空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前半、原作5部終了後から数年後の話。後半、6部開始直前と開始後の話

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。ポルナレフ視点





波乱の幕開け――転生者、不在

 

 

 

 

 イタリアでなんとか生き延びて、承太郎達と再会した時から……10年が経過した現在。俺は今も、志人の家に住んでいる。

 

 

 

 

 

 

 初めの頃は、義足で問題なく歩けるようになったらすぐに故郷に帰るつもりでいた。

 イタリアで俺を助けてくれた恩人、しかも年下である志人に、これ以上迷惑を掛けたくなかったしな。

 

 しかし、リハビリを始めてから数年経ったある日。"義足での歩行も安定して来たし、そろそろ故郷に帰る準備を進める"と志人にそう話したところ……

 彼は一瞬はっとした表情を見せて、それから儚く微笑んだ。

 

 

「……そう、でしたね……あなたがこの家にいるのが当たり前になっていたから、ついその事を忘れてしまっていました。すみません。

 俺に出来る事があれば、何でも言ってください。お手伝いします」

 

 

 ……志人は一言も口にしなかったが、その表情を見れば寂しがっているのは明らかだった。

 

 

 それを目にした俺は、悩んだ。……彼には飼い猫のシエルが側にいるし、自宅の近くには承太郎とその家族もいるが、ここ数年間、毎日寝食を共にしていた人間は俺だけだ。

 

 実は密かに甘えたがりで寂しがり屋な志人の事だし、その日常が急に無くなったらきっと落ち込むだろう。

 他人に迷惑を掛けるから、と。その気持ちを誰かに打ち明ける事もなく、こっそりと。

 

 おそらく。承太郎がすぐに気づいて志人を構い倒すだろうし、あいつに任せておけば問題無いだろう。

 だがそもそも、俺は志人に悲しい思いをして欲しくない。……彼の悲惨な幼少期の話を既に知っている今なら、尚更。

 

 しかし、だからといっていつまでも故郷に帰らない訳にはいかねぇ。

 今も故郷にいるはずの知人や友人達ともしばらく会ってないし……シェリーの墓参りにも行きたいし。

 

 

「はあ……どうすりゃあいいんだ?……あっ、もういっその事、志人もフランスに連れていけば解決、」

 

「ああ"?」

 

「ちょっ、待ッ!?冗談!冗談!!そんなに怒るなよ、承太郎……!!」

 

 

 ……やっぱり、承太郎を相談相手に選んだのは間違いだったか?

 

 

 ある日の夜。承太郎を誘って2人で飲みに出掛けた先で、志人の事を相談してみた。相談といっても、ほとんど俺が喋ってるだけで、こいつは話を聞いているだけだったが……

 冗談混じりに志人を連れて行くなんて言ったら、即座に反応してギロリと睨んで来た。怖い怖い怖い。

 

 

「お前……かなり前から思ってたけど、志人に執着し過ぎだな……彼が周囲からの好意に鈍くて良かったなぁ?それに気づかれたら逃げられるかもしれないぞ?気を付けろよ」

 

「…………ところで、さっきまでのお前の話だが」

 

 

 あ、図星突かれたからって話を逸らしやがったな、こいつ。

 

 

「それを聞いていて、なんとなく思った事がある……」

 

「思った事?」

 

「……俺の勘なんだが――お前、志人と自分の妹を重ねて見てるんじゃねえか?」

 

「――――」

 

 

 心臓が、跳ねる。……どうやら今度は、俺の方が図星を突かれたらしい。

 

 

「…………そういや、出会ったばかりの頃の志人は生前のシェリーと似たような年頃、だったな……

 それに無邪気な笑顔が誰かに似てる気がしてたし今思うと俺も自然とあいつを弟扱いしてたような気がする……!!」

 

「……なんだ、当たりだったのか。自覚したのが今だっただけで」

 

「ああそうだよ、大当たりだぜ!こんちくしょうッ!!どうしてくれんだよ!それを自覚したらますます故郷に帰りづらくなっちまったじゃねぇか!!」

 

「……なら、ずっとアメリカにいればいい」

 

「他人事だからってそう簡単に、」

 

「他人事じゃねえ!」

 

 

 途中で言葉を遮られ、強くそう言われた事に驚く。……思わずその顔を凝視すると、承太郎は気まずそうに目を逸らした。

 

 

「…………俺だって、お前がここに残ってくれたら……多少は、安心、する」

 

「…………承太郎……」

 

「出来れば、あまり俺の目の届かない場所には行かないで欲しい……また音信不通にでもなったら、こっちは堪ったもんじゃねえぜ」

 

 

 嗚呼……そうだった。ここにも1人、手の掛かる弟のような存在がいた事を、すっかり忘れていた。

 こいつには精神的に脆くなってしまった部分もあるのだと、志人に言われてようやく理解したはずだったのに。

 

 

「……そうだな……まさか、志人以外にお前までフランスに連れて帰るわけにもいかねーし」

 

「おい、こら」

 

「分かってる分かってる!そう睨むなって!……だから、まあ――一度フランスに戻って、いろいろやる事を済ませてから、またアメリカに戻って来てここで暮らす……」

 

「!」

 

「……ってのは駄目かなぁ?どう思う?」

 

「……駄目じゃねーよ。そうした方が、志人なら喜ぶだろう」

 

「志人だけじゃなくてお前も、だろ?」

 

「…………うるせえ」

 

 

 否定しない、って事はそういう事なんだろうな。そう考えてニヤニヤしてたら背中をぶっ叩かれた。痛い!理不尽だ!!

 

 

 その後。とりあえず俺の悩みは解決したので、酒飲みしながら会話を楽しむ事にしたのだが……

 しばらくして、先程よりも若干酔いが回った様子の承太郎が、こんな事を言った。

 

 

「……そうだ。さっき、お前が言ってた事」

 

「ん?」

 

「志人をフランスに連れて行く、って話だが……あの子ならきっと、そんなに迷わずに断るぞ。賭けてもいい」

 

「は?……やけに自信満々じゃねぇか。なんでだよ?」

 

 

 承太郎の突然の言葉、それも大分前に終わった話をわざわざ持ち出した事。その上やけに自信たっぷりだった事を不思議に思い、そう聞いてみた。

 すると。彼は誇らしげに、そして心底嬉しそうに、子供のように笑う。

 

 酒が入っているせいで表情筋が緩んだのだろう。今まで一度も見た事が無いその表情を目にして、思わずぎょっとした。

 

 

「志人は、俺を護るために財団職員になってくれた。あの子は一度何かを心に決めたら滅多にそれを曲げない強い子だ。

 

 

 ――"俺を護る"というその気持ちが、覚悟が、人一倍、強い。……だから、俺の側にいるためにフランスには行かないと、そう言って断るだろう」

 

「…………お、おう……そうか……」

 

「ああ」

 

 

 それ以降も酒で口が軽くなったのか、承太郎は度々志人の事を話題に出して、まるで自分の事のように自慢する。

 もちろん妻と娘の話も出るが、最も多かったのは志人の話題だった。

 

 ……以前からその傾向は見られたが、最近の承太郎はますます志人の事を自分の本当の息子のように扱っている気がする。

 最初は困惑していたが、だんだん面白くなってきたな。ジョースターさんにこの事を話せば、あの人も面白がってくれるだろう。今度話してみよう。

 

 

 それから。飲み過ぎて帰れなくなる前に、と。程々で酒飲みを終わらせて、外を歩いて酔いを覚ましてから互いの家に帰った。

 

 ……"家に帰る"、か。そういえばいつの間にか、志人の自宅が俺の帰る家だと、そう認識するようになってたなぁ。

 最初は確かに、ただ"部屋を借りている"という認識だったはずなのに。

 

 

「――ポルナレフさん、おかえりなさい!」

 

「ニャア!」

 

「ああ。ただいま」

 

 

 俺の認識がいつの間にか変わっていた理由はきっと、志人とシエルが笑顔で俺を出迎えてくれるから、だろうな。

 

 

「……なあ、志人。ちょっと聞いていいか?」

 

「はい。何ですか?」

 

「俺がフランスに帰るのにお前も連れて行きたいって行ったら、どうする?」

 

「え……?」

 

 

 急にそんな事を言われた志人は、戸惑っている。まあ、そうだよな。唐突にそんな事を聞かれたら困るに決まってる。謝ろう。

 そう考えて口を開いたら、それよりも前に志人が申し訳なさそうな顔をして、こう言った。

 

 

「すみません。そう言ってくれるのは凄く嬉しいんですけど、俺はフランスには行けません。

 

 

 ――俺は何よりも、承太郎さんの側にいたいので。……あの人を、俺の手で護りたいんです」

 

「――――」

 

「だから、ごめんなさい」

 

 

 唖然とする。……承太郎が言った通りの断り方だった。

 あいつはきっと、こんな台詞を堂々と言える志人の事を相当信頼していて……志人も、無意識にその信頼に全力で応えているのだろう。

 

 

「……ふふ、っく、ははははははッ!!」

 

「うおっ!?」

 

「フニャッ!?」

 

 

 突然笑い出した俺に対し、志人とシエルが驚いているのが分かったが、笑いが止まらなかった。

 

 戦友にそこまで信頼されている弟分が羨ましいし、弟分からこれほど大切に想われている戦友も羨ましい。

 だが、それが一周回って何故か愉快になってしまった。……完敗だ。

 

 承太郎から明らかに本当の息子のように扱われて可愛がられて、絶対的な信頼を寄せられているのに、それに全く気づかない志人。

 志人の無自覚人たらしな発言と、天然さや純粋さに振り回されている承太郎……ちょっと想像するだけでも、やっぱり面白い。

 

 

 ……この2人の関係を、これからも近くで見守りたい。

 

 

「あの……ポルナレフさん?」

 

「くくく……ッ!しょうがねえなぁ。お前が来てくれないなら、俺がここに留まるしかねーよなぁ」

 

「えっ?」

 

「俺は一度、故郷に行く。……で、いろいろやる事を済ませたら、アメリカに帰ってくる」

 

「えぇっ!?」

 

「それで、だ……帰って来たら、また、ここに住んでもいいか……?」

 

「――――」

 

 

 志人が目を大きく見開いた事で、その目付きの悪さが緩和される。

 そしてようやく理解が追い付いたのか、彼はじわじわと表情を緩ませて、キラキラと輝く笑顔を見せてくれた。

 

 

「……はい……っ、はい!是非、またここに住んでください!ポルナレフさんの部屋を綺麗にして待ってます!!」

 

 

 

 

 

 

 ……とまぁ、そういった経緯から。一度フランスに行った後、出来るだけ早くにアメリカに帰り、それ以降は再び志人の家に住み始めたのだが――

 

 

(――あの時。子供のように喜んで笑っていた志人が、まさかこんな成長を遂げるとは……)

 

 

 イタリアで出会ってから10年の時が過ぎた今、俺の目の前にいる弟分には、良い意味で年下らしさが全く無い。

 

 チャコールグレーのスーツに、黒シャツとグレーのネクタイ。胸元には、天使の翼がデザインされた金のチェーンブローチ。

 革靴、中折れ帽、ロングコート、その全てが黒……そして、いつもの目付きの悪さを隠す眼鏡と横に流された前髪のおかげで、その美貌が露になっていた。

 さらに。俺や承太郎よりも細身だが、昔と比べて背が伸びたし、筋肉もついている。

 

 全体的に黒の印象が強く、その姿はまるで10代の頃の承太郎を見ているかのようだ。黒いロングコートとか、特にそれっぽい。

 今の志人は、何処からどう見ても洗練されたクールな大人だった。

 

 

 数週間前、志人はSPW財団本部から重要な任務を任された。

 内容は、財団のスポンサーのうちの1人である、資産家の男性の護衛だ。彼は今、とある組織から命を狙われているらしい。

 

 その組織の構成員達から男性の身を護る事が、今回の仕事だそうだが……

 それだけなら、承太郎の助手を勤める事が主な仕事である志人を引っ張り出す必要は無い……普通ならば。

 

 しかし、今回の任務は普通ではなかった。……その資産家の男性は志人の存在を知っており、彼に護衛を頼みたいと指名して来たのだ。

 

 

(――――"最強の盾"、か……)

 

 

 いつからか、財団職員達や裏社会に潜むスタンド使い達が、"最強のスタンド使い"と呼ばれる承太郎の側にいる志人の事を、イージスの能力に因んでそう呼ぶようになったそうだ。

 そしてどういう訳か、その噂が資産家の男性の耳に入ったらしく、それがきっかけで志人を指名したのだという。

 

 かつての俺なら、弟分に立派な二つ名が出来たと素直に喜び、誇らしく思っていただろう。

 だが、今は……"最強"と呼ばれる事に1人で苦しんでいた男の事を、承太郎の事を知っている。志人が彼と同じく苦しんでいるとしたら、喜べないな。

 

 

「……さて、そろそろ時間ですね。ポルナレフさん、シエルの事よろしくお願いします」

 

「ああ、任された」

 

「ンニャー……」

 

「シエル、いい子でお留守番してろよ?」

 

「ニャウゥ……」

 

 

 今回、シエルは留守番だ。彼は頼もしいスタンド使いだが……さすがに、老化には勝てなかった。

 

 彼は数年前にはとっくに10歳を越えており、今では人間で言うと70代ぐらいの高齢だという。

 体調も崩れやすくなったし、遠出に付き合わせるのは可哀想だからと、志人はシエルを留守番させる事にした。

 

 

 しかし、心配だな……何故か、この任務の話が出た辺りから志人の様子がおかしい。

 

 最初は気のせいかと思っていたが、今日までの間に志人は暗い表情を見せる事が多くなった。そういう時は決まって、何かを考えているようだ。

 いったい何を考えているのかは知らないし、彼が話してくれるまでは聞かないつもりでいるが……こんな調子で任務に出ても大丈夫なのか?その上、彼は……

 

 

「……本当に、承太郎達に会いに行かなくてもいいのか?」

 

 

 そう。ここ数日は承太郎やエリンさん、徐倫とも会っていないらしい。今日を逃せば、しばらく会えなくなるというのに。

 承太郎の助手の仕事も、今回の任務のためにいろいろ準備したいから、と。休ませてもらったという。

 

 

「……今、あの人達に会ったら……決意が揺らぎそうなので」

 

「決意が揺らぐ、というと?」

 

「……そう、ですね……何と言えばいいのか――嫌な予感が、するんです」

 

 

 一瞬迷った様子を見せた志人だったが、やがて震えた声でそう言った。

 

 

「こんな嫌な予感を感じている時に、任務になんか行きたくなかった……

 

 ――っ、なんでだ……!なんでこの大変な時期にこんな任務が入って来るんだよ……!!

 やれるだけの事はやった。でも不安しかない。本当にこれで大丈夫なのか?自分の手でやれない事が、自分の目で彼らの無事をすぐに確かめる事ができないのが辛い……!!」

 

「ゆ、志人……?」

 

「っ!!…………すみません。取り乱しました」

 

 

 彼は急に感情的になってよく分からない事を口にしたかと思えば、すぐに我に返って謝罪する。

 そして――志人の表情から、感情がごっそりと抜け落ちた。それを見た俺がぞっとしていると、次の瞬間には明らかに貼り付けた笑みを見せる。

 

 

「それでは、いってきます」

 

「ニャッ、ニャー!!ニャオー!!」

 

「……こら、シエル。いい子に留守番してろって言っただろ?もう行くから離れなさい」

 

「ウニャーッ!!ニャウゥ!!」

 

 

 おそらくシエルも、飼い主の異変を敏感に感じ取ったのだろう。先程までは大人しかったのに、なんとか引き留めようと志人の足に纏わりついている。

 それに痺れを切らしたのか、志人はイージスを呼び出してシエルをバリアの中に閉じ込めてしまった。

 

 呼び出されたイージスは……酷く悲しげな表情を浮かべている。

 もしかすると、あれが志人の貼り付けた笑顔の下に隠された本当の感情なのかもしれない。自我を持っているとはいえ、スタンドは本体の心そのものだから。

 

 

「このバリアは、俺が射程距離ギリギリまで行ったら解除しますので、後の事はよろしくお願いします」

 

「それは分かった、が……くれぐれも、無理はするなよ?」

 

「…………では、失礼」

 

 

 志人は中折れ帽を深く被り直し、それから立ち去った。……"無理はするな"という俺の言葉には、頷いてもくれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……時間はまだ、だよな?到着が早過ぎたか…………あ?電話?」

 

 

「――――」

 

 

 

 

「…………おい、なんで電話掛けて来た?今日は何も連絡入れるなって俺この前言ったばかりだったよなぁ!?」

 

「――――、―――――」

 

「話を逸らすなっ!!」

 

 

 

 

「……で?何の用だ?」

 

「―――、――――」

 

「あぁ?」

 

「――……――――、――――――」

 

「っ、」

 

「―――、―――――。―――――――?」

 

「…………」

 

 

 

 

「――。―――。――――、―――――――。……――、―――――――」

 

「…………本当に?本当に、大丈夫、なのか?……誰も、死なずに済むのか?」

 

「――。――――――、―――――……―――」

 

 

 

 

「なんか……安心したら腹が立って来た」

 

「――?」

 

「電話とかメールはするなって言ったのに言うこと聞いてくれなかった」

 

「――――、――――。――――――」

 

「それで結局俺が助かってるから余計に腹立つ!!」

 

「――――……――、――?―――、――――?」

 

「そうだよ!悪いか!?」

 

「――、―――――――――、」

 

「それよりも!!」

 

「――?」

 

 

 

 

 

 

「――ありがとう……と、言ってやらんこともないと思ったけどやっぱりやめた」

 

「…………――、――、――――……!!」

 

「……笑うな」

 

「――、――、―――!――――……!」

 

「笑うな!!切るぞっ!!」

 

「―――――、――――。――――――」

 

「…………何だよ?」

 

「―――――」

 

「……ん、いってきます」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 志人が護衛任務に出た日の、翌日――徐倫が乗っていた車の運転手が轢き逃げ事件を起こし、さらに数日後には彼女が轢き逃げ容疑で逮捕され、刑務所に送られたと聞いた時は……耳を疑った。

 

 だが、財団職員が調査したところ。彼女は、かつてDIOの部下だったジョンガリ・Aとかいう男が仕掛けた罠に嵌められたらしい。

 そいつの目的は、おそらく。DIOを倒したジョースター家……特に、承太郎への復讐だろう。徐倫はそれに巻き込まれたんだ。

 

 

(志人の嫌な予感が当たっちまった……!!)

 

 

 そしてこんな時に限って、志人は護衛任務で持ち場を離れる事が出来ない!

 

 

「おい、本当に1人で行く気か!?」

 

「……俺以外の誰かがついて来たら、敵に怪しまれる。最悪の場合、徐倫と面会する機会すらも奪われてしまう可能性がある」

 

「それは……そうかもしれないが、危険だぞ!?」

 

「そんな事は百も承知だ。それでも俺は、徐倫を助けに行く。……父親だからな」

 

「…………承太郎……」

 

「……万が一の時は、エリンとジジイ達の事を頼むぜ。シエルと一緒に守ってくれ。愛する家族は、俺と徐倫の弱点だ。

 

 弱点といえば志人もそうだが……あの子には自分の身を守る力があるからな。

 何も力を持っていないエリンと婆ちゃんと、昔よりも動けなくなっちまったジジイに、スタンド使いとしてはまだ幼い静の事は、お前達に任せたい」

 

「…………」

 

「ポルナレフ。……頼む」

 

「…………分かった」

 

 

 徐倫との面会に行く前に、承太郎が俺に会いに来て、エリンさんとジョースターさん達の事を頼まれた。

 本当は志人の代わりに承太郎について行きたかったのだが、確かに彼女達を放っておくのも良くない。仕方なく、頼みを引き受ける事にした。

 

 ……それにしても、承太郎は昔と比べて本当に丸くなったなぁ。

 以前なら1人で抱え込んでいただろうに、今は素直に人を頼れるようになったようだ。こんな状況じゃなかったらその成長を喜ぶところなんだが――

 

 

 ――なんて。そんな呑気な事を考えていたら、とんでもねぇ事になっちまった!まさかそれが、意識のある承太郎との最後の会話になるとは……!!

 

 

(承太郎の様子を見に行きたいが……エリンさん達の側から離れる訳にもいかねぇしな……)

 

 

 承太郎が敵のスタンド能力で仮死状態にされてしまった今は、ジョースターさんにも協力してもらって理由を誤魔化し、1ヶ所に集まってもらっている。

 場所はジョースターさん達が住んでいる豪邸だ。彼女達には、これからしばらくはあまり外に出ないようにとお願いした。

 

 現に承太郎が財団に保護された日以降、こちらの様子を窺う何者かの気配を感じている。シエルも時々外を見ては、唸り声を上げていた。

 俺達はここから動けない。出来る事といえば、財団から入って来る情報を聞く事ぐらいだ。

 

 おそらく志人も、今の俺と同じ……いや、それ以上にもどかしい思いをしてるんだろうな……

 あいつの所にも情報は届いているはずだ。それなのに、仕事のせいで承太郎の様子を見に行く事が出来ないし、徐倫を助けに行く事も出来ないなんて……辛いよなぁ。

 

 

 俺も、辛い。

 

 

「…………なんで、こんな事に……ッ!!」

 

 

 承太郎、徐倫……!頼むから、2人共無事に帰って来てくれ……!!

 

 

 

 

 

 

 






・助手くんと同居している6部ナレフ

 お兄ちゃん気質な彼は、弟気質な助手くんの事が放って置けず、さっさとアメリカに帰って来ました。

 故郷に帰ろうとしたが、亡き妹と園原を重ねて見て放って置けなくなり、承太郎にも引き留められたため、本格的にアメリカで暮らす事を決めた。
 園原と承太郎の関係を羨ましく思いつつ、愉快だとも思っている。これからも2人を見守りたい。

 時が過ぎ、クールな大人の男へと急成長した園原に驚きながらも、兄貴分としては誇らしい。これは徐倫がまた騒ぐだろうなぁ……

 様子がおかしい園原を心配していたら、園原よりも徐倫と承太郎が大変な事になり、てんやわんや。
 今後はシエルと共に、承太郎達の愛する家族の護衛を担当する。


・さっそく仮死状態に陥った海洋学者

 娘と仲良し&対応が優しい……が、それ以外は原作通りの流れでプッチ神父にDISCを奪われ、仮死状態に。

 ポルナレフ曰く、"最近の承太郎はますます志人の事を自分の本当の息子のように扱っている気がする"。
 園原との信頼関係は、以前よりも強化されている。彼らの関係は学者と助手なのか父親と息子なのか、周囲も判断が難しくなって来た。

 ポルナレフが園原の自宅に完全に住み着いてくれた事が嬉しい。人たらし園原に絆されてしまえばいいと、常々そう考えていた。計画通り(ニヤリ)

 原作とは異なり、今では素直に人を頼れるようになった。……実は今回、ポルナレフの他にもう1人、彼が頼った人物がいる。


・情緒不安定な助手くん

 最悪のタイミングで護衛任務(しかも指名依頼)が入り、6部に参戦出来なくなってしまった転生者。

 6部に関しては何年も前から念入りに準備を進めて介入する気満々だったというのに、まさかの突然の指名依頼で出鼻をくじかれた。は?"最強の盾"?そんな肩書きなんざクソ食らえ。

 護衛任務の話を聞いてから出来る限りの事をやり、当日を迎えたが……不安過ぎて情緒不安定になり、感情を爆発させてしまった。
 任務先で徐倫の刑務所行きや承太郎の仮死状態に関しての知らせを聞き、すぐにでも駆け付けたいという衝動をなんとか抑え、任務続行。

 何らかの奇跡が――あるいは、想定外の事態が起こらない限りは、6部に参戦する事は不可能。


 それから、これは全くの余談だが。今回の服装について、園原は3部承太郎を強く意識している。(黒い中折れ帽とロングコートは学帽と長ラン、金のチェーンブローチは長ランに付いていた鎖のイメージ)






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