……お前は好きにしろ」

 

「ありがとう!」

 

 

 原作では、あり得なかった会話だ。形兆も重ちーも生きているからこそ、こんな会話ができている。……2人を助ける事ができて良かった。

 

 

 そんな会話の後、承太郎が吉良について説明を始める。実際に襲われた重ちーと関わりのある俺や仗助、億泰もその説明を補足した。

 話を聞いていた杉本鈴美も、重ちーを襲ったスタンド使いは自分を殺した人間である可能性が高いと証言。それ以外のスタンド使い達も、それぞれの反応を見せる。

 

 

「私が知らない間に、とんでもない事が起こっていたのね……」

 

「私は、お店に来るお客様に注意しましょう」

 

「ふぅ……うちに来るとは思えないけど、まあ一応はね」

 

 

 はいはい、そこの美人さん。その発言、フラグです。

 

 

「承太郎さん」

 

「ああ、分かっている。……辻彩。君には、こちらから提案したい事がある」

 

「提案?」

 

 

 俺から事前に承太郎に相談していた事を、辻彩に対して直接提案してもらった。

 

 

「――君も、重ちーと共に財団に保護されるつもりはないか?」

 

 

 俺が承太郎に相談したのは、康一や由花子から聞いていた、彼女のスタンド能力についてだ。

 

 彼女の能力を使えば、人間の顔を整形する事ができる。しかし、その能力を例の殺人鬼に利用されてしまったら?

 スタンド使い同士は引かれ合うのだから、彼女と殺人鬼が出会い、何かの拍子にその便利なスタンド能力を知られてしまうかもしれない。

 そうなった時。殺人鬼が辻彩を脅して、自分の顔の整形を行ったとしたら?そして、証拠隠滅のために彼女を殺してしまったら?

 

 ……と、実際に原作で起こった出来事をぼかしつつ、そんな可能性がある事を承太郎に話した。

 すると。承太郎自身も充分あり得ると考えたのか、すぐに財団の人間に連絡して、彼女の事も重ちーと共に秘密裏に保護するようにと、指示を出してくれた。

 

 あとは、辻彩がこの提案を呑んでくれるといいのだが……

 俺と承太郎が2人掛かりで説得し、途中から彼女を心配した康一と由花子も援護してくれたおかげで、なんとか受け入れてもらった。

 

 なお。彼女や重ちーが財団に保護される事は、今この場にいるスタンド使い達だけの秘密という事で、念入りに口止めしている。

 

 

(……これで、後に引けなくなったな)

 

 

 万が一。原作のように吉良を取り逃がしてしまった場合、辻彩のスタンドで整形も出来なくなった奴が、どんな行動に出るか……

 彼女の保護が決まった事で、それが分からなくなった。……追い詰められた殺人鬼が、とんでもない凶行に走ってもおかしくない。

 

 

 その凶行を防ぐために、シアハ戦で確実に吉良を倒す――

 

 

(――そうしないと、4部の展開が……いや、杜王町自体が!吉良の手で滅茶苦茶にされてしまう……!!)

 

 

 

 

 

 

 






・危険な賭けに出た助手君

 重ちー救済、成功。吉良の魔の手から彼を守るために、財団に保護してもらう事を提案したところ、無事に受け入れられた。
 ついでにブルドッグ、もとい重ちーに懐かれた。彼を助けた時の態度や男前発言がそのきっかけとなっているのだが、当の本人は何故懐かれたのか分かっていない。

 辻彩の救済のため、ついに自ら原作を大きく崩壊させる行動に出た。
 こうなると、シアハ戦で必ず吉良を倒さなければ4部の展開、というか杜王町自体が"大惨事待ったなし"となるが、果たして――?


・助手君に懐いたブルドッグ君

 ブルドッグ、もとい重ちー、もとい矢安宮重清。

 仗助達の教室のドアノブに触れる前に園原が引き留めたため、爆死せずに済んだ。今後は吉良を倒すまでの間、隣町にて財団の保護を受ける事に。
 園原に助けられた際。彼が自分を気遣ってくれた事や、男前発言を聞いた事で見事に懐いた。これ以降、園原に憧れて守銭奴らしい行動を控えるようになる。


・証拠隠滅が出来なかった殺人鬼

 写真の親父と共に血眼で重ちーを探しているが、全く見つからないので焦っている。そんな中でも、表面上は平凡な日常を過ごす事を忘れない。

 園原の決断によって、地獄行きまでのカウントダウンが始まった。





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。