空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・今回は番外編?要素が強いので、読まなくても問題なし

・前回から数日後。以前、風花(オリキャラ)が考えた策が実行された結果

・ご都合主義、捏造過多が激しい。いろいろおかしな点があると思いますが、どうか見逃してくださいm(_ _)mキャラ崩壊あり

・オリジナルのスタンド能力が出てきます。第三者視点




"博士様と助手様"の美談

 

 

 

 

 ある日の朝。SPW財団本部のエントランスに、3人の男が現れた。その瞬間、周囲の注目が彼らに集まる。

 

 

 3人の男のうち、1人目は財団職員のほとんどが知っている人物……空条承太郎。

 財団が支援しているジョースター家の一員で、博士号を取った海洋学者でもある。故に、財団職員からは博士と呼ばれる事が多い。

 

 2人目は、承太郎が押している車椅子に乗った人物……J・P・ポルナレフ。

 承太郎の事は知っているが、彼の事は知らない。そういう職員達は首を傾げているが、無理もない。彼らはここ数年の間に財団に就職したばかりなのだから。

 

 一方。彼の事を知っている古株の職員達は、彼と承太郎が共にいる姿を見て、目に涙を浮かべた。ポルナレフが生きていて良かった、と。

 

 彼らの多くは、10年以上前のエジプトを目指す旅の詳細を知っている。旅が終わり、承太郎達の中の半分が命を落とした事も。

 その生き残りである2人が、例の矢について調査を進めていた事も。……そのうち、ポルナレフが行方不明になってしまった事も。

 

 彼の生存は望み薄だろう、と。誰もがそう考えていたが――それは覆され、彼は救出された。

 エントランスに現れた3人の男、その最後の1人の手によって。

 

 3人目……園原志人。彼は今年財団職員になったばかりの新人だが……その功績は、もはや無視できないものとなっている。

 

 財団の人手不足問題について知っている職員は多い。それ故に、就職して早々にその問題解決の第一歩となる重要任務を任され、さらにその任務を成功させた園原に対し、関心を寄せている者も多かった。

 さらに。数日前からとある噂が広まり始めた事もあり、財団内部で今最も注目されている人物、と言っても過言ではないかもしれない。

 

 その噂は、以下の通り。

 

 

 ――園原は、承太郎たっての希望で、彼の助手として財団から派遣される事になった。

 

 だが、それを不満に思った一部の人間が、園原が新人職員であるにも関わらず、例の重要任務を無理やり受けさせて、彼を治安の悪い地域に飛ばした。

 その上、園原は"任務に失敗すれば解雇する"と、脅されていたらしい。

 

 しかし。園原はその脅しに屈する事なく、プレッシャーをはね除けて見事に任務を成功させた……が。そんな園原に、新たな指令が下る。

 

 それはどう考えても、園原を帰国させないための方便だった。

 過酷な環境で疲弊しながらも、園原は新たな任務を投げ出す事なく奮闘していたが……やがて限界を迎え、任務先で倒れてしまった。

 

 そこへ駆け付けたのが、承太郎だった。彼は自身の優秀な助手の危機を悟り、一目散に救出に向かったのだという。

 

 しかしそこで、思わぬ人物との再会を果たす。……行方不明になっていた彼の戦友、ポルナレフだ。

 実は園原は、新たな任務を遂行している最中に奇跡的にポルナレフを発見し、保護していたのである。

 

 承太郎はポルナレフとの再会を喜び合い、園原に深く感謝し――やはり自分に相応しい助手は園原しかいない、と。頻りにそう口にしていたとか。

 

 その後。園原が理不尽に命じられた任務は、別の財団職員が引き継ぐ事になり、承太郎は園原とポルナレフを連れて帰国した……

 

 

 ……という、虚偽と真実が入り交じった噂だが。

 

 最近、実際に承太郎が勝手にイタリアへ向かった事も話題になっていたため、財団全体に噂が広まるのは早かった。

 そして。その噂に出て来る人物3名が、揃って財団本部に姿を表したとなれば……周囲の注目が集まるのも当然である。

 

 

 財団職員達に注目される中、承太郎はポルナレフと何やら穏やかに会話していた。

 その後ろで、一歩引いた立ち位置を維持する園原は、ニコニコと彼らを見守っている。

 

 ふと。承太郎が振り返り、そんな園原を見て――微笑む。

 

 今まで誰も見た事が無いほどの、柔らかな、慈愛に満ちた微笑み。

 それを見た職員達の中で、ある者は足を滑らせて転び、ある者は飲み物を噴き出し、ある者はその微笑みで動悸が激しくなり過ぎて気絶し……

 といった大惨事が一部で起こったのだが、それ以外は小さく黄色い声を上げたり、承太郎を二度見する程度で収まっている。

 

 少し笑っただけで一部の大惨事を引き起こした承太郎は、園原を呼び寄せてポルナレフの車椅子を押す役目を交代していた。

 ポルナレフは園原を笑顔で歓迎し、承太郎はそんな2人を見て満足そうに頷く。それから再び歩き出した。

 

 彼らの様子を見れば、承太郎とポルナレフが園原に対してかなり好意的である事がよく分かる。

 やはりあの噂は本当だったのだと、多くの職員達がそう確信した。

 

 

 

 

 

 

「…………さっきから、周りの視線が俺達にグサグサ刺さってますよね?」

 

「……いつもの事だろ?」

 

「いや、まぁ、そうですけど……なんか、いつも承太郎さんと一緒にいる時に感じている視線とは、ちょっと違う感じがして……」

 

「それはもしかしたら、私のせいかもしれないな。ほら、今まで行方不明だったから」

 

「あぁ、なるほど」

 

 

 ……と、呑気にそんな会話をしている園原達3名は、後に。

 六車風花が立てた計画とその結果を彼女の従兄から報告され、驚愕する事になるのだが……それはまた、別の話である。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ――その計画は、イタリアで風花がリゾットにお願いした、とある"頼み事"から始まった。

 

 

「……噂を、流す?」

 

「はい。今回園原さんが遂行した任務について、任務を命じられるまでの過程と、その後空条博士がイタリアに駆け付けるまでの話を美談にするので、それを財団内部で噂として流してもらえませんか?」

 

 

 話に虚偽と真実を混ぜて、園原に同情を集め、その上で彼が承太郎に相応しい助手である事を証明するような、美談を作る。

 さらに。その美談の噂が充分広まった頃に、園原と承太郎が仲良く共にいる姿が目撃されれば……その噂の信憑性が増すだろう。

 

 そして自ずと、園原が承太郎の助手として財団内部で受け入れられ、彼の立場は磐石となるはず。

 ……と。風花はそんな計画を、美談の詳しい内容と共にリゾットに語り、彼と元暗殺者チームのメンバーに計画への協力を求めた。

 

 

「……協力するのは、吝かではないが……2つ程、疑問がある……」

 

「はい、何でしょう?」

 

「1つは……シド達には、この計画について、話さないのか?」

 

「彼らには、計画が成功したらお話ししようと思います。我々が勝手にやろうとしている事ですし、彼らを変に巻き込みたくないのです。

 

 万が一こちらの計画があのクソ爺に知られたら、間違いなく園原さんに罪を擦り付けようとするでしょう……

 彼らはむしろ何も知らないまま、無関係でいてくれた方がよろしいかと」

 

「……なるほど……だが、計画を知らないからこそ……こちらにとって想定外の行動を取ってしまうのでは?

 例えば……何らかの理由で、シドと空条が仲違いして、しまう、と、か――」

 

 

 話の途中で、リゾットの言葉が詰まった。……彼は今、園原と承太郎が共にいる時の様子を思い出している。

 

 

「――いや、すまない。それは無いか」

 

「ですね。何処からどう見ても蜜月、もとい大変仲の宜しい関係にしか見えませんからね。えぇ、分かります」

 

 

 そして即座に自分の発言を否定。風花も、それに同意した。

 

 

「ところで、2つ目の疑問は?」

 

「、ああ……先程、美談の詳しい内容も、聞いたが……その中で、黒幕を名指ししていないのは、何故だ?」

 

 

 そう。風花が作った美談の中で、園原と承太郎、ポルナレフの名前は出て来たが、黒幕……風花の言うクソ爺の本名は一度も出なかった。

 その名前も出してしまえば、美談を聞いて園原に同情した周囲が、そいつを糾弾してくれるのではないか?

 

 リゾットはそう言ったが、風花はそれに対し意味深な笑みを浮かべる。

 

 

「むしろ、こういう時は名前を出さないのが正解ですよ。下手に名指ししてしまうと、噂の信憑性が疑われてしまいます。

 名指しした個人を批判するために作られた噂なのだと、勘の良い人達にはそう悟られて、噂は出鱈目だと勘違いされてしまうかもしれない」

 

「…………」

 

「ですからここは、黒幕の正体をわざと曖昧にしてあまり触れずに、園原さん達の美談を広めるだけに留めておくのです。

 そして今後。もしもまた、あのクソ爺が園原さんに理不尽な真似をしたら、その時は……

 

 美談を信じた財団職員達が自ら、あのクソ爺を批判してくれるでしょう。我々が裏から手を回さなくても、ね」

 

「!」

 

「ふふふ……噂を知って激昂し、園原さんを排除しようと躍起になって周囲から批判され、墓穴を掘ってくれても良し。

 逆に。クソ爺が噂を知って博士達を引き離す事が難しくなったと、手を引いてくれても良し、ですね」

 

 

 個人的には墓穴を掘ってくれた方が、奴を排除する大義名分が出来るのでありがたいのですが……と、そう続ける風花に対し、リゾットは珍しくニヤリと笑った。

 

 

「……面白い……そういう事ならば、あいつらにも言って、全力で協力させてもらおう……」

 

 

 その後。一足先にイタリアからアメリカに向かったリゾットは、財団本部で元暗殺チームの仲間達と再会。

 まずは簡単に、ディアボロと戦った話とその結果、それから園原の現状を報告する。

 

 彼らはリゾットが自分達の代わりに組織のボスに一矢報いてくれた事を喜んだが、直後に園原が過労で倒れてしまったと聞いて動揺した。

 シドは大丈夫なのか、ちゃんと回復するのか……慌ててそう問い詰めて来る仲間達に対し、リゾットは園原が無事である事を伝えて、なんとか落ち着かせる。

 

 

 それからさっそく、上層部のとある男が園原を目の敵にしている事と、風花の計画について話すと……

 彼らは一様に愉しそうに笑い、計画への協力を快諾した。

 

 

「ディ・モールト!ベネッ!面白い計画だ!」

 

「恩返しも出来て、ムカつく野郎への報復にもなる、か……」

 

「一石二鳥、だね」

 

「シドには恩がある……しょうがねえなァ、地味な仕事だが、やるかァ」

 

「確かに地味な仕事だが、その結果は楽しみだぜ!」

 

「つっても、そのクソ爺があっさり引いたら面白く無いんじゃねェの?」

 

「まあ、そこは賭けだな。その六車風花って女が言ったように、墓穴を掘ってくれる事を祈ろうぜ」

 

「えっと……とにかく、その美談を広めればいい、んだよね?リーダー」

 

「ああ……ただ、その前に。協力者が接触して来るのを、待って欲しい……と、言われている」

 

「協力者?」

 

 

 リゾットが言う協力者は、その日中に秘密裏に接触して来た。……六車拓海。風花の従兄で、園原と同じく人事部所属の職員である。

 彼は淡々と、風花の計画の実行内容と、自分がどのようにリゾット達をサポートするのかを説明した。

 

 その真面目一辺倒な様子を見て、リゾットは内心で首を傾げる。この雰囲気……誰かに、似ている?

 

 

「……ところで、リゾットさん」

 

「……何だ?」

 

「園原さんは、無事ですか?」

 

「!」

 

「過労で倒れたと聞いています。彼は、大丈夫でしょうか……?」

 

 

 リゾットは納得した。この男の雰囲気は、任務遂行時のシドと似ているのだ。

 

 

「……ああ、無事だ。……シドの側には、空条がいる。彼なら、シドを……ちゃんと、休ませてくれるだろう」

 

「そうですか!良かった……確かに、空条さんがいれば安心ですね。ありがとうございます」

 

 

 その様子を見ていた元暗殺チームの者達は、六車が自分達と同じく心から園原の身を案じている人間=自分達の仲間だと判断し、すぐに彼を受け入れる。

 最初は六車に対し、融通の利かない仕事人間のような印象を抱いて辟易していたが、自分達の恩人を心配してくれるのであれば、と。手の平を返したのだ。

 

 

 そこから打ち解けた彼らは、互いに協力し合って美談を広めていく。

 

 六車は財団職員の中でも比較的口の軽い、噂好きな職員達を調べて、彼らにわざと美談を打ち明けるように、と。リゾット達に指示を出した。

 リゾット達は彼らに、出来る限り臨場感を感じられる――時には涙を流すなど、かなり本格的な――話し方で、美談を明かす。

 

 すると、彼らは面白いぐらい話に食い付いた。

 

 そして案の定。噂好きな彼らを中心に、財団内部で美談が広まっていく。

 その美談に時々、余計な話が混ざりそうになった時は、六車がそれを察知し、リゾット達に知らせて軌道修正してもらう。

 

 ……やがて、園原の立場を磐石にさせる美談は急速に広まったのだが。これを可能にしたのが、六車のスタンド能力だった。

 

 ――第三の耳(サード・イアー)。そんな名前が付けられたスタンドを使えば、あらゆる声を聞く事が出来る。

 非戦闘タイプのスタンドだが、その代わりに射程距離はかなり広い。

 

 例えば。財団本部の建物内であれば、どんな場所で、どんなに小さな声で話していても、その会話は本体である六車の耳に届いてしまう。……まさしく、地獄耳。

 この能力によって、広まった噂が今どんな状況にあるのかを、容易に把握する事が出来るのだ。

 

 ……実は。六車はこの能力を利用して、財団の内部監査役も務めているのだが……今のところ、それを知る者は上層部の一部の人間のみである。

 

 

 こうして。園原達3名が財団本部を訪れた日を境に、風花の計画通りに事が進み、園原は承太郎の助手としてその存在を認知され、彼の立場は磐石となっていく――

 

 

(――まぁ、私としては。最終的に承太郎様と志人様はもはやセットで、2人は切っても切れない関係だと、周囲から認められたら御の字だと思ってますけどね。

 あ、"博士様と助手様"コンビを推しとする同志も増えてくれたら最高ですね!!うふふ♪)

 

 

 ……イタリアにて。計画の立案者はニヤニヤしながら、そんな事を妄想していた。

 

 

 

 

 

 

 






・計画立案者の財団職員

 心の推し活を始めてから、何だか若返ったような気がしている、今日この頃。

 園原の立場を磐石にするために美談を流し、財団内部で承太郎の助手として広く認められるようにする計画を立案。
 リゾット達と従兄に協力を求めて実際に美談を流した結果、充分に噂が広まった。

 最終的に、"園原と承太郎はもはやセット、切っても切れない関係"だと周囲から認められたら大成功だと思っている。

 後に。財団本部にいる友人から、園原達3名が現れた時の様子を教えられ、悔しがる。
 承太郎様の慈愛に満ちた微笑みですって!?この目で見たかったわ!写真無いんですか、写真は!?


・協力者その1、暗殺チーム

 リゾットから風花の計画を聞き、ノリノリで協力した。

 自分達を助けてくれた恩人のためならば、噂を広めるという地味な仕事でも全力でやる。
 美談を語る時、一部の者は臨場感を高めるためにわざと涙を流す程、気合いが入っている。

 六車のクソ真面目さに最初は辟易していたが、自分達と同様に園原を心配している仲間だと分かった途端、手の平返し。そのうち一緒に酒飲みして仲良くなる……かもしれない。


・協力者その2、従兄さん

 風花から計画を聞き、園原と承太郎のためならば!と、熱意を持って真面目に協力した。

 スタンド名、第三の耳(サード・イアー)。あらゆる声を聞く事ができる能力。
 攻撃は全く出来ないが、その代わりに射程範囲が広く、かなり遠い場所で交わされる会話の内容でさえ、鮮明に聞こえる程。

 暗チに対し、相手が元暗殺者という事で少し警戒していたが、互いに園原の身を案じる者として共感し合い、徐々に仲良くなっていく。


・計画の事を全く知らなかった助手君

 なんかいつもとは違う視線が刺さってるなー。あ、行方不明だったポルナレフがいるから?そうかそうか、納得――

 ――と、思っていたら。後に六車から風花が立てた計画と美談の内容を報告され、承太郎達と共に揃って驚愕する未来が待っている。
 えっ何その話ちょっと恥ずかしいんですが??でも本当の事も混ざってるし否定したくても否定できない……!!





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