空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前半、トリッシュと男主の初対面。後半、ポルナレフが声だけで登場する場面

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。特に、アバッキオとトリッシュのスタンド能力についての捏造が激しいです。男主視点




"星"と"隠者"が、"戦車"の身を案じている

 

 

 

 

「……あ、あんた、誰?なんか凄く疲れてるみたいだけど、大丈夫なの?」

 

「トリッシュ。彼は、その……協力者。そう、今まで俺達を陰から支えてくれていた協力者で、」

 

「ブチャラティさん……無理して私を庇う必要は、ありません……」

 

「いや。俺は無理をしている訳では、」

 

「あなた方が、組織から追われる身となったのは……元を正せば、私の、せいです……ブチャラティさん達は、被害者ですよ……」

 

「……それ、どういう事?」

 

 

 ココ・ジャンボ……って、原作内では名前が付けられて無かったんだっけ?

 まぁ、とにかく。アバッキオによって強制的にその中に入れられた俺は、トリッシュと初めて対面した。

 

 こうなったからには、完全な被害者である彼女には、全てを説明しなければならないだろう。俺には、その義務がある。

 

 俺が任務を成功させるために、ブチャラティ達を脅迫し、彼女と共に巻き込んだ事。暗殺チームの皆の死を偽装し、イタリアから脱出させた事……

 まだ全快はしていないので話しにくかったが、なんとか説明を終えた。

 

 

「……あなた方を、巻き込んでしまい……本当に、申し訳ありませんでした……ですが、許しを乞うつもりはありません……

 トリッシュさんも、ブチャラティさん達も……私を、恨んでいい……許さなくていいですし、私を責めても構いません……

 

 あなた方には、その権利があると……そう、思っています」

 

 

 そう言い切った後は恨まれる事、責められる事を覚悟して、口を閉じた。

 

 

 ――それにしても、何で俺はこんなに疲れてるんだ?

 実質4つ分のバリアを張ってかなりの負荷が掛かったとはいえ、こんなに疲労が溜まるなんて想定外だ。

 

 

「…………確かに、今あたし達がこんな状況になってるそもそものきっかけは、あんたにあるみたいね」

 

 

 おっと。……俺の疲労の話なんか、どうでもいいか。今は彼女の事を優先しなければ。

 

 

「あたし、凄く怖い思いをしたわ。ギャングに命を狙われて……あ、そっちは結局演技だったみたいだけど……最後は実の父親に危うく殺されるところだった。

 ブチャラティ達だって、あたしの護衛任務でたくさん傷付いたし、こうしている今も組織に命を狙われてる……

 

 そのきっかけになったのが、あんたが考えた計画だったなんて……許せる訳がない」

 

「…………」

 

「でもね、」

 

「?」

 

「あたし、あんたに感謝しても良いと思ってる」

 

 

 感謝、だと?……自分の勝手な都合で彼女達を巻き込んだ、俺に?

 

 

「あんたがブチャラティ達を巻き込んだから、あたしは今、生きてるのよ。

 もしも、あたしを護衛するのがブチャラティ達じゃない別の誰かだったら、今頃あの教会で父親に殺されてたと思う」

 

「!」

 

「あの時。父親の下にあたしを連れて行ったのが、他でもないブチャラティだったから……あたしは彼に命を救われて、ここにいるのよ」

 

 

 ……しかし。それでも俺が彼女とブチャラティ達を巻き込み、今こうして危険な目に遭わせているという事実は変わらない。

 出来る限り、原作に沿ってくれた方が動きやすい……そんな俺の勝手な都合で、彼らを巻き込んでしまった。

 

 

「……あー、すまない。ちょっと話に割り込んでもいいか?」

 

 

 と、ブチャラティが声を上げた。

 

 

「トリッシュには悪いが、俺はこの前からシドに言いたい事があって、その機会を窺っていたところでな」

 

「私に、言いたい事……?」

 

「ありがとう」

 

「は?」

 

「教会の納骨堂で俺を助けてくれて、ありがとう。お前がいなかったら、俺はボスの手で致命傷を負わされていただろう……

 それにシドがあの時、俺に逃げようと言ってくれなかったら、冷静さを失っていた俺は何を仕出かすか分からなかった。

 

 お前がいたから、トリッシュも連れて無事に逃げる事が出来たんだ。……ありがとう」

 

「――――」

 

 

 あまりの事に、目眩がした。……何なんだ、この人。いくらなんでも、器がデカ過ぎる。

 

 

「…………つかぬことを伺いますが、ブチャラティさん」

 

「ん?」

 

「お人好し、とよく言われるのでは?」

 

「その言葉そっくりそのままお前に返す」

 

「はい?」

 

 

 ……あれ?確か、この前も似たようなやり取りをしたような?

 

 

「なんか似てるなと思ってはいたが、やっぱりブチャラティと同類か、こいつ」

 

「……アバッキオ。彼ら、そんなに似てますか?」

 

「無自覚人たらし、お人好し、自己犠牲」

 

「…………ああ!なるほど、確かに!!」

 

「要点をしっかり押さえた指摘ですね。とても分かりやすいです」

 

 

 アバッキオとフーゴとジョルノの、そんな呑気な会話が聞こえた。俺とブチャラティが同類だって?そんな馬鹿な。

 

 

「ねえ。この話、もう終わりにしない?……シド、だっけ?その人、立ってるだけでも辛そうに見えるし」

 

「おっと、そうだったな。シド、お前はこっちで横になってろ」

 

「え、いや、しかし、」

 

「いいから横になれ、ほら」

 

「うっ……」

 

 

 ブチャラティに手を引かれ、ソファーに導かれた。そこに座らされて、体も倒される。……彼が離れてから起き上がろうとしたが、すぐにまたソファーに沈む事になった。

 この時。周囲には俺が目眩か何かを起こして、ソファーに倒れ込んだように見えただろう。……しかし、実際は違う。

 

 

(――今の、絶対にリゾットだ……!)

 

 

 見えない手に額を押され、そのせいで倒れ込んだというのが、真相である。

 あの人が亀の中までついて来てくれたのはありがたいと思うが、力業で休ませようとするのは止めて欲しい。

 

 

「ニャーン」

 

「あ、シエル……って、おいこら」

 

 

 さらに、シエルが俺の胸から腹にかけて寝そべってしまった。う、動けない……

 

 

「ちょっと、シエル君……?そこ、退いて」

 

「ニャニャ」

 

「やだ、じゃなくて、マジで退いて……」

 

「ニャーニャッ!」

 

「やーだ、じゃないだろ……退きなさい」

 

「フシャーッ!」

 

「ちょっ、何で怒るんだよ……!」

 

 

 

 

「……っ、ふふ……!!」

 

「ジョルノ?」

 

「……なに笑ってんだ?」

 

「いや、その……っ、すみません。シドとあの猫のやり取りが聞こえて、つい……」

 

「そうか。お前は日本語が分かるんだったな?」

 

「ええ、まあ」

 

「ちなみに、何と言ってたんですか?」

 

「それは――」

 

 

 

 

 

 

「……あー、もう……いいよ……分かった。大人しくしてればいいんだろ……」

 

「ニャン!」

 

「くっそ。勝ち誇った顔しやがって……って、あ?」

 

 

 俺がシエルに負けて、ソファーから起き上がるのを諦めた時。

 ふと横を見ると、何故かブチャラティ達がそれぞれ必死に笑いを堪えていた。何があったんだ……?

 

 

 というか、話は本当にこれで終わり?

 

 トリッシュが止めた話を、今さら蒸し返すのは彼女に悪いと思うが……

 彼女やブチャラティからは感謝され、アバッキオ達には何も言われない……本当に、このままでいいのか?

 

 

 ……やっぱり、一言は声を掛けておくべきか。

 

 

「……あなた方は、私に何か……言いたい事は無いんですか?私が、あなた方を脅迫し……巻き込んでしまった事について」

 

 

 俺がそう言うと、笑いを収めた彼らが俺を見る。……その中からアバッキオが進み出て、俺を見下ろした。

 

 

「……じゃあ、1つ言いたい事があるんだが」

 

「はい、何でしょう……?」

 

「俺達の脅迫に使った、あの動画……ボスを倒した後に、俺達の目の前でそれを削除しろ。バックアップとか取ってるなら、それも含め全部な」

 

「……なるほど。そう、ですね……分かりました、そうしましょう……」

 

 

 確かに、それぐらいはやるべきだな。あの動画が残ってたら、彼らも安心できないだろうし。

 

 

「それ以外には……?何か言いたい事は、ありますか?」

 

「…………ダメ元で言ったんだが、本気でやるつもりか?」

 

「?……はい、もちろん……そうした方が、あなた方も、安心できるでしょう?」

 

「…………はあ……」

 

 

 何故か、ため息をつかれた。……アバッキオの後ろでも、ブチャラティが苦笑いしていたり、それ以外の3人が呆れ顔になっていたり。何故だ。

 

 

「……この際だから、言っておくが。根っからのお人好しで、さらに善人であるてめえには、俺を脅した時のような任務は向いてないぜ。次からは止めておけ」

 

「はい?」

 

「シドが脅したのが俺達じゃない、別の誰かだったら。てめえは利用されるだけ利用されて、捨てられていただろう」

 

「…………あぁ、そういう事ですか……」

 

 

 アバッキオは、俺の事を心配してくれたのか。……意外といい奴だよな。でも、俺なら大丈夫だ。

 

 

「私、人を見る目に関しては……それなりに、自信がありまして」

 

「あ?」

 

「アバッキオさんには、既に話したと思います……私は、ブチャラティさんこそが、あの計画の協力者に相応しいと、判断した事を……

 義理人情を重んじるタイプだが、必要とあらば冷酷になれる。そして、上昇志向もある……そんな人だからこそ、協力者に相応しいと思いました。

 

 ですが、それ以前に……せめてこの条件だけはクリアしている人を選ぼうと、決めて……その条件に当てはまる人を、探していたのです……」

 

「条件?」

 

「――自身の欲望のままに、他者を利用するような性格ではない人……むしろ、誰かを助けるために、必死になってくれそうな人を……」

 

 

 実はこれでも、ブチャラティ達以外の協力者も念のために探していたのだ。もしかしたら、彼ら以外にも適任がいるかもしれないと思って。

 でも、やっぱりいなかった。……ブチャラティしか、いなかったんだ。

 

 

 護衛対象であるトリッシュを、ちゃんと守ってくれそうな人が。

 

 

「パッショーネの他のチームも、観察してみたのですが……あれらは、駄目ですね。

 トリッシュさんの護衛任務を任せられたとしても、彼女を利用するだけ利用して、自分達だけが良い思いをする……そういう奴らしか、いませんでした」

 

「…………」

 

「そんな奴らを、協力者に選んだら……トリッシュさんが報われない……そんな訳で、協力者に相応しいのは、ブチャラティさんだけだった。

 そして。その条件に当てはまる人が……自ら作りあげたチームなら……彼女の護衛として、信用できると、思いました……」

 

「…………」

 

「……このように、人を見る目には、ちゃんと自信があるのです……私は、自分が利用されても問題ない相手を、選ぶ事ができるんですよ……

 だから、ご心配には及びません……もちろん、アバッキオさんのそのお気持ちは、ありがたく受け取りますけどね」

 

 

 ……そう言って笑っても、反応が返って来なかった。アバッキオだけでなく、後ろのブチャラティ達まで何も言わない。その沈黙に耐えられず、俺の方から再び口を開いた。

 

 

「え、えっと、あの……ところで、他に何か言いたい事は無いですか?何でも、構いませんよ?あなた方を、巻き込んだ事に関しての文句でも、何でも……」

 

「…………なら、あと1つだけ」

 

「はい、アバッキオさん。何ですか?」

 

「てめえの事を、根っからのお人好しでさらに善人だ、と言ったが……あと1つ、付け加える。――意外と、強かな野郎だ」

 

「……ふふふ……それは、どうも。お褒めに預かり、恐悦至極に存じます」

 

 

 その後。念のためにブチャラティ達や、外にいるミスタ達にも、彼らを巻き込んだ件で俺に何か言いたい事は無いか、と。聞いてみたのだが。

 何故か、"文句を言う気も失せた"と言って来る奴ばかりで、その話は今度こそ終わってしまった。

 

 他でもない彼らがそう言うなら、俺がしつこく言い過ぎるのは良くないか……

 その代わりに、ラスボス戦が終わるまでは彼らを護り抜く事で、この借りを返すとしよう。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 俺がソファーで横になっている間、ブチャラティ達はいろいろと動いていた。

 

 まず。トリッシュが亀の中から父親が接近したのを感知したと話し、アバッキオを襲ったのも父だと言った。

 それを聞いたアバッキオが、あの場で自分を襲った男の姿も再生しておけば良かったと、悔やんでいる。

 

 そこで俺は、ふと思った事を聞いてみた。

 

 

「……アバッキオさんのスタンドは、自分の記憶から直接見たい記憶を引き出して、再生する事は出来ないのでしょうか?」

 

「…………出来ねえよ。俺のスタンドが再生できるのは、あくまでもその"場所"で実際に起こった出来事の記憶だけだ」

 

「何故、そう決め付けてしまうのです?」

 

「……あ?」

 

「スタンドの力には、本体の心……精神が深く関わっています。本体の精神状態によって、その力は変動する……

 つまり。本体ができない、と思っている事はできないままですが――できる、と思っている事はできるはず」

 

 

 そう。俺もイージスの力を使う時は、常に想像力を働かせ、さらに自分のスタンドの力を強く信じるようにしている。

 俺ができると思った事は、イージスにも必ずできるのだと。

 

 

「信じましょう……あなたのスタンド、ムーディー・ブルースは、本体の記憶をその場で、正確に、再生できると!

 さあ、想像してください!あなたに襲撃を仕掛けた男の姿を!その姿を、スタンドが正確に再生できると!強く信じて!!」

 

「っ、――ムーディー・ブルースッ!!」

 

 

 

 

 

 

「…………でき、た?」

 

「できましたね。これは間違いなく、あの時あなたに襲撃を仕掛けた男の姿です。……おめでとうございます」

 

「アバッキオ!よくやった!!」

 

 

 成功したのに呆然とするアバッキオと、そんなアバッキオを大袈裟なくらい褒めるブチャラティ。……実に対照的だった。

 

 そんな訳で。護衛チームとトリッシュは、ボスの現在の顔を知る事が出来た。ボスというか、ドッピオの顔だけど。

 まぁ、これでドッピオの事も警戒してくれるようになるはずだから、それで良しとしよう。

 

 すると。アバッキオに触発されたのか、トリッシュがこんな事を提案した。

 

 

「……ねえ、その顔。あたしのスタンドでテーブルを柔らかくして、そこに押し付ければデスマスクみたいにならない?

 あたしができると強く思えば、スタンドにもそれができるんでしょ?それなら、デスマスクになるのにちょうどいい柔らかさを維持する事もできる、かも?」

 

「トリッシュ……良いアイデアじゃないか!さっそくやってみよう!」

 

 

 その結果は、成功。ドッピオのデスマスクと、ついでに指紋も取った。

 それを写真に収め、過去のボスのデスマスクと指紋も合わせて、警察のデータベースにアクセス……ってか、ハッキングして該当者を調べる。

 

 既に現在のボスの顔は分かっているが、他に何か得られる情報は無いかどうか、念のために調べるつもりのようだ。

 これなら原作と同じく、ポルナレフが逆探知で彼らに接触してくるだろう。

 

 なお。ハッキングについては、見なかった事にする。

 

 

「駄目か。インターポールでも、サルディニアの警察でもいい。該当する記録は無いのか?」

 

「……駄目です、ありません。ボスなら例え前科があったとしても、記録を消し去っているでしょうね……」

 

「死亡者の記録はどうですか?」

 

「そうだな。ボスが自分を死んだ事にしている可能性もある……」

 

 

 パソコンを使うジョルノと、彼を囲むブチャラティ、フーゴ、アバッキオ……原作では見られなかった光景だ。

 なんというか、感慨深い。フーゴが離脱しなくて良かったし、アバッキオが死なずに済んで良かった……

 

 

「死亡者の記録も……該当者、無し」

 

「そっちも駄目ですか……」

 

「やはり、ボスは抜け目ない」

 

「これ以上の追跡は出来ねえな……」

 

「――そんな事は無いぞ。君達は既に、追跡を終えている!」

 

 

 よし、来たっ!前世でも聞いた、懐かしいこの声。間違いなく、ポルナレフだ!

 

 

 ……その後は原作と大体同じ流れで、ディアボロやキング・クリムゾンの名前、それから能力の話が出たり、スタンドの矢の昔話が出たり……だが、途中で原作とは違う話も入った。

 

 

「……ところで。君達が調べている2人の人間の顔を見たが、私は片方の顔を見た事が無い。石ではない、別の素材で作られた顔の方だ。それは誰の顔だ?」

 

「これは、現在の父の……ディアボロの顔よ」

 

「な、何ッ!?全く違う顔じゃないか!?別人ではないのか?」

 

「……一応、2人の指紋を照合してみましょうか」

 

 

 そんな会話の後に、ジョルノが過去のボスとドッピオの指紋、その2つを照合する。……結果は、完全に一致していた。

 ボスの体は姿形を変える事はできても、肉体自体は同じだからな。さすがに指紋までは変えられなかったのだろう。

 

 

「指紋が一致したという事は、確かに同一人物という事か……情報提供に感謝する。私もその顔の人間を見掛けたら、警戒する事にしよう」

 

 

 これでポルナレフも、ドッピオの顔を知った。この原作との違いが、何かの役に立てばいいのだが。

 

 

 さて。原作には無かった話が終わり、最終的にやはりローマを目指す事になったようだ。……では、次は俺の番だな。

 

 

「お話中のところ、申し訳ありません。少々よろしいでしょうか?」

 

「シド?」

 

「もう立ち上がっても大丈夫なんですか?」

 

「ええ。あなた方のお気遣いのおかげで、体力は充分回復できました。ありがとうございます」

 

「……誰だ?君達以外にも、別の人間がいたのか?」

 

「彼は、俺達の協力者だ」

 

「協力者……?」

 

 

 訝しげな様子のポルナレフに、何を言うべきか。さっきまでずっと考えていたが……

 現状、今の俺は原作知識を抜いた場合。相手がポルナレフであると、確信できていない状態だ。そんな俺が、いきなりポルナレフの名前を出すのはおかしい。

 

 で。今世の俺は既に、承太郎や六車さんからスタクル面子の話を詳しく聞いている。

 彼らのスタンドの名前も、そのスタンドの名前にタロットカードが関係している事も。

 

 

 まずは今の俺が、相手はポルナレフであると確信する必要がある。その方法は――

 

 

「――"星"と"隠者"が、"戦車"の身を案じております」

 

「なッ、」

 

 

 彼らのスタンド名に含まれるタロットの名前を、暗号として利用する事。……これなら、何処かでボロを出してくれるはずだ。

 

 

「特に"星"は、突然連絡が取れなくなった"戦車"に対し、"本気で俺を頼ってくれない、肝心な時に限ってガキ扱いする"などとおっしゃっていました。

 さらに、あの方は"戦車"の身を案じるあまり泣いてしまって――」

 

「泣いたあァッ!?あの承太郎(・・・)が!?」

 

「――というのは、嘘です」

 

「は、」

 

「あぁ、いえ。全てが嘘ではありませんね。彼が"戦車"に対して言った言葉と……泣きそうになっていた事は、本当です。

 

 ……さて。ところであなたは、今の会話だけで何故、承太郎さんの名前をすぐに出す事ができたのでしょうか?

 そもそも、何故承太郎さんの名前を知っているんですか?」

 

「…………それ、は……」

 

 

 ……何処かでボロを出してくれるはずだ、と思ってたけど。いくらなんでもボロ出すの早過ぎじゃないですか5部ナレフさん?

 

 

「お、おいシド!今のやり取りはどういう事だ!?」

 

「あなたは、この男の事を知っているんですか!?」

 

「最初は、疑いを持っていただけです。だから鎌をかけてみようと考えたのですが……まさか、こんなにも早くに確信に至る事になるとは」

 

「それで?そいつは、誰なんだ?」

 

 

 あー、どうしようかな。ブチャラティ達に、ポルナレフの正体を教えてもいいのかな?……いや、本人がそこにいるし、本人の意思を尊重するべきか。

 

 

「"戦車"さん、如何いたしましょう?正体を明かすかどうかは、あなたのご意思に従いますが……」

 

「……私を"戦車"と呼んだという事は、君は本当に私の正体を確信しているのだな?」

 

「はい」

 

「…………もしや、君は……"星"と"隠者"の一族とその関係者を、何十年も前から支えている組織に、所属する者か?」

 

「……ご明察の通り。私は、かのお方の遺言に従い"星"と"隠者"の一族を支え続けている組織に、所属する者です」

 

「ならば、君から所属と本名を名乗れ。何の迷いもなく所属と本名を名乗るのであれば、私は君の事を信用しよう」

 

 

 これは、答えない訳にはいかないか。……ブチャラティ達の視線がこちらに集まる中、口を開く。

 

 

「――SPW財団、人事部所属。園原志人と申します」

 

「な、……何ィッ!?SPW財団だとッ!?」

 

「それって、世界規模で影響力のあるとんでもない組織でしょうッ!?何故そんな組織の人間が!こんな所にいるんだッ!?」

 

「……おい。まさかとは思うが、パッショーネに何らかの形で干渉するために来たんじゃねえだろうな!?例えば、組織自体を乗っ取るとか、」

 

「それは無いです!あり得ません!……こういう誤解を招く事にもなるだろうから、余計に所属を明かしたくなかったんですよねー……はぁ……」

 

 

 ……とりあえず。ブチャラティ達が落ち着くまで、こちらには彼らやパッショーネと敵対するつもりは無いという事を何度も言い聞かせて、どうにか納得してもらった。はー、疲れた。

 

 

「あー……ソノハラ?それとも、シドと呼んだ方がいいのか?」

 

「……シド、と呼んでください。今はとある任務を遂行している最中でして、念のために偽名を名乗っていたんです」

 

「分かった、ではシド――私は、ジャン=ピエール・ポルナレフだ」

 

「!」

 

「既に知っていただろうが、改めて名乗らせてもらった。……君の事を信用しよう」

 

「っ、ありがとうございます!」

 

「君も、ブチャラティ達と共にローマに来てくれ。……万が一の時に備え、君を通じて財団にもこの矢の真の使い方を伝えておきたい。

 

 ただし。私の生存を財団に知らせるのは、ディアボロを倒した後にしてくれ。

 奴の中で、私は既に死んだものと思われているはずだ。……私の存在が奴に知られる可能性を、出来る限り潰しておかなければならない」

 

「承知いたしました」

 

「ああ……待っているぞ」

 

 

 その言葉を最後に、ポルナレフとの通信は終わった。……これで、俺がポルナレフに会いに行く口実も出来た。

 彼がディアボロと接触する前に会わなければ、救済は出来ない。彼のスタンドのレクイエム化を阻止して、亀ナレフ化も阻止しないとな。

 

 ポルナレフには霊体としてではなく、生きた人間として、承太郎やジョセフと再会してもらいたい。

 そうした方が、彼らもきっと喜んでくれるはず。……よし!頑張ろう!!

 

 

 

 

 

 

「…………ジョウタロウさん?……そういえば、康一君からもその名前が――」

 

「ジョルノ?どうした?」

 

「あ、いえ……何でもありません」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 






・5部ナレフに接触した助手君

 実は、スタクルファンとして内心狂喜乱舞したかったところを必死に我慢して、ポルナレフと会話していた男。救済頑張るぞ!!

 トリッシュとの初対面で、自分が彼女と護チを巻き込んだ事を告白。そして謝罪はしたが、許しを乞うつもりは無い。罪悪感が強い。
 責められる事を覚悟していたが、責められるどころかむしろ感謝されて困惑。とりあえず、この借りはラスボス戦まで彼らを護る事で返す事にした。

 ――それにしても、何で俺はこんなに疲れてるんだ?※精神的にも肉体的にも限界が近い事に、気づいていない。

 ポルナレフ本人である事を確信するために鎌をかけたら、あっさりボロが出てびっくり。いくらなんでもボロ出すの早過ぎじゃないですか5部ナレフさん?
 そしてついに、所属を明かした。衝撃の事実を知った護チは大パニック。財団がパッショーネを乗っ取る?無い無い!!


・衝撃の事実を知った護チ+トリッシュ

 自分達を巻き込んだ園原の事を許した訳ではないが、彼のお人好しさや意外と強かな性格に毒気を抜かれ、文句を言う気も失せた。

 その後。逆探知して来た正体不明の人物を警戒していたが、園原との間で謎のやり取りが始まった際は置いてけぼりにされていた。
 しかし、その人物が園原の知っている人物だった事や、その上いろいろ謎だった彼の所属が明らかとなった事で騒然。

 SPW財団!?何故そんな組織の人間がこんな所に!?パッショーネを乗っ取る気か!?(大パニック)


・ボロを出すのが早過ぎた5部ナレフ

 泣いたあァッ!?あの承太郎(・・・)が!?って……はッ!?(迂闊ナレフ)

 謎の人物(園原)を警戒していたが、彼の口から自分達に関わる暗号を聞いて動揺。その上で次の言葉が止めとなり、ボロが出てしまった。
 その後。園原が自分に対して配慮している事、そして迷いなく自分の所属と本名を明かした事で、彼は信用できると判断した。


 それにしても……"本気で俺を頼ってくれない、肝心な時に限ってガキ扱いする"、か――その誤解を解くためにも、こんな所で死ぬ訳にはいかねぇな。






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