空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前作の続き。F・F救済前と、救済後の話

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。オリキャラが登場します。仗助視点




協力者達の動向

 

 

 

 

 康一達よりも先にアメリカにやって来た俺が最初に向かった場所は、SPW財団の本部だ。

 本当なら仮死状態になってしまった承太郎さんの様子を見に行きたいところだが、今は面会謝絶だと聞いたから仕方なく諦めた。

 

 

 で。財団本部に到着した俺は、ある人を呼び出してもらった。……志人さんや承太郎さんと関係が深い財団職員、六車拓海さんだ。

 

 志人さん曰く、"本人からは一言も聞いていないが、おそらく彼は財団上層部の人間と裏で深く繋がっている"……との事。

 そんな彼に、今から俺がやろうとしている事を明かせば、上層部へすぐに伝わって比較的早めに動く事が出来る、はずだ。

 

 

「――G.D.st刑務所に侵入する!?失礼を承知で申し上げますが、正気ですか!?」

 

「ああ、俺は本気で言ってるぜ。後々役立ちそうな証拠を手に入れるために、徐倫がいる刑務所にこっそり入り込みたいんスよ」

 

「証拠……?」

 

「……アメリカに来る前に、形兆を通していろいろ聞いたんスけど、あの刑務所にはいろいろ黒い噂があるんスよね?

 受刑者と看守の間で賄賂のやり取りがあるとか、原因不明の死亡者や行方不明者が多いとか、それ以外にも様々な不正が行われているとか……その他諸々の噂があるって聞きました」

 

「えぇ、そうですね。私もそう聞いています。とはいえ、それらの噂に明確な証拠は無いのですが……って、まさか?」

 

「その、まさかっスよ。俺が欲しいのは、その証拠なんだ」

 

 

 今後。状況が落ち着いたところで徐倫を自由の身にしてやりたい、ってなった時には当然、あいつが冤罪だという話を持ち出す訳だが。

 その冤罪の証拠を出して、徐倫の釈放を求めたとして……刑務所側が、素直にそれに応じてくれるかどうかが分からない。

 

 例えば、徐倫が刑務所内で何が起こっているのかを公に暴露した場合、刑務所側は責任を追及されるだろう。

 それを嫌がって金で口封じしようとするとか、何か理由を作って徐倫を刑務所に閉じ込めようとするとか……そんな可能性が無いとはいえない。

 

 それに備えて、予め刑務所内でいろいろと証拠を確保しておけば、後々徐倫を自由の身にするのに役立つのではないか?

 ぶっちゃけて言うと、万が一の時はその証拠を利用して刑務所側を脅してしまえ、って事だな。

 最初から不正をやってるのは向こうだし、こっちがそういう汚い手段を使っても文句は言わせねェ。

 

 

 ……という話を六車さんに提案すると、彼は腕を組んで唸り声をあげる。

 

 

「……東方さんの話はごもっともですし、確かに万が一の時に備えて証拠を入手するというのも、必要な事だと思います。

 しかし……ジョースター家の人間であるあなたが自ら侵入するというのは、危険過ぎます。出来れば財団職員に任せて欲しいのですが……」

 

「…………あー、六車さん……実は、ここまでの話は全部口実なんスよ」

 

「口実……?」

 

「もちろん、念のために証拠を手に入れたいってのも嘘じゃねェ……でも、それよりも俺は、徐倫の側であいつを見守りたいんだ」

 

 

 助けてやりたい、じゃなくて。見守りたい、だ。徐倫を今すぐに刑務所から助け出すつもりは無い。……あいつには、経験が必要だ。

 

 

「まだ高校生だった頃、俺は杜王町での事件の最中に敵スタンド使いと戦う事で経験を積んだ……徐倫にも、それが必要だと思う。

 

 スタンド使いは、ひかれ合う。あいつもそうなったからには、これからも同じスタンド使いとの戦闘は避けられない……

 あの承太郎さんの娘なら、今後もいろいろと巻き込まれそうだしな。だからこの機会に、スタンド使いとして成長して欲しい」

 

「……それは……そう、ですね。他ならぬ空条さんの娘さんですから、本人の意思に関係なく何かに巻き込まれてしまう可能性は高い……」

 

「だろ?……でもまァ、こっちの勝手な都合で放置したら徐倫が可哀想だし。

 だったら、言い出しっぺの俺が刑務所に行ってあいつを見守りながら、もしも危なくなった時は助けに入ってやりたい、と。そう考えたんスよ」

 

「なるほど……しかし、やはり東方さんを1人で行かせる訳には、」

 

「そこで!俺からちょっと提案がありまして」

 

「はい?」

 

「昔、志人さんから聞いた話を思い出したんスけど――財団本部の職員の中に、スタンド能力で透明になれる奴がいるって……それ、本当っスか?」

 

 

 と言いつつ、俺はそいつの事を知ってるんだけどな。

 事前に志人さんが俺の下にそいつを連れて来て、顔合わせを済ませたから。でも、今回は初対面を装う。

 

 

「志人さんはそいつの事を……頼りに、なる人だ……と。そう言ってたっス。おそらく、隠密行動をやらせたら右に出る者はいないだろう……とも言ってたっけなあ」

 

 

 本当は、認めたくない!志人さんがあんな奴の事を頼りにしているなんて認めたくねェ!!

 ……が、今回は奴の力が必要だという事は……全然納得できねェがちゃんと分かっているため、志人さんのために我慢する。

 

 

「スタンド能力で透明になる事ができて、園原さんに信頼されており、隠密行動において右に出る者はいないという財団本部の職員……

 それは、おそらくリゾット・ネエロさんの事ですね。その条件に当て嵌まるのは、彼しかいません」

 

 

 そうそう、そいつの事だよ。あのムカつく鉄仮面野郎め。

 

 

「その人って、自分だけでなく他人も透明に出来たりします?」

 

「財団職員になる前は、物ならともかく、自分以外の人間を透明化する事は出来なかったそうですが……

 財団職員になってからスタンド能力の特訓を重ねた結果、それが可能になった、と。そう聞いています」

 

「よし。それなら、俺と一緒に刑務所に侵入する事も出来るよな?俺1人だけで行くのが駄目なら、その財団職員に同行してもらうってのはどうスか?」

 

「…………確かに……リゾットさんなら、実力的にも申し分ないですね……」

 

 

 六車さんは再び腕を組み、唸り声を上げる。……やがて、彼は深く頷いて口を開いた。

 

 

「分かりました。今の東方さんの話を、上層部に報告します。

 その結果は後程お知らせしますので、しばらくお待ちいただけますか?もしかすると、結論が出るまで数日掛かってしまうかもしれませんが……」

 

「もちろん、大丈夫っスよ。無理なお願いしてるのはこっちの方だし、ちゃんと待ちますから」

 

「寛大なお言葉、ありがとうございます」

 

 

 ……その後。六車さんは数日どころか、この話をした翌日には上層部から刑務所に侵入する許可をもらって来た。

 さっそくリゾットの野郎と接触し、数日後には刑務所へ向かった。奴のスタンド能力で鉄分を身に纏い、透明化して侵入する。

 

 

 にしても……こんなに早くに話が通ったって事は、やっぱり志人さんが言ってたように、六車さんは本当に財団上層部と裏で繋がってるんだろうな。

 

 

(――ここまでの流れは、その全てがあの人の予測通りに進んでいる……さすがは志人さん、グレートだぜ)

 

 

 刑務所に侵入するのは、万が一の時に備えて証拠を集めるため……というのは口実で、本当の目的は徐倫の側であいつを見守るため。

 決して、嘘ではない……が、これは真の目的を隠すためのカモフラージュとして志人さんが用意した、もっともらしい理由。

 

 そして真の目的とは、この先の未来で徐倫の仲間になる、フー・ファイターズという人……じゃなくてプランクトン?

 いや、下手にプランクトン扱いしたら怒られるんだっけ?……まあ、とにかく!そいつが死ぬ前に助け出す事だ。

 

 とはいえ厳密に言うと、俺の役目はそいつを助ける事ではなく、本来ならそいつが自分の命を犠牲にして助けるはずのナルシソ・アナスイって男を治療する事なんだが。

 フー・ファイターズ……F・Fの方は、リゾットが水を掛けて助けてやる事になっている。

 

 

(あの野郎と協力し合うなんて嫌だけど!めちゃくちゃ嫌だけど!!志人さんのために我慢……!)

 

 

 出来ればあの顔面をぶん殴ってクレイジー・Dで面白おかしく整形した顔みたいな状態に直してやって思い切り笑ってやりたい!

 ……でも、そうするとお人好しな志人さんが悲しむだろうから、できない。くそう。

 

 リゾットとは出会った時に目が合った瞬間、俺とは相性が悪いっていう直感が働いた。その直感通り、あの野郎の言動のほとんどがどうしても癪に障って仕方ねェ……

 だが、志人さんのために動くって話になると、嫌になるほど気が合う。だからこそ、互いを嫌っていてもなんとか行動を共にする事が出来るんだ。

 

 

 ……気に食わねェがそのおかげで、志人さんの指示通りにF・Fとアナスイの救出に成功した。

 承太郎さんの記憶DISCとF・Fを財団本部まで届けたら、すぐに志人さんに報告しよう。きっと喜んでくれるはずだ。

 

 刑務所から離れ、人気の無い場所で財団職員の迎えを待つ。なお、俺と隣にいる鉄仮面野郎との間に会話は無い。

 そのせいか、ペットボトルの中にいるF・Fが何だか気まずそうな顔をしていた。……ちょっと可哀想になって来たから、徐倫の話を振ってみる。

 

 すると、面白いぐらい食い付きが良かった。徐倫の事が大好きなんだなあ、こいつ。

 

 

「!……来たぞ」

 

「あ?」

 

 

 その時、ずっと黙っていた無口野郎もといリゾットが、ある方向を見ながらそう言った。

 どうやら、財団職員が乗った車が来たらしい。……その車は俺達の前で停まり、中から男が2人降りて来た。

 

 1人は随分と顔が整った金髪の男で、高そうなスーツとPのような形のネックレスを付けている。

 もう1人は金髪の男よりも少し小柄で、変わった髪型とアゴが無いのが特徴的な、見た目がちょっと面白い男だ。

 

 ただし……どちらもリゾット程ではねェけど、堅気ではない雰囲気を感じる。

 

 

「――プロシュート、ペッシ……かなり、遠出をさせてしまったな……すまない」

 

「気にすんな、リーダー。最近はずっと忙しくて、財団本部の周辺から離れられなかったからな……

 確かに長時間のドライブだし帰りも時間が掛かるが、良い気晴らしになってる。ペッシも楽しんでたぜ。な?」

 

「うん。景色が良かったし、休憩中にうまい飯も食べられたし、兄貴とたくさん話せたし、楽しかったよリーダー!」

 

「そうか……」

 

 

 ……こいつら、知り合いか。いや、知り合いどころか結構仲が良さそうだな?リゾットの雰囲気が柔らかくなった。

 以前志人さんが言っていた、財団職員になる前のこいつの仲間なのかもしれない。

 

 

「……では、さっそくで悪いが……東方とF・Fを、財団本部まで送り届けてくれ……空条の記憶DISCと、それから刑務所内で集めた、不正の証拠を記録した物も……共に」

 

「ジョースター家の人間や空条博士の記憶に、不正の証拠はともかく……

 電話で大体事情は聞いたが、そのペットボトルに入ってる奴が元はプランクトンって、マジか?」

 

「ああ、事実だ……」

 

「プランクトン呼ばわりするな!フー・ファイターズと呼べ!」

 

「見た目は女の子だし、こんなに小さいのに……なんだか偉そうな奴だなあ」

 

「なんだと!?喧嘩売ってるのか、そこのヤシの木頭!」

 

「や、ヤシの木、頭……!?」

 

「ぶふ……ッ!!」

 

 

 咄嗟に口を押さえて、笑いを堪える。ヤシの木頭って!F・F、お前……!!

 

 

「……それで、リーダー。ここからは1人で、再び刑務所に侵入すると言っていたが……本当に、あんただけで大丈夫なのか?」

 

「……問題ない……基本、透明化しながら、空条の娘とその仲間達を……見守るだけだ。危険度は、低い」

 

「…………信じていいんだな?」

 

「ああ。……俺なら、大丈夫だ」

 

 

 プロシュートと呼ばれた男との会話を聞いて、必死に堪えていた笑いがすぐに引っ込んだ。

 ……そう。リゾットはスタンド能力を使って徐倫達を見守り続けるが、俺だけはここからしばらく別行動になる。これも志人さんからの指示だった。

 

 

 いくつか理由はある。承太郎さんの記憶DISCとF・F、あとついでに刑務所内の不正の証拠を確実に財団本部へ届けるため、とか。

 徐倫達の脱獄に備えて、財団職員達にいろいろと動いてもらうため、とか。

 

 だが、その中でも特に重要な理由は……血縁者同士の繋がりで、プッチ神父に俺の存在を悟らせないように、一旦刑務所から離れる必要があるため。

 志人さん曰く。いずれはバレるだろうが、今はまだ時期ではないという。

 

 あの人の話によると、奴はDIOの骨から生まれた緑の赤ん坊を取り込んだ事で、後にジョースター家の星の痣が出来て、その血筋を持つ人間の居場所が大体分かるようになってしまう、らしい。

 DIOの首から下は俺達の先祖、ジョナサン・ジョースターの体だ。そんなDIOの骨から生まれた緑の赤ん坊にも、ジョースター家の血が流れている事になる。

 

 つまり、それを取り込んだプッチ神父にも俺達との血の繋がりが出来る、と。……あんな野郎と俺達の血が繋がってるなんて、考えたくもねェな。

 

 

「……そうだ。忘れるところだったな……プロシュート、これを……」

 

「ん、何だ?……顔写真が2枚、か。こいつらは?」

 

「帽子を被っている方は……徐倫の仲間の、ウェザー・リポートと名乗る男……記憶を失っているらしい。

 そしてもう1人が……今回の一件の黒幕、エンリコ・プッチだ」

 

「は?こいつが!?」

 

「こいつらの事を、調べて欲しい……」

 

「それは構わないが……何故?」

 

「…………後々、必要になるかもしれないからな……念のため、だ」

 

 

 リゾットはそう言って、横目で俺を見る。……そうそう、後々必要になるんだよなァ、これが。

 

 

(――徐倫達の脱獄後、ウェザーの死を阻止する時に)

 

 

 志人さんからあの話(・・・)を聞いた後、ウェザーを助ける方法についても聞いた。それを実行する前に、事前にウェザー達の情報を入手しておく。

 俺達は既にあの人から大体の事情を聞いているが、他の奴らはもちろん知らない。……ウェザー達の関係と、過去に何があったのかを明かすためには、その証拠が必要なんだ。

 

 

「すんません。その調べた結果なんスけど、後で俺にも教えてくれないっスか?」

 

「……リーダー?」

 

「……構わない」

 

「分かった。……じゃあ、いろいろ分かったらそっちにも報告するぜ」

 

「どうも」

 

 

 よし……これで、今やるべき事は終わりだな。後は俺がこの場を離れて、承太郎さんの記憶DISCとF・Fと、刑務所内の不正の証拠を財団に届けるだけだ。

 

 

「ところで……なあ、リゾット」

 

「ん……?」

 

「――あんた、俺達に何か隠してるだろ?」

 

 

 プロシュートという男の言葉に、思わず息を呑む。……さっきまでF・Fと軽い言い争いをしていたペッシという男も、いつの間にか真剣な眼差しでリゾットを見つめていた。

 

 

「…………何故、そう思った……?」

 

「俺の勘だ」

 

「……そうか……相変わらず、鋭いな……」

 

「へえ?隠し事があるのは認めるんだな?」

 

 

 おいおいおいおい!?何あっさりと認めてんだよ鉄仮面野郎ッ!!あの話(・・・)は誰にも言うなって志人さんから言われただろ!?

 そう思いながらこっそり奴を睨むと、目が合う。向こうからも睨まれた。……黙ってろ、ってか?

 

 

「確かに……俺は、お前達に隠し事がある……だが、今後。おそらく一生、お前達にそれを明かす事はない……」

 

「……何故だ?」

 

 

 

 

 

 

「それが、我が主の……いや――我らが女神(・・・・・)の、願いだからだ」

 

 

 …………は?女神??

 

 

「……"我らが女神"の、願い?」

 

「そうだ」

 

「…………そうか」

 

「ああ」

 

「――じゃあ、仕方ないか」

 

 

 えっ??

 

 

「あいつがそれを望んでいるなら、俺達は何も聞かねえ……それで良いよな?ペッシ」

 

「あ、うん。"我らが女神様"、というかシドのお願いなら仕方ないかあ」

 

「そうそう。……イルーゾォ達には、こう説明しておくか。"我らが幸運の女神様"は、リーダーにのみ神託を授けた。詮索は無用、ってな。

 くくッ……!あいつらなら、そう説明すれば笑って許してくれるだろう」

 

「神託…………あながち、間違いではない、か?」

 

「ん、今何か言ったか?リーダー」

 

「いや……何も」

 

 

 ……その話はそれで終わってしまい、リゾットは去って行った。さっそく、志人さんの指示通りに徐倫達の見守りを再開するのだろう。

 

 

(……って、いやいやいやおかしいおかしい)

 

 

 "我らが幸運の女神様"って何だよそれ!?テメーらは志人さんの事をそんな風に呼んでるのか!?なんでッ!?しかもそれだけで納得すんのかよ!?

 

 そう思ってるのは、多分俺だけじゃない。ペットボトルの中にいるF・Fも首を傾げて……

 ……って、そうだ。こいつは元々志人さんの事を知らないし、話自体がよく分かってないからこうなってるんだよな?ごめんな、置いてけぼりにしちまって。

 

 

「…………あのー……プロシュート、さん?」

 

「あ?」

 

「知ってるかもしれないけど、俺は志人さんの後輩なんスよ。

 で、どうしてあの人が幸運の女神様なんて呼ばれてるのか分かんなくて……教えてもらってもいいスか?」

 

「ああ、なるほどな。いいぜ、話してやるよ。……が、その前にまずは車に乗り込め。

 

 財団本部に着くまで、かなり時間が掛かるからな。暇潰しにいろいろ話そうぜ。

 俺とペッシは本部でのシドの様子を教えてやるから、お前は学生時代のシドの様子を教えてくれ」

 

「おお、いいっスね!その話、乗った!……あ、F・Fも良かったら聞いとけよ。

 志人さんは徐倫にとって、両親と同じぐらい大事な人だからな。その人の話を覚えておいて損は無いと思うぜ?」

 

「徐倫の、大事な人?それは気になる……うん、分かった。聞く!」

 

「よーし、それじゃあプロシュートさん。それにペッシ、さん?……も、財団本部までよろしくお願いします!」

 

「おう、任せな」

 

「う、うん。よろしくね」

 

 

 そうして車に乗り込んだ後は、財団本部に到着するまでの楽しい旅が始まった。

 

 リゾットとは違い、プロシュートさんもペッシさんも意外と話しやすい人達だった。

 堅気ではない雰囲気を感じるのに、それがあまり気にならない程には、彼らとの会話は楽しかった。

 

 俺が知らない志人さんの話を聞けたし、俺も志人さんの事を思う存分に語る事が出来たし、大満足だ。

 

 

 長いドライブが終わり、財団本部に到着した俺は、承太郎さんの記憶DISCと刑務所内の不正の証拠を財団職員に渡し、F・Fの事も任せて……

 ようやく、1人になれた。さて、志人さんに報告しないとな。

 

 

「そうか!F・Fは生きてるんだな。それにアナスイも……2人を助けてくれてありがとう!――この調子なら、本当に誰も死なずに済みそうだな……」

 

「うっス。この後も頑張りますよ!絶対に誰も死なせないから、安心してくれ」

 

「…………あぁ。ありがとう、仗助」

 

 

 報告の最初にF・Fの生存と、アナスイを俺のスタンド能力で治した事を伝えると、彼は自分の事のように喜んでいた。

 

 それから、承太郎さんの記憶DISCとF・Fを保護した事、刑務所内の不正の証拠も手に入れた事を報告。

 特に。承太郎さんの記憶DISCを取り返したおかげで、あの人の復活が早まりそうだと話した時は、声だけでも分かる程に上機嫌になってたな。

 

 

(……にしても、意外と元気そうだな?良かった)

 

 

 志人さんは決して精神的に弱い訳じゃない。むしろ、普通の人よりも強いと思う。その心の強さは、杜王町のスタンド使い達の中でも上位に入るだろう。

 だが、そんな志人さんでも例外がある……それは、自分と親しい人達の身に何かがあった時だ。こういう時の彼の心は、普段の強さが嘘のように脆くなってしまう。

 

 しかも今回は、その中で最も親しい相手である承太郎さんと、その娘である徐倫が事件に巻き込まれているからな。

 だから心配してたんだが……本当に、元気そうで良かった。

 

 

(この人が任務に向かう前にも電話で話したが、その時も大丈夫そうだったし……)

 

 

 ……そうだな、ちょっと心配し過ぎだったか。きっと事件が始まる前から覚悟が決まってたんだろう……さすがは志人さんだ。

 

 

 名残惜しいが、全ての報告を終えて電話を切る。これ以降は、徐倫達が脱獄した後に彼女達と合流するまで待機だ。

 

 そろそろ康一達も、アメリカに来られるようになるはず……そうしたらあいつらも、後半戦から参戦だな。

 あの話(・・・)によれば、後々DIOの息子達が敵として立ち塞がるらしい。俺や康一達は、徐倫達と共にそいつらと対峙する事になるだろう。

 

 

 プッチ神父……テメーの思い通りにはさせないぜ。

 

 

(志人さんの代わりに!俺が承太郎さん達を守るんだッ!!)

 

 

 ……なんて、ここから先の流れでは俺の出番はあまり無いんだけどなァ。少なくとも、本来なら未来で死ぬ運命にある人達を助ける事に関しては。

 

 

 ウェザーの事は、ほとんどリゾットに任せる事になるし。

 その後の承太郎さんや徐倫、それからエルメェスとアナスイについては、どうやら志人さんに何か秘策があるみたいだし?

 

 護衛任務で忙しい志人さんが、いったいどうやって承太郎さん達の命を救うのか、気になるんだが……

 あの人は、その辺の事をあまり詮索しない人間に協力してもらいたくて、それで数多くいる知り合い達の中からわざわざ俺とリゾットを選んで共犯者(・・・)にしてくれた訳で……

 

 その上――志人さんが最も信頼しているはずの承太郎さんにも、この件に関しては何も話していないらしい。

 

 それについてはほんのちょっとだけ優越感が……って、それはさておいて結論。

 志人さんからの信頼を裏切りたくないので、聞きたくても聞けない。

 

 

(でも――っ、ああァァッ!!気になる!!志人さんの秘策って何なんだァ!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ――アメリカ、フロリダ州。

 

 

 ある日。とある人物――便宜上、これ以降は"彼"と呼ぶ――が、目的地を目指して歩いていた。

 時々"彼"とすれ違う人間もいたのだが……どういう訳か、誰もが"彼"の存在を認識する事が出来なかった。

 

 

 さて。そんな"彼"の目的地は、とあるスーパーマーケット……の、前に設置されたベンチに座っている――具合が悪そうな神父の、背後。

 "彼"は静かな動きでそこに忍び寄ると、ほんの一瞬息を呑み……意を決して、相手に向かって手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 ……自身のやるべき事を終えた"彼"は、足早にその場から立ち去り、そこからかなり離れた人気の無い場所で、ようやく一息ついた。

 

 なお、"彼"の存在はその時点で周囲の人間が認識出来る状態となっている。

 今までは"彼"の能力で、一時的に自分の姿や気配を他人から認識されないようにしていただけだ。

 

 

 しばらくして気持ちが落ち着いた"彼"は、ある人物に電話を掛けた。

 

 

「…………どう、だった?」

 

 

 その人物が、恐る恐るといった様子でそう聞いてくる。……すると、"彼"が話し始めた。

 

 

「……――――――?――、―――――、―――」

 

「あぁ……そうだな。確かに、そうか……すまなかった。俺はちゃんと信じているよ」

 

「――。――――――、―――――」

 

「ありがとう。……それで?結果は?」

 

「――――――。―――――――、――――?」

 

「…………っ、ありがとう……!!これで、最悪の事態だけは回避できるはず!」

 

「―――。―――――……――!――、――――――」

 

 

 

 

「――、―――?―――……――――、―――――」

 

「……確かに、そのチャンスを逃してしまった事は認める。だが俺にとっては、そんな事よりもあんたの身の安全の方が大切だ」

 

 

 

 

「あんたの事を信じていたから、この裏工作(・・・)が成功する事も信じていた。

 でも、最悪の場合それが失敗して計画が狂っても良かったんだ――あんたさえ、無事に生きていてくれたらな」

 

「――、」

 

「生きていれば、後は万事どうにでもなるんだ。もし失敗したとしても、俺はそれを責めなかっただろう。

 失敗した場合の対策もいくつか考えてあったし……頼りになるあんたさえ生きていれば、いくらでも挽回出来ていたはずだ」

 

「――――」

 

「……って事で、もしもこの先で奴が想定外の行動に出たとしても、俺は"あんたのせいだ"とか言わねぇよ。

 あんたは今、ちゃんと生きている。それなら、未来で何かが起こったとしてもどうにかなるさ。

 

 まぁ、とにかく。無事で良かったよ。たった1人でラスボスに接近させるなんて危険な事をやらせてごめんな……でも、本当にありがとう」

 

「――――」

 

 

 

 

「お、おい?何か喋ってくれないとこっちが不安になるんだけど?大丈夫か?……おーい?」

 

「…………――、……――――」

 

「んん?」

 

「―――――――ッ!!――、―――――ッ!!」

 

「はい??」

 

「――――!?―――――!?――――――――ッ!!」

 

「……それって、徐倫ちゃんの事か?何故いきなり彼女の話に、」

 

「――――ッ!!―――!?―――!――!?―――!?――――!?」

 

「い、いや。それについてはもう気にしてないし、仕返しと言うなら……そうだな、強いて言えば俺が任務に向かう前に電話で話した時の、」

 

「――――――――――ッ!?」

 

「えぇぇー……?」

 

 

 

 

「――……!――――、―――!!」

 

「アッ、ハイ。……本当に、いろいろありがとな。後は予定通り、合流する時が来るまでは、」

 

「――――!――――――――!――――!!」

 

 

 

 

 ……その後。ある人物との電話を終えた"彼"は、思わず顔を覆って深くため息をついた。

 会話の途中で顔に集まっていた熱が、徐々に引いていき……やがて、冷静さを取り戻した"彼"は歩き出す。

 

 

 後は時が――最終決戦の時が来るのを、待つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 






・助手君の共犯者()黒柴君

 園原からあの話(・・・)を聞き、協力を求められたのでそれを快諾。リゾットと共に、本来死ぬ運命にある者達を救済するため、いろいろと活動中。

 園原の指示に忠実に従う忠犬後輩。尊敬する先輩のためならば、どうしても気に食わない人間……リゾットと行動を共にする事も我慢する。
 リゾットとは犬猿の仲。しかし園原を困らせないためにも、彼の前で喧嘩はしないし、彼のために協力し合う。

 後に承太郎の記憶DISCを取り返した事、F・Fを保護した事などを報告。園原が任務に行く前にも電話で話していたらしい。
 園原が何かを隠している事は分かっているのだが、彼の信頼を裏切らないためにも追及しないと決めている。

 でも――っ、ああァァッ!!気になる!!志人さんの秘策って何なんだァ!?


・助手君の共犯者()ワイマラナーさん

 園原からあの話(・・・)を聞いた上で、彼に協力している。以前よりも園原に対する敬愛が強くなっている忠犬リーダー。

 仗助とは犬猿の仲。こちらも園原のために我慢しているが、仗助が相手になると珍しく冷静さを失い、苛立ちを隠せない時がある。

 プロシュート達はリゾットが何かを隠している事に気づいているが、何故か園原=我らが幸運の女神様という共通認識があり……
 プロシュート曰く、"我らが幸運の女神様は、リーダーにのみ神託を授けた。詮索は無用"と言えば、他の元暗殺チームのメンバーも笑って許してくれる、との事。

 いやいやいやおかしいおかしいby仗助






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