空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・第4部、完!と、それから数年後。どちらもオリジナル話

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。男主視点




空条承太郎の助手(正式採用)

 

 

 

 

 今日は、承太郎とジョセフ……と、静・ジョースターと名付けられた透明な赤ちゃんが、杜王町を去る日だ。

 ジョセフは財団職員達の力も借りて、静の親を探していたらしいが、結局見つからなかったため、やはりジョースター家で引き取る事にしたようだ。

 

 

 アメリカに帰国するために利用するのは、ジョセフが杜王町に来る時に使った、あの船だ。

 現在。承太郎達を見送るために、多くのスタンド使い達が港に集まっていた。そのほとんどが、例の定期訓練に一度は参加している。

 

 ……だからこそ、これ(・・)を完成させるのには苦労した。そのついでに、ある物を買うためのお金も皆から集めた。

 学校が休みの日を利用して、あちこち駆け回ったからなぁ……よく頑張ったよ、俺。

 

 

「志人さん、例の物(・・・)は?」

 

「今、俺の背後に不可視のバリアで隠してあるぜ。物自体はイージスに持たせてる」

 

「おおッ!サプライズっスね?」

 

「そうそう。……あ、そろそろ空いたか?行って来る」

 

「お願いします!」

 

 

 仗助との内緒話を終えて、承太郎の下へ向かう。ちょうど、承太郎に別れを告げるために集まった人達が離れて行くところだった。

 

 

「承太郎さん」

 

「……志人」

 

「今まで、お世話になりました」

 

「いや……世話になったのは、俺の方だ。優秀な助手がいたおかげで、あの新種も見つける事が出来たしな」

 

「いやいやいや!俺のおかげっていうか、あれはまぐれですよ……」

 

 

 そう。実は原作で承太郎が博士号を取る、ヒトデに関する論文。あれの元になる新種のヒトデを、どういう訳か俺が発見してしまったのだ。

 

 いつも通り、イージスのバリアで海洋生物を囲んで地上へ運んだ時。

 その中にヒトデがいたので、確か原作ではそれで論文書いてたよなー、と軽い気持ちで承太郎にヒトデがいますよーって教えたら、それがなんと新種でした、という……うん、まぐれだ。まぐれ。

 

 

「例の定期訓練、あれのおかげで俺も、皆も相当成長できたと思います。先生役を引き受けてくれて、本当にありがとうございました。

 

 

 ――という訳で。細やかながら、俺達からお礼の品を用意してあります。イージス!」

 

「はーい。どうぞ」

 

「!?」

 

 

 不可視のバリアを解除し、急に現れたイージスに驚いている承太郎へ、イージスから受け取った紙袋を渡した。

 

 

「これは……?」

 

「どうぞ、中身を確認してください」

 

 

 ちらっと後ろを確認すると、重ちーや噴上も含めた学生組のスタンド使い達がニコニコ、あるいはニヤニヤしている。

 どういうプレゼントにするかは、学生組と相談して決めたからな。承太郎がどんな反応を見せるのか、楽しみなんだろう。

 

 

「――寄せ書き、か?それに、こっちの細長い箱は……」

 

「そっちも開けていいですよ」

 

「…………ほう。万年筆か……センスが良いな。俺の好みだ」

 

「それは良かった!」

 

 

 プレゼントの中身は、万年筆と寄せ書きだ。寄せ書きの方は、定期訓練に参加したほとんどのスタンド使い達に書いてもらった。

 万年筆も皆でお金を出し合って、デザインがカッコよくてそれなりに高価な物を購入したのだ。

 

 再び後ろを見ると、学生組が喜んでいる。皆で選んだプレゼントを承太郎に気に入ってもらえて、嬉しかったんだな。

 

 

「……寄せ書きの中心に、承太郎"先生"と書いてあるんだが」

 

「そりゃそうですよ。俺達にとっては今も、そしてこれからも。承太郎"先生"なので」

 

「そうっスよ、承太郎先生!」

 

「先生、いろいろありがとなぁ!」

 

「スタンド能力の特訓、凄く為になりましたよ、承太郎先生!」

 

「先生!お世話になりましたど!」

 

「あんたのおかげで、俺の美しさに磨きが掛かった気がするぜ、先生。ありがとよ!」

 

 

 学生組から次々と声が上がる。特訓中は承太郎さんと呼んでいたが、皆ノリが良いのか先生と呼び始めた。

 それに対して承太郎は……帽子を深く被る。あ、これ照れてるな?思わずニヤニヤしてしまった。

 

 

「実は教師に向いてるんじゃないですか?承太郎先生」

 

「……からかうな」

 

「いえ、これは本気で言ってます。誓って、からかっていません。

 最初は言葉で教えるよりも体に教え込む、ってやり方が目立ってましたけど、途中から言葉で分かりやすく説明してくれる事もありましたし。本当に、承太郎さんは教師も似合うと思います」

 

「…………そう、か?」

 

「はい。……大学で学生達に海洋学を教えたりはしないんですか?」

 

「大学の講師?……いや……そうなりたいと思った事も、無かったな……」

 

「そうなの?勿体ないわね……」

 

「……これだけ指導が的確なのだから、何処かの大学で講師をやっているのだと、勝手にそう考えていたが……違ったのか」

 

「志人さんの言う通り、本当に教師になってみたらどうスか?承太郎さんなら生徒に大人気になるっスよ、きっと!」

 

「……別に、そういう人気はいらないのだが」

 

「ええー?」

 

 

 俺だけでなく、他の学生組にもそんな事を言われたせいか、承太郎は困惑している。……ちょっと失敗したかな。

 

 

「すみません。承太郎さんを困らせるつもりは無かったんですが……」

 

「……志人」

 

「はい?」

 

「俺は本当に、教師に向いていると、思うか?」

 

「はい。それはもちろん」

 

「…………そうか」

 

 

 承太郎が黙り込んだ。これは、何かを深く考えている時の仕草だ。んん?今の言葉にそれほど深く考えるような要素があったのか?

 

 

「――承太郎!そろそろ船を出すそうじゃ。乗るぞ」

 

 

 その時、財団職員と話していたジョセフが、承太郎を呼んだ。……いよいよ、お別れか。

 

 

 六車さんには財団職員になると返事をしているし、その時点で内定は確実だと言われているから、既にアメリカにある本部への就職は決まっている。

 よって、数年後には再会できるだろうと予想しているが……それでも、寂しい。

 

 そして俺以上に、承太郎と接する機会がほとんど無くなる奴らは、もっと寂しく思っているはず。

 そう思って振り向くと、何人かの目が潤んでいた。定期訓練のおかげで、原作よりも関係が深まったからな。それだけに、別れを惜しむ奴らは多い。

 

 

「……では、そろそろ行く」

 

「はい……俺が卒業するまで、しばらくお別れですね」

 

「あ、そっか!志人さんは卒業したらアメリカに行くから……」

 

「何ッ!?園原がアメリカに!?」

 

「志人先輩がアメリカに行くってどういう事だど!?」

 

「そうか。重ちーは中等部だし、噴上は高校違うから知らなかったのかァ。実はさ――」

 

 

 財団に就職してアメリカ行きを決めた事については、既に屋上で昼飯を一緒に食べる面子には報告していたが。重ちー達が知らないのは当然だな。

 そんな彼らに、仗助が事情を説明している間、承太郎は他の学生組と別れの挨拶を交わしていた。

 

 ……あの人、原作よりもフレンドリーになってる気がするんだよなぁ。これなら、6部の時に杜王町のスタンド使い達を頼ってくれるかも……?

 

 

「承太郎さん、さよならー!」

 

「お元気で!」

 

「また杜王町に来てくれよなぁ!」

 

 

 やがて、別れの挨拶を終えた承太郎が船へ向かって歩き出す……と、何故か足を止めて振り返った。

 

 

「志人!」

 

「はい、何です、っ、おっと!?」

 

 

 返事をしたら、承太郎が何かを投げ渡して来た!慌てて両手で受け止めて、手の中を見る。

 

 

「え、これ――携帯電話!?と、充電器!」

 

「名義は俺になっている。支払いも俺がやるから心配するな」

 

「はいぃっ!?」

 

「既に俺と六車、それから財団の連絡先が入っている」

 

「え、ちょ、」

 

「じゃあな。次はその携帯に連絡入れるから、失くすんじゃねーぞ!」

 

「はっ!?ちょっと、おい待てこら!?」

 

 

 言うだけ言ってさっと船に乗り、そのまま出港してしまった。…………嘘だろ、承太郎。

 

 

「携帯電話もらったんスか!?いいなあッ!!」

 

「それをポンと渡しちゃう承太郎さんの金銭感覚はどうなってるんだろ……?」

 

「おい。それ最新モデルじゃねえか!?」

 

「本当だ!!」

 

 

 俺の周囲で学生組が大変喧しい事になった。この時代の携帯電話って、基本的に大人だけが持ってるイメージだしなぁ……皆、子供らしく大興奮だ。

 

 あの人、何でこんな爆弾を俺なんかに渡したんだ!?俺が将来財団職員になるから?いや、それなら卒業後に渡すべきだろ。

 いやいやそもそも!あの人がわざわざ俺のために金を払う必要が無い訳で!

 

 

(…………出来る限り、使用は必要最低限に抑えよう。承太郎に無駄な金を払わせないためにも)

 

 

 ――なお。そんな決意は、俺が卒業するまでに頻繁に電話やメールをしてくる承太郎本人のせいで、脆くも崩れ去った。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ――あれから時が流れ、俺はついに高校を卒業した。今日は、俺がアメリカに向かう日だ。

 

 承太郎達が杜王町から去った日と同じく、俺も財団が用意した船でアメリカに行く。……そして今、俺はペット用スリングの中にいるシエルと共に、港にいるのだが。

 

 

「何でこんなに人が集まってるんだ……?」

 

「何言ってるんスか?皆、志人さんの見送りに来たんスよ?」

 

 

 首を傾げる仗助にそう言われたが、この目で見ていても信じられない。……何故か、承太郎達が杜王町から去った時以上の人数が、港に集まっていた。

 

 いや、まぁ、冷静に考えれば。承太郎達の時は、スタンド使いしか集まっていなかったが……

 俺の場合は朋子さんとか良平さんとか、同級生とか新たなバイト先の人達とか、一般人の知り合いも来ているから、こんな人数になった理由は分かる。

 

 しかし、皆それぞれ用事があるはずなのに、わざわざ見送りに来てくれるなんて……

 

 

「……あはは。承太郎さんがこの場にいたら、"やれやれ"って言ってましたよ、きっと」

 

「本当にね……志人さんは相変わらず、自己評価が低過ぎるわ」

 

「この人数は、志人さんのジンボ?ってやつだろぉ?本人が困ってどうすんだよ?」

 

「億康。それを言うなら人望だ、じ・ん・ぼ・う。……それから、園原。お前は早くいろいろと自覚しろ」

 

 

 康一や由花子、億康や形兆に呆れられてしまった。……まさか、形兆まで来てくれるとはな。去年卒業して、財団職員として忙しい毎日を送っているはずなのに。

 

 

「志人君」

 

「あ、露伴先生!あなたも見送りに来てくれたんですね、ありがとうございます」

 

 

 いろんな人が別れを告げに来るところに、露伴もやって来た。俺の記憶を読もうとするこの人に対し、その全てを必死に阻止して来た特訓の日々が懐かしい。

 

 

「ほら、あげるよ」

 

「え?…………えっ、これ!イージスとシエルと俺!?いつの間に描いたんですか!?」

 

「ふん。僕の手に掛かれば、これぐらい造作も無い」

 

 

 露伴から手渡されたのは、イージスとシエルと俺が一緒に描かれているイラストだった。しかもサインまで入ってる!!

 

 

「ありがとうございます、先生!大事にします!」

 

「そうかそうか、喜んでくれたのなら何より、」

 

 

 と、嫌な予感がしたので咄嗟にバリアを張る。……間一髪。ヘブンズ・ドアーが触れる前に阻止出来た。

 

 

「……っ、くそおッ!!本っ当に隙が無いなあ、君は!!」

 

「むしろ、まだ諦めていなかったあんたを心から尊敬する……」

 

「そのおかげで、俺の本体がバリアを張る反射速度は、かなり上がったけどね……」

 

「ニャウー……」

 

 

 俺とイージスは苦笑いを浮かべ、シエルが呆れたと言わんばかりの鳴き声を上げる。……ここぞとばかりに狙って来たなぁ。さすがは岸辺露伴。

 

 

「露伴、てめえ……!まだ懲りて無かったのか!!」

 

「ま、まぁまぁ落ち着いて、仗助君!あ、ほら!僕達も志人さんへのプレゼントを渡さなくちゃ!」

 

「ああ、そうだったな!」

 

 

 その後。仗助達から嬉しいプレゼント――中身は学生組による寄せ書きと、就職祝いも兼ねたネクタイピンと名刺入れだった――をもらい、それぞれと別れの挨拶を交わし……最後に、仗助と会話する。

 

 

「お前と、お前の家族には特に世話になったよな……いろいろありがとう。おかげ様で、一人暮らしの寂しさは吹っ飛んだし、本当に、楽しかった」

 

「志人さん……もう、お別れっスか」

 

「……日本からは離れてしまうが、絶対に連絡する。俺の携帯の番号は教えただろ?寂しくなったらそっちから電話していいぞ」

 

「まさに今、すげー寂しいんスけど」

 

「…………仗助、」

 

「うっ……!ぐす、ううぅぅ……ッ!!」

 

「あー、ごめんなシエル。ちょっと降りてくれ……待て待て、仗助!泣くくらいなら、ほら、来い!」

 

 

 一度シエルを足元に降ろし、そう言って両腕を広げると黒柴、もとい仗助はすぐに飛び込んで来た。

 ……以前と比べてかなり背が伸びたなぁ、こいつ。ジョースターの血筋だし、いずれ195cmになるのか?いや、もうなってるかも?

 

 しかし、図体がデカくなっても仗助は仗助だ。情に厚い素直な後輩で、時々ちょっとやらかす事はあるが、基本的にいい子だ。

 

 

 ……その後。泣いている仗助の頭を撫でて宥めていたら、他の後輩達まで泣きながら抱き着いて来た。びっくりした。

 慌てて皆を慰めて、途中で後輩達の後ろから見守っていた形兆と噴上に助けを求めて、ようやくシエルを回収して船に乗る事が出来た。

 

 後輩達は、最後には笑って見送ってくれたのだが……俺は後に、船の中でこっそり泣いた。

 あんなに別れを惜しんでくれるなんて先輩としては嬉しいが、時間差でもらい泣きしちゃったよ、全く……

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 そして、アメリカに到着。入国手続きやその他諸々を済ませた後、アメリカで住む家に行って荷解きして……それで1日を費やした。

 

 翌日。今日はいよいよ、SPW財団の本部へ向かう。初日だから、ちゃんとスーツを身に付けた。

 ネクタイには、せっかくなので学生組からのプレゼントであるネクタイピンを付けてみる。……うん、良いな。これ。シンプルなデザインだが、俺は結構好きだぞ。

 

 シエルも連れて来るようにと言われているため、今回ばかりはスリングではなく、小型のペットキャリアの中に入ってもらう。

 今日だけは、実は日本の支部ではなくアメリカの本部所属だった六車さんが、車で迎えに来てくれる。

 

 アメリカの交通機関の利用方法は、今度教えてもらう予定だ。……まぁ、俺は前世の記憶のおかげで大体分かっているのだが。そのうち、車の免許も取得しないとな……

 

 

「今日はまず、園原さんを財団職員に推薦した方と顔を合わせてもらいます。あなたの仕事は基本的に、その方を補佐する事です」

 

 

 六車さんが運転する車内で、今日の予定について聞いてみたら、そんな言葉が返って来た。俺を推薦した人?

 

 

「へぇ……その方はどんな人なんですか?」

 

「…………」

 

「……六車さん?」

 

 

 何故か、黙り込んでしまった。ルームミラー越しに見えた六車さんの表情は、とても申し訳無さそうで……え、何?その人、何かあるの?

 

 

「…………おそらく。聡明な園原さんであれば、あの方と顔を合わせた途端に全てを理解してしまうはずですので、今のうちに言わせていただきます。本当に、申し訳ありませんでした」

 

「何で急に謝罪??」

 

 

 訳が分からんと彼を問い詰めても、"自分からは何も言えない"の一点張り。

 真面目な六車さんがここまで口をつぐんでいるとなると、多分相手は相当な大物なんじゃないか?

 

 どうしよう。一気に不安になって来たぞ……なんて思っていても、時間はどんどん進んでいく。

 気がつけば財団本部に到着していて、あれよあれよという間に、俺を推薦した人が待っている部屋の前に連れて行かれた。

 

 不安だ。猛烈に不安だ。シエルをもふもふして安心したい。

 だがしかし、残念な事に彼がいるのは俺が持っているペットキャリアの中だ。そこから出す事はできない。

 

 

 そして。六車さんが、その扉をノックする。

 

 

「園原さんをお連れしました」

 

「――分かった。入れ」

 

「え、」

 

 

 思わず、小さく声を漏らした。……六車さんは日本語で話した。

 部屋の中から返って来た声も日本語。しかも、その声はあまりにも聞き覚えがあり過ぎる声で――

 

 

 

 

 

 

 ――六車さんが開けた扉の向こうで、俺達に背を向ける形でソファーに座っていた人物が、立ち上がる。

 白い帽子に、白いコートを身に付けたその男は、こちらに振り向いて不敵に笑った。

 

 

「……待ってたぜ、志人。高校卒業、そして就職おめでとう。……心から歓迎する」

 

 

 その人物……5部時点の服を着た空条承太郎の顔を見た瞬間、俺はゆっくりとシエルがいるペットキャリアを床に下ろし、そして……

 

 

「ふふ、は、はは、はははははっ!!」

 

「そっ……園原、さん?」

 

 

 笑った。腹を抱えて、笑った。困惑した六車さんの声が聞こえたが、そんなの気にしてられなかった。

 

 承太郎の不敵な笑みが、あの時の……以前杜王町でドライブに連れて行かれた時の、最後に見た不敵な笑みと重なる。

 あぁ、そうか!あの言葉は、そういう事だったのか!で、六車さんが俺に謝罪したのは、六車さんもグルだったからだな?なるほど、そうかそうか、嗚呼――

 

 

「――――ずるい大人だ」

 

 

 俺が万感の想いでそう呟くと、あの日の自分が俺に向かって言った言葉を思い出したのだろう。

 承太郎はいい歳した大人のくせに、悪戯小僧のように笑ってこう言った。

 

 

「ああ、そうさ……だからあの日、言っただろ?大人は、ずるいんだ。お前を手放せなくなったから、何としても手に入れて、側に置く事にしたんだよ」

 

「助手が欲しいなら、わざわざ俺を嵌めてまで手に入れなくても、直接言ってくれれば……」

 

「あ?……何だ。嵌められた事には気づいたのに、そこはまだ理解してなかったのか」

 

「え?」

 

「今言ったばかりだろ?俺は、お前を(・・・)、手放せなくなったから手に入れたんだぜ」

 

「だから、俺という助手を(・・・)手に入れるのに、わざわざそこまでやる必要は無かったのでは?」

 

「…………」

 

「……んん?」

 

 

 承太郎が目を点にしている。……俺、何もおかしい事言ってないよな?

 

 

「あー……そうか。お前が気づかないなら、もうそれで良い。

 

 

 …………結果的に唯一の理解者を手に入れる事ができた訳だしそいつが変なところで鈍感だろうが何だろうが関係ねーよな、うん。よし」

 

「はい?今、なんて?」

 

「何でもない」

 

 

 最後の方はぼそぼそと、何やら早口で言われたので聞き取れなかった。……とりあえず、承太郎が納得したのならそれでいいか。

 

 

「それで……六車さん」

 

「は、はい!」

 

「俺の仕事は、この人の補佐って事でいいんですね?」

 

「そっ、そうです」

 

「分かりました。……承太郎さん。補佐の仕事は、杜王町でもやっていた助手の仕事内容と大体同じですか?」

 

「あ、ああ。そうだな。基本的に、あの時の仕事内容と同じだ」

 

「了解です。では、改めてよろしくお願いします」

 

「…………いいのか?」

 

「何がです?」

 

「お前には、自分を罠に嵌めた相手に……俺に対して怒る権利があると思うが……」

 

 

 承太郎に対して怒る権利?……確かに、あるだろうな。この人の補佐をさせるために、財団職員になるよう誘導されていたみたいだし。

 

 

 でも、別に怒りは無い。強いて言うなら、わざわざここまでする必要あったか?と疑問に思うだけだな。だって――

 

 

「――だって。俺は承太郎さんを護りたいから、財団職員になったんですよ?」

 

「――――」

 

「だから、怒りません。むしろ好都合でしょう?あなたの側にいられるんだから」

 

 

 まぁ、他にも原作介入や救済という目的があるけど、そこは黙っておく。

 

 

 ……すると。承太郎は何故か顔面を両手で覆ってソファーに座り込み、六車さんは片手を額に当てて天を仰いだ。あれー??

 

 

 

 

 

 

 






・超光属性()の助手君

 お世話になった承太郎先生のために、寄せ書きを書こうとスタンド使い達に提案。万年筆を買うための集金も兼ねて、そのために走り回っていた。
 承太郎との別れを寂しく思っていたが、携帯電話を投げ渡された事でそれが吹っ飛んだ。嘘だろ、承太郎……

 卒業後。杜王町から去る前に、後輩達に泣かれてしまってびっくり。自分がどれほど強く慕われていたのか、その自覚が無い。

 承太郎と数年振りに再会し、自分がまんまと嵌められていた事に気づいて大笑い。
 だがしかし。承太郎が手に入れたかったのは、"いろいろと都合の良い助手"だったのだと勘違いしている。もちろん、承太郎が求めていたのは理解者=園原自身である。

 怒りをぶつける権利は十分あるのだが、当の本人は"承太郎を護りたいから好都合"と純度120%の回答。超光属性()。


・撃沈した海洋学者

 先生と呼ばれる事には照れたが、園原から教師に向いていると言われて熟考。園原の言葉にがっつり影響を受けた。……大学の講師、か。"あり"だな。

 園原のために買っておいたあれ(・・)……携帯電話を投げ渡した。以降、園原との心理的な距離を縮めて自分に釘付けにするために、頻繁に連絡を取り合う。

 そして、ついに再会。再会してすぐに自分の計画に気づいた園原には、さすがだなと思っていた。どうも、ずるい大人です。
 承太郎が理解者=園原自身を求めている事に、当の本人が気づいていないと知り、呆れている。変なところで鈍感だな、こいつ……

 だが、呆れていたのも束の間。嵌められた怒りをぶつけられる覚悟をしていたのに、相手が超光属性()だった上に純度120%の回答をされて、六車と共に撃沈。
 今更ながら、純粋な若者を罠に嵌めてまんまと手に入れてしまった事による、強い罪悪感に襲われた。

 囲い込み計画は無事に成功したというのに、何だこの敗北感は……!?





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