・前回、男主が倒れた後のオリジナル話
・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。リゾット視点
「この家に備蓄は?病人の看病に必要な物は揃っているか?」
「2日分程度ならあります!それ以降は買い出しに行かなければなりませんが、そちらは他の財団職員に任せますので、遠慮なく使ってください」
「助かる。……ポルナレフ。お前、看病の経験は?」
「小さい頃の妹の世話もしてたし、当然あるが……承太郎はどうなんだ?」
「…………知識としては、ある。だが、実際の経験が無い……娘が熱を出した時の看病は、妻に任せ切りだったからな」
「……しょうがねー奴だな!分かった、俺が指示を出すからお前が動け。
とにかく、水分補給が必須だな。あとは、もしもあるなら冷却シートとか氷枕。無かったら水で濡らしたタオルで、」
「その前に……シドの服を、別の服に変えてやったら、どうだ?スーツのままでは……窮屈だろう。発熱しているから、熱が籠る……汗も拭いてやらなければ」
思わず会話に割り込むと、3人の視線が俺に集まった。
「……何だ?」
「い、いや。すまない。確かに、リゾットの言う通りだな……」
「この家には予備の服もありますので、看病に必要な物と一緒に持って来ます!」
「ああ、頼んだ。……承太郎。とりあえず上着は脱がして、ネクタイとシャツのボタンを外してやれ。それで多少は楽になるだろう」
「分かった」
六車が寝室から退出し、ポルナレフの指示で空条がベッドで眠るシドの上着を脱がし、シャツのボタンを外している。
そのついでなのか、眼鏡も外していた。……ここ数日共に過ごしていたので、彼の目付きが相当悪い事は既に知っている。
ふと、視界の端で何かが通り過ぎた。……いつの間にか姿を消していたシエルだ。
彼はシドの中折れ帽を口に咥えており、空条の足元へ向かうと、そこに帽子を押し付ける。そういえば、先程倒れた時に彼の頭から落ちていたな。
「ん?……ああ、志人の帽子を拾って来てくれたのか。ありがとう」
「ニャア」
シエルは空条に帽子を渡すと、ベッドの上に軽やかに飛び乗り、シドの枕元で丸くなる。
……寂しそうな鳴き声を上げた。自分の主人が心配なのだろう。彼の側から離れるつもりは無いようだ。
そこから、視線をシドに移す。……服のボタンが外され、開かれた彼の胸元を目にした俺は、驚いた。
「――ロザリオ……?」
「ん?……おや、園原はクリスチャンなのか?意外だな」
目にした物を口に出すと、ポルナレフもそれに気づいた。……シドが、キリスト教徒?だからスタンド像も天使なのか?
「……いや。その子自身はクリスチャンではない。キリスト教を信仰していたのは、彼の……亡くなった母親と祖母だ」
しかし、空条がそれを否定する。シドの母親と祖母は、既に亡くなっていたのか……
例の教会で、ブチャラティを助けた後。彼が言っていた"残された者の悲しみを、痛い程に知っている"という言葉……あれは、この事なのかもしれない。
「そのロザリオは、志人の母親がその子に遺した形見……大切な物だ。無闇に触るなよ?」
「お、おう」
「……分かった」
空条がポルナレフと俺を睨み、それに対して俺達が頷くと、彼は興味を失ったようにこちらから目を外し、代わりにシドを見る。
シドは眠りながら荒い息を吐き、苦しそうにしていた。……そんな彼の額や頭を撫でる空条の手付きは、顔に似合わず優しい。
「…………承太郎、お前……しばらく見ないうちに、随分と変わったな?」
「……そう見えるか?」
「ああ。昔と比べて、雰囲気が柔らかくなって……明らかに、丸くなった」
そう言って、ポルナレフがまじまじと空条の顔を見ている。
先ほど彼の昔話を少し聞いたが、かつての空条は、誰に対してもぶっきらぼうな不良だったらしい。それが本当なら、確かに今の空条とは結び付かないだろう。
「結婚して子供が出来た辺りから落ち着いてきたが、今はその時よりもさらに穏やかになったな。
それにさっきも、園原には頭が上がらない様子だったし……いったい何があった?」
「……そうだな。確かに、志人と出会ってからは大分変わったかもしれない。
年下のスタンド使い達を相手に、定期訓練と称してスタンド能力の指導をしたり。まだ高校生だった時の志人に、携帯を買い与えて電話やメールで頻繁にやり取りしたり――」
「待て待て待て待て待て待て待て」
「ん?」
「それは誰の話だ??」
「俺の話だ」
「嘘だろ承太郎ッ!?」
「嘘じゃねえよ」
"信じられない"という心境が顔に出ているポルナレフとは対照的に、空条は真顔だ。嘘をついているようには見えない。……そこへ、いろいろと道具を持った六車が戻って来た。
「お待たせしました!……あ、あの?何かあったんですか?」
「い、いや大丈夫だ!何も無かったぞ!」
「……すまない。女性にいろいろ持たせてしまったな。誰か1人は手伝いに行くべきだった」
「ひょえっ!そそそんな!博士に雑用を任せる訳にはいきませんから……!」
六車からの問いに対しポルナレフが慌てているが、空条は本当に何でもない様子で、真っ先に動いて六車から荷物を受け取っている。俺もそれを手伝った。……この男、意外と女には紳士的なのか?
「承太郎……!本当に良い意味で変わったな!昔はそんなに女に優しくなかったじゃねぇか!」
「……別に、そこは変わってない。風花は志人が世話になった上司のようだから、それなりの対応をしているだけだ」
「…………あ、そう……」
……どうやら、昔も今も女には優しくないようだ。ポルナレフが呆れている。
そして、またシドの名前が出た。彼は空条に相当大きな影響を与えているらしい。……まあ、空条の気持ちは少し分かる気がする。
俺も含めた元暗殺者達は、全員がシドから多大な影響を受けている上に、大恩も感じているからな。
その後、出来る限りの事はやった。シドの服を着替えさせて、氷枕に冷却シートも使ったし、先程と比べて多少は快適になっただろう。……それでも、高熱のせいで寝苦しそうだが。
「……さて。志人が目覚める前に、いろいろと聞いておきたい事がある。
まずは……リゾット。お前から見た志人の様子を教えて欲しい。例の、お前達をイタリアから脱出させる作戦の時から、今日に至るまでの様子を」
空条にそう聞かれ、俺は自分の知っている限りのシドの様子を語り……やがて、シドが上から別の任務を言い渡された話に入る。
「……それで、シドがジョルノ・ジョバァーナを監視する任務に……六車からの指示で、俺が護衛として、同行する事になった……」
「……ちょっと待ってくれ。ジョルノの監視?何故彼を監視する必要がある?」
「詳しい理由は、俺も知らない……今は話せないと、シドからそう言われている……だが、六車達は、何か知っているようだな」
ポルナレフは首を傾げているが、六車と空条は揃って険しい表情をしている。彼らは、ジョルノを監視する理由を知っているのだろう。
「承太郎。何か知っているなら、教えてくれ」
「…………ポルナレフ」
「ん?」
「……ジョルノ・ジョバァーナは、とある日本人女性と――DIOの間に、生まれた子供だ」
「…………は?」
「彼は、あのDIOの息子だ」
「――――」
ディオ?……そういえば、その名前はつい先程シドの口からも聞いたぞ。エジプトを目指す旅、だったな。
そして、空条が一騎討ちしたという黒幕の名前が、ディオ……それと同一人物なのか?
その時。呆然としていたポルナレフの顔色が、一気に真っ青になった。
「ばっ、……馬鹿な……そんな……ッ!!」
「ポルナレフ?」
「俺は――俺はそんな相手に!あの矢の真の力を教えちまったのかぁ!?まずい、まずいぞ!どうすれば、」
「ポルナレフ、落ち着け!どうした!?」
「どうしたもこうしたもねぇよ、承太郎ッ!!あのDIOの息子が!あの力を悪用し始めたら誰にも止められねぇッ!!」
ポルナレフは動揺しながらも、必死に説明した。あのスタンド使いを生み出す矢の真の力と……それを利用して、ディアボロを倒した一件について。
それを聞いた空条の表情はますます険しくなり、六車はポルナレフと同様に青ざめていた。
「あの矢に、そんな力があったとは……」
「DIOの息子が、そんな強大な力を手に入れてしまったなんて……!こうしてはいられません、すぐに財団に報告を、」
「待て。……今はまだ、報告しなくていい」
「博士?何故ですか!?」
慌てて財団に報告しようとした六車を、空条が止める。彼は、理由を問う彼女には何も答えず、何故か俺に声を掛けた。
「……ポルナレフが矢の真の力を明かした時、志人もそこにいたはずだ。その時のこの子がどんな様子だったか、覚えているか?」
「…………冷静、だったな……ポルナレフや六車のように、顔色が悪くなる事もなかった」
「パッショーネのボスを、ジョルノ・ジョバァーナが倒した後は?」
「その時も、落ち着いていた。それに……ジョルノから礼を言われて、普通に握手まで交わしていた、な……」
……こうして改めて考えてみると、シドはジョルノに対して冷静過ぎるんじゃないか?
相手は、彼と同じ財団職員である六車と、あのボスと戦って部位欠損しながらも生き残ったポルナレフを、青ざめさせる程の男の息子だというのに……
「……言われてみれば……確かに。彼は財団職員なのに、DIOの息子を前にしても自然体だった。相手の正体を知っていたはずなのに、やけに協力的だった。
さらには、例の矢を回収しようとする素振りも見せなかった……彼は、DIOの危険性をちゃんと理解しているのか?」
「それについては、間違いなく理解しているはずだ。志人には、俺達のあの旅の事は全て話してある。
DIOの配下に仲間の1人と1匹を殺され、それからDIO自身に仲間をもう1人殺されて……ジジイも奴のせいで死にかけたのだ、と。
それを知っているこの子が、DIOの息子を侮る訳が無い……つまり志人は、矢の真の力を使わせても問題無いと、判断した……」
そう言って、何かを深く考えている様子の空条。……やがて彼は顔を上げて、六車に声を掛ける。
「やはり、財団への報告は後回しにするべきだ。……現時点で、報告する本人である君が冷静ではないからな。
少し休むといい。……俺が言うのもあれだが、いろいろ振り回されて疲れているだろう。君が仮眠を取ってから、また改めて話をした方がいい」
「……そ、そう、ですね……確かに、今の私では落ち着いて報告する事ができないかもしれません……分かりました」
「それから、ポルナレフ……お前も風花と同じだ。休め」
「いや、でも、」
「いいから、寝ろ!お前にも睡眠が必要だ。……眠って起きれば、今までお前が見えていなかった物が見えるはずだ。それが見えればお前は、今度こそ冷静になれる」
「…………分かった、そうする」
「よし」
短い会話で、動揺している人間2人を見事に落ち着かせた……このカリスマ性、何処かで覚えがあるなと思ったが――ジョルノだ。
空条は、何故かジョルノに似ている……見た目も性格も違うはずなのに、俺は不思議とそう思った。
「リゾット。お前は、まだ起きていられるか?」
「……ああ。……一日二日程度なら、眠らずに行動しても問題ない」
「…………それはそれで問題だと、俺は思うのだが……まあ、それならもう少しだけ付き合ってもらおう。
先程の話が、まだ途中だ。続きを頼む。それが終わったら、お前も一度仮眠を取るといい」
「……あんたは、寝ないのか?」
「俺は飛行機の中で、仮眠どころか充分過ぎる程に睡眠を取った。今はむしろ、眠気が来ないから眠れない……お前との話が終わったら、志人の様子を見ておく」
「……分かった。ならば……続きを、話そう」
六車とポルナレフは、別室で仮眠を取るようだ。2人が退出した後、空条にシドの様子について続きを話す。
「…………この子は、まったく……無茶ばかりしやがる……」
……全てを話し終えると、空条はそう言って頭を抱えた。
「自分を犠牲にする悪い癖は、もう直せねえのか……?やはり、出来る限り俺の手元に置いておくしかないか……
つーかそもそも志人は
「おい、どうした……?」
「っ!!……ああ、すまない。いろいろ話してくれて助かった。もう寝ていいぞ。志人は俺が見ておく」
「…………」
俯いて何やら独り言を言っていたが、どうも日本語だったらしく、その言葉の意味を理解する事はできなかった。……しかし、不穏な空気を感じる。
「……シドの事を、あまり、叱らないでくれ」
「何?」
「彼は……俺達を、イタリアから脱出させる任務を、絶対に成功させたい、理由があるのだ、と……以前そう言っていた」
「!」
「そのために、いろいろと頑張っていたようだ。……それに、彼は。あんたと電話で話した後は、いつも目に見えて、元気になっていた……それまでの疲れが、無かった事のように……」
「それは、本当か?」
「ああ……だから、あんなに頑張っていたのに、こっぴどく叱られたら、シドは……相当、落ち込むと思う。他でもない、あんたに叱られたら……」
「…………そう、か」
空条は溜め息を吐き、徐にシドの頬に手を伸ばした。手の平が彼の頬をそっと包み、指は目の下をゆっくりとなぞる。
……そこに隈が出来ている事に、気づいたようだな。シドを見つめる空条の眼差しは、相手を労る優しいものへと変わった。
そんな彼らの姿を見て、少し前から思っていた事を口にする。
「――まるで、親子……だな」
「は?」
「あんたが父親で、シドがその息子のようだ」
「…………そう、見えたか?」
俺が頷くと、空条は目を見開いて一瞬固まり、それから口元を片手で押さえて肩を震わせた。……笑っている。
「……俺は、何かおかしな事を言ったか?」
「いや……すまん。この間、妻にも同じ事を言われたのを思い出した。
彼女が積極的に、志人を自分の子供のように扱っていたから、それが移ったのかもしれない。あとは……俺の娘も、志人を本当の兄のように慕っているからな」
……この男、そこらにいる女には優しくない代わりに、自分の妻と娘には甘いのだろうか?何やら楽しそうに話しているが。
「……とにかく、話は分かった。志人の事は、あまり叱らないようにする」
「ああ。そうしてくれ」
「……リゾット」
「ん?」
「――ありがとう。……俺がいない間、志人を支えてくれて。
この子は滅多に人に甘えようとしないが、実際は甘えたい気持ちを我慢しているだけの、寂しがり屋な子供だ。……きっと、お前の存在に救われていたと思う」
「…………その言い方だと、本当に息子の代わりに礼を言っている父親のように聞こえるんだが……?」
「くく……ッ!」
俺にそう言われても、空条は動じなかった。むしろ機嫌が良さそうだ。……満更でもないらしい。
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やがて日が昇り、仮眠を取っていた俺と六車とポルナレフは目を覚ました。
空条はずっとシドの様子を見ていたそうだが、彼はまだ一度も起きていないという。熱もあまり下がっていないようだな……心配だ。
目を覚ましてすぐに、六車がイタリアにいる他の財団職員と連絡を取り、シドのためにいろいろと必要な物を買って来るよう指示を出していた。
その際。空条が何故かレターセットも買って来て欲しいと頼んでいたが……誰に手紙を書くつもりなのだろうか?
それから適当に朝食を済ませた後、再び全員で話し合いを始める。
「冷静になれたか?」
「はい……眠る前の私の考えは、少々軽率でした。今はまだ、ジョルノ・ジョバァーナが矢の真の力を悪用するとは断定できません。
そんな状況で、徒に財団本部の危機感を煽ってしまったら……逆に取り返しのつかない事になっていたかもしれない」
「……ちゃんと踏み留まれたようだな。賢明な判断だ」
「ありがとうございます……!」
「ポルナレフはどうだ?」
「おう……寝る前に承太郎が言ってた事の意味が、分かったぜ。今まで俺が見えていなかった事が見えた。
確か、DIOの野郎は――首から下が、お前のご先祖様であるジョナサン・ジョースターの体だったな?」
はあ??
「という事は、ジョルノはDIOだけでなくジョースターの血も引いている……そう考えれば確かに、彼からはジョースター家の人間のような輝きを感じた!」
「よし……それに気づいたのであれば、上出来だな。これでようやく、まともに話し合いが出来る」
「ちょっと待て」
「ん?」
「首から、下が……あんたの先祖の、体?……いったい何の話だ?」
聞き捨てならない話だった。ジョースター家という聞き慣れない家の名前も気になるが、まずはそこだ。
彼らの話の通りだと、首から上がジョルノの父親で、首から下が空条の先祖だという事になる。何だそれは??
「…………そうだった。まともな話し合いをする前に、リゾットに説明する必要があったな。すまない」
「博士、申し訳ありません!本来なら、正式に財団職員になった際に説明する事なのですが、彼にはその前に園原さんの護衛を任せてしまったので……」
「ああ、分かっている。風花の責任ではない」
正式に財団職員になった際に説明する事?……ならば今頃、ホルマジオ達もその説明を聞いているのだろうか?
「……そうだな。リゾットには、志人が世話になったようだし……その礼代わりと言ってはなんだが、俺から直接話そう」
「なんと……!リゾットさん、あなたはとても運が良いですよ!この話を、ジョースター家の方から直接聞く事ができるなんて、滅多に無い機会ですから!」
……六車が何故こんなに興奮しているのかは分からないが、今ここで話をしてくれるのはありがたい。後々財団で説明される手間が省ける。
「さて、何処から話すべきか――っ!?」
その時。空条が突然椅子から立ち上がり、驚愕の表情で、ある方向を見つめる。……それから何故か、首の左後ろを押さえた。
「……じょ、承太郎?」
「空条博士……?」
「…………来る」
「えっ?」
「繋がりを、感じるんだ……血の繋がりを。このイタリアにいる、俺と血が繋がっている奴といえば……1人しかいない」
「なっ、まさか……!?」
「――ジョルノ・ジョバァーナ……まだ少し遠いが、確実にここに近付いて来ている。
これでは、血の繋がりが……俺の存在が良い目印になってしまうだろうな。しかし、何故ここが分かったんだ?」
ジョルノがここに来る、だと?……それならおそらく、ブチャラティ達も共にいるはずだ。そして、血の繋がり……トリッシュがディアボロに対して感じていたものと、同じか。
「そんな!ど、どうしよう……せめて、園原さんだけは逃がすべきでしょうか!?」
「いや……そもそも、向こうの目的が分からないからな。まずは、それを確かめるべきだろう。
俺が行って来る。お前達は、いつでも志人を連れて逃げられるようにしておけ。万が一の時は、俺が時間を稼ぐ」
「待て、承太郎。俺も行く!彼らが顔を知っている人間もいた方が良いだろうし、俺ならお前と共闘した経験もあるからな」
「……分かった、頼む。……リゾット。シエルと協力して、志人と風花を守ってくれ」
「了解した」
ポルナレフが五体満足では無い事が少々不安だが、おそらくは空条が上手くフォローしてくれるだろう。
一目見た時から、空条がかなりの強者である事は分かっていた。彼と連携を取った事が無い俺が行けば、足手まといになるかもしれん。
それなら、その経験があるポルナレフが出た方がいい。俺は大人しく、シドと六車の護衛に付くとしよう。
「よし……行くぞ、ポルナレフ」
「おう!……って、そういえばお前。イタリア語は分からないよな?俺が通訳してやるよ」
と、外に出る前に。ポルナレフが空条にそう声を掛けた。……彼は首を傾げると、口を開く。
「――イタリア語なら分かる。通訳の必要は無い」
「って、分かるのかよ!?つーかペラペラじゃねぇか!?」
空条が話すイタリア語は、現地人としても驚く程に違和感が無い。自然だった。
「そんなに話せるんなら先に言えよ!そしたらわざわざリゾットが英語で話す必要も無かっただろうが!?」
「別に。聞かれなかったから、言わなかっただけだ」
「お、お前な……ッ!あー、すまないリゾット。この男は本っ当に昔からこういう奴なのだ!私や戦友達が、これのせいでどんなに苦労したか……!!」
「…………いや……それは、構わないが……」
本当に、この2人に任せても大丈夫なのか?段々不安になって来たぞ……
・何事にも動じない暗チリーダー
園原が倒れた後も、ジョルノがDIOの息子だと分かった時も、そのジョルノが拠点にやって来る事が分かっても、あまり動じなかった。とても頼もしい。
基本的に話し掛けられたら話す程度で、傍観者の立ち位置。その中でも、園原が慕っているからという理由で承太郎に興味を持ち、彼を観察している。
承太郎と園原の関係を、まるで親子のようだと評する。2人の年はそれほど大きく離れていないはずなのに、何故かそう見えてしまう……
その後。"DIOの首から下がジョナサンの体"という話には、さすがに動揺を見せる。何だそのSF話は??
また、承太郎とポルナレフのやり取りを聞いて、彼らにジョルノ達への対応を任せるのが不安になってきた。本当に大丈夫なんだろうな……?
・息子(助手)が心配な父親(海洋学者)
妻だけでなく、知り合ったばかりのリゾットからも"親子のようだ"と言われて、満更でもない。
看病ではあまり役に立てなかったが、ジョルノと例の矢の事で動揺するポルナレフと六車を容易に落ち着かせる程のカリスマ性は持っている。
その後。自分と同じく冷静なリゾットから園原の様子を聞いて、頭を抱えた。また無茶したのか、お前は……!
だが。園原が自分の助手として認められるために頑張っていた事は分かっているし、ポルナレフとも再会出来たし。リゾットにもお願いされたので、今回はそんなに叱るつもりは無い。
血の繋がりで、近くにジョルノがいる事を察知。ポルナレフと共に対応する事にした。次回、ついにご対面。